主人だけじゃなく主人公も特殊な「私の主人はダイヤモンド石頭」

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設定や展開がかなり突飛な日本製のビジュアルノベル「私の主人はダイヤモンド石頭」の紹介記事です。

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私の主人はダイヤモンド石頭だ。突然世界一周をすると公言した彼は、なにもかも投げ捨てて本当に世界1周に行ってしまった。心配していた周囲をよそに、サバイバル術を学んできたと笑った彼は……頭がダイヤモンドになっていた。さて、そんなとんでも人間になった主人だが、そのメンタルは頭以上に強靭(きょうじん)だった。彼は自分のタイアモ...
タイトル私の主人はダイヤモンド石頭
開発LOKI(Twitter
オススメ度S<オススメ>:★★★(週間でのオススメ)
リリース日2020/03/29
価格フリー
次元2D(2次元)
ジャンルビジュアルノベル
特徴ギャグゲー/恋愛/犬/無機物/殺人/雰囲気/シングル/マルチエンド/突飛
視点
グラフィックデフォルメ2D
操作方法マウスorキーボード
言語日本語
インストール不要
ファイル容量80.0MB<アーカイブ> / 129MB<解凍後>(Version 1.01)

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ツイートより概要を読みたい方は、こちらで飛ばせます。

補足

概要

「私の主人はダイヤモンド石頭」は、日本製のビジュアルノベルです。タイトルが突飛ですが、キャラの設定や展開も突飛な作品です。

本作の特徴は、「あらすじを作者が作り、選択肢の後のルートを作者・兄・弟で分担する」という形で制作されている点です。そのため3つあるルート・エンディングがどれも内容が被ることなく突飛なギャグゲーとして成立しています。

この作り方が有効であるかは賛否両論あって然るべきですが、突飛でまったく内容が異なるものにし、また作風すらも変えてしまうという点をメリットだと捉えられるなら、かなり有効だといえるでしょう。私はこの手法で生まれた本作の「歪み」が、「かまいたちの夜」シリーズの各ルートのテイストの違いに似たものに感じられたので、立派な手段だと判断します。

そもそも本作をプレイしようとする人は、タイトルの突飛さに興味を抱く人でしょう。そうした人にとっては、個人が考えた生半可な「みんなこれを突飛だと感じるだろう」というあやふやな推測より、たしかに実際に別の人物が各ルートを担当するという手法でしょう。

しかも合作として赤の他人に頼るより、血縁者・親族を頼るというのもコストは低くなるでしょう。場合によっては他人がグループを作ってもゲームが完成するとは限らないので、完成に至る確率も上げられるかもしれません。

叙述トリック

また本作はレギュレーションルールとして、「誰かを殺す」「ハッピーエンド」が条件としても定められています。これがいわゆるお題として適切かどうか私は問いません。もし問うのであればストーリー作成に一家言ある方に任せます。

私はその点より、「主人公が定められていない」という点に注目したいと思います。本作ではルートごとに主人公が変わり、そのため展開もまったく異なるものとなっています。これが実現できているのは、選択肢に至るまでの前半部分で「主人公について細かく記述しない」という手法がとられています。

ミステリ小説ではときおりこうした手法がとられることがあり、全般的にそうした技術を「叙述トリック」と呼びます。通常、主人公に関する叙述トリックは「主人公の情報を小出しにすることで、最後に主人公の正体を明かすことで驚かせる」ということができます。端的にいうと、殺人事件の犯人を推理する小説で主人公が犯人なのに読者を騙すためにそれを明かさない、というタイプの話が作れます。

本作の場合は、選択肢の後でルートが確定すると主人公が誰かすぐに明かされます。そのためミステリ小説のように「最後に驚かすため」ではなく、「各ルートの展開を広げやすくするため」にそうしたのだとわかります。ここではネタバレしないように、どういった設定なのかを明かさないようにしておきます(個人的に上の選択肢のルートが好きです。真ん中のルートの後に下のルートを見たので、下ルートの犯人の豹変具合も楽しめました)。

そのようにして見ると、タイトルにもある主人のダイヤ頭という設定が、最初ほど強いインパクトを残していないことに気づきます。いわば主人のダイヤ頭という設定はその突飛さをエサとしてプレイヤーを引く役割、そして物語の展開に色を添える役割を担う程度で、本作の醍醐味はむしろ各ルートの違いやその幅の大きさを楽しむことにある、とすらいえます。

個人的には意外なほど楽しめた良作だと思います。

オススメ度

「私の主人はダイヤモンド石頭」のオススメ度は、Sランクです。「」のオススメ度はSランクです。Sランクは★が3つ(★★★)で、毎週のまとめ記事にて「オススメ」としてピックアップできるくらいのオススメ度を示します。

本作がSランクなのは、その特殊な制作方法からくる各ルートの展開の幅広さが理由です。風呂敷を広げるだけなら誰でもできますが、ギャグゲーとしてしっかりまとめあげているところも好感がもてるところです。

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