【Steam】シンプルなFPSパズル 「boxlife」【ショート】

1.0
ジャンル:パズル
この記事は2020/08/08に大幅な加筆・修正をしたものです。

このゲームに一言キャッチフレーズをつけるとしたら?

超シンプルなグラフィックのFPSパズル

食べ物に譬えると?
「お好み焼き(肉なし・キャベツなし・ソースなし・マヨネーズなし)」

どんな人向け?
素材の味を楽しめる人向け!

基礎情報

Steam上でのゲームの説明は以下のようになっています。

boxlife is a tiny first person metroidvania, where you gain abilities, find secrets and escape from the box

boxlifeはちょっとしたFPSのメトロイドヴァニアで、アビリティを取得して、シークレットを見つけて箱から逃げ出すゲームです。

「boxlife」の通常価格は、205円です。
STEAMSALE.MEによると、2019/5/22段階での最安値は\49です。履歴を見ると、私はこの最安値の時期に買っていたようです。

https://steamsale.me/g/29059qb/

言語は英語とロシア語がサポートされており、日本語はサポートされていません。しかしゲーム内ではあまり言葉での説明がなされないため、さほど重要ではないかもしれません。

操作方法はマウスとキーボードで行うことができます。一部コントローラーが対応していますが、無理に使用しなくてもマウスとキーボードだけで不満なくプレイすることができます。

またSteamのゲームですので、インストールは必要となります。しかし容量は約62MBと小さいので、あまりHDDなどの空きを考慮する必要はなく、気軽にインストール・アンインストールできるサイズといえるでしょう。

システム要件

この「boxlife」はPCのみで、WindowsとMacの両方に対応しています。

Windows

最低:
OSWindows 7
プロセッサーIntel Pentium 2.3GHz
メモリー2000 MB RAM
グラフィックnVidia GeForce 610
DirectXVersion 9.0

最低スペックの要件のみです。必要スペックについては記述がありません。
ゲームを遊ぼうというPCなら、おおよそこの要件に応えることができるでしょう。一般的なPCでも、グラフィックボードさえ積んでいればたとえ古くても遊べるかもしれません。

Mac OS X

最低:
OS: Mac OS X10.6
プロセッサー2.0 GHz Intel Core 2 Duo
メモリー2000 MB RAM

ゲーム概要

「boxlife」は、FPS視点の3Dパズルゲームです。Steamのストアページでは「メトロイドヴァニア(metroidvania)」というジャンルで説明されています。3Dマップである時点でややメトロイドヴァニアと呼ぶのはためらわれるのですが、アビリティを取得することで道を切り開くことができる点は、いくらかメトロイドヴァニアと呼べるのかもしれません。

かなり短めのゲームであり、クリア所要時間は早い人であれば10分ほどでクリアできるでしょう。いくらか時間がかかったとしても1時間かかるようなことはほとんどないでしょう。
完全クリアを目指すにはシークレットとして隠されたオブジェクトがあり、それを集めることで実績が解除されます。実績はこの1つだけです。シークレットを探すのにマップをくまなく探すことになりますが、これも数時間かかるようなものではありません。


スタート直後の画面。自分がどこにいてなにをするかなにも説明はされない。

難易度はさほど高くありません。特にクリアするだけであれば、マップ内の各所でアビリティを取得して脱出経路を開くボールのようなオブジェクトを4つ集めて設置すればすぐにできます。
このゲームの難しさは、「チュートリアルがない」ことに起因します。インディーズゲームなのでしかたないといえばしかたないのですが、現代のゲームではチュートリアルがあって当然ですので、このゲームをプレイするとやや面食らう可能性があります。
まったく先導がないわけではありませんが、お客様目線で「教えてもらって当然」ではなく「推測してシステムを理解する」という意識が大事かもしれません。
そのため全体の難易度はパズルとして易しさから少し上げて35点(100点中)としました。


プレイヤーが動き回る「箱」のなかの様子。足場となる幾何学的なボックスが並んでいる。

グラフィックはシステム要件やタイトルからわかるように、「ボックス」が並べられたごくごくシンプルなものです。主人公が描写されるわけでもなく、また他にキャラクタがいるわけでもないので、ストーリーと呼べるようなものもほとんど存在しません。Steamのストアページに書かれているように「箱から逃げ出す」のが目的として示されている程度です。

音周りもかなり質素で、BGMと呼べるものはなく、SEも限られています。ほとんど静寂に近い世界のなかでアクションをとるたびにわずかなSEが再生されるのを聞いていると、ちょっとした孤独感のようなものを感じつつ、また急に音が発生することもあるのでホラーゲームのようにびっくりしてしまいそうになることもあるかもしれません。


アビリティを習得すると左クリックでマリオのように赤い玉を打てるようになる。

FPSパズル

この「boxlife」を購入・プレイする意義を考えてみると、Valveの販売する「Portal」シリーズのようなFPSパズルの「底」を知ることができる、というような意味を考えることができるかもしれません。
かなりシンプルでグラフィックや音周りの要素もかなり削がれているため、演出面を省いた「FPSパズル」というものの本質を感じることができる、という考え方です。これは前向きで建設的に考えようとして見出した意義です。
素直にいうならば、基本価格の\205を支払ってプレイする意義があるかと考えてみると、かなり怪しいものがあります。たとえばゲーセンに行ってたまたま見つけた「boxlife」の筐体があったとして、100円を支払ってプレイしたいか、と考えると、悩んでしまうかもしれません。
これがフリーゲームであったなら、習作やβ版と見なすことでその気持ちを押し留めることは容易だったことでしょう。しかし安価であるとはいえ、ボリュームやゲームとしての「楽しさ」を考えると、唸ってしまうかもしれません。


中央の黒いボックスに触れるとアビリティを取得できる。

プレイしている最中やプレイ後に、どれくらい楽しさを感じて満喫し、また逆にどれくらいストレスを感じて憤るか、という面について考えてみると、まずストレスについは皆無といえるくらい「ない」ということが、個人的な観点ながらいうことができます。
これをストレスではなく楽しさに重点を置いて考えてみると……ハッキリいって、楽しかったかといわれるとなんともいえない気持ちになります。
ストレスをほとんど感じないかわりに、楽しさもほとんど感じないゲームという印象でしょうか。

またゲームというものはやはりプレイして気分がよくなったり暇をつぶしたりするためにするものなので、購入を検討している人などにとっては「プレイするとどうなるか」が気になるところでしょう。
上述のように楽しみも苦しみもかなり薄めのゲームですので、「boxlife」をプレイして感情を強く揺さぶられるということはほとんどないかもしれません。それこそ「Getting Over It」のように理不尽な操作性の悪さで頭にくるようなゲームとは対極的といえるのではないでしょうか。

押しても出ない歯磨き粉のチューブを後ろからグルグルと巻いて捻出するようにあえてそれでもなにが残るかを考えてみるとするなら、「ゲームとはなにか?」という率直ながら重大なことを考えるきっかけになるかもしれません。非常にシンプルですので、たとえばRPGツクールを起動したときに最初から収録されている「デモゲーム」や「ゲーム作成例」のように、どのようにゲームを作るのかという教材に使うことができるかもしれません。それくらい質素なものだといえます。


中央のトゲトゲのボールのようなものを集めて設置すると、脱出経路が開く。

たとえばソシャゲやまったく分岐のないノベルゲームに対して「本当にゲームなのか?」と疑問を呈する人たちがいますが、このゲームに対しても「これはゲームなのか?」と考える人が現れるかもしれません。楽しみも苦しみも薄いからです。しかしシステム面から見ると、明確にゲームです。アクション要素があり障壁があり、それを乗り越えて最終目的を達することでクリアになる、という明確なゲームシステムがあります。そのため「ゲームシステムが整っていればゲームなのか?」という疑問に繋がります。
ソシャゲや分岐のないノベルゲームは、システムにゲーム性が乏しいとしても、それをプレイすることで嬉しい・悔しいのようにプレイヤーに残るものがあることでしょう。そうした残るものやゲーム性などのいずれかが乏しいと、ゲーマーにとっては「ゲームではないのかも」と感じさせられてしまうのかもしれません。しかしこうしたシンプルなゲームをプレイしてみることで、もっと広い視野で「ゲーム」というもの自体を見ることができるようになるかもしれません。

他のものに譬えると?

ゲームというのは数多く世に発表されていながら、実際プレイしてみるまでどんなものかわからないものです。そのためあらかじめ「どんなゲームなのか?」を一言で表される指標のようなものがあれば、多くのプレイヤーの方々にとってわかりやすい情報となるでしょう。またそうした指標は、実際にプレイしてみた人がそのゲームはどんなものだったのかを深く理解するのにも役立つでしょう。
そうした指標になりうるのが、「このゲームを料理・食べ物・飲食品に譬えたら?」という情報です。

この「boxlife」を食べ物に譬えると、「お好み焼き(肉なし・キャベツなし・ソースなし・マヨネーズなし)」のようなものです。

  • お好み焼き(肉なし・キャベツなし・ソースなし・マヨネーズなし)
    • 素材そのまま
      • とてもシンプル
    • 旨味も苦味も薄い
      • 楽しみも苦しみも薄い

このゲームの特徴は、非常にシンプルだということです。前述のように人によってはプレイする意義があるのかすら疑問に感じられるくらいシンプルです。そしてそのシンプルさのために、「はたしてゲームとはなんなのか?」という考えすら湧いてくるものだということでした。
これを食べ物になぞらえると、「料理とはなにか?」を考えさせられるくらいシンプルなものになるでしょう。また人によっては栄養面や食事の楽しさとしても意味合いが薄いので、それを食べる必要があるのかと感じられるような類のものになるでしょう。

たとえば小麦粉を水で練って、それに火を通しただけのものはあまり美味しくありません。甘味も旨味も辛味も酸味も苦味も特にないからです。基本的にそうしたものはベースとして使用するだけで、味つけは別で行います。お好み焼きであればキャベツで甘味や歯ごたえを出し、肉で重厚感を演出し、ソースやマヨネーズでわかりやすい味をつけています。美味しくないといわれるすいとんでも、汁の味つけに変化をつけることで料理としての幅を広げることができるでしょう。またインド料理などのナンもカレーなどと一緒に食べますし、食パンやロールパンもなにも味つけをせずに食べることは多くありません。

いってしまえば、この「boxlife」というゲームはそうした「小麦粉を練って焼いたもの」そのものです。普段は味つけをしたり味の濃い別の料理と一緒に食べたりするものですが、そうではなく味つけをせずそのまま食べるようなものです。
今回は、ナンではカレーやインド料理のイメージが強く、また食パンなどは意外と単体で食べても美味しいので、わかりやすさなどをとって「お好み焼き」とし、シンプルさを説明するために「肉なし・キャベツなし・ソースなし・マヨネーズなし」であるとさせていただきました。

しかしこの料理が質素であるとはいえ、かなり安値で販売されている点には注目していいでしょう。この価格、特にセールでは\100以下となる安さで、しっかりと完成されたゲーム性のアクションをプレイできるのを「可」だと見なせる方にとっては、おもしろいゲームとなりうるでしょう。

ゲームの情報

タイトルboxlife
開発tequibo
オススメ度B<OK>:★
リリース日2016/01/15
価格¥205
次元3D(3次元)
ジャンルFPSパズル
特徴シングル/ショート/Steam/実績
視点FPS視点
グラフィックシンプル系3D
操作方法マウス&キーボード
言語英語/ロシア語(日本語サポートなし)
インストール必要
ファイル容量62MB
タイトルとURLをコピーしました