こんにちは、Caffeineです。
今回は「ラックスの冒険~偽りの物語~」のオススメなところとイマイチなところを主にまとめていきます!
どんな人向け?
忙しくてあまりゲームをする時間がないけど遊びたい人
暗いゲームにはうんざりしていてあっさりしたゲームをプレイしたい人
進 – Advanced
それではこの「ラックスの冒険」について、少し踏み込んだ情報を考えていきましょう。
プレイ感
まずは実際にプレイしてみた上での主観的な感想や印象を述べていきます。
とてもサクサク!
私がこの「ラックスの冒険」をプレイしてみてずっと感じていたのは、とにかく「サクサク」と気軽にプレイし続けられたという点です。公式の作品説明文ではセールスポイントとして、仲間の多さが挙げられていますが、私はその点をさほど魅力には感じませんでした。
戦闘を高速で飛ばすことができ、気軽に拠点間をワープし、世界を軽い足どりで旅し、この人がやっぱり黒幕なのねとサクッと倒して世界を救う。意外性を感じはしませんでしたが、昔のドラクエやFFなど王道・古典的RPGの超ライト版として、RPGの要素をギュギュッとまとめたような作品だと感じました。
RPG要素はふつう
個人的に、RPG要素はとても「ふつう」だと感じました。これはイイ意味にも悪い意味にも捉えることができます。
後味が残らない
まず悪く捉えてみましょう。「ふつう」なRPGであることを悪く捉えると、非常に没個性的であると見なすことができます。
広く宣伝されているハリウッド映画を見て、「けっこうおもしろかったな」と思ってしばらく時間が経ち、1週間もすると「あの映画なんだったっけ?」とストーリーどころかタイトルや主演の俳優・女優も思い出せないようなものを見てしまった――たとえるなら、そんな印象に近いかもしれません。場合によってはそんな映画を見たことすら思い出せないということも、人によってはあるでしょう。
当サイトではゲームを評価する際に「ロール(役割)」という視点から見ることがあります。それはゲームの歴史から考えて、その作品がどのような「役割」として位置づけられるかを、とても大きいマクロな視点で「哲学的」「社会的」「芸術的」などの観点からロール(役割)というものを考えてみるという試みです。
そのようなロールの観点から本作を見ると、没個性的なので位置づけがかなり難しいのです。つまり「ゲーム全体・インディゲーム・フリーゲームの歴史に名を残す作品」とは位置づけしづらいのです。少し厳しい言葉で評価すると、どうしても「古典的RPGのレプリカ」といった印象が強くなってしまいます。
新作のカップ麺を食べてみた後で、「なんか味が薄いな……」と感じることがあるのとどこか似ているかもしれません。個人的にはそうしたカップ麺を食べたときより、本作をプレイしたときのほうがずっと満足感は残ったと明言しておきます。
半端な後味よりマシ?
しかしそれも悪く捉えてマイナス面を強調した場合の見方です。少なくともそう悪く捉えた上でも、まだイイ点を挙げることができます。
それは「後味がたとえ薄いとしても、悪い後味よりずっとイイ」という点です。
インディゲームによくある作風、特に日本のインディ・フリーゲームにままある作風として、「鬱」や「ダーク」系のものがあります。「闇」や「絶望」といってもいいかもしれません。
その作風の特徴として、人の汚い内面や弱さに強くフォーカスを当て、深く傷つきトラウマを抱えるなどして、救いがなくバッドエンディングが多いという点が挙げられます。この特徴は有名企業が制作するゲームよりも、少人数や個人制作などのインディゲームやフリーゲームに多い印象が、個人的に強くあります。
私はそういった作品が好きです。しかしそうした作品が得意ではない方も当然ながら多くいることでしょう。もし「日本のフリゲって鬱系ばっか」と見なしている人がいて詰まらないと感じていたなら、それはよくありません。
そうした鬱系のものが得意でない方にとっては、後味の悪い作品より、まだ後味が薄い作品のほうがマシだといえます。もちろんこれは最善ではありません。しかし最善でないとしても、最悪でもありません。これは程度の問題ですので、プレイヤーそれぞれが自分に合う作品を探すことができれば、それが最適だといえるのかもしれません。
よくいえば「すっきり」
こうした本作のRPG要素の「ふつう」であることについて、そして後味が薄いことについて、より前向きに捉えると、それは「すっきり」だと評することもできるということです。
たとえば食べ物には辛いもの、酸っぱいもの、苦いものがあります。こうした味わいは好みが大きく分かれるところで、嫌いだという人も多い要素です。いわばそうした要素がないのが、この「ラックスの冒険」です。つまりとても食べやすく後味がすっきりしているので、胃もたれや後悔が少ないといえるのです。
深夜に食べるこんにゃく麺のヘルシーなラーメンとたとえることもできるかもしれません。
とても後悔が少なく、安心して食べられます。
ミニゲームもあるけど……
本作には各拠点に「〇〇おじさん」というミニゲームやちょっとしたミニクエストを用意してくれるキャラクターがいます。最初の「リオの村」には「コインおじさん」がいて、世界中に散在する「大きなコイン」を集めることでプレゼントをくれます。その他には釣りやクイズをさせてくれるおじさんもいます。
こうしたちょっとした遊び心は、ちょっとしたアクセントとなって楽しいものです。
しかしそもそもかなりカジュアルでサクサク進められるタイプのゲームであるため、こうしたミニゲーム・ミニクエストは「山椒は小粒でもぴりりと辛い」というアクセントというより、「病院食のように塩味がきいてない」という印象に近いものと感じられ、どちらかというと「もうちょっとパンチきいてたほうがよかったかも」という印象のものになっています。
もちろんこれらはあくまでサブ要素であり、メインであるRPG要素で楽しむのが本義です。
そのためしっかり遊びたいのであれば、難易度を上げるなどするのが妥当なのでしょう。
暇がないけどゲームをしたい人向け?
本作は難易度を選択することができ、よりあっさりにしたい人やもっと濃い味が好きな人にも対応できるよう幅広くなっています。そんななか本作はノーマル難度でも、敵の強さが抑えられており、若干「ぬるめ」のゲームとなっています。そこからさらにあっさりにできることを考慮すると、時間がなかったり濃い作風をプレイしても楽しめない方に向いた作品だといえるでしょう。
そういうタイプの方で真っ先に思い浮かぶのは、仕事につきっきりで疲れている人です。特にもともとゲームが好きだったけど、今は仕事に余裕がなくプライベートで遊ぶ隙も捻出できず、「気分が悪くならないあっさりしたゲームをパッとプレイしたい」と考えているような人にとっては、本作はうってつけといえるのではないでしょうか。
アプリにしたらウケるかも?
また本作はかなりライトなゲーマー向けの作品だと感じましたので、PCでゲームをする人よりスマホでゲームをする人に向いた作品だといえるかもしれません。そうだとするとアプリとしてプレイできれば、プラットフォームがPCのみであるより人気は出る可能性もあります。
ところで「ラックス」って
男の名前であってんの?
少し調べてみましたが、
「Lax」というスペルだと
男性の名として使われることが
あるようです。
ちなみに本作では
ゲームの解凍前アーカイブの名前が
「rax」となっています。
主人公の名前の秘密は
ゲームクリア後に明かされるよね。
ええ、実在の人物名を
参考にされたわけではないようですので
「rax」ですとオーストリアの山脈を
指すことがあるようです。
いやー、ラックスっていうと
LoLプレイヤーだったら
女性キャラかなと思うよなって。
あちらは「Lux」ですね。
ラテン語の「光(Light)」から
来ているようです。
スーパーリッチ!
「ここがオススメ!」
次はなるべく客観的に、オススメなところとイマイチなところをまとめていきましょう。
まずはオススメなところからです!
サクサク遊べる!
「ラックスの冒険」の特徴は、なんといっても遊びやすくサクサクとゲームを進めていくことができるところです。「やめられないとまらない」的に、一度プレイをし始めるとクリアまで突っ切ってしまうかもしれません。
特に戦闘の快適さが随一で、レベル上げをするときでも最短であれば1戦が5秒もかからないかもしれません。もともとノーマル難度程度であればレベル上げがほとんど必要ないため、クリアまで進める手順がとても軽いのです。
フリーゲーム「ラックスの冒険~偽りの物語~」のレベル上げの様子。
戦闘のメッセージが非常に高速でスキップでき、数秒で戦闘が終わる。
「サクサク遊べる」というタイプのRPG。 pic.twitter.com/ac6NUEdLrr— caffeine_gurasuto (@CGurasuto) September 2, 2019
この点は軽視できません。いわば「カップ焼きそばの湯切り口」のようなものです。昔はカップ焼きそばの「あるある」として、「湯切りをするときにゆっくり湯を捨てないといけないのをめんどうくさがって、ザッと湯を捨てようとして麺をぜんぶシンクに流してしまう」というミスがありました。
こうしたミスをするほどでないとしても、RPGの戦闘でいちいちメッセージをスキップするというのは、なかなか面倒なものです。その面倒なものが省かれているというのは、プレイしてみると思いの外すっきりと快適なものなのです。
選べる難易度!
そして前述のように、この「ラックスの冒険」では難易度を5種類のなかから選択できます。これは作品の内容にかかわらず、どのような「手ごたえ」を求めているかというプレイヤー個々人の願望に柔軟に応えることができるシステムです。
その上、ゲーム内でこの難易度は自由に選択し直すことができます。そのため「ああ、思ったより敵が弱いな」とか、逆に「うわっ、想像以上に敵が強い」と感じられたときに、そのときの余裕に応じて変更することができるのです。
敵による経験値の量は変わらず、敵の強さだけが変更されるようなので、低難度だとそれだけ戦闘・レベル上げが容易になり、高難度だと戦闘・レベル上げが困難になります。
いわゆる「縛りプレイ」をする人にとっては、難易度を変えられるのはむしろ誘惑になる可能性がありますが、そうでない人にとっては特にデメリットのない有用なシステムです。
時間がないなら「イージー」
作者がオススメしていて、なおかつ基本となりうるのがノーマルだとするなら、時間を短縮するのにうってつけなのは「イージー」難度でしょう。もともとノーマルでもサクサク進められる程度ですので、イージーだと戦闘がおまけ程度になって、とにかくストーリー展開を進めていくような感触になるのかもしれません。
ただラスボスとその後にそれ以上に強いとされる裏ボスのような存在もいますので、とりあえずストーリーをイージーでクリアして、やりこむ余裕がありそうなら難易度を上げて裏ボスに挑戦するのもいいかもしれません。
厳しい旅を求めるなら「デス」
そして困難を求めるのであれば、作者すらクリアしていないとされる「デス」難度がいいでしょう。私もいくらかプレイしてみましたが、本作ではステータス強化のBPシステムが後半になるほど効率が悪くなるようですので、難易度の高低により等倍で均等に上がるというより、イージーはとにかく簡単でノーマルはほどほど、段階が上がるほどハードルがどんどんと上がっていくタイプのゲームかもしれません。
忙しい仕事の合間の清涼感に
ノーマルで進めるにせよイージーで進めるにせよ、本作の魅力は戦闘をサクサクと進められる点であり、低難度であればゲームプレイ自体もサクサクと進められるところにあります。そのためふだんは忙しくてゲームをあまりプレイする暇がない人などが、気分を変えたり小さな余暇としてプレイするなどするといいかもしれません。
「ここはイマイチ……」
ではどんなところがイマイチだといえるのでしょうか?
ストレスは少ないが味も薄い
本作ではストレスフリーと謳われている通り、たしかにユーザビリティ・プレイアビリティが高く、ストレスをあまり感じない作品となっています。しかしその裏返しとしてか、ゲーム自体の味わいも薄い作品に感じられるかもしれません。
たとえば仲間の多さがセールスポイントとして謳われていますが、この点も人によっては魅力が減少して感じられるかもしれません。それは主人公以外どのキャラもレベルアップによって覚える技がほとんどなく、仲間にした後で会話イベントなどがあるわけでもないので、仲間にした後の存在感が非常に薄いのです。
これは仲間が多いほど、それぞれのキャラごとに会話イベントを用意するのがコストになり、また強制的なイベントが増えると、それだけボリュームが増えて「サクサク」から遠のくおそれがあるともいえます。そのためそれぞれの味方キャラに会話イベントが用意されていないのは、ある程度の合理性があると考えることができます。
しかし結果的に全体の味わいが薄く感じられる可能性にも繋がっているので、これはひとつのデメリットとして挙げることができるでしょう。
1週間もすれば忘れそうな存在感
そしてその味わいの薄さは仲間というキャラの要素だけでなく、ゲーム全体の印象となっています。そのためたとえクリアした後でも、翌週には「あのゲーム、どんなゲームだったっけ?」「あのゲーム、なんてタイトルだったっけ?」と思い出せなくなる可能性があります。それくらい薄い存在感だと認識する人もいるかもしれません。
「あなたは吉牛を他人にススメるか?」
これはなかなか難しい問題なのですが、この「ジャンクフードのようなゲームをどのようにススメるか」というのは私だけでなく、プレイして知り合いにもススメてみたいと感じた方や、もっというと作者の方にとっても、考えるとなかなか答えを出すのが難しい問いなのです。
このゲームはいわば「吉野家の牛丼(吉牛)」のようなファストフード・ジャンクフードであり、このゲームをススメるというのは吉牛を他人にススメるようなものと似ているため、とても難しいのです。これのなにが難しいかというと、ほとんどの日本人はもう吉牛がどんなものか知っているのです。オススメしたところで良くて「ああ、わかったわかった」、悪ければ「そんなもんススメるってどういうことだ?」という反応が返ってくる可能性があります。
私が当サイトでゲームを紹介するときは、その作品とプレイヤーの架け橋となることができるよう努め、なるべくいい点を強調して、興味が湧いたらダウンロードしてプレイしてみてください、有料の作品の場合は買ってみるのもいいのではないでしょうか、とオススメします。
このサイトのゲーム紹介記事は、「それまでその作品に気づかなかった人に興味をもってもらって、『未プレイ』から『現プレイ(現在プレイ中)』になってもらって、最終的に『既プレイ』になってもらう」というのが目的としてあります。もちろん妙な煽り方をして、本来はターゲットでない人にプレイさせて「思ってたのと違う」といわせてしまうような記事にはならないようにしないといけません。
しかしそういうふうに考えてみても、「吉牛を他人にススメる」ような行為はなかなか難しいのです。吉牛を食べるのは、忙しいときや献立を考えるのが面倒なときなど、気楽さを優先します。もちろん牛丼チェーン店のなかでもおいしいと感じるチェーン店や自分に合うメニューを選びますが、それは「涙が出るほどおいしいもの」とはいいがたいものです。これは牛丼をディスりたいわけではなく、位置づけとして「腹を満たすもの」のが優先される商品であり、基本的に「舌を満足させるもの」ではないからです。
いずれにせよ私だけでなく既プレイの方がこの問題について考えてみても、なかなか悩むところなのではないかと思います。そして、だからといって、私はこの作品をオススメするのを諦めようとは、思いませんでした。なぜなら私は楽しくプレイできたからです。だったら同じように楽しくプレイできる人が他にもいくらかいて当然でしょう。
ちなみに私は若い頃
よく松屋に行きました。
当時住んでいたところの駅前には
吉野家も松屋もありましたが
先払いの松屋のほうが気楽だったので。
わたしはあんまり行かないなー。
さすがに女の子だし。
女の子ってタマでもねえだろうに。
俺は吉牛も好きだぜ。
すき家はチーズ牛丼うまいよな。
なか卯では親子丼一択だ。
思いっ切りディスられたけど
スムーズに牛丼の話に移行されて
いいかえす暇がなかった……。
さいごに
「ラックスの冒険~偽りの物語~」はプレイしてみると、楽しいというよりとても快適なゲームでした。パンチやインパクトのある作品ではないので、人によっては味気ないと感じられるものとなっているかもしれません。しかしあまり最近ゲームを楽しめていない人や濃さやくどさが苦手な人には、むしろとても気軽にプレイできる作品となっているかもしれません。
また私は本作を楽しめましたので、もしご興味がありましたらダウンロートして一度プレイしてみると楽しめるかもしれません!
いいかえす暇がなかった……。