こんにちは、Caffeineです。
今回も前回に引き続き、「月光妖怪」についての情報を掲載していきます!
進 – Advanced
次にこの「月光妖怪」について、少し踏み込んだ情報を考えていきましょう。
まず改めて確認しておきたいのが、このゲームのプレイ上のシステムです。前回のエントリでは以下のような説明をさせていただきました。
マップに関しては、画面スクロールを行わず1画面で収まる大きさのマップが複数使用され、1人の対象キャラを妨害するのに3~10近くのマップを通過することとなります。これが1つの区切り(ここでは「ステージ」と呼びましょう)となり、開始地点にセーブポイントが設置され、そのステージ内での全マップ通過後には「Result(リザルト:結果)」が経過時間やランクとともに表示されます。
今回も公式ではない「ステージ」という表現を用いますので、ご理解ください。
本編とおまけの難易度差
次に申し上げておきたいのは、この「月光妖怪」ではおまけ要素があり、こちらをクリアするのにのめりこんでしまうと、本編よりずっと難易度が高いためクリアに時間がかかってしまうという点です。
おまけの「仕事編」では、少年が魔女に誘われて商売に加担し、本編と同じマップに加えて追加のマップを遊べるようになっています。これらの追加されたマップもほとんどは本編同様に、Sランクを目指さずにクリアだけを目指すのであれば、多くの方が特に大きな苦労をせずにクリアすることができるでしょう。
しかし仕事編での最後に登場する「精霊王」を驚かせるステージでは、本編・仕事編のそれまでのマップを遥かに凌駕する難易度を攻略することになります。通常ステージではマップ数が多くて9つだったのに対し、この精霊王ステージでは15用意されています。またクリア条件が通常ステージでは「250sec」や「500sec」などであるのに対し、精霊王ステージでは「2500sec」となっています。この設定からも規模の違いが伺い知れます。
しっかりとこの「月光妖怪」というゲームを考察するために、「本編」とおまけである仕事編の「精霊王ステージ」は分けて考えておいたほうがいいでしょう。
プレイ感
ではこの「月光妖怪」は実際にプレイしてみるとどんなものなのか、「プレイ感」についてまとめていきましょう。
なお今回は文章量が多くなってしまったので、次回も同様にプレイ感について述べていきます。
独特なシステムが最大のキモ
最初に感じたおもしろさは、やはり独特なゲームシステムでした。RPGツクールの簡素なマップとキャラクタの動きながら、オブジェクトで音を鳴らすことによって対象キャラを驚かせるシステムというのは、他にはないオリジナリティだといえます。
もちろんオリジナリティとは既存のものを合わせることで作られるという考え方があるように、本作「月光妖怪」のゲームシステムも倉庫番・タワーディフェンスを組み合わせたようなシステムとなっています。しかしその着眼点が素晴らしく、他のゲームでは味わえない体験ができるようになっています。
神秘的な雰囲気もかなりいい
グラフィックや音楽から演出される神秘的な雰囲気も、ホラーゲームとしては親和性があまり高くないながら、フリーゲームとしてとらえると非常に落ち着いて楽しめるものとなっています。いわゆる「雰囲気もの」として捉えてプレイするのも悪くないかもしれません。
少し言及しておきたいのが、劇中で挿入されるイラストの質についてです。少年や少女、魔女といった主要キャラクタには立ち絵ともいえるイラストが挿入されるようになっています。ハッキリいって「上質」とはいえない類のイラストです。
しかし私が言及しておきたいのは、そのイラストの質が高くないということではなく、その高くない質の絵を使用して上質な雰囲気を醸成させていることです。これはゲーム開発のコストなどとも関係してくるでしょう。
フリーゲーム・インディゲームという特性上、どうしても予算や全体的な質で大企業に太刀打ちできません。特にフリーゲームは一般人が制作することも多く、経験の差も影響してくることでしょう。
この「月光妖怪」が行っている「質の高くないグラフィックで雰囲気を醸成する」という手法は見事だといえます。特にこれは誰かに教えられて身につく技術ではなく、絵柄や作風を理解していないと行えないことではないでしょうか。
私はイラストに関して見識があるわけではないので細かくはわかりませんが、絵柄を見る限り線画に色をつけただけのようで「手を抜いている」ようにも見えます。余力を残した上で「どのくらい力量を発揮するのが適切か」という見極めがもしできるのであれば、開発コストを下げることもできるため、大きな強みとなるでしょう。
個人的にこの2点が「月光妖怪」の質を全体的に引き上げている要因だと感じました。
ストーリーの閉ざし方
この「月光妖怪」はストーリーが小刻みに分けられており、テンポよく進むようになっています。そんななかでも他のゲームとやや異なる独特な点が、「ストーリーの終わらせ方」です。
最初のプレイすることとなる少女編では、少女が月の光を見るのを阻止できずに、「少年と少女は亡骸として見つかった」と述べられます。
次にプレイする少年編では、少女が月の光を見るのを阻止して、少年だけが「心」となります。この後、少年は結局自分の体に戻ることはできないまま、少女は待ち合わせ場所に翌日訪れ、亡骸となった少年の隣に座り、「……あれ、寝てるの?」と少女は亡骸に語りかけます。
これは私からすると「放置された死体に話しかける」という充分なホラーなのですが、この後は画面が暗転して次の悪戯編へと進みます。そして悪戯編では少女は登場せず、その次の再会編の冒頭で「あの子がいなくなってから、ちょうど一年か」と少女が独り言をいう場面から描かれます。
つまり少女が少年の亡骸に対してどういう反応をしたのか明らかにならないのです。
もちろんそれはストーリーの展開上、神秘的な雰囲気を壊すほどのホラー展開となるからかもしれません。それが成功しているか失敗しているかを判断するわけではありませんが、この「語られない」というストーリー展開自体がやや特殊なのです。
そもそもこの「月光妖怪」は少年と少女の物語です。その物語において、少年の亡骸を見た少女の反応がどのようなものになるかというのは、少女が少年をどんな存在だと見なしていたかの逆説的な説明となりうるものです。それが描かれないというのは、やはりどこか大事なものが抜け落ちてしまっているような感覚が残ります。
個人的な感慨としては、「理解はできるが納得はできない」というところでしょうか。ひょっとするとここを描いてしまうと、再会編などでの少女の「まるですぐ傍に少年(の心)がいると気づいてるかのような素振り」が嘘くさくなってしまうことも関係してくるのかもしれません。いわば虚構の上に構築しようとしているおとぎ話が、この亡骸に反応する少女というシーンがあると、虚構から現実に引き戻されるために違和感が強くなってしまうのかもしれません。
そういえばこのゲーム、
少年が心になるんだよね。
そうですね。
それがどうかしましたか?
いや、わたしもココロだから、
少年みたく透明になれるかなー、
とか。
俺からしたらもう
透明みたいなもんだ。
女としては透明性高いぞ。
ぐっ……!
ま、まあシロートなんかに
女として見られたら
告白ばっかされて面倒だし
断るのも面倒そうだけどね。
ぬぬっ……!
売り言葉に買い言葉とは
まさにこのことですね……。
がるるるるる……。
Grrrrrrrrrr……。
次のエントリ
次回のエントリでは、今回と同様「プレイ感」についてまとめていきます。
実をいうと私はおまけ要素をプレイしてみて、本編よりおまけのほうが好きかもしれない、と感じました。それくらい本編とおまけは別要素となっています。
その分だけ本編のゲーム性は、個人的におまけほど高くは評価していません。もし本編でストレスを感じた方は、まずはおまけまではクリアすることを優先していくほうがいいかもしれません。