「ミノニヨクシティ」#31【考察】住人たちは精神操作を行われている?!(前)【ネタバレ】

ゲーム考察
「ミノニヨクシティ」の考察です。ミノニヨクシティの住人たちが精神操作をされている可能性について考察していきます。

こんにちは、Caffeineです。
今回は「ミノニヨクシティ」をプレイするなかで気づくであろう「違和感」の原因、「死後の世界の住人たちが精神操作をされている」という可能性について考察していきます。

前回のエントリ(【考察】幻や凶新聞について):
「ミノニヨクシティ」#30【考察】幻とは? 凶新聞とは? そしてなぜ自覚してはいけないのか?【ネタバレ】
「ミノニヨクシティ」の考察です。幻・凶新聞など周縁的な事柄を考察していきます。 こんにちは、Caffeineです。 今回は「ミノニヨクシティ」の考察における情報源である「幻」や「凶新聞」について考察していきます! 前回のエント...

思い出せない……が違和感もない

ジェミニの真実の話をしたときのことを覚えているでしょうか。「はないちもんめ」でジェミニの自宅を調べたとき、母親の写真のメッセージに違和感をもちませんでしたか? 私は僅かながら妙だと感じました。

…お母さんの写真があるけど、
赤くよごれてて顔が見えない。

自宅に飾っておくほど大事な人の写真なのに、よく見えない状態になっていることにジェミニが不満を抱いていないのです。ジェミニ本人が汚したのなら不満がなくて当然ですが、わざと汚した母親の写真をふつう飾るでしょうか?

なぜ写真は汚れている?

この写真について可能性があるなら、3つです。

①手違いで汚れたがそのままにしている(偶然の事故)
②わざと汚した写真をあえて飾っている(本人の意志)
③誰かが写真を汚したが、ジェミニは違和感をもたずにそのまま飾っている(他人の操作)

いずれの可能性を捉えても、どこか妙な状況だと感じられます。

手違いで汚れた(偶然)

「①手違いで汚れた」の場合、なぜ放置しているのかが疑問となります。しかしなにで汚れているのか判然としないため、汚れを落とせなかったのか落とさなかったのかもわからないのです。たとえば

①-A 落とすほどではない汚れだという可能性
①-B もはや落としようがなく諦めるしかない

という状況が考えられます。

①-Aは、わざわざ「汚れている」と認識しそう表現するほどの状態になっているなら、無視できるものではないと考えられます。①-Bは、もはや落とせない汚れであるなら、メッセージにもっと悔しさが滲み出ていてもいいでしょう。

少しずるい考え方ですが、ゲーム上の演出として見てみると「汚れはもはや落とせず、ジェミニは悔しいのだが、作者の演出が下手で悔しさが感じられない結果となっている」と捉えることもできます。しかし考察としてこれを採択する意味はあまりありません。

それにもし制作者のミスを考えるなら、こうした細かい点を考えるのはもとよりあまり意味がありません。「そんな細かいところを気にするなんて作者は思ってなかった」ですべて台無しになるからです。

メッセージでは「赤く」と書かれていることから、血をイメージさせる演出でしょう。しかし実際に血かどうかを確かめる術はありません。そのため偶然で汚れたと捉えるなら、演出上あまり深く考えずに作者は血を表現した、と捉えるような向きになります。

わざと汚した(故意)

「②ジェミニがわざと写真を汚した」の場合だと、たとえば母親を恨んでいてその感情を忘れないようにするために飾っている、というような状況を考えることができます。

しかし確かにジェミニが母親を手にかけた節があるものの、ジェミニはさほど復讐型・激情型の性格には見えません。もちろん人には他者からわからない面がある上、ジェミニは二重人格のきらいがあるので、信頼のおける推測ではないのは留意しておくべきでしょう。

いずれにせよ、わざと汚した場合は「なにで汚れているのか」がわかるはずです。なぜならその場合、汚した本人がジェミニであり、はないちもんめではジェミニとしてその写真を見ているからです。それで「なにで汚れているのかわからない」というのは、記憶を失っているのと同様です。

ここでは「赤くよごれてて」とあります。しかしたとえば泥で汚したら「茶色に汚れていて」ではなく「泥で汚れていて」「泥で汚したから」、絵の具で汚れていたら「〇〇色の絵の具で汚れていて」「〇〇色の絵の具で汚したから」と、基本的に「なにで」という物質・素材の情報が入るのが妥当です。

もしそれが入らないとしたら、「入れたくない」のではなく、「入れられない」と判断することができます。ジェミニはなにで汚れているかを表現したくないのではなく、なにかわからないから表現できないのだと判断できるのです。

そう考えると、わざと汚したという線はあまり信憑性がありません。ジェミニが汚したものの記憶を失っている、というような妙な状況でもない限り、あまり合わない推測となります。

誰かが汚したが、違和感はない(操作)

「③誰かが汚した」という場合、「誰が汚したのか?」という疑問が残ります。この状況では「誰かが勝手に汚した」ということにジェミニが忌避感・嫌悪感を示していないので、この汚されている様子に疑問をもたないように精神を操作されている可能性があると考られます。

ジェミニが怒るでもなく悲しがるでもなく、非常にフラットな落ち着いた状態で写真について叙述していることから、「汚れていることに違和感がないように操作されている」と考えることができるのです。

凶のしわざ?

ここでは、ジェミニの反応の薄さから「誰かがジェミニの記憶・感情を操作している」という線で考察を進めていきましょう。

このジェミニの反応は、いわば端緒に過ぎません。記憶を改竄されているのは、ジェミニだけの話ではないようなのです。
このミノニヨクシティの世界では、「大切なこと(人)だけど思い出せない」という状況がよく見受けられ、しかも「思い出せないことに違和感をもたない」ということが当たり前のようにあるのです。

店の前の住人

たとえばピギュラ(ユウヤ)の店舗予定地に、以前住んでいた人のことが挙げられます。住人全員がその人のことを忘れています。エンディング前の幽霊退治のときに、電話をかけてくる人物です。ジェミニの場合と違って、前の住人については誰が忘れさせているかハッキリしています。凶であるミチビキです。

トゥルーエンドでは自覚したユウヤのもとにミチビキが現れ、ミノニヨクシティに残るか残らないかを迫ります。残らない選択をした場合、輪廻道へ旅に出ることになります。その際、ミチビキはこう明言します。

あ、あと~。
貴方のことは、ミノニヨクの方々の
記憶から消しちゃいますからね~。
どうせ貴方も、旅をしているうちに、
イロイロと忘れていきますから~
寂しくないですよ~大丈夫です~。

これはおそらくミチビキだけの能力なのではなく、箱庭をもつ凶がふるう能力なのでしょう。ミチビキだけの能力であれば他の凶が羨むはずです。しかしそうした声は見受けられません。また自覚した住人が暴れず箱庭に住み続けるという実績はあるものの、彼だけが特別な能力を与えられるほど優遇されている気配もなさそうだという点も挙げられます。

なによりこうした能力があることを踏まえると、自覚して暴れた者の存在を忘れさせたなら、とても箱庭の治安を維持しやすくなることがわかります。つまり箱庭の住人の記憶を操作する行為は、治安維持を重視するなら実行する可能性が充分にあるということです。

管理者の権限がわからない

このようにミチビキをはじめとした管理人の凶たちには、住人の記憶を操る能力があることが推測されます。少なくとも自覚して進んで輪廻道に行きたがる住人に対してのみという条件があるかもしれませんが、ミチビキに記憶を操作する能力があることは間違いありません。

しかし結局のところ、その記憶操作がどこまで可能で、どこまで制限されているのかがわかりません。こればかりはたしかな情報が必要となります。ミチビキの記憶操作の能力を拡大解釈することはできるものの、確定している情報があまりにも少ないので、どこまででも拡大できてしまうのです。

それに凶すべてにこの能力があると仮定して、濫用されると秩序がむしろ乱れることは火を見るよりも明らかです。凶たちが能力を悪用しようとすれば、住人たちを弄ぶことが容易だからです。そのため凶たちの上司であるサトリ・ミトリが監視している可能性もあります。

いずれにせよ情報の少なさから、ジェミニのように「違和感をもたない」という状況が凶たちのしわざだと考えるにしても、「かもしれない」程度でまとめることしかできません。

神のしわざ?

もしくはゲーム内では明示されていませんが、死後の世界にも「神」がいて、その存在が記憶を改竄していると考えることもできます。もちろんこの場合、神はサトリ・ミトリよりも上位の存在です。

もしくは単に「死んだらこうなる」と、もはやそういう定理なのだと納得する他ないのかもしれません。これは私たちが「なぜ歳をとるのか」「なぜ他者の命を食わねば生きられないのか」という命題に対して、「もうそういうものだからしかたない」と半ば諦めるように感じるのと同様だといえます。

次のエントリ

次回のエントリでは、今回の「精神操作」の続きを考察していきます。

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