【フリゲ】このゲームは興味深い? YES ぜんぜん怖くない? NO 「殺人鬼の街」【ADV】

A:GOOD(★★)

このゲームに一言キャッチフレーズをつけるとしたら?

残虐なウミガメのスープ
殺人鬼の街:無料ゲーム配信中! [ふりーむ!]
「殺人鬼の街」:「YES」

概要

殺人鬼の街は、日本製の論理パズルゲームです。「ウミガメのスープ」と呼ばれる論理パズルに近い内容となっています。

開発者

「殺人鬼の街」の開発者は「べ」氏です。ひらがな一文字だけのお名前ですのでややわかりづらいのですが、このお名前で活動されていらっしゃるようです。Twitterでも活動されているようです。

本作「殺人鬼の街」の他にも、「ANSWER」や「キョウフエンシュツタントウイン」といったゲームを公開されています。

論理パズル

「殺人鬼の街」は、殺人をテーマとしたサスペンス系のストーリーで、「YES/NO」で答えを推理していく水平思考パズルに類する論理パズルのゲームです。ゲームプレイとしては選択肢を選ぶ論理パズルを繰り返し解いていくことになり、グラフィックもほとんど変化しないというとてもシンプルなゲームです。水平思考パズルとしては「ウミガメのスープ」が有名です。

ウミガメのスープとは、『ある男がレストランで「ウミガメのスープ」を食べると、シェフを呼んで本当にウミガメのスープなのか確認した、そしてそれが本当にウミガメのスープなのだと理解すると、男は店を後にして自殺してしまう、男が自殺したその理由はなにか?』といった不可解な動機を解いていくパズルです。
この問いの答えは、男はかつて海で遭難して、仲間が死んでいくなかでウミガメのスープを作って飲ませてもらった経験があり、レストランでスープを食べたところ味が違うことに気づき、当時食べたのはウミガメではなく人肉だったと悟り、自殺をしたというものです。

「殺人鬼の街」ではさらに猟奇的なシチュエーションのクイズが用意されています。クイズとしては文章が基本のゲームではありますが、猟奇的な内容であるため人によっては気分がよくないものかもしれません。

世界観

非常に独特なゲームで、主人公が誰でありストーリーがどんなものかも語られず、ゲームを始めるとなにもわからないまま論理パズルに参加させられます。最初は左上の「資料」を選択する他なく、これを選択することで最初のクイズが提示されます。クイズはいくつか用意されていますが、いずれも人死にが発生するストーリーとなり、その殺人・自殺の原因を探る論理パズルとなっています。

最終的にそのクイズひとつひとつが最後のクイズのピースのひとつとして繋がっていき、論理パズルとしての綿密さに感心することになるでしょう。水平思考パズルとして有名な「ウミガメのスープ」にも見られる要素ですが、基本的に答えがわからない状態で文章を読んだときの「突飛さ」を根底としているため、全体的に発案者のアイディアの論理性に頼った非現実的なストーリーとなっています。

そのためゲームを最後までクリアしても、「現実にそういうことがありえるかもしれない」と感じるより、非常に突飛な設定のマンガや映画を見た後のような、不思議な「地に足がついていない」印象を感じることになるかもしれません。

グラフィック&音楽

グラフィックが非常に簡素なゲームで、「ふりーむ! – Freem!」の個別ページに掲載されているサムネイルにあるように、イスに座った少女のままほとんど映像は変化しません。それ以外には、クイズを解いた後にそのストーリーに沿った画像と文章が「再現VTR」のように表示されますが、いずれもシルエットのみで表情などが見えるものではないシンプルなものです。

私は「かまいたちの夜」などでシルエットのみが表示されるグラフィックには慣れていますが、人によっては少し違和感をおぼえることになるかもしれません。しかし全体的に調和しているため、次第に慣れていくことができるでしょう。

音楽は、ピアノを基本とした楽曲が多く使用されており、グラフィックと同様に調和しています。READMEなどに掲載されているURLを確認すると、いずれも「DOVA-SYNDROME」というフリー音源サイトからの借用のようです。オリジナル楽曲ではありませんが、雰囲気が合う楽曲がチョイスされているためか、ゲーム全体がキレイにまとまっており、没入度が高いといえるでしょう。

操作方法

操作はキーボードとマウスの両方で行えます。選択肢をキーボードで選ぶことができますが、メニュー画面など一部マウスでしか選択できない要素があるようです。どちらか一方だけでプレイしたい場合は、キーボードではなくマウスで遊ぶほうが切り替える必要がないのでプレイしやすいかもしれません。

チュートリアルがなく、なにもわからない状態でゲームに放り込まれることになるため、最初はかなり混乱することになるかもしれません。ゲームの操作方法どころか、ゲームのシステムや目的すら説明されないので、「親切なゲームか」という観点ではマイナスに傾いた印象を受ける方もいることでしょう。

システム

「殺人鬼の街」のシステムは、フリーゲームだけでなく「ゲーム」と呼ばれうるもの全体から見ても特殊と判断することができます。その理由は、やはりゲームのシステムどころか操作方法、ゲームの目的すら明かされないという点にあります。チュートリアルや操作が説明されないくらいなら他のゲームでもないことはないのですが、たとえば3Dのゲームであれば「自分が誰かわからない」「どこにいるのかわからない」くらいでしょう。本作ではそもそも「自分がいるかもわからない」「どこかに存在するのかすらわからない」という次元なのです。

なぜそこまで不明なのかというと、たとえばパズルゲームのように種類によっては「主人公」という概念すらないことがあるので、本作のようなゲームではまず「このゲームには主人公がいるのか?」という段階の疑問を解消する必要があります。そしてしばらくは「とりあえず主人公はいないか、プレイヤーである自分が主人公であると仮定したままプレイしよう」というふうに続けることになります。

そうした疑問をたとえ仮にであっても保留・解消した上で初めて本作の「ゲームのシステム」がどんなものかを判断することができるようになります。

ゲーム性

それでは「殺人鬼の街」がどんなゲーム性のある作品なのか、確認しましょう。
ゲームとしての根本的なジャンルは「論理パズル」ということでした。そのためクイズとして出題されていくパズルを解いていくのが、基本的な遊び方です。

なぜその人は犯罪をおかしたのかというクイズを解くため、いくつかの「設問」が表示される。

まずはクイズごとに複数の「設問」が表示されます。上の画像は最初のクイズであり、ここでの設問は「父を殺し」や「動物を殺し」などの文をさします。システムは説明されないため、この「設問」といった用語は私が勝手に便宜的につけているだけのものです。

「父を殺し」などの設問を選ぶと、メニューが表示される。

その設問をクリックするなどして選択すると、「考える」「ヒント」といったメニューが表示されます。「ヒント」でその設問に関する情報を1つ知ることができ、「考える」でいくつか選択肢が表示されるので、そのなかから正解と思われるものを選んでいくことになります。最後まで選択すると「これで回答する」「やめる」が表示され、その選択肢で回答するかやっぱりやめるかを選ぶことができます。

さらに「考える」を選ぶと、動機を探るための選択肢が表示されていく。

このとき画面下側に「判定回数」と表示されているのがわかるでしょう。これはその設問ごとに設定されている「何回までミスができるか」という許容範囲を示しており、この「父を殺し」では6回までミスができることを意味します(5/6では1回ミスしているので残り5回ということです)。

判定回数は設問ごとに異なり、「1/1」のものや「10/10」のものなどもあります。こうして既定の許容範囲のなかで用意された設問をすべてクリアすることで、そのクイズを1つクリアしたことになります。
これが基本的な「殺人鬼の街」の遊び方です。

上の画像のクイズでは「男は 父を殺し 動物を殺し 人々を殺し 母を殺し 自分を殺した」と表示されています。これは結果がすでに提示されているので、男がなぜその殺人をおかすこととなったのかという動機を探っていくのが、本作の主なテーマです。そのためクイズの難易度は「猟奇的」であったり「非常識的」であったり、想像がつかないもののほうが高くなる傾向にあります。ミステリやサスペンスなど推理するのが好きな方であれば、楽しんでプレイすることができるでしょう。

所要時間

「ふりーむ!- Freem!」の個別ページでは、以下のような説明文があります。

プレイ時間:約30分(攻略を知った上でのプレイ時間)
※初見は倍近くかかると思います

クイズの1問1問はそれなりの難易度があり推測するにも限界があるのですが、判定回数の範疇内であれば正解を探すのはさほど難しくありません。そのためシステムさえ理解してしまえば、攻略までに数時間かかってしまうようなことはあまりないでしょう。

本作にはシークレット要素が1つだけあるため、それを閲覧するためには特定の方法でプレイする必要があります。しかしそれ以外には特別な要素がないため、基本的に2周以上プレイする意義が本作にはありません。
また攻略を知った上で30分かかると書かれていますが、ダウンロードしたアーカイブを解凍すると攻略情報が記された「殺人鬼の街【攻略】.txt」というファイルが用意されていますので、それさえ見てしまえばクリアには10分もかからないでしょう。

難易度

「殺人鬼の街」の難易度について考えるとき、まずは論理パズルとしての解きにくさが焦点となります。一般的なクイズと異なり、犯罪の動機の特殊性が難易度に直結してくるため、全体的に「一筋縄ではいかない」といった印象を抱くことになるかもしれません。ミスが許されるためやや難易度が下がるとはいえ、そうした要素を視野に入れていると41点(100点中)相応だと判断しました。

ただし本作には前述のように攻略情報が記載されたtxtファイルが同梱されており、わざわざネットで探したりする必要がありません。もしこの要素も視野にいれると、難易度は0点と判断することになるでしょう。
特にシークレット要素を見るため2周めをプレイするときには、非常にありがたい情報になります。

恐怖度

「ふりーむ!- Freem!」の個別ページでは、以下のような説明文があります。

※本ゲームはフィクションです※
※暴力・流血表現が含まれています※

ちなみに本作「殺人鬼の街」は、「ふりーむ!- Freem!」でのジャンルは「その他ゲーム」となっています。公式ではホラーゲームと銘打たれていないため、この紹介でもホラーゲームとは明記しないようにしています。
実際にプレイしてみたところ猟奇的な表現があり、説明文にあるように「暴力・流血表現」が文章で描かれ、サスペンスやスプラッター要素があるとは感じたものの、ホラーであるとは私も感じませんでした。

そのためここでの「恐怖度」というのも、より厳密には「目を覆いたくなる度合い」や「猟奇度」というふうに設定すべきかもしれません。いずれにせよ「こんなことが自分の身にふりかかったら怖い」や単純に「驚く」といった度合いではなく、「どうしてこんなことが発生するんだろう」「よくこんな動機で犯罪が発生するもんだ」というような気持ち悪さに繋がります(もちろんフィクションだと理解した上での話ですが)。

その気持ち悪さを数値で表すと、20点(100点中)くらいになることでしょう。私はある程度そうしたものに慣れているため、もっと気持ち悪いと感じる人はいるでしょうし、逆にこんなのなんともないと感じる人もいるはずでしょう。いずれにせよ文字を主体として表現され、グラフィックで表現されるにしてもシルエットだけのマイルドなものですので、実際に「目を覆う」ようなことはほとんどないでしょう。

ゲームの情報

タイトル殺人鬼の街
開発
オススメ度A<GOOD>:★★
リリース日 2019/07/16
価格フリー
次元2D(2次元)
ジャンル論理パズル
特徴読み物/サスペンス/論理パズル/ウミガメのスープ/猟奇的/シングル
視点斜め見下ろし
グラフィックアニメ調2D
操作方法マウス&キーボード
言語日本語
インストール不要
ファイル容量約146MB(アーカイブ)/約242MB(解凍後)

次のエントリ

次回のエントリでは、この「殺人鬼の街」のオススメとイマイチをなるべく客観的にまとめていきます。

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