パン (撮影技法)
パン (Pan) は、映像の撮影技法の一つで、カメラを固定したまま、フレーミングを水平方向、または垂直方向に移動させる技術。垂直方向のそれを特に「ティルト」と区別し、パン、ティルトともに相互に利用され得る。パンニングとも呼ばれる。語源は「パノラマ」。
歴史[編集]
1900年のパリ万博において、エジソン・マニュファクチャリング・カンパニーより派遣されたジェームス・H・ホワイトは、120°ほどのパンを駆使した撮影に初めて成功し、この技法をPanoramaと命名する。
用途[編集]
移動中の被写体を撮影する場合にパンが用いられるが、静止中であってもフレームに納まりきらない被写体を撮影する際にも使用される。
CGやアニメなどの、撮影を伴わない映像においても、パンという表現は使用される。 同じシーンに対して同様のパンを3回連続で行う演出方法は、アニメ作品『あしたのジョー』において多用され、現代アニメにおいて典型的な演出手法となっている。この手法は俗に「三段パン」と呼ばれる。
写真(スチル)の場合でも、移動する被写体を追いながら撮影(流し撮り)すればカメラの向きを振ることになり、その操作もパンと呼ぶ。
関連用語[編集]
固定したカメラで、移動する被写体をフレーミングで追従し撮影することを「フォロー・パン」と呼ぶ。これに対して、被写体と共にカメラそのものが移動する撮影手法は「ドリー撮影」と呼び、その際にカメラを載せる台車を「ドリー」(dolly)と呼ぶ。ドリーには、カメラを三脚ごと載せるYの字形のものや、テレビ局のスタジオで局用カメラを載せるペデスタルドリー(pedestal dolly)などがある。ペデスタルドリーはカメラを固定したスタンドに車輪を付けた構造。
また、カメラを固定して動かさない撮影技法を「フィクス」と呼ぶが、仮に三脚に載せても、カメラが首を振ればパンである。
脚注[編集]
関連項目[編集]
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