こんにちは、Caffeineです。
「ミミクリーマン」の楽しいところなど、実際にプレイしてみるとどう感じるのかについて述べていきます!
このエントリは、2019/5/14に投稿したエントリを読みやすい長さに分割し、それに合わせてリライトした記事です。
このゲームを食べ物に譬えると?
チェーン店独自メニューのおいしいサンドイッチ
どんな人にオススメ?
1~2時間くらい暇をつぶしたい人。
短くても完成度の高いゲームを遊びたい人。
進 – Advanced
「ミミクリーマン」について、少し踏み込んだ内容について見ていきましょう。
ジャンルはRPG? パズル?
まずはジャンルについて、少し深く考えてみましょう。
このミミクリーマンのDLページや説明書.txtファイルを見るに、作者の方は大々的にジャンルを決定してはいないようです。DLページにてカテゴリーが「#RPGゲーム」とされていることぐらいでしょうか。
実際にこのミミクリーマンをプレイしてみて、私はこのゲームはRPGというジャンルではないと感じました。レベル上げの概念がなく、マップ移動も背景が変わるだけで特に移動のアニメーションなどがあるということもなく、戦うというのも体力や攻撃力といったステータスの概念すらありません。むしろこのミミクリーマンのゲームシステムは、「どのアイテムを設置してどの敵を倒すか」という論理性に重点が置かれています。これは「パズル」と見なすべきゲームシステムではないでしょうか?
このような判断から、DLページでは「RPG」と設定されていたものの、この紹介エントリでは(前回のエントリのように)「パズル」であると明記させていただいています。
難易度:フローチャートのおかげで楽
次は難易度についても考えてみましょう。
このミミクリーマンの難易度は、まさに「どのアイテムでどの敵を倒すか」という点にあります。登場する敵キャラクタを倒すとき、敵キャラクタによって復活するかどうかという違いはあるものの、復活した同じ敵キャラクタが「別のアイテムでないと倒せなくなる」といった論理的な変化はありません。そのため一度倒すことができた敵は、どのようにすれば倒せるのか完全に把握できることになります。
またこうしたゲームシステムであると、ボリュームが増えて「倒せる敵が増える」ほど複雑になっていきます。しかし全体的なボリュームはDLページに明記されています。
クリアまでのプレイ時間目安は1時間~ほど。
– ミミクリーマンDLページの文言
そのため手に負えないほど敵が多く登場するということもありません。
またたとえ一度倒したはずの敵をどのアイテムで倒すのか忘れてしまった場合でも、分岐フローチャートが実装されているため、いつでもすぐに確認することができます。
このように「一度倒した敵で苦労させられることはない」「敵の種類は手に負えないほど多くない」「フローチャートがあるので倒し方の参照が楽」という3点から、このミミクリーマンというゲームはさほど難しくないといえます。
あえて明言するならば、これはパズル要素が難しくないということではなく、ゲームシステムの確実さ・ゲームボリュームの最適化・UIの最適化がしっかりとなされているという証拠ではないでしょうか。
前回のエントリでこの「ミミクリーマン」の難易度は38点(100点中)だと述べました。これはパズルとして「どれだけ考える必要があるか」や「パズルを解くためにどれくらいアクションを起こさないといけないか」という視点だけではなく、ゲーム全体のユーザビリティやプレイアビリティといった「どれだけ快適にプレイできるか」といった視点も含めています。
単にパズルシステムだけを考えるなら、マップを移動しては敵を繰り返し倒し、別の敵を探してはまたマップを移動し、を繰り返す「作業感」が増す可能性があり、難易度が高くなりわずらわしくなっていた可能性があります(その場合40後半に達していたかもしれません)。
しかしその点をプレイしやすさでカバーしているため、特にフローチャートのありがたさは格別となっています。そのためゲームとしての「完成度」も考慮にいれて、いくらかプレイしやすくなっているため38点と設定しました。
ゲームボリュームは1時間超、少しかかったとしても2時間ほどでクリアできる程度と、フリーゲームとしてもやや短めとなっています。
しかし実際にプレイしてみると、とても「丁度いい」長さでプレイできます。短すぎてもっと遊びたかったと落胆することなく、長すぎて疲弊することもなく、ほどよく満足した状態で「いいフリーゲームを楽しんだ」と感じられるボリュームなのではないでしょうか。
小さくまとまってはいるが、
プレイ後はわりとスッキリして
ちゃんと遊んだ感じがあるよな。
パズルとして
しっかりボリュームがあって
しっかり解くことになるもんね。
難易度が高すぎないというのも
フリーゲームとしてプレイしやすくて
ありがたいですよね。
ユーザビリティ
しかしユーザビリティやプレイアビリティにおいて、フローチャートがあることを褒めそやすのならば、「ロードがない不便さ」についても言及しておかなければいけないでしょう。RPGツクール製のゲームをプレイしたことがある人ならば、「F12でリセットすればいいじゃん」と思うかもしれません。実際に私もプレイしながらそう思ってはいました。つまり「ロードがなくても特に問題はないかもしれない」ということです。
しかしF12のリセット機能は、多くの人が知っているものではありますが、「知らなければプレイしてはいけない」というほどのものではありません。
銭湯や温泉などの大衆浴場で、1ヶ月まったく体を洗ってこなかった人が湯船にいきなり飛び込むのは許容されません。それはお湯を汚して、他の人や経営している人たちに大きな迷惑をかけるからです。F12のリセット機能は、そのような「いわずもがなの暗黙ルール」とはいいがたく、すべての人が知っていないといけないものではありません。
もちろんフリーゲームのひとつに対して、そこまで要求するものでもないのかもしれません。もっと不便なフリーゲームはいくらでもあります。しかしやはり下を見るのではなく、できるだけ上を向いてよりいいゲームになったほうがいいはずです。
本作で改善しうるわかりやすい要素があるとすれば、それは「ロードがない」という点だといえるでしょう。
そのため、このゲームの「Xキーを押すとメニューが現れロードができるわけでもなく、ただ『利用不能』を示すSEが鳴るだけ」というのは、「楽しませてもらった遊園地から出るときに、マスコットキャラがキレて花壇を蹴っていた」のを見るような「そういうこともあるかもしれないけど……」という気持ちが残ってしまう結果となりました。
極 – Professional
ではさらに踏み込んで、別の視点からこのミミクリーマンについて考えてみましょう。
いつものようにこのミミクリーマンが食べ物・飲み物だったらどんなものになるのか、見ていきましょう。
食べ物に譬えると?
「ミミクリーマン」を食べ物に譬えると「チェーン店独自メニューのおいしいサンドイッチ」のようなものだといえるでしょう。
- チェーン店独自メニューのおいしいサンドイッチ
- 無料(フリー)
- 辛味や酸味を意識せず食べられる。
- 難易度を感じずプレイできる。
- 雑味がない。
- ストレスが少ない。
- 手軽にプレイできる。
- お菓子や軽食。
- ボリュームが多いわけではない。
- ほどよい満足感。
- 派手ではなく地味。
- 宅配チラシを常備して頼んでいいレベル。
- リピートして楽しめる
- データを残してたまにプレイしても楽めそう。
- チェーン店の独自商品。
- プラットフォームがRPGツクール。
- RPGツクールは少し難あり。
- ちょっと食べにくい。
- 操作感:難ありだが許容範囲内。
- 素材は市販品。
- グラも音も自作ではない。
- 食べた後は笑顔。
- プレイ後はスッキリ満足。
まず大前提として、このミミクリーマンが食べ物・飲み物になぞらえるとしても、やはり無料(フリー)であるという点は除外できません。これが有料のものならば、その価格に対して文句も出ることがあるかもしれませんが、フリーであるのですから作者の方に敬意を払わなくてはいけません。
次にこのミミクリーマンの食味を考えると、難易度が高くないため辛味や酸味の強いものではないといえます。そしてストレスを感じずにプレイできるので、雑味もなく「人を選ばない」タイプのゲームであるとも考えられます。
またプレイ時間1時間超でありサクッとプレイできるため、お菓子や軽食のように手軽に食べられるものだと見なせます。
決してボリュームがあるわけではありませんがほどよい満足感があるので、休日の空いた2時間程度を潰すのにはいいかもしれません。
またジャンルはパズルとして認識でき、またボリュームが膨大ではないため、一度クリアしても数か月後にまた楽しむこともできるでしょう。このミミクリーマンはストーリーが大事なのではなく、ゲーム性が大事だからです。
これはチェーン店のチラシが入っていたら、繰り返し頼んでもいいくらいの満足感に繋がります。ゲームのなかには、プレイし終わった後にデータをアンインストールしたり削除したりしておしまい、という作品があります。これは楽しく遊べたゲームであっても、二回めをプレイするようなゲームではないと感じることがあります。つまり「そのゲームが楽しかったかどうか」と「もう一度プレイしてみたいかどうか」は別問題なのです。飲食店でも「おいしかった、でもたぶんもう来ない」というお店はあります。これらは楽しい・美味しいという価値とは別の、「リピート」の問題なのです。
このように見てみると、「また楽しめるだろう」というのは非常にポジティブな観点だといえるでしょう。
しかしやはり日本の、そして世界のフリーゲーム界隈を見ると、「RPGツクール製」ということの意味は考えておかねばならないと思わされます。日本のフリーゲーム界隈ではRPGツクール製や「WOLF RPGエディター(通称ウディタ)」製のゲームが多く、海外ではUnityなどを使用した3Dゲームも多く作られているという違いがあります。
この点で強く意識させられるのが、「RPGツクールやウディタ製のゲームは、どれも見た目が似通る」という点です。ゲームのDLページやサムネイルを見ただけでハッキリわかります。問題なのは、「RPGツクール製だから安心!」ではなく「またRPGツクール製か……」と消極的な視点で見ることが増える点です。これはフリーゲームをプレイすればするほど如実になり、海外の人でもRPGツクール製ゲームをやや敬遠する人はいます。
これはゲームの作者からすると、「プレイ前からプラットフォームで判断され忌避される」という由々しき事態なのです。
これを飲食店になぞらえると、既に広まりきったチェーン店で自分の店舗だけの独自商品を販売するようなものです。自分の店舗だけのオリジナルではあるのですが、お客さんからは「チェーン店の商品」と認識されてしまうのです。それもこのチェーン店は出す商品がどれも似たり寄ったりで、もはや飽きられてきているのです。そのため「手にとりたい」と感じる人が多くなくなってきていることは、やはり痛手です。
操作に関しても、上下左右と決定(Zキー)とSHIFTキーだけで充分だというシンプルな操作性なのですが、RPGツクール製でありながらキャラクタの移動などの操作がなく「アイテムの選択」「マップの選択」などに終始してしまうため、操作ミスを誘発してしまうシステムであるともいえるかもしれません。
これはつまり「剥き身で包装のない『うまい棒』」がボロボロとこぼれて食べにくいようなものです。あまり気にするものではありませんが、人によっては少し気持ちが落ち着かなくなるかもしれません。
またグラフィックもBGM・SEもフリー素材ですので、人によってはこの商品がおいしいと感じたとしても、「この商品がおいしかった」というよりも「素材がおいしかった」と結論づける可能性があります。私はこのドット絵にちょっとしたこだわりを感じてしまいましたが、おそらく別のゲームで使用されていてもそう感じることでしょう。またフリー素材だとわかったときの、ちょっとした落胆もあるかもしれません。
さいごに
少なくとも私はこのゲームをクリアして、総合的に「楽しかった」という感慨が残りました。ゲームのデータは残しますし、気が向いたときにまたプレイすることがあるかもしれません。
そもそも無料のインディゲームですし、決して市販のものと比較して太刀打ちできるものではないのかもしれません。しかしフリーゲームという土俵で戦う作品としては、しっかりとした旨味のあるゲームだったのではないでしょうか。