こんにちは、Caffeineです。
今回ご紹介するのは「Belladonna」です!
ジャンル | 2D/P&C/読み物/ホラー/ミステリ/女性主人公/雰囲気/シングル |
開発元 | Neckbolt |
価格 | 720円 |
言語 | 英語のみ(日本語未サポート) |
クリア所要時間 | 1~3時間 |
完全クリア時間 | 同上 |
プラットフォーム | PCのみ(Windowsのみ) |
操作方法 | マウスのみ |
難易度 | 低(31/100)★★★☆☆☆☆☆☆☆ |
恐怖度 | 低(10/100)★☆☆☆☆☆☆☆☆☆ |
必要英語力 | 中~高(68/100)★★★★★★★☆☆☆ |
インストール | 必要 |
ファイル容量 | 約378MB |
実績 | なし |
食べ物に譬えると?
ノンシュガーの英国紅茶とビターチョコケーキ
どんな人向け?
物語を楽しみたい人!
落ち着いて静かなゲームをプレイしたい人!
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基 – Basic
まずこの「Belladonna」について、基礎的な情報をまとめていきましょう。
基本情報
Steam上の「Belladonna」のストアページには、以下のような説明文が記載されています。
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Belladonna is a gothic adventure game, twisted and dark. Take the role of a corpse girl rising from the dead in an abandoned laboratory, and unravel the mysteries concerning your own death and reanimation.
「Belladonna」はゴシックなアドベンチャーゲームで、歪んでいてダークな雰囲気のゲームです。放棄された研究室で蘇った死体の女の子となり、その死と蘇生に関するミステリを明かしましょう。
探索画面。不気味な研究室で、記憶を失ったまま目覚める。
通常価格は720円です。
STEAMSALE.MEによると、最安値は69円です。実際に私は69円で購入していました。
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開発はNeckboltというスタジオが行っており、公式サイトによるとスウェーデンのヨーテボリ(Göteborg)に住む「Niklas Hallin」というフリーランスの方だそうです。また本作「Belladonna」は処女作だそうです。
インストールは、Steamのゲームですので必要となります。容量は378MBと少なめですので、あまりHDDなどのストレージの圧迫を気にしなくてもいいでしょう。また動きが多かったり負荷が大きかったりするゲームでもないので、SSDではなくHDDにインストールしても大きな影響はないでしょう。
操作方法は一般のポイント&クリック系と同様で、マウスのみとなります。
コントローラのサポートは特にないようです。
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関係ないけど
「Göteborg」って
ヨーテボリって読むんだね。
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スウェーデン語は
読めないぜ。
フランス語やドイツ語も
目じゃねえくらい難しい。
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たしかシロートは
スウェーデンのメタルを
聞くんですよね?
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そうだな。
VintersorgとかOtygとか。
英語で歌ってるのでいいなら
Soilworkとかも聞くな。
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英語もわかんないのに
そういうの聞いてわかるの?
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わからん。
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えっ。
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わからんのをわかってて
わからんのかって
聞くんじゃない。
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お、おう……
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日本で有名なところでは、
PSのRPG「聖剣伝説 Legend of Mana」の
エンディングテーマ「Song of Mana」が
たしかスウェーデン語でしたね。
システム要件
プラットフォームはPCのWindowsのみです。
OS | Windows XP/Vista/7 |
メモリー | 512 MB RAM |
システム要件は最低スペックについてしか記載されていないどころか、CPUやグラフィックボードの記述もなく、OSとメモリについてしか書かれていません。
よほど古かったり低スペックに抑えたりしていない限りは大丈夫だということでしょう。
ゲーム概要
「Belladonna」は2Dのポイント&クリック系ゲームです。この「Belladonna」は謎解き要素があまり多くなく、ストーリーが主体になっています。
特にJournal(ジャーナル:日誌)を集めて、失った記憶を埋めていく作業が多くなります。
Journal(日誌)の画面。この空きスロットがすべて日誌で埋まることになる。
もちろんポイント&クリックとしてアイテムを集めて合成するなどの要素はあり、最初の部屋から脱出するのにも工夫が必要となります。
視点は主人公のいる部屋の外からとなり、部屋をクリックすることで彼女を移動させることができます。操作はマウスで行い、特にキーボードを使う場面はありません。一部で選択肢が登場しますが、エンディングは分岐しないようです。実績もないため、純粋にゲームのストーリーを楽しむゲームであるといえるでしょう。
研究室から出た直後の通路。彼女はなぜこんなところにいたのだろうか?
グラフィックは2Dで、アニメ調ともリアル志向ともいいがたい微妙なところです。ストアページでは「gothic(ゴシック)」とされていますのでそういうものかもしれません。とはいっても日本でいう「ゴスロリ(ゴシック・ロリータの略)」のような作品とは異なるでしょう(主人公を見てゴシックの要素はあるにしても、ロリータの要素はありません)。
全体的に薄暗く、陰鬱な雰囲気が広がっている。
次に音楽ですが、BGMはかなり抑えられており、アンビエント系の雰囲気を感じさせるタイプとなっています。アッパー系の盛り上げる音楽ではなく、ダウナー系の落ち着かせるタイプのBGMです。全体的に鬱々としているので、グラフィックとBGMの相性は合っているといえます。
また主人公の発言は英語の声優の方がしゃべってくれます。落ち着いた演技ですので、ゲームの雰囲気にマッチしています。
ゲームの難易度は、謎解きの要素があまり多くないため低めの31点(100点中)としています。ゲーム性としてはFLASHなどである脱出ゲームと大きく違いはありません。そのためしっかりとアイテムを探し、行き詰ったらアイテムの合成などを試していけば、さほど苦労はせずクリアすることができるでしょう。
放棄された部屋。どこか神秘的な雰囲気もある。
また雰囲気はホラー風となっていますが、実際に恐怖演出はまったくといっていいほどなく、雰囲気を味わうタイプのゲームだといえます。そのためホラー度はかなり低めの10点(100点中)としています。
必要な英語の理解力については、やや高めの68点(100点中)としました。これは全編英語であり、かつ日誌を集めてストーリーを理解していくのが主軸であるシステムに起因します。特に日誌を読むのに時間がかかるほど、全体的なゲームプレイの時間に対してストーリーを読み進める時間の比率が増えていきます。また日誌は見慣れたアルファベットのフォントではなく独自のフォントが用いられているので、読みにくいと感じる人もいるかもしれません(実際私は筆記体などが苦手なので読むのに時間がかかりました)。
このように日誌を読む時間で大きくプレイ時間が変わりますが、全体的に1~3時間ほどでクリアできるでしょう。前述のように他のエンディングや収集要素がないので、周回プレイをする必要性もないでしょう。
進 – Advanced
次にこの「Belladonna」について、少し踏み込んだ情報を考えていきましょう。
「ここがオススメ!」
「Belladonna」はグラフィックやBGM、声優さんの演技、またストーリーなど、それぞれがダークで鬱々とした雰囲気で調和されています。ホラーやサスペンスとして「息もつけない急展開」のような演出がなされているわけではありませんが、落ち着いてゆっくりとゲームをしたい方にはうってつけでしょう。
またゲーム全体がストーリーを重視して制作されているため、物語性を重んじる方や物語を深く楽しみたい方にも合っているでしょう。
序盤のストーリーは、記憶喪失で頭にネジのついた主人公の少女が、ところどころに置かれている日誌を読むことで謎を解いていくミステリとなっています。
そしてそのミステリは次第に人の死がからむサスペンスへと展開されていきます。
そしてストーリーが転換するシーンなどでは、アニメーションが挿入されます。
この「Belladonna」のストーリーやその演出に魅力を感じる人であれば、プレイしてみても損はしないかもしれません。
「ここはイマイチ……」
この「Belladonna」を楽しむときの難点は、いくつか挙げることができます。
移動のクリック判定が独特
まずポイント&クリックとしての特徴について見ていきましょう。
このゲームは主人公を部屋の外から見る「三人称視点」で進められるため、主人公を移動させるには部屋の床をクリックすることになります。しかしこのゲームは横にだけ移動するのではなく、縦に移動することもあります。またクリックしたところへ移動するというより、クリックしたところが床などで主人公が移動できる場所であれば移動するという判定になるようで、おおまかに壁などをクリックしても反応しないことがあります。
縦に移動するタイプの通路。クリックの判定がややわかりづらい。
この移動の判定がやや独特で認識しづらいので、同じ場所を往復するときなどは少しストレスが溜まるかもしれません。
ストーリーの比重が大きい
次にゲーム全体として、ストーリーの比重が大きい点が挙げられます。この点については、やはり「ゲーム性」について考えると、少し難しいものがあります。
日本では商用ゲームとしてもフリーゲームとしてもノベルゲームが多く発表され、そのなかで分岐がまったくない一本道のノベルゲームがリリースされることも少なくありませんでした。そうした一本道のゲームは、「ゲーム性に乏しい」として批判されることがありました。
この「Belladonna」もそれと同様の難点を抱えています。ポイント&クリックとしていくらかのゲーム性があるものの、ゲーム全体の比重を見るとストーリーのほうが重くなってしまっています。
これを日本のノベルゲームになぞらえるなら、「分岐はあるが別に多くはない。またあったとしてもエンディングは1つなので意味がない」というようなものです。
ストーリーも卓越で他にない魅力がある、というものではありません。たしかに独特ではありますが、「他のこの作者のストーリーをもっと味わいたい!」と切望するようになるタイプのものではありません。
ハッキリ申し上げると、クリアしてエンディング画面が表示されたときに、かなり拍子抜けをしてしまいました。すべての人が私と同じように感じるとは断言しませんが、過度な期待をすると同様に拍子抜けしてしまうかもしれません。
英語が多い
また日本語がサポートされておらず、英語でしかプレイできないというのは日本人にとって敷居が高くなってしまいます。この言語の壁はこの「Belladonna」に限らず、すべての日本語未サポートのゲームについていえます。
しかしやはりストーリーの比重が大きくなっているこの「Belladonna」では、それだけ英語であることの障壁が重くのしかかってくることになります。またストーリーが独特のフォントで記されている日誌によって描かれているというのも、壁を厚くしています。
日誌の様子。フォントはいくつか用意されており、それぞれ読み進めないとストーリーが追えない。
(画像をクリックすると、新しいウィンドウで拡大できます。)
このように文章でのストーリーテリングが多いゲームは他にもあり、たとえば「Skyrim」がそれにあたります。Skyrimは「The Elder Scrolls(略してTES)」というシリーズの5作めの3DのFPS型RPGなのですが、作中に何冊もの書物が登場します。その絶対量はこの「Belladonna」の日誌の量の比ではありません。
しかしそのように書物の絶対量が多いSkyrimでも、私はその文章量の多さからSkyrimの評価を下げることはありません。
第一に、その書物の文章量はSkyrimというRPGのなかでの比重がさほど多くないことが挙げられます。ゲーム内で探索をしている時間のほうがずっと長く、そのなかで書物をたまに見つけることがあるくらいです。そのためゲーム性として「読書」よりも「探索」の比重がずっと高くなっているのです。
第二に、その書物を読む必要性がないことが挙げられます。その書物に書かれている文章は、ほとんどがそのゲームの世界観を示す演出として使われています。ときおり書面を理解しないといけないことがありますが、多くはありません。そのため文章量がたとえ多くとも、読みたくなければ避ければいいだけなのです。
そしてこれは大きな理由ではないのですが、Skyrimが日本語に対応していることは明言しておかなければいけないでしょう。しかし私はSkyrimを日本語でプレイしたことがない(英語バージョンのほうが多くMODを導入できます)ので、私の述べる実感として「日本語に対応している」という事実はなんら重要ではありません。私は英語でSkyrimをプレイして、文章量の多さに参ることはありませんでした。しかしこの「Belladonna」ではそうではありませんでしたので、この論点においてSkyrimが日本語に対応している事実はさほど重要ではありません。
またSkyrim内の英語を満足に理解していると胸を張っていえるわけでもないので、英語の理解力が基準になっているわけでもありません。
そのため全体的に考慮すると、「ポイント&クリックとして探索要素がさほど多くない」という点、「ストーリーを文章で理解する」という点、「ストーリーを英語で理解する」という点、この3つにあまり納得できない方にはオススメしにくくなってしまっています。
この点は逆に考えると、「『ストーリーを楽しむ』という前提に納得できる人であれば、いくらかオススメできる」といえるでしょう。ゲーム性を重視する人はある程度ふるいにかけられることになりますが、楽しめる人も少なからずいることでしょう。
小動物を殺すシーンがある
またこれはストーリーに密接に関わってくるわけではありませんが、ゲーム内に小動物を殺さなくてはいけないシーンがあります。ストーリーに分岐がないため、このシーンを避けることはできないでしょう。そのため小動物を殺すことに強い忌避感がある人に対してオススメすることはできないでしょう。
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俺はここがダメだったな。
あのシーンだけは
進める気にならん。
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シロートって意外と
動物好きだもんね。
虫とかはダメなのにね、
ゴ――
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それ以上いけない。
(真顔で)
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えっ。
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それ以上は許さない。
(表情が消えて)
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お、おう。
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それ以上ヤツの名を
みだりに語ることは
許さない。
(機械のように)
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お、
おーけー、
おーけー。
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私も虫は
得意ではありませんが
シロートは筋金入り
ですね……。
セール時に買おう
この「Belladonna」のレビューをSteam上で見てみましたが、英語のものも含めて「ボリューム」を理由としてdownvote(ダウンボート:サムズダウンとほぼ同義で低評価に投票すること)している人がいくらかいました。そのボリュームも単に短いということが理由ではなく、通常価格に対して短すぎるということでした。国によって多少の変化はありますが、日本での通常価格は720円ということでした。
特に英語圏の人は1時間足らずでクリアすることもあり、それがこれに類する価格とあっては不満を抱いてもしかたないかもしれません。
そうした不満は、逆に考えれば、安いときに買うことでいくらか解消できます。
特に最安値のときであれば、90%以上オフとなった69円で購入することができます。これならば多くの人が不満を押し留めてupvote(アップボート:サムズアップとほぼ同義で高評価に投票すること)できるのではないでしょうか。
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STEAMSALE.MEで確認すると、69円や70円、72円など多少のブレはあるものの、安値でセールされる頻度は決して低くありません。購入するのに急がないといけないゲームでもないので、ウィッシュリストに入れておいて安値のときに購入するのもいいかもしれません。
極 – Professional
ではこの「Belladonna」について、より踏み込んだ情報を考えていきましょう。
食べ物に譬えると?
そうした指標になりうるのが、「このゲームを料理・食べ物・飲食品に譬えたら?」という情報です。
この「Belladonna」を食べ物などに譬えると、「ノンシュガーの英国紅茶とビターチョコケーキ」に近いといえます。
- ノンシュガーの英国紅茶とビターチョコケーキ
- 落ち着いたひととき
- あくせくプレイするゲームではない
- 文庫を片手に甘くない紅茶を楽しむ
- ストーリー・読み物が中心のポイント&クリック
- 強い旨味・甘味を求めて食べるものではない
- 強い刺激などを求めてプレイするゲームではない
- 落ち着いたひととき
この紅茶とケーキを食べるのは、落ち着きたいときに向いているでしょう。激しい戦闘でアドレナリンを放出しながら体を火照らせ汗を流すアッパー系ではなく、落ち着いていろいろなことに思いを馳せながら一口ずつゆっくりと口に運んでいくようなダウナー系のものです。
そして紅茶には砂糖が入っておらず、チョコレートケーキも苦味をいかして甘さを控えめにしてあります。舌に乗せた瞬間に甘味・旨味を感じる瞬間的なおいしさではなく、香りを楽しみながら舌の上で転がすような楽しみ方をするほうが、この紅茶とケーキをゆっくりと深く楽しむことができます。
梅雨どきのしくしくと泣き出しそうな曇り空の下で、憂い事にしばし沈思黙考しながら、こぼれそうになったためいきを紅茶で流し込む。そんな楽しみ方もできるかもしれません。
もしこのゲームが、オープンテラスでお茶を楽しみながら読む文庫だとしたら、短編くらいの長さかもしれません。一息に速読で終わらせてしまおう、というタイプの物語ではないでしょう。また、もしさほど気に入らなければ読み終わった後に忘れてしまっても構わないでしょう。しかしもし気に入ったのなら、その短編に深く気持ちを巡らせて、飲み込むまでのしばらくの間、余韻を楽しむのもいいかもしれません。
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なんかCaffeineが
すごく妙なこといってる。
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珍しく気が合うな。
ちょっとなにいってんのか
わかんないな。
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えー……。
ま、まあ
趣とかそんな感じですよ。
さいごに
個人的なことを述べるならば、この「Belladonna」は私にはあまり合いませんでした。それは私がゲームに物語性よりゲーム性を求めているからでしょう。物語を楽しみたい場合は、ゲームではなく映画やドラマを楽しむほうを選ぶかもしれません。
しかしそれはあくまで私個人の意見です。私には合わないからといって、他の人すべてが楽しめないなどということがあるでしょうか? そんなものはありません。
このサイトを運営するにあたって、ゲームの情報を紹介としてまとめるときに意識しているのは、Steamのセールなどで見かけて気になった人たちがこのエントリを見たときに、ネタバレが極力ないままに、いろいろな情報を得ることができるように作成しています。
その際に情報に誤りがないことは当然ながら、できることなら「そのゲームを楽しめるはずの人が、いろいろな原因からそのゲームを敬遠している」という状況から「意外と合うかもしれないから試してみる」という前向きなきっかけの一助にでもなれば、と考えています。
今回のエントリはその一助となったでしょうか? それとも毒にも薬にもならなかったでしょうか? もしご意見がございましたら、私はTwitterで更新情報などをツイートしていますので、そちらでご反応いただければ参考となります。
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