このゲームに一言キャッチフレーズをつけるとしたら?
基本情報
Freemのダウンロードページでは以下のような説明文が掲載されています。
少年は、恐怖で少女を救う……
【ジャンル】”逆”ホラーアドベンチャー
【 必要ランタイム 】 RPGツクールVX Ace RTP【プレイ時間】
少女編 → 10分ほど
少年編 → 20分ほど
悪戯編 → 30分ほど
??編 → 30分ほど仕事編(おまけ) → 1時間ほど
【注意】
・逆ホラーなので、逆に怖くない
・おバカな表現あり
・『倉庫番』と『タワーディフェンス』と『ホラーゲーム』を足して3で割った感じのゲーム
この「月光妖怪」はRPGツクールVX Ace製ですが、PC版だけではなく「ゲームマガジン」のサイト上でブラウザ版をプレイすることもできます。
開発者は日本でいくつものフリーゲームを制作・発表されている「tachi」氏です。他の作品には「Hero and Daughter」、「もしも死ねぇ – Hello? Hell…o? -」、「囚体 – Head Less -」などがあります。
フリーゲームですので無料で遊ぶことができます。
ファイルサイズは解凍前のアーカイブで約54.1MB、解凍後で約398MBです(Ver1.0.7)。
ゲーム概要
次はゲームの概要を確認していきましょう。
ジャンル
この「月光妖怪」は、2DのRPGツクールVX Ace製のゲームで、「”逆”ホラーアドベンチャー」とジャンル分けされています。
透明になったキャラクタを操作して、マップ上に配置された樽や瓶などを破壊して対象のキャラクタを驚かせることが目的となります。
最終目的は別に存在しますが、ゲームシステムは変わらず対象のキャラクタを驚かせることとなります。
非常に独特なシステムで、既存のジャンルの呼称ではくくることのできない斬新なものです。他のゲームでも「怖がられる側」に回ることはありますが、この「月光妖怪」は目的が単に「驚かせる」ことであり、殺傷することではありません。
世界観
この「月光妖怪」は、ややファンタジーな背景のある世界です。この世界のキャラクタが主人公を見ることができなくなる理由が奇跡や魔法めいたものですし、主人公を視認し助言を与える人物として魔女も登場します。
ダウンロードページでは「おバカな表現あり」と説明されており、たしかにギャグ調が強いシーンもありますが、全体的に神秘的な雰囲気をまとっている作品ではないでしょうか。冒頭部分では少し驚くことがあるかもしれませんが、プレイを重ねるほど恐怖感は薄れることになるでしょう。怖すぎる作品が苦手な方や神秘的な雰囲気が好きな方にはオススメできる作風です。
グラフィック&音楽
基本的なグラフィックは通常のRPGツクール製のゲームとさほど変わらず、ドット調のキャラクタとマップで表現されています。ときおり主人公などのメインキャラクタなどが線画で表現されます。決して高画質ではありませんし美麗さをセールスポイントとなる作品ではありませんが、その作風がどこかおとぎ話や絵本の物語のような柔らかな雰囲気を醸し出しています。
音楽はオルゴール曲やピアノ曲が主に使用されており、過度に豪奢ではないながらも落ち着いて神秘的な雰囲気として底支えしてくれています。
操作法
操作も一般的なRPGツクール製のゲームと同様に、キーボードのみで行います。方向キーで移動し、Shiftを押すことでダッシュ、ZやEnterで決定(驚かせるアクション)、XやEscでキャンセルができます。
驚かせる対象のキャラクタがタワーディフェンス系のように常に移動するため、驚かせるためにはその移動に合わせる必要があります。時間制限があるため急ぐ必要があるのですが、破壊するオブジェクトを動かしたり移動が多くなったりするため、RPGツクールのマスごとに移動する仕様上オブジェクトを余計に動かしてしまったり引っかかったりしてしまうことがあるかもしれません。
操作法はまったく違うのですが、操作感が似ているものとして「Orcs Must Die!(オーク死すべし!)」という3Dのタワーディフェンス系TPSゲームがあります。防衛圏内に侵入してくるオークを遠隔射撃やトラップを使用して倒すというゲームです。
本作「月光妖怪」では樽を破壊して音で対象キャラを驚かせたり、瓶を投げることで驚かせたりします。ダウンロードページに掲載されているようにシステムにタワーディフェンスの要素があります。また瓶を投げる際は特殊なカーソルが表示され、主人公を動かさずに「どこに投げるか」を指定して決定キーで瓶を投げます。これは少しFPSなどの射撃システムに似ています。
ゲームシステム
「月光妖怪」のゲームシステムの根幹は、やはり「驚かせる」という観点にあるでしょう。対象キャラを驚かせて妨害するために、樽を破壊したり大きな音を発生させたりします。一般的なタワーディフェンスでは敵が複数登場し、なるべく多く倒して侵入を阻止することが目的となります。しかしこの「月光妖怪」では対象キャラは複数ではなく単独ですし、目的は「時間稼ぎ」であり殺傷ではありません。
マップに関しては、画面スクロールを行わず1画面で収まる大きさのマップが複数使用され、1人の対象キャラを妨害するのに3~10近くのマップを通過することとなります。これが1つの区切り(ここでは「ステージ」と呼びましょう)となり、開始地点にセーブポイントが設置され、そのステージ内での全マップ通過後には「Result(リザルト:結果)」が経過時間やランクとともに表示されます。
失敗したりリセットしたくなったりしたときのためにAキー長押しで「中断」が行え、直前のセーブポイントまで戻ることができます。これはステージごとに行われ、マップごとに行われるものではないため、いくらかやりなおしがきくシステムとなっていますが、頭のなかにある「最適解」をすべてのマップで実行しようとすると手間がかかることになるかもしれません。
またFreemのダウンロードページには以下のように説明があります。
少女編 → 10分ほど
少年編 → 20分ほど
悪戯編 → 30分ほど
??編 → 30分ほど仕事編(おまけ) → 1時間ほど
このようにストーリーが短く小分けされているため、短くプレイすることも可能で、手軽にプレイしやすいゲームとなっています。
所要時間
クリアにかかるおおまかな所要時間は、1~2時間ほどです。上記のようにストーリーが「少女編」「少年編」「悪戯編」「??編」と分けられており、それぞれをクリアすることでストーリーを見ることができます。タワーディフェンス系が苦手な方は少し時間がかかるかもしれませんが、時間を稼いでクリア条件を満たすのはさほど高難度ではないため、セーブポイントや中断を利用して繰り返せばクリアは難しくありません。
またおまけ要素として1時間ほどの「仕事編」があるため、これを攻略することも考慮すると完全クリアは2時間以上になると考えられます。
また今回はストーリーをすべてクリアすることを完全クリアと見なして計算していますが、ステージをクリアすると表示されるリザルトでランクが発表されるため、全ステージでSランクを取得することを目的とすると、もっと時間がかかることが容易に想定されます。
難易度
本作「月光妖怪」の難易度は、さほど高くありません。パズルのようにコンボを繋げると効率がよく、アクションのように素早く動くことで効果的にクリアしやすくなります。慣れれば1ステージのクリア条件を最初の2~3マップで満たすことができるかもしれません。
ただやはり終盤では対象キャラの移動速度が上がったり、オブジェクトの配置をしっかり理解しておかないとまったく驚かせることができず素通りされる結果になりかねないマップがあったりするため、一筋縄ではいかないところもあります。
全体的にはクリアは難しくありませんが、やはり苦手な方にとってはなかなか進みにくいシステムといえるかもしれません。そのため全体的な難易度は中の下といったあたりの43点(100点中)としました。
なおこの「月光妖怪」にはおまけとして「仕事編」があり追加のマップを遊ぶことができるのですが、この仕事編の最終ステージが非常に高難易度となっています。今回は点数の設定を43点としましたが、それはこの最終ステージを度外視した場合の数字です。もしこの最終ステージを攻略することも視野に入れると、60~70点などの高めの値になるかもしれません。
恐怖度
この「月光妖怪」はほとんど怖くありません。そもそも「驚かせる側にまわる」というシステム上プレイヤーが驚くことはほとんどありませんし、グラフィックや音楽から感じられる「柔らかさ」や神秘的な雰囲気があるため、ほとんど恐怖を感じることはありません。
ホラーゲームを求めてプレイするときは、単にジャンル分けにすぎないのだと割り切っておいたほうがいいかもしれません。
ただし物語の序盤ではシステムがどんなものかわからず「どんなホラー演出があるんだろう」と不安になることがあり、また最初は驚かされる側の少女を操作することになるため、少し驚かされる場面があるかもしれません。この序盤を含めて全体的な怖さを考えると、下の中といったあたりの23点(100点中)と設定しました。
ゲームの情報
タイトル | 月光妖怪 |
開発 | tachi |
オススメ度 | S<オススメ>:★★★ |
リリース日 | 2014/03/01 |
価格 | フリー |
次元 | 2D(2次元) |
ジャンル | 逆ホラーADV |
特徴 | タワーディフェンス風/倉庫番風/パズル/時間制限/シングル |
視点 | 斜め見下ろし |
グラフィック | アニメ調2D/デフォルメ2D |
操作方法 | キーボード |
言語 | 日本語 |
インストール | RTP |
ファイル容量 | 約54.1MB(アーカイブ)/約398MB(解凍後) |
次のエントリ
次回のエントリでは本作を実際にプレイしてみた感想「プレイ感」についてまとめていきます。