「ミノニヨクシティ」#21【考察】住人たちの真実を探る ギルバート編【ネタバレ】

ゲーム考察
「ミノニヨクシティ」の考察です。ミノニヨクで図書館を運営するギルバートにどのような裏事情があったのかを考察していきます。

こんにちは、Caffeineです!
今回は髪が長く人一倍オシャレな本好き「ギルバート」に焦点を当てていきます!
カンがよければ彼の「真実」におのずと気づく人もいることでしょう。

前回のエントリ(【考察】ガルルの真実):
「ミノニヨクシティ」#20【考察】住人たちの真実を探る ガルル編【ネタバレ】
「ミノニヨクシティ」の考察です。ミノニヨクシティでパン屋を営むガルルにどのような裏事情があったのかを考察していきます。 こんにちは、Caffeineです! 今回は、威勢がよく声の大きなパン屋のガルルについて焦点を当てていきます! ...

ギルバートの真実

ギルバートは図書館「ライブラリ ジュテーム」の経営者です。最初は長い髪型から女性と見間違えますが、男性のようです。またギルバートは図書館という職業と中性的な風貌という特徴があり、考察するときは図書館の「本」という要素から導いていく形になります。

ムラサキの本『名前』

自宅にあるギャラリーには本がいくつかありますが、そのなかに「名前」と題されたムラサキ色の本があります。

ムラサキの本『名前』の内容:

前の名前を、忘れてしまった。
いや、忘れた、というのは少し違う気がする。
むしろ、今の私の名前こそが、
本来の私の名前なのだろう。
私は、全ての記憶と共に、私を取り戻したのだから。
名前だけではなく、姿形さえも、
以前とは大きく異なっている気がする。
けれど、それを指摘する者は
誰ひとりとしていない。
しかし私は、全て思い出したことを
後悔してはいない。
私という存在、膨大な本の記憶、
そして愛する者達との思い出……
私はそれを、取り戻したのだから。

この内容で気になるのは「膨大な本の記憶」という記述です。単なる本の記憶でなく「膨大」であるというのならかなりの読書家であるということでしょう。ミノニヨクシティの住人のなかでは、これに当てはまるのはやはりギルバートになるでしょう。

この本からは、この本の主が自覚前後のことについてどう考えているかがわかります。
「前の名前」とは、生前の名前でしょうか、それとも自覚前の名前のことでしょうか。ピギュラやカラコロの例を見ると、むしろ自覚後は生前の名前に戻ることから、おそらく自覚前の「人ではない姿」だったときの名前だったと思われます。

おそらく自覚前と自覚後で名前や姿に変貌をきたしたことを感じ、その変貌自体を「指摘」する者がいないことにいくらか戸惑っているのでしょう。これは自覚した人がすべて感じることかもしれませんし、すべてではないのかもしれません。

「クリームパン」の幻

「クリームパン」を食べると、病室の幻を見ることになります。

←「クリームパン」の詳細

この幻では、ベッドの上の開かれた本(日記?)とその左側、パーティションで隠された裏で文章を読むことができます。それぞれの内容を確認していきましょう。

ベッドの日記の内容:

私の身体は、不治の病に侵されている。
残された時間はあまりにも少ないが、
私は、悲しみに心乱されることなく、
この世を去っていきたいと願う。
心残りなのは、敬愛する友人達と、愛する家族のことだ
どうか、私が亡きあとも、彼らに果てることない
愛と幸せが、平等におとずれますように。
彼らが、病の床の私を愛してくれたように、
私もまた、彼らを愛し、溢れんばかりの感謝を
花束のように抱えながら、静々と棺に入ろう。

この日記からわかることは、この幻の主は「不治の病」に侵されていて、たとえ苦悶があったにしても殺人や犯罪の暗い臭いがないことです。隠された文章についても確認しましょう。

パーティションで隠された文章の内容:

死後の世界とは、どういう物だろう?
最近やけに、そのことについて考える。
私が今まで読んできた本の知識も、
大切な人々との思い出も、
死んでしまったら、消えてしまうのだろうか?
本当は、死ぬのが怖い。
死にたくない…
…だが、私は泣き喚いてはいけないのだ。
友人や家族のため、私が最期にできることは、
痛みや恐怖に耐え、「ありがとう」と
微笑みながら死んでいくこと。
それしかないのだから。

この文章からは、死の恐怖に怯えつつ、残される家族や友人がそれを察することのないよう気丈に振る舞う幻の主の心情が読みとれます。

これはこれで興味深い内容なのですが、考察という上では特に大きな情報はありません。
単なる病死であれば、特に読み解く必要がないからです。死因についての詳細が隠されているというより、心理描写としての幻と見るべきかもしれません。

はないちもんめ<幻との符合>

トゥルーエンドクリア後の「はないちもんめ」ではギルバートを選ぶことができます。「はないちもんめ」で選択できる人物は自覚している傾向が強いことから、やはりギルバートも自覚していると推測されます。

ギルバートを選び図書館「ジュテーム」に行くと、新しいドアが見えるようになっています。

ドアの場所は右側のほうではなく、本棚と本棚の間の真ん中のあたりに新しい本棚に見える扉が追加されています。右側のドアは「ハッカ飴」を食べたときに「忘れじの三日月」へ繋がるドアですので、無関係です。この本棚型のドアは見落としやすいので気をつけましょう。

ギルバートの自室はレンガ調で暖炉もある暖かそうなところとなっています。大きく考察を進展させるような情報はありませんが、細かく気になるところがいくつもあります。順に見ていきましょう。

まずはベッドの上の本です。これを調べると、メッセージは表示されませんが「死後の世界について」という本だとわかります。これは「クリームパン」の幻での隠された文章にあった「死後の世界とは、どういう物だろう?」という記述と繋がります。言語的な情報はこれだけのようです。

次に、左側の下に見えるデスクでは同じく開かれた本が見えます。しかし調べたところで、「読書用のちいさなデスク。」としか表示されません。そのデスクの上側には、花瓶に花が活けられています。

中央上側には、ジュテームの内装にあるように窓外の風景に見える絵画がかけられています。そしてベッドの上側には、薬瓶のようなものが並べられたラックがあります。

左上のドアに入ると、ナンジノユの浴室があります。
浴室の右側にはパーティションがあり、その上側の壁には時計がかけられています。

ここまでの説明のしかたでわかった方もいらっしゃるとは思いますが、こうした一部の内装が「クリームパン」の幻と符合するのです。あらためて幻の病室を見返してみましょう。

パーティションやベッドはある程度わかりやすいものの、私も細かく見返してみて花瓶や時計などに気づきました。ベッドや薬瓶のラックに至っては幻とほとんど違いがないくらい一緒になっていることがわかりました。

左下のラックはギルバートの自宅と配置が合致しないものの、(幻のなかで)ラック上にある3段重なった本、後ろから見たライトとおぼしき物体は、ギルバートの自室でも同様にラックの上に置かれています。

これらの内装は、「クリームパン」の幻とはないちもんめでの「ギルバートの自宅」と細かく符合するところがいくつも見受けられます。このことから「クリームパン」の幻はギルバートのものと考えて差し支えないでしょう(細かい符合について、記事の最後にまとめた画像を掲載しています)。

窓の風景画

そしてギルバートの自室の壁にかかった窓の風景画は、ある程度の人が図書館「ジュテーム」の壁にかけられていたものと合致すると理解するでしょう。私もそう考えていましたが、細かく見ていくとジュテームの風景とは厳密には異なるという事実に気づきます。

なぜか異なる風景画

ジュテームの壁にかかっている風景画と、ギルバートの自室の壁にかかっている風景画を、並べて見比べてみると、少し異なるのがわかるでしょう。まず色が違うのに気づきます。ジュテームでは青空、ギルバートの自室では夕焼けとなっています。

またこの風景画は窓の間仕切りによって4分割されていて、右下のマスではジュテームの青空のほうは雲がないのに対して、ギルバートの自室の夕焼けでは小さな雲が描かれています。

さらに右上の雲についても、ジュテームの青空のほうよりギルバート自室の夕焼けのほうが少し大きくなっているのがわかるでしょう(雲の左上のドットが、ギルバートの自室の夕焼けのほうが少し伸びています)。

このように細かく見比べてみると、異なる風景画であるということがわかります。そして「クリームパン」の幻でかかっていた風景画は、幻の演出としてモノクロ調になっているので色が薄く感じられるものの、4分割のうち右下には雲があり、右上の雲も大きめであることが理解できます。

このことから厳密には「幻の絵=ジュテームの絵」ではなく「幻の絵=ギルバート自室の絵」というほうが正確です。

この微妙な風景画の違いは、実質的には考察に大きな影響は与えません。なぜならギルバートの自室の絵であってもジュテームの絵であったとしても、結局は「幻の風景画がこれらと似ているから、ギルバートの幻である」という説を補強するにすぎないからです。その補強の度合いが、ギルバートの自室の絵だったらさらに強くなるというわけでもありません。

窓の絵は「心の窓」?

しかし青空の風景画のあったところに、はないちもんめでのギルバートの自室のドアが登場することを考えると、青空の風景画は「他人から見たギルバート」の印象を表していて、奥にある自室の夕焼けの風景画は「それより少し暗いギルバートの本心」と見なすこともできます。

つまりこの窓の絵を、ギルバートの心の様子を表す窓だと見なす考えです。これは幻のなかの文章で、本心では怖れていながらも周囲を不安にさせないため気丈に振る舞う「本音と建前」の表れとも考えられます(考えすぎかもしれませんが)。

そう考えてみると、「クリームパン」の幻の風景画も夕焼けだったということは、幻のなかの恐怖に怯える心境と一致します。しかし実際のところはどうだかわからないのは、他の考察と同様です。こればかりはしかたありません。

まとめ

ギルバートの場合、これまでとは少し異なり細かな状況の符合がたくさんありました。
念のため、まとめた画像を掲載しておきます。(クリックすると画像を大きく表示します)

ギルバートは生前、死の間際に不安を抱えていましたが、特に陰謀なども見受けられない病死と考えられます。ミノニヨクシティの住人のなかでは穏やかな死に方だといえるのではないでしょうか。ガルルのように犬死にというわけでもありません。

幻の日記では家族がいることがほのめかされていましたが、ミノニヨクシティでケイティーにお誘いをかけているところを見ると、ギルバートは生前の家族のことは死別したと割り切っているのでしょうか。生前愛はする人がいても、死後の世界が永遠に近く、再会できる見込みも薄いのであれば、しかたないのかもしれません。

名前の由来

考察とは異なるのですが、ギルバートと図書館の名前に気になるところがあったので、補足として最後につけくわえておきます。

ギルバートの名前

ギャラリーによると、ギルバートのフルネームは「ギルバート・ラング」です。
ギルバートという名に特筆すべきことはありませんが、気になるのは「ラング」のほうです。「Lang」と表記すると一般的な姓です。しかし「Langue」と表記すると特別な言語学的意味をもつ「言語」を指します。

そしてこれは個人的な先入観かもしれませんが、「Lung」と表記すると「肺」になります。
昔の文豪の死因としてよく知られる肺病「肺結核」を、私は思い起こします。森鴎外や石川啄木、梶井基次郎など著名な文豪が多く肺結核で亡くなっています。

肺結核は肺に菌が入って発生する病気で、咳のしぶきなどを吸うことで飛沫感染するといわれています。また咳の際に喀血(かっけつ)として血を吐く病気としても知られています。
「クリームパン」の幻で所々に血のような跡があったのは、喀血のせいかもしれません。

図書館の名前

また図書館の「ジュテーム」は、フランス語の「Je t’aime」から来ています。「Je(私)」は英語でいうところの「I」、「t’」は「te(あなた)」がエリジオンで短くなった形で英語の「you」、「aime」は動詞「aimer(愛する)」の変形で英語では「love」、つまり「I love you(愛しています)」の意味です。

次のエントリ

次回のエントリでは、明るいオネェ系のジャミガについて考察していきます。

タイトルとURLをコピーしました