【ホラゲー】音で見て 音で索敵する 「Lurking」【新感覚】

ゲームレビュー

こんにちは、Caffeineです。
今回ご紹介するのはフリーのホラーゲーム「Lurking」です!

ジャンルホラー/アクション/エコー/鬼ごっこ/3D/雰囲気/シングル
開発者Lurking Game(シンガポールの大学の開発チーム)
価格無料(フリー)
言語英語
クリア所要時間1時間
完全クリア時間同上
プラットフォームWindows
VR対応
操作方法マウス/キーボード
難易度低(23/100)★★☆☆☆☆☆☆☆☆
恐怖度低(18/100)★★☆☆☆☆☆☆☆☆
インストール必要
ファイル容量約72.4MB(アーカイブ)
約148MB(解凍後)

食べ物に譬えると?
酸味の強いレモンタルト(ミラクルフルーツ添え)

どんな人向け?
ペプシの不思議フレーバーや
コンビニおにぎりの新商品を楽しめる人

Basic – ベーシック


スタート直後の部屋。グラフィックが先進的なわけではない。

まずはこの「Lurking」のDL(ダウンロード)ページの説明から見ていきましょう。
以下のリンクからDLすることができます。

Game Jolt - Indie games for the love of it

Lurking is a sound-based survival thriller, where sound is the only way you see, and they hear your fears.

*Spiritual Succesor in the works! At: https://store.steampowered.com/app/514830/Stifled/

Imagine, being engulfed by absolute darkness, and the only way to “see” is by create an “audio pulse” by walking or throwing objects.

Take that, and add the notion that enemies in the game track you through these sound you make. Now, how do you “see” enough to escape and yet not get caught?

Lurking also features microphone input support that picks up and convert the real world sounds made you the player into in-game audio pulses. This creates a secondary level of immersion by allowing the enemies to hear your fear. As such the use of a microphone headset is strongly recommended.

(中略)

Lurking is a 2 semester long project produced by a team of four at Digipen Institute of Technology of Singapore.

All Content © 2014 Digipen Institute of Technology Singapore (https://singapore.digipen.edu), All Rights Reserved

DLページの文言

 

Lurkingは音を基礎としたサバイバルスリラーで、音だけがものを見る方法であり、敵があなたの恐怖を聞くゲームです。

*Spiritual Succesorが発売されました! こちらで:https://store.steampowered.com/app/514830/Stifled/

想像してみてください、完全な闇に圧倒され、ものを「見る」方法が、歩いたりオブジェクトを投げたりして「音声の波動」をつくることでしか見えない状況を。

このゲームをプレイして、あなたの生む音を追ってくる敵を感じてみてください。あなたはどのように「見」て敵から逃げ、捕まらずにいられるのでしょうか?

Lurkingは、現実世界の音をゲーム内の音波へ変換するマイクの入力サポートも備えています。これにより敵があなたの恐怖を聞くことができるという第2の没入感を演出してくれます。そのためマイクつきヘッドセットの使用を強く推奨します。

(中略)

LurkingはシンガポールのDigipen工科大学で4人のチームによって1年のプロジェクトとして制作されました。

すべてのコンテンツの権利はDigipen工科大学に帰属します。

「Lurking」は3dのホラーアクションゲームです。ホラー要素としては、暗く見通しのきかないマップや音で敵を探すという雰囲気、そして敵から追われるという鬼ごっこ的恐怖演出があります。
このゲームのなによりの特徴は、ホラー要素ではなく「音でマップを見る」という要素です。

実際にプレイしてみて、端的にこのシステムを表現するのはおそらく「エコー(反響)」だろうと感じました。コウモリやイルカ、クジラが利用するというエコーです。ゲームのなかでは歩いたりQを押したりすることで音を立てることができ、その自分が発した音がエコーとなって発信源である主人公を中心に少しの範囲が見えるようになります。
またマイクを設定することで、マイクを通して自分が話したり音を立てたりすることで、現実世界の音でゲーム内に影響を与えることができるようになります。

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図部野 素人

俺もあるものを
別のものに変える能力
もってるぜ!

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初 心

なに?

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図部野 素人

騒がしい空気を
静寂に変える能力!

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初 心

えっ。

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図部野 素人

俺がボケると
みんな静かになるんだ。

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Caffeine

あー……。

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初 心

…………。

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図部野 素人

静寂ぅに染―まったー
こーの俺をー
慰めーるヤーツーはー
もーういーなーいー。

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Caffeine

そんな寂しい
「紅」は聞きたくないです……。


部屋を出ようとすると、すぐ先に暗闇が続いていることがわかる。

このシステムは鬼ごっこ要素として敵に襲われる際も効果的に働き、たとえしゃがんでいても歩くごとに音を立てることになるので、敵から逃げる際にはものを投げて敵を遠くに誘導するなど、ちょっとした作戦が必要になります。
なお登場するキャラクタには、白い線で描かれた人と赤い線で描かれた人とがいて、白いほうはどうやら非敵対的(襲ってこない)、赤いほうは敵対的(襲ってくる)という設定のようです。


音を発すると白い波が広がり、マップが見えるように。音を発しないと暗闇に包まれる。

このシステムに、私はちょっとした感動を覚えました。聴覚的な情報である音を視覚的情報に変換するシステム、また音を立てないとなにも見えなくなる恐怖演出、そして敵から逃げるために音をどのように利用するかという作戦的要素が、秀逸だと感じました。

操作は一般的な3DのFPSゲームと同様、WASDで移動しながらマウスで視点を変える手法です。Qを押すことで意図的に音を発し、マップを見えるようにすることができます。SHIFTを押すと走ることができますので、敵から逃げる際には活用しましょう。


敵の姿や音波は赤く表示される。対抗手段は逃げるだけ。

フリーのゲームですので無料で利用できますが、インストールが必要となります。システムやマップが簡素で、ゲームの冒頭や終盤で描画されるマップもかなり質素なものですので、データの容量は大きくありません。
原語は英語のみですが、クリアするのには特に英語を理解する必要はないでしょう。
ストーリーを知るためにオーディオログがあり、そちらはフランス訛りとおぼしき英語が流れるのですが、字幕が表示される上、重要ではないので強く意識する必要はありません。

クリア所要時間はおよそ1時間です。恐怖演出も難易度もマイルドですので、何度か敵に捕まってしまうことがあるとしてもクリアにかかる時間はそう長くはかからずにすむでしょう。コレクション要素としてオーディオログがありますが、これにもさほど時間はかからないことでしょう。

なおVRにも対応しているため、もしヘッドマウントディスプレイを所持している方は試してみてもいいかもしれません。

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初 心

たしかにボリュームとか
グラフィックとか
すごく味があるわけではないけど
おもしろいシステムだって
感じさせられるよね。

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図部野 素人

そうだな。
特殊なシステムだから
少しは人を選ぶかも
しれないとこもあるけどな。

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Caffeine

しかしこういう
ゲームが世に出されることは
やはり喜ばしいことだと
感じますね。

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Advanced – アドバンス

今回の「Lurking」について、少し踏み込んだ内容を考えていきましょう。

この「Lurking」の醍醐味は、システムの独創性にあります。敵に追われる鬼ごっこ要素や、敵をまくためにものを投げて誘導するというのは、これまでのゲームにも存在したシステムです。しかし「音を視覚的情報に変換する」というシステムは寡聞にして知りません。

この「Lurking」は実のところ発表されてから時間が経っているため、商用として「Spiritual Succesor」というゲームがSteamで販売されています。海外のLet’s Play(日本での実況にあたるもの)では2015年にすでにプレイ動画が投稿されていたようですが、私はホラーゲームでは特に自分でプレイして体験しておきたいタイプですので、事前情報を知りたくないためそうした動画は見てきませんでした。そのため2019年に至るまでこのゲームの存在を知りませんでしたが、実際にプレイしてみてホラー性よりシステムのおもしろさに惹かれました。

またアクション要素としてなお興味深いのが、「エコーとして音の反響を拾っているため、動く対象の姿を視認するのにはいくらかの『遅延』が発生する」ということです。
たとえば誰かが走っている様をこのゲームで見るとき、その人の足音が自分のもとに届いて初めて視認できるため、その音が届くころにはその人は少し移動してしまっている、ということです。ちょうど遠くにある星の輝きは地球からの距離が何光年とあるため、地球から今観測できる光であったとしても数年前の光・姿である、という事実と似ています。
これがゲーム上どのように影響するかというと、敵の位置を視認するときに「一瞬前」の姿を見ているだけなので、現実にはもっと遠くに行っていたりもっと近くに来ていたりする可能性を考えなければいけません。これはシューティングゲームで重力が働くために遠い標的を撃つ場合は上方修正しないといけないのと似ています。アクションゲームとしてはより効果的に敵を捕捉するためには、常に予想をして修正を行わなければならず、またホラーゲームとしては「気づいたら目の前」だという気づかぬ事態を招くことになり、プレイヤーの意表を突くことができます。

これは独創的なシステムとして「社会的意義」が高いシステムだといえるでしょう。つまりゲームの多様性をさらに広げるシステムだといえます。またマップを「線」だけで構築するというかなり質素でコストカットを容易に行えるシステムとなっているので、開発もコストを抑えて複雑なグラフィックを必要としないゲームを作成できそうだというのは、大きな利点でしょう。

ただ予想される難点としては、同じような線だけで構築されたマップ・敵のなかで逃げ回るゲームをつくるならば、何作かシリーズで作ったとしても「飽き」が来るのが早そうな点です。グラフィック的特徴を無視することができるのがこのシステムのメリットですが、シリーズとして作るなど考えるとそのメリットがデメリットとなりかねないのです。

またそのグラフィックの質素さが影響してか、恐怖演出もマイルドなので敵に恐怖感をおぼえることがあまりありません。そうした点では、全体を通して「ストレス」を感じることは少ないのではないでしょうか。鬼ごっこ要素も、最後のシーンだけ少し難しくなっているものの、ストレスを感じるほど「死にゲー」の様相を呈しているわけではありません。
プレイを始めて敵が登場するまでは、どんな恐怖が待ち受けているのかとドキドキすることがあるかもしれません。しかしその「期待のような不安」を除けばさほど怖いゲームではなく、ホラーゲームが苦手な方にでもプレイできるタイプのホラーゲームだといえるのではないでしょうか。

ゲームに限らず作品を楽しんだ後で「ああ楽しんだ。おもしろい作品だった」と映画やドラマなどで感じることがありますが、この「Lurking」はそうしたタイプとは異なるかもしれません。むしろ実験的な作品ですので、「なるほど、こうしたシステムを構築することができるのか。すごい」というふうに、その開拓精神を考えて首肯する、というようなタイプのゲームかもしれません。
私はプレイしている最中から「おもしろいシステムだ」と興奮してしまいましたが、同じような思考をする方にとっては「興奮できるゲーム」ともいえるかもしれません。

またフリーゲームは実況をする人にとってとっつきやすいジャンルではあるのですが、この「Lurking」は「実況としてプレイする」のにも「実況として見る」のにもあまり向いていない可能性があります。やはりグラフィックがチープに見えるからです。
そうした観点からは、動画や配信にするよりも「実際にプレイ」するためのゲームといえるかもしれません。私はこの点を推して、皆さんにも実際にプレイして体験していただくことをオススメします。

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Professional – プロフェッショナル

ゲームというのは数多く世に発表されていながら、実際プレイしてみるまでどんなものかわからないものです。そのためあらかじめ「どんなゲームなのか?」を一言で表される指標のようなものがあれば、多くのプレイヤーの方々にとってわかりやすい情報となるでしょう。またそうした指標は、実際にプレイしてみた人がそのゲームはどんなものだったのかを深く理解するのにも役立つでしょう。
そうした指標になりうるのが、「このゲームを料理・食べ物・飲食品に譬えたら?」という情報です。

この「Lurking」を食べ物に譬えると、酸味の強いレモンタルト(ミラクルフルーツ添え)です。

  • 酸味の強いレモンタルト(ミラクルフルーツ添え)
    • 酸味を甘味に変える
      • 音を視覚に変える
        • ミラクルフルーツが添えられている。
      • 軽食orお菓子。
        • あまりボリュームは大きくない。
      • グラフィックがシンプル。
        • シンプルな味つけ。

このタルトの特徴は、タルトそのものではなく「ミラクルフルーツ」という味を変化させる添え物です。とにかくこの要素に焦点を当てられているため、このミラクルフルーツの存在が好きになれない方は、この作品を気に入らないことになるかもしれません。

純粋に「食事」として考えると、あまり効果的なものではないことがわかります。
タルトは至って特徴的ではなく、むしろ酸味が強いため「ふつうのもっとおいしいタルトを食べたい」という人には不向きかもしれません。シンプルな味つけなわりにタルトそのものの甘味は抑えられているので、そこが気に食わないという人もいるかもしれません。
ミラクルフルーツの存在は、TV番組などで知っている人は多いことでしょう。ミラクルフルーツ自体がおいしいわけではないらしく、やはり「酸味を甘味に変える」というおもしろさが好評であるようです。食事に「おもしろさ」を求める行為、すなわち実験的なものが得意でない方も向いているとはいいにくいかもしれません。
またボリュームが多いというわけではないので、「じっくり楽しむためのタルト」というより、やはり「ミラクルフルーツを体験するためのお試し」ぐらいの感覚になってしまうのは否めません。お腹が空いている人のためのものでもないでしょう。「スーパーの試食コーナー」のように空腹を満たすためのサービスではないといえるでしょう。

しかしそもそもタルトは嗜好品です。だとすれば、楽しめる人だけが楽しめばいいともいえます。
この「Lurking」というゲームは非常にシンプルで、それでいて可能性を示唆してくれるものです。今すぐこなれたゲームの楽しさに耽りたいという人は、好きなゲームを起動するのが最善でしょう。この「Lurking」というゲームは、「誰を対象にしてるのかよくわからないペプシのフレーバー」や「コンビニおにぎりの人を選びそうな味の新商品」のように、やや実験的・挑戦的な作品です。安全を求める人向けではないことは明言しておいたほうがいいでしょう。

さいごに

私はこのゲームを気に入りました。そのため「おもしろかった」という体裁でこのエントリを執筆しています。また同じような体験を求めている人のためにオススメもします。
しかしその一方で、こうしたゲームを求めていない人がいるだろう可能性も否定はできません。いろいろなゲームを探すなかでこのエントリに辿り着いたとして、決して満腹中枢を直撃して満たすような力業の作品ではないことを示しておきます。

私はこのサイトを運営するにあたって、エントリとして執筆するためにいろいろなゲームをプレイしていますが、こういう作品を見つけると嬉しくなります、楽しくなります。たとえこうした実験的なものが得意でない方でも、なにか気に入るようなゲームが世に発表され、私もそれを紹介していろいろなプレイヤーの方が知るきっかけに携わることができればいいと思っています。

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