概要
「Left on Read」は、海外製のノベル型ACTです。新型コロナウィルスの影響で会えない男女のスマホでのメッセージをノベルのように読んでいき、選択肢をプラットフォーマーACTの感覚で選んでいく作品です。
このゲームの特徴は、グラフィックとして際立った”絵”がほとんど表示されないこと、スマホでのメッセージのやりとりをノベルのように読んでいくこと、メッセージの吹き出しの上を自機が移動できて選択肢を選ぶときはその選びたい選択肢の吹き出しに飛び乗れば選べるという特殊なシステムです。
最初にいっておきたいのは、これは現在のコロナウィルスでの自粛期間をモチーフにしているので、それが落ち着いてからプレイするより、まさに同じ状況にある今プレイするのが最高のタイミングだということです。
もし少しでも興味があるなら、早めにプレイしておくのがオススメです。
グラフィックがほとんどない
ゲーム内では主人公と会話相手の2人で基本的に進められていきます。主人公や相手のグラフィックは表示されないので、実際には男か女かはわかりません。同性相手だと見なすこともできます。
しかしSteamのライブラリのページでは、以下の壁紙が設定されています。
これはあくまでイメージ映像と捉えられますが、基本的には男女の恋愛(未満)の様子を描いた作品だといえるでしょう。
いずれにせよ、おおむねゲーム内でグラフィックが表示されないのは、プレイヤーにとって特に大きな利点はありません。グラフィックがないことでむしろ想像力を働かせることができるかもしれませんが、その代償としてチープで手抜きに見えるという点があるからです。
メッセージ型ノベル
このゲームでは、スマホでのメッセージやLINEなどのコミュニケーションアプリのテキストメッセージと似た形で会話が続き、それを読んでいくという形のノベルとなっています。
通常ノベル作品であれば、多かれ少なかれ「地の文」と呼ばれる説明文が書かれます(カギカッコなどでくくられない文章。セリフではない文章)が、このゲームではメッセージ以外の文章が表示されないので、「地の文」のような記述はまったくありません。
主人公とメッセージを送り合っている相手は、恋愛関係までは発展していない友人らしく、ゲーム全体を通してもどかしい会話が続けられていきます。そんななかで相手のメッセージにどう対応すべきかという複数の候補が登場することがあり、プレイヤーはどちらの候補がより適切か判断して選んでいきます。
ゲーム自体はステージ制として、ある日の一連の会話を続けていきます。クリアした日の会話は、メニューからいつでも遊びなおせます。
全体的ににっちもさっちもいかないじれったい会話が続くので、それを楽しめる人ならかなりのめりこめるでしょう。
視点として、(おそらく男性側の)主人公がメッセージを打っているまさにその最中を見られるので、テキストメッセージを送るときによくある「打ったテキストを消してはまた打ち、また消しては平凡な表現を送る」という様子が何度も伺えます。
ズルいシステムだと感じられるのは、選択肢でもこの「打ち直し」があることです。「こっちのほうがよさそうな選択肢だな」と思って選ぶと、選んだ後で主人公がメッセージを消して打ち直してしまうことがあるのです。一部だけ修正することもあれば、全文を打ち直してしまうこともあります。ズルい。
ちなみにタイトル「Left on Read」とは、「既読のまま(なんの返答もせず)離れる」、つまり既読スルーを意味するようです(この場合readは過去形「既読」であり、リードではなくレッドだそうです)。
このタイトルに偽りなく、主人公がメッセージを送って既読になった後も相手の反応がなく、いたたまれなくなった主人公が続けざまにメッセージを打ってしまう、というシーンもあります。
また選択肢によっては相手が♡を送ってくれたりするので、相手の反応をテキスト以外で感じることもできます。
吹き出しに乗るプラットフォーマーACT
そうしたテキストメッセージを読んでいくスタイルに不思議とマッチするのが、プレイヤーの自機がメッセージの吹き出しの上に乗って移動する「プラットフォーマーACT」のシステムです。
このシステムのおもしろいところは、選択肢をえらぶときにも「えらびたい選択肢(の吹き出し)」に自機をジャンプさせて乗せることで「選んだ」という判定になるところです。
通常のノベル作品では、選択肢をマウスでクリックしたりキーボードの上下キーで選択したりします。このときふつう「あっちの選択肢をえらぶつもりだったのに間違えてこっちの選択肢にしちゃった!」というようなミスはほとんどありえません。
しかしジャンプを駆使するプラットフォーマーACTなら、ミスが発生しうるのです。たとえば相手を気遣うような選択肢は高かったり離れたところにあったりして、そっけない選択肢は逆に低かったり近かったりする、という具合です。
実際ゲーム内のとあるシーンで選択肢が表示されたとき、相手を気遣うような選択肢が離れたところにあり、近くて低いところに「k」という選択肢があり、気遣う選択肢をえらぶためジャンプしようとしたもののミスしてしまい、「k」を間違ってえらんでしまいました。
この「k」とは「OK」を略した非常にラフかつ素っ気ないリアクションで、とにかく手短に「そっか」「わかった」を伝えるだけのメッセージです。日本語でいうと、「了解」を短縮した「りょ」や「り」に近いでしょうか。
こうした(制作者が意図して設計した)ミスは、通常のノベル作品では基本的にありえません。「ある選択肢に乗ろうと思ったのに、間違えて別の選択肢に乗ってしまう」というミスは、基本的にこのゲームのシステムでないと発生しえないのです。
コロナウィルスの外出制限
すでに述べましたが、もう1つの特徴的な要素として、このゲームはコロナウィルスで外出制限がある現在の状況が反映させられています。会話相手(のおそらく女性)は、外出制限などでテキストメッセージばかりのコミュニケーションにうんざりしているようです。それに合わせて、思春期を思わせるセンシティブな発言も見られます。
時事的で先の見えない不安を表現するのに、しっかり成功したゲームだといえます。
オススメ度
「Left on Read」のオススメ度は、Sランクです。Sランクは★が3つ(★★★)で、毎週のまとめ記事にて「オススメ」としてピックアップできるくらいのオススメ度を示します。
このゲームがSランクなのは、新型コロナウィルスでの自粛ムードや将来への不安を感じさせつつ、ノベル作品としてゲーム性を確保したまま、しっかりと恋人未満のじれったい様子を演出できているゲームだからです。
もしこれが日本語でもリリースされていれば、SSランクになっていたかもしれません。そうならなかったのは、やはり日本では英語が今でもまだ壁となっているからです。
少しでも英語が読める方や、ほんの少しでもおもしろそうだと興味をもった方は、無料ゲームということもあるので、気軽に試してみると意外と楽しめるかもしれません。急がないとクリアできないゲームではないので、わからない表現をネットで調べつつプレイすることもできます。
ゲームの情報
タイトル | Left on Read |
開発 | Weston Bell-Geddes |
オススメ度 | S<オススメ>:★★★(週間でのオススメ) |
リリース日 | 2020/05/19 |
価格 | 無料 |
次元 | 2D(2次元) |
ジャンル | ノベル/プラットフォーマーACT |
特徴 | コロナ禍/恋愛/ミス誘発/ずるい/ステージ制/シングル/実績/長時間待機/Steam |
視点 | ― |
グラフィック | シンプル系2D |
操作方法 | キーボード |
言語 | 英語 |
インストール | 必要 |
ファイル容量 | 392MB(2020/06/03時点) |
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【#1ツイゲームレビュー】「Left on Read」
無料でプレイ⬇https://t.co/E7UEzL3hHe
コロナで自粛中の2人。
テキストメッセージで会話。会えない寂しさ、先の見えない不安。
恋人未満のじれったい口調。自機を動かして選択肢をえらぼう。
ACT×ノベルの異色作!#Steam #無料ゲーム pic.twitter.com/uKTWZM5moK— GURASUTO @最新作など1ツイでレビュー (@CGurasuto) May 30, 2020
補足
かなり特殊で興味をそそる作品!
スマホでのメッセージを読みつつ
プラットフォーマーACTで
選択肢をえらんでいくという
かな~りフシギなゲームです。青春ド真ん中なメッセージも
じれったくて甘酸っぱい。英語が得意でなくても
じれったくなるかも? pic.twitter.com/C9ZlzZjx9G— GURASUTO @最新作など1ツイでレビュー (@CGurasuto) May 30, 2020
プラットフォーマーACT要素が
実はけっこうアクセントを生んでいます。選択肢をえらぶとき
その吹き出しの上に乗るんですが、
すべって別の選択肢をえらぶという
ミスに繋がることもあります。ふつうのノベルじゃありえないミス!
絶対 作者の思う壺じゃん!↓ジャンプをミスした瞬間。 pic.twitter.com/MoVw7C8hyN
— GURASUTO @最新作など1ツイでレビュー (@CGurasuto) May 30, 2020
まさに今現在の
新型コロナウィルスでの
自粛で会えない様子を描いているので「興味あるけどいつかやろう」
と積みゲーにするより
早めに今プレイするのが旬な作品です。おもしろい英語の表現を
見られたりするのもイイですよ。— GURASUTO @最新作など1ツイでレビュー (@CGurasuto) May 30, 2020
たとえばゲーム内で
「smth」という単語が出てきます。「Smithさんっていう人名じゃないだろうし……」
とナンダロウなーと思ってましたが、
どうやら「something」の略らしいです。こういうのは
生きた英語を見ていかないと
発見できないですよね。— GURASUTO @最新作など1ツイでレビュー (@CGurasuto) May 30, 2020