【フリゲ】「人身売買デスゲーム」はどこがオススメ? どこがイマイチ?【論理パズル】

ゲーム紹介

こんにちは、Caffeineです。
フリーゲーム「人身売買デスゲーム」について、前回に引き続きご紹介してまいります!

今回はネタバレなしで、未プレイの方に向けて「人身売買デスゲーム」のオススメな部分とイマイチな部分を客観的に解説していきます。

どんな人向け?
逆転裁判のような論理パズルが好きな人
デスゲームのスリルを感じたい人
カイジのような作品が好きな人

前回のエントリ(基本情報):

【フリゲ】売られないようあなたの価値を高めてください……! 「人身売買デスゲーム」【RPGアツマール】
概要 は、日本製の論理パズルゲームです。デスゲームに参加させられ、生き残って勝ち抜くために論理パズルをクリアしていく作品です。 説明文 RPGアツマールの個別ページには、以下のような説明文が掲載されています。 ■「反論」...

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「人身売買デスゲーム」について、少し踏み込んだ情報を考えていきましょう。

「ここがオススメ!」

「人身売買デスゲーム」はどんなところがオススメなのでしょうか? ぜひプレイするか否かの情報としてお役立てください。

逆転裁判風

この「人身売買デスゲーム」は逆転裁判のように論理的に相手の話の矛盾点を突いていくゲームです。そのため巧く進めることができると、まさにパズルを解いていくような爽快感があります。もちろんこれはわざと論理的に誤っている部分が用意されているので、「作者がどのように『解いてほしい』と考えているか」を認識するとよりクリアしやすくなるでしょう。


相手の発言の矛盾点を突く「反論」。異議があるわけでもロンパでもない。

本作はカイジに似ていると以前言及しましたが、同じ境遇にある者同士が不思議な絆で結ばれていく様子もあり、終盤はなかなか熱い展開になります。敗者は売却されてゲーム内ではほぼ死んだ扱いとされるため喪失感はありますが、どこか少年マンガを思わせる展開もあり、後ろ向きなテーマのなかに前向きなキャラクタの意志が感じられる作品となっています。そのためストーリーは「少年マンガ風カイジ」ということができるかもしれません。


助言では相手の価値を上げられるので、売買にも役立つ。

デスゲームのスリル

ゲームのタイトルにもあるように本作では「デスゲーム」が繰り広げられます。心理戦として誰を信用し誰が信用できないのかを実戦で探っていくというのは、マンガの世界でもよく使われるテーマです。特にゲームではマンガと違って実際に参加する追体験ができますので、マンガで読み進めるより臨場感が高くなっています。


最初は認識が甘いタイチ。いじめられっ子で済めばかなり運がいいだろう。

もちろんタイチが最下位になって売却されゲームオーバーになっても、それまでの進めてきたすべてが無駄になるのではなく、チェックポイントからリスタートすることができます。そのためクリアする際に重要となる論理パズルは、何度か繰り返していればいずれクリアして次に進めるようになっています。ですのでデスゲームのスリルを味わいつつ、失敗したときのデメリットが少なく軽減されている見事なシステムだといえます。

ユーザビリティが高い

そうしたリスタートが可能なシステムを含め、「人身売買デスゲーム」はフリーゲームとしてはかなりユーザビリティが高いゲームといえます。ユーザビリティとはuse(使う)+able(~できる)+ity(名詞化でつける言葉。~性)=usability(有用性・使いやすさ)を意味し、ソフトウェアやアプリケーションでは実際に使用するユーザーにとってどれくらい扱いやすいものとなっているかを示す指標となります。

ゲームなどでは、たとえばアクションやシューティングで自機がなんらかの攻撃を受けると「一撃死」をしてしまうものと、体力制で何度かなら耐えられるものとがあり、後者の体力制のほうが遊びやすいシステムになっています。
またMinecraftや不思議のダンジョンシリーズ、またそれに類するゲームで、自キャラの死亡時にアイテムをすべて失うシステムはユーザビリティが低いといえます。しかしこれは生き残るサバイバル要素をリアルに実感させることのできる緊張感・スリルへと繋がります。

「人身売買デスゲーム」では、主要システムである「コトノハを使用した論理パズル」と「能力者たちの命を売買するシステム」のどちらも、ユーザビリティが高くなっています。

コトノハを使用した論理パズルでは、コトノハを取得する際にアニメーションで強調されるのでわかりやすくなっており、また会話している際に助言・反論できる相手の言葉には、助言は緑、反論は赤といった色分けがされているため、どこでコトノハを使うべきかも明示されています。


左上に表示されるチャート図。価値の上下が刻々と変動するのが視認しやすくなっている。

命の売買システムでは、株価のようなチャートがグラフで表示されているのが大きいといえます。このチャートが実装されていなければ、遊びにくい質感が強く印象に残っていたかもしれません。またデジタルウォレットというIT製品のようなガジェットを導入することで、ただの異能バトルではない近代的なニュアンスを醸し出すのに成功しています。

クリアにかかるのは3時間ほどですが、薄い3時間ではなくしっかりとした濃さのある3時間となることでしょう。それはユーザビリティが高いため、不要な行為を繰り返さずに済み、プレイする上でしっかり味の濃い体験をし続けることができるからです。

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図部野 素人

完成度が高いってのもあるが、
逆転裁判風とかカイジ風っていう
他の作品が好きな人にも
合いそうなのはいいよな。

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初 心

ちょっとノリが軽いとこも
サブカルに馴染み深い人には
とっつきやすいかもね。

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Caffeine

ためしにプレイしてみる感覚でも
いいかもしれませんよね。

「ここはイマイチ……」

それでは逆にどんなところがイマイチなのでしょうか?

売買システムはサブ要素

本作の二大システムは「論理パズル」と「売買システム」だと、前回のエントリも含めて何度か述べてきました。しかしクリアに本当に大事なのは論理パズルであり、売買システムはあくまでサブ要素に過ぎません。冒頭で1億を入手しそれを元手に売買システムで増やしていくことになり、慣れれば何十億と増やしていくことができますが、クリアにはそこまで稼ぐ必要はありません。

その理由は、ゲームオーバーになる原因は「主人公・タイチの価値が下がって最下位になる」ことであり、実質的に所持金はあまり関係ないからです。タイチの価値は、論理パズルでミスを重ねずにしっかりと正解を選び続けることである程度保つことができますし、ある程度低くなってしまっても「反論」で別キャラを追い詰めることで最下位にしてしまうこともできます。

そのため最初に売買システムに躍起になることは、あまり意味がありません。論理パズルをしっかり進めていくことはクリアに繋がりますが、序盤で売買システムに力を入れて数百万をじりじり稼いでいくことは、おおむねいたずらにプレイ時間を重ねることにしかなりません。
こうした売買システムが実質的にクリアにあまり影響してこないというのは、ゲーム全体のバランスとしてはシミュレーションゲームというよりパズル要素が大きく傾ぐ結果となっているかもしれません。

カイジ風が合わない人も

本作では人が死にます。実際は死ぬシーンが描かれませんし、流血表現などもない婉曲的で遠回しな表現に留まってはいます。そのため具体的には「作品内のキャラクタが『売却された者は死んだ』と認識する」に過ぎません。しかしご存知の通り、作品内で言及されたりたとえ裏設定であっても公言されたりしない限り、こうした設定はいつまでも「真実」であり続けます。

そして世のなかにはこうした「人死に」がたとえフィクションであったとしても、発生するのを見たくないという人がいます。そうした人にとっては、本作がというより、「デスゲーム」というテーマ自体が受けつけにくいものとなってしまうでしょう。

そもそも今回「逆転裁判風」「カイジ風」と既存の作品を「作風が似ているもの」の例として挙げていますが、これは単にそうした既存の作品への印象を本作にも適用して、本作をプレイする前にどういった作品なのかわかるようにできるという意味合いがあります。そこに好意的解釈と非好意的解釈の区別はなく、逆転裁判やカイジがもともと好きならば本作を好きになる余地がおおいにありますし、逆に逆転裁判やカイジが好きでないなら同じように本作も好きになれない可能性がおおいにあります。

「デスゲームを楽しむ」という不謹慎さ

そして本作のような「デスゲーム」をテーマとしたものは、基本的に不謹慎にならざるをえない部分がある、と言及しておかねばなりません。デスゲームものの作品ではおおむね「(半)強制的に参加させられる参加者たち」と「それを安全なところから見て楽しんでいる富裕層(特別階級)」のように分類され、作品内で後者の富裕層たちは非常に残酷な精神の持ち主であることがほのめかされます。そして参加者たちはデスゲームを勝ち抜くなかで連帯意識・仲間意識、そして富裕層への怨恨・対抗意識を育んでいくとになりやすいものです。

キャラの苦悩を楽しんでいる?

残念ながら、この2つにのみ分類するなら、我々プレイヤーは安全な場所でデスゲームを楽しむ特別階級にあたります。作者も同様に特別階級ですし、むしろ作者は「運営者」にあたり、本作でいうなら「えべっさん」と似た立ち位置にあたることでしょう。

マンガやアニメ、映画などが見られることで存在し、ゲームがプレイされることで存在するという独我論的な考え方があります。私たちがまだ読んでいないマンガのキャラクタは、世界には存在しても「私たち自身の世界」には存在しません。まだプレイしていないゲームのキャラクタは、私たちが実際にプレイし始めるまで存在せず生まれません。

これは素晴らしい作品に出会ったときに「なぜもっと早く読まなかった(見なかった/プレイしなかった)んだ!」と感じることがあるのと同様です。作品がこの世に存在するのとは別に、私たちにとって作品は「実際に鑑賞・体験するまでは存在しないも同然」なのです。これを私たちの目線ではなく、作品内の目線で捉えると、「作品内のキャラクタの苦悩や幸福は、誰かによって鑑賞・体験されるまでは存在しないも同然」だといえます。

たとえば本作でいうと、冒頭のチュートリアルともいえるオープニングで1回めの能力者総会が行われ、1人めの売却されてしまう被害者が発生します。これはもはやストーリーとして決まっているようなので、どう足掻こうとその人物が売却されるのを避けることはできません。
しかしもし私たちがその1回めの能力者総会の途中でゲームを中断してしまった場合はどうでしょう? ゲーム内の時間は永久に止まり、その被害者が売却されてしまうのを永久に阻害することができます。

もちろん実際にはストーリーはすでに決まってしまっているため、そんなことは大した意味をもちません。しかしマンガを読んでいるときに好きではないシーンがあったら読み飛ばせるように、映画で好きではないシーンがあったら早送りしてしまえるように、「飛ばす」ことで私たち鑑賞者はある種「なかったこと」にできるのです。

「楽しむ」ことが「苦痛」になりうる

私たちが鑑賞しないことによってなかったことにできるということは、「鑑賞する」という行為自体が「あったこと」にするということです。本作がとても気に入ったからと10回プレイしたなら、被害者は10回死ぬことになります。100回プレイしたなら、100回死ぬことになります。こうした考え方をすると、鑑賞者である私たちが繰り返し「楽しむ」こと自体が、作品内のキャラクタにとっては「苦痛」になりうるとはいえないでしょうか。

「作品内のキャラクタの苦悩や幸福は、誰かによって鑑賞・体験されるまでは存在しないも同然」であるならば、「作品内のキャラクタの苦悩や幸福は、鑑賞される度に繰り返される」ともいえるのです。

もちろんこの考え方への反論も可能です。それは「所詮作り話に過ぎない」という反論です。ゲーム内のキャラクタは実在しません。架空の人物です。そのため架空の人物の感情に対してなにを考えても無意味で無価値です。
しかしこれに対してもマンガを読みアニメを見ゲームをプレイする私たちは、「それは寂しいじゃないか」と言い返すことができます。作品内のキャラクタへの感動や感情移入を否定してしまっては、元も子もありません。

そうした観点から考えてみると、私たちゲーマーは常に「ゲームは所詮嘘に過ぎない」というゼロ(0)と、「ゲームはすべて紛うことなき真実である」というイチ(1)の間をさまよい続けます。

そしてゲームをイチ(1)だと捉えつつ本作を楽しんでプレイするということは、「作品内のキャラクタが苦しむことはわかっているが、自分たちは楽しいのでやめられない」という「安全なところで能力者たちの命を売買する富裕層」に極めて近い存在となっていくのです。

作者に関しても、「こうしたデスゲームものを作ればみんな楽しくなるだろう」と考えて作るということは、「えべっさん」のように悪逆な「苦しめてやろう」という気持ちがあるかどうかは別として、すでにそういうシステムを構築すること自体にちょっとした非道さを抱えているのです。

これは作品がおもしろくないということを示すものではありません。「デスゲーム」というジャンルを扱う以上避けられない点なのです。そしてデスゲームとしておもしろければおもしろいほど残虐になりがちなのも、このジャンルにはつきものの問題です。

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初 心

このデスゲームの解釈もそうだけど
ときおりCaffeineって
すごくシビアだよねw

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Caffeine

そうですかね?
自分としてはそうした印象はないのですが。

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図部野 素人

シビアというか
シニアだよな。
なんかオッサン臭え。

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Caffeine

シニアではありませんが、
まあオッサンはオッサンなので。

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初 心

シビアなシニアだよね。
そんでもってシニアなシビア。

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Caffeine

それはもう意味がわかりません。

次のエントリ

今回は客観的なオススメとイマイチをネタバレなしで述べてきましたが、次回は主観的な感想をネタバレありで述べていきます。

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図部野 素人

シビア!

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初 心

シニア!

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図部野 素人

シビアなシニア!

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初 心

シニア!

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図部野 素人

シビア!

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初 心

シニアなシビア!

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Caffeine

シビアとシニアが
ゲシュタルト崩壊
してきますね……。

 

 

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