こんにちは、Caffeineです。
今回も和風RPG「一朶の仇花」のご紹介を進めていきます!
どんな人向け?
短くても完成されたRPGをプレイしたい人
和風で妖怪の登場するストーリーを楽しみたい人
プレイ感
私Caffeineが実際にこの「一朶の仇花」をプレイし、クリアしてみた感想を述べておきます。自分に合ったゲームかどうかを単純に知りたいという方は、飛ばしてしまって構いません。
戦闘がかなり楽
プレイしてみて感じたのは、戦闘がとても楽だということでした。ゲームによっては敵がとても強く(もしくは味方がとても弱く)ゲームオーバーが頻繁に起こるものがあります。そうしたときはレベル上げやアイテム・能力の強化が大切になってきます。
それをゲーム性として楽しめる作品もあるかもしれませんが、難しさと易しさのどちらをイイもの悪いものと判断するかは別として、「戦闘が楽だ」というふうに感じたのは間違いありません。私は心を無にして続ける作業がさほど得意ではありません(Minecraftのブランチマイニングなど)ので、この「一朶の仇花」の戦闘は少し好意的に捉えることができました。
もし本作にもっと厚みのあるゲーム性をもたせるとするなら、「アップグレード」の要素を増やすとよかったのかもしれません。本作では武器のアップグレードがお金で行えるので、それに似たシステムを増やすのです。
ニュアンスとしては、クッキークリッカーなどの「IDLE系」もしくは「UPGRADE系」に近いかもしれません。1回の戦闘を楽にしておいてお金を貯めやすくし、その貯めたお金でいろいろな強化要素を買っていくのです。
もちろん本作には「1時間程度でクリアできる」という短さをセールスポイントにすることもできるので、その点ではゲーム性を厚くするのは競合するかもしれません。しかしもしゲーム性を少し盛るとしたなら、そうした方法も考えられるでしょう。
ストーリーは意外と奥深い
1時間程度という短さではありますが、ストーリーはしっかりと楽しめるものとなっていました。もちろん少し鬱展開があり、苦しみを抱えたストーリーではあるのですが、それを受け入れられるのであれば本作を全体的に楽しむことができるでしょう。
このエントリではネタバレを行わないようにするため、ストーリーについて詳しくは述べませんが(知りたい方はプレイしましょう! DLはこちら)、主人公の墨と彼を使役する依織の過去が描かれていて、そこはしっかりと感じることができました。そして「文書を奪うために屋敷に潜入する」という最初の目的が、ストーリーが進むにつれて変化していくのも興味深く感じつつ楽しめました。
ただこうしたストーリーは、実際にプレイしないとわからないというのがつらいところです。特に本作のようなストーリーだと、なかなか紹介文などで「ここがおもしろいよ!」と語れないので、なかなかセールスポイントとして提示しにくいのです。
たとえば小説では、書き出しがとても大事であり、ここで失敗するとどんなに内容がおもしろくてもあまり売れないという謂れがあります。アニメでは「1話が大事」だとか「3話までで切って見なくなる人が多い」というのとも似ています。導入が大事だということですね。
現在は有料のゲームが溢れていて、しかも無料のフリーゲームですら溢れてしまっているので、ストーリーがおもしろいとしてもそれを喧伝するのはなかなか難しいものです。
直球なショートフリーゲーム
全体的に本作を見てみると、ストーリーの展開としてキャラクタの隠された過去が描かれるという演出はあるものの、「素直で直球」な短いフリーゲームという印象です。フリーゲームのなかには「どんでん返し」や「最初はほのぼの系で次第にホラーに変わる」というようなフェイク系のゲームなどがありますが、本作はそうした騙し討ちはありません。
私の場合は巧く騙してくれるのであれば喜んで騙されますが、人によっては騙されること自体が嫌いな方もいるでしょう。そのように騙されるのが苦手な方は、この「一朶の仇花」を安心して楽しめるかもしれません。
短いゲームなのに
キャラがしっかりしてるって
ほんとすごいよね。
ストーリーに奥深さがあって
楽しめるのもいいところですね。
たまたま入った個人経営のお店で
なにげなく頼んだ定食が
チェーン店に負けないくらいおいしかった、
みたいな印象です。
またわかるような
わからないような譬えを……
「ここがオススメ!」
それでは「一朶の仇花」はどんなところがオススメできるゲームなのでしょうか?
ストーリー重視
本作「一朶の仇花」は、ゲーム性よりストーリーが重視されている作品です。RPGとしてゲーム性も確立されていますが、苦がない程度に抑えられています。
しっかりと謎が隠されている
この「一朶の仇花」には最初は明かされない謎が隠されており、ゲームを進めていくとその謎が明かされていきます。そして潜入する屋敷にも最初は気づかない謎が秘められているので、それを解き明かしていくのも醍醐味といえるでしょう。
ゲーム性として探索要素があり、ちょっとしたパズル要素もあります。しかし公式の攻略情報もありますし、パズル自体が難しくはないので、手軽に謎を解いていくことができます。
重厚なシリアスさもある
物語の序盤ではBGMの気楽な雰囲気もあいまってポップに楽しむことができますが、ゲームを進めていくとだんだんとシリアスな展開になっていきます。ギャグ一辺倒が好きではない方でも楽しむことができるでしょう。
RPGが苦手でも楽しめそう
RPGというのは戦闘やレベル上げに手間がかかり、時間がかかる印象が強く、「昔ほどRPGを遊べなくなった」という方もいくらかいるジャンルです。しかし本作はRPGの戦闘などを含めても全体のボリュームが1時間程度ですので、気軽に遊ぶことができます。
戦闘が楽
本作「一朶の仇花」の戦闘は、とても楽なものになっています。敵がさほど強くなく、1回の戦闘が楽なのでレベル上げもさほど苦にはなりません。お金を貯めれば有用なアイテムも買えるので、ゲームバランスとしてはかなり気楽にRPGを楽しむことができるでしょう。
レベル上げがさほど苦ではない
戦闘は通常攻撃を連打しているだけで勝てます。体力が減ってもアイテムを気軽に買えるので、アイテムで回復をしていれば特に苦はありません。またレベルが上がるとHPもMPも回復するので、1~数戦でレベルが上がる序盤は特に楽です。
戦闘をすればお金を稼げて、それでアイテムを買えますし、武器を強化することもできます。とても基本的なRPGのシステムですが、しっかりと抑えるところは抑えられており、ちゃんと完成させられているといえるでしょう。
「ここはイマイチ……」
では逆にどんなところがイマイチだと判断しうるのでしょうか?
RPGとしての歯ごたえはあまりない
本作は戦闘が楽であるというのがメリットであり、RPGが苦手な人にとってはそれがオススメと認められることを示しました。しかしそれは逆に見ると、RPGが好きでレベル上げがしたい人にとっては、手軽すぎて戦闘をしている感覚に乏しいと感じられるかもしれません。
捉え方によるのですが、RPG要素が軽くされているのを「手軽さ」だと見るか「ゲーム性が薄い」と見るかで、このゲームの評価は変わるかもしれません。あくまでストーリーは「ゲームというメディア」にとって重要ではないからです。
もちろんこれは「ゲームにストーリーは必要ではない」ということではありません。ゲームは表現物であり創作物ですので、ストーリーがあってもおかしくはありません。ゲームを遊ぶときに「ゲーム性があってこそ」と感じるなら、本作はやや評価が低くなる可能性があります。「ちゃんとしたストーリーがあってこそゲーム」と感じるなら、本作の評価は高くなるかもしれません。
短編なので続きが気になる
本作はRPGとしてのゲーム性よりストーリーに重きが置かれています。そのためストーリーを楽しむことが目的であれば、好みに合うかどうかという多少の問題はあるものの、本作全体を楽しむことができるかもしれません。
しかし1時間程度でクリアできる短い作品であり、そのわりにしっかりキャラクタの相関などが練られていたり、キャラクタの背景がしっかりと描かれていたりするため、彼らの今後が気になるところではあるのです。いわばドラえもんでのび太としずかちゃんが結婚することを知らないようなものです。それを知らずにドラえもんを見れば、「のび太は本当にちゃんとした大人になれるんだろうか……?」と先が気になることでしょう。
フリーゲームは無料であるからこそ売り上げが無関係であり、続編が作られるかどうかを期待するのがなかなか難しいものです。結局は作者の方が続編の制作に意欲をもつかどうかに委ねられてしまいます。もし続編を期待したくなった場合は、作者の方にエールやラブコールを送ると励ましになるかもしれません。
同人的な香りが強いところがある
そしてこれは本編というより、おまけ要素に関することなのですが、海外のゲームではあまり感じられないような日本独特の「同人臭」を感じるかもしれません。昔の小説や詩歌を載せていた文学の雑誌のことではなく、もっと近代的で卑近的なコミックマーケットなどのマンガを扱うような同人の独特な雰囲気です。
ベストエンディングをクリアした後に、作者の方がゲームの裏話を少し明かすおまけがあります。人によってはそうした裏話自体を好まない方がいるでしょう。いわゆる自分語りに近いところだからです。こうしたものはゲームとしても物語としても蛇足になりがちですので、好まない方にとってはデメリットとなりうるでしょう。
うう……
どうかしたんですか、シロート?
お腹でも痛いんですか?
ほっといていいよ、別に。
ううぅ……
けっこう苦しんでいる
みたいですが……
それ、単なる
美少女成分欠乏症だから。
び……
はい?
美少女を一定時間
見てないと起こるアホな病。
女の子っぽい見た目の
男性を見ると急加速する。
うう、
ううう……
…………
アホらしくなってくるでしょ?
……頷かざるをえません。
さいごに
日本のフリーゲームはストーリーが重視されるものが多く、もともとマンガやドラマ、映画などのストーリーものが娯楽として確立されているので、クォリティが一定以上のものがたくさんあります。本作「一朶の仇花」もそのなかのひとつだといえるでしょう。
もともと短い作品でありRPG要素も手軽ですので、重厚なゲームを求めている人にはあまり合わないかもしれません。しかし忙しいなかでもゲームを楽しみたいと考えている方などにはうってつけでしょう。もしまだダウンロードしていない方がいらっしゃるようでしたら、躊躇せずにダウンロードしてみてはどうでしょうか?
うううう……