このゲームに一言キャッチフレーズをつけるとしたら?
概要
人身売買デスゲームは、日本製の論理パズルゲームです。デスゲームに参加させられ、生き残って勝ち抜くために論理パズルをクリアしていく作品です。
説明文
RPGアツマールの個別ページには、以下のような説明文が掲載されています。
■「反論」して価値競争を生き残れ!■
人の価値は発言によって上下する。他人の発言に適切な言葉をぶつけて相手の価値を操作しよう。■「投資ゲーム」を体感■
能力者の価値はグラフを描き、常に変動し続けている。
プレイヤーは株に投資するように他人の命を売買し、カネを稼ぐ事ができる。
本作はRPGアツマールで公開されているブラウザゲームであるため、PCでもスマホでも遊ぶことができます。
開発者
開発者は「蔦森くいな」さんです。この「人身売買デスゲーム」は2018年に開催された「ゲームクリエイターズキャンプ」参加作品として公開されています。
蔦森くいなさんは他にもゲームを公開されており、一人称ステルスホラー「あかめ」、パズルゲーム「集まれ!アツマライオン」、横スクロール型アクションRPG「コネクトネイバー」などがあります。
個人サイトではゲームの記事だけでなく、LINEスタンプなどについての記事もあります。
Twitterでは「@Kuina_T」で活動されていらっしゃいます。
また同サイトにて画像素材を配布していたり、本作のシステムを利用したシナリオ作成ができる「人身売買デスゲームメーカー」が発表されていたりします。
フリー(無料)ゲームですので価格はゼロ円です。
またRPGアツマールとしてブラウザ版のみが公開されていますので、インストールは必要ありません。
ゲーム概要
それではゲーム本編の概要について確認していきましょう。
ジャンル
「人身売買デスゲーム」は、異能をもつ能力者たちがお互いの命を投資・売買し合ってお金を稼ぎながら、ステージごとに価値がもっとも低い者が脱落して売却(ほぼ死を意味する)されていくデスゲームに参加させられる作品です。
本作は2つの要素に分けることができ、逆転裁判風の「論理パズル」を解いて優位を築き、脱落し売却されないよう生き残るシステムと、デスゲームに参加させられることとなった能力者たちがお互いの「命」を株のように売買してお金を稼ぐシステムとに二分できます。
ストーリー
主人公・海老原大千(エビハラタイチ)はいじめられていた。彼は自殺を決意して学校の屋上から飛び降りようとする。そのとき誰かに背中を押されて落下するなか、タイチは「死にたくない……!」と後悔する。
タイチが目を覚ますと、そこは異能をもつ者たちが集められデスゲームが開催される場所だった。デスゲームの開催者である「えべっさん」は、タイチたちの魂をぬきとって異能を目覚めさせたこと、その能力をほしがる投資家に能力者を売りつけていること、デスゲームで価値がないと判断されれば売却されることなどを語る。
自分の能力がいったいなんなのかもわからないまま、タイチはデスゲームに参加させられるのだった……。
世界観
基本的に現代日本が舞台となっています。しかしデスゲームに参加させられるキャラクタたちに「異能」が与えられており、それぞれ独特な能力を1つ保有しているように、ファンタジー要素が強く含まれています。たとえば冒頭で示される参加者1人は「炎を発する能力」をもっています。基本的に参加者同士の殺し合いは行われませんが、そうした攻撃的な能力も存在します。
また開催者である「えべっさん」の素性はわからないものとなっており、能力の存在や、投資者の実情なども不明となっています。終盤では多くが判明するのですが、すべてはタイチが生き残ることができるかどうかにかかっています。
グラフィック&音楽
グラフィックはダンガンロンパにも似たキャラクタ絵が使用されていますが、全体的に多様な人物絵が使われています。マップやキャラクタの移動時は典型的なRPGツクールの印象がありますが、投資チャートを含めた「デジタルウォレット」のシステムなど、他のゲームにはない独特なビジュアルでゲームを楽しむことができます。
またところどころでアニメーションが挿入され、見た目にも楽しくなっています。海外ゲームのようにゴア表現・流血表現はありませんが、しかし婉曲的な残酷表現はあるので少し人を選ぶかもしれません。
音楽はオリジナルなのかフリー素材なのかはわかりませんが、誰がもっとも価値のないもので売却されるべきかを舌戦を繰り広げる「能力者総会」では盛り上がるBGMが再生されるなど、ゲームのプレイを支える音楽となっています。
なおエンディングでは歌つきの曲が再生されます(エンドロールではフリー素材などの協力は掲載されていませんでした)。
操作方法
PCではマウス・キーボードのどちらでも操作できますが、「ウォレット」や「コトノハ」などマウスでクリックしないと使用できない要素があるので、キーボードだけで操作することはできません。
RPGアツマールの個別ページには、以下のような説明文が掲載されています。
■スマホ操作に完全対応!■
PCではマウスを使用して下さい。メニューではスワイプやマウスホイールで項目をスクロールできます。
参加者の命を売買してお金を稼ぐ操作をする場合、価値が刻々と変化していくため手間取ると「買いたい価格で買えなかった」「売りたい価格で売れなかった」ということになりかねません。もちろん実際の株の売買でも似たようなことがあるはずなので、この操作性が悪いということではないでしょう。
全体的にアクションゲームのような激しく細かい操作が要求されるわけではないので、操作性にストレスを感じることはあまりないと思われます。
ゲーム性
「ジャンル」の項目で述べたように、本作は逆転裁判風の「論理パズル」システムと能力者たちがお互いの「命」を株のように売買してお金を稼ぐシステムとに二分できます。
論理パズル・コトノハ
論理パズルのシステムは、他のキャラクタと話すことで「コトノハ(言の端)」を集め、会話の最中に助言や反論をする際にこのコトノハを使用することができます。相手の発言が緑色になっている場合は助言を行うことができ、適切なコトノハを選べばその話者(緑色の言葉を発言した人)の価値を上げることができます。それに対して相手の発言が赤色になっている場合は反論となり、適切なコトノハで話者(赤色の言葉を発言した人)の価値を下げることができます。
こうしたコトノハを使用した助言・反論で自分の発言レベルを上げることができ、また相手の価値を上下させることもできるので命の売買でより効果的に儲けることができます。
特に各ステージの最後では「能力者総会」が開かれます。これは強制参加者である能力者たちが議論で舌戦を広げ、自分の価値を投資者にアピールし、また誰がもっとも価値がなく売却されるべきかを決定する場となります。進め方はコトノハを用いて助言・反論をする基本システムと変わりませんが、タイチが売却されるとゲームオーバーになってしまいます。
売買・デジタルウォレット
コトノハを用いた論理パズルと同じく「人身売買デスゲーム」の二大システムとなるものには、「デジタルウォレット」を使用した売買システムもあります。
売買システムはプレイする上では基本的に主人公・タイチが他人の命の価値チャートを使用してお金を稼ぐのに用いられます。稼いだお金を使用して参加者から情報を買ったり、「えべっさん」から有用な補助システムを購入したりすることができます。
デジタルウォレットは自分の所持金・純資産を見たり、自分や他の参加者のチャート・価値を確認したり、実際に命の売買を行ったりできます。またストーリー上、各ステージで参加者のIDとして使われることもあり、用意された部屋を開けたり物品を得たりするための認証システムとしても利用されます。
このデジタルウォレットは、「カイジ」のように繰り広げられる凄惨で熾烈なデスゲームを、より近代的な戦いへと押し上げるアイテムとなっています。
所要時間
RPGアツマールの個別ページにて想定プレイ時間が「180分」と記されているように、およそ3時間程度でクリアできます。ゲームオーバーになってもやり直しがきくゲームですので、ミスが発生しやすい論理パズルとしては気楽に遊ぶことができるでしょう。
どうやらマルチエンディングではないようですので、誰を蹴落とすことになるかあまり気にせずにプレイするといいのではないでしょうか。
難易度
基本システムが論理パズルであるため、正解を導くのは簡単とはいえないでしょう。またコトノハを使用した助言・反論は決まったコトノハしか使用できないため、有力に見えても間違いを選んでしまうとミスにしかなりません。実際にクリアしてみると、全体的な難易度は「易しくはない」という程度で、難しいというほどではありませんでした。
しかし個人的に価値チャートを利用した売買システムにおいて、常に価格の変動が発生するため、慣れるまではその不安定さにちょっとしたストレスを感じました。おそらく「株やFXで短期的投機をしている人がチャートから目を離せなくなる」のと似たようなストレスでしょう。
中盤以降は細かく見ずに大ざっぱに売買していてもコツさえつかめば稼げるとわかったので、そのストレスは瓦解しました。しかしその序盤のストレスを考えると、同じように感じてしまう人がいるかもしれません。
クリアした私からアドバイスすることがあれば、序盤は売買システムを適当にしておいて構わない、ということがいえます。お金を稼ぐのは二の次にしておいて、1億を切らない程度に小さく投資していくのがいいかもしれません。
ステージを進めて中盤くらいになると、コトノハを用いた論理パズルのコツがわかってきます。するとコトノハを用いた参加者の価値の上下を操作するコツも掴めてくるので、そのうち超短期的な投資で稼ぐことができるようになってきます。
ですのでクリアするための要点は、論理パズルであるといえます。この論理パズルは「易しくない」程度だと述べたように、ゲームオーバーになっても繰り返していればクリアできる難易度になっています。そのため多少時間がかかったとしても、繰り返しプレイしていればクリアはできることでしょう。
論理パズルをメイン、売買システムをサブに置いたときの全体的な難易度は、やはり少し高めの中程度(中の上)くらいだと感じられましたので、59点(100点中)としました。
ゲームの情報
タイトル | 人身売買デスゲーム |
開発 | 蔦森くいな |
オススメ度 | S<オススメ>:★★★ |
リリース日 | 2018/05/27 |
価格 | フリー |
次元 | 2D(2次元) |
ジャンル | デスゲーム系 論理パズルADV |
特徴 | 逆転裁判風/カイジ風/シングル/RPGツクール |
視点 | 斜め見下ろし |
グラフィック | アニメ調2D |
操作方法 | マウス&キーボード |
言語 | 日本語 |
インストール | 不要 |
ファイル容量 | ブラウザでプレイするので「なし」 |
次のエントリ
次回のエントリでは、「人身売買デスゲーム」のオススメ(メリット)とイマイチ(デメリット)についてまとめていきましょう。