こんにちは、Caffeineです。
前回に続いて、イザナイの真実編の後編をまとめていきます!
イザナイの真実
前回では主にゲーム内で確認できるメッセージをまとめてきました。今回はイザナイのいる裏世界について考察を進めていきましょう。
裏世界とはなんなのか?
裏世界とはいったいなんなのでしょうか。実のところ、正確なことはまったくわかりません。情報が少ない上、もともと「ミノニヨクシティ」ですら死者の街だと隠匿されています。そのためさらに隠匿されている裏世界についてはなかなか知ることができません。
「よく知っている町によく似ている」
そのため正確な情報とはいいがたいところですが、今一度、情報屋の夜市の話を振り返って気になるところを抜粋してみましょう。
その場所は…たぶん、
お前さんの知っている町に
よく似ているように見えるだろう。
この夜市は、ピギュラをミノニヨクシティの住人と理解した上で情報を売ってくれます。この情報がこれからする推測にとっては、実はちょっとした問題点とはなるのですが、ひとつの考えとして少し述べさせていただければと思います。
住む場所によって見た目が変わる場所?
これは、私自身がプレイしていたときにそう思い込んでいたのですが、裏世界というものが「訪れるものの住む町に似た景色になる」という特性があるのではないか、という可能性について述べていきます。
この推測は、夜市の「お前さんの知っている町によく似ているように見える」という発言から来ています。すなわち他の箱庭の住人からすると、ピギュラが見たような「ミノニヨクシティに類似した裏世界」ではない裏世界が見えるのではないか、という憶測です。
もし海底都市の住人が裏世界へ行けば海底都市に似た街として、樹海クラブの集落の住人が行けば集落に似た街として、ビル街の住人が行けばビル街に似た街として、それぞれの住人には裏世界が自分の街に似た景色で見えるのではないか、ということです。
自覚後に訪れるとメッセージが変わる
その根拠としてもうひとつ挙げられるのは、青い森のメッセージの内容がピギュラとユウヤで変わることです。メッセージの細かい内容は前回引用しています。
この内容の変化には、2種類の可能性が考えられます。それは、
- 訪れる人物によって自動的にメッセージが変化する。
- 訪れる人物をイザナイが見極めて、彼女がメッセージを変化させている。
実質的にこれのどちらかを確認する術はありません。なぜならピギュラおよびユウヤとしてしか青い森へは来られないからです。「はないちもんめ」を利用しても青い森へは来ることはできません。そのためどのようにメッセージが変わるのかを確認できないのです。
しかしイザナイがわざわざ青い森へ入った者を見つけて、その人物に真実を伝えるべく内容を変える、というのは考えにくいものです。彼女ならそんなことをせずに迷い込んだ魂を我が物にしたがるでしょう。
そのためイザナイが訪問者を逐一 監視しているというより「自動的にメッセージが変化する」という可能性のほうが素直かもしれません。
しかしただの言葉の綾かもしれない
ただし前述の通り、夜市はピギュラがミノニヨクシティの住人だと知って話しているので、「お前さんの知っている町=ミノニヨクシティ」を単に指しているのかもしれません。そのため夜市の話は、単に「裏世界はミノニヨクシティに似ている」といいたかっただけなのかもしれません。
もしこの考察が正しく裏世界が「訪れた者によって変化しうる街」だとすれば、裏世界の風景というものは信用するに値しません。ほとんど「幻想」「架空の箱庭」といってしまって過言ではない場所となってしまいます。
そんななかでも「青い森」は、ピギュラから見てもミノニヨクシティでは見ることがない風景として映ります。そのため「青い森」は裏世界のなかでも「変化する」という能力のない場所なのかもしれません。だとすると青い森は裏世界のなかでも「裏世界の本質」を表していると考えることもできます。
なぜ「青いきのこ」だけ?
また情報屋の夜市はこうも述べています。
「裏世界」ってのはね、
「青いきのこ」の中を通ろうとすると、
まれに迷い込んでしまう、
何もかもが不気味な世界のことさ。
なぜ「青いきのこ」限定なのでしょうか?
実際にプレイしてクリアした方ならわかることですが、たしかに青いきのこ以外では裏世界に繋がることはありません。
青いきのこは、樹海クラブの集落へ続いています。赤いきのこは海底都市へ、黄色のきのこはビル街へ、灰色のきのこは凶の都へ続いています。他のきのこからは裏世界に繋がらず、なぜ青いきのこでだけ移動させられることがあるのか、とても不可解です。
なお例外として、凶の都から裏世界へ移動することができる地点があります。凶の都の最奥である一番上へ行くと、道を塞いでいる凶たちがいます。その真ん中にいる血まみれのような凶に話しかけると、傍らに電話のあるあばら屋へ移動させられます。
そのあばら屋の下側には白いドア、もしくは通路のようなものがあり、ここを抜けると裏世界に移動することができます。青いきのこを通ったときとは違い、大きな病院らしき建物から出てきます。一方通行となっているため、その病院のドアから凶の都へ戻ることはできません。
なぜ青いきのこだけが裏世界へ通じているのか、現在のところわかっていません。ゲーム内の情報から考察して、答えのようなものが見つけられるのかすらわかりません。
作者の裏話
さて、ここまで考察してみて今さらなのですが、イザナイ・裏世界については作者の方がブログで裏話を公開されています。
これによると、昔イザナイは真面目だったものの、自覚した住人が暴れるのを裏切りだと捉えた可能性があるということです。また裏世界は処罰するための箱庭であり、イザナイが作り出した街ではないということです。
そう考えると、凶の都から裏世界へ行くことができるのは、追放者を送り出すためなのかもしれません。一方通行であるのも、流刑として帰ってこられないようにするためだと考えることができます。
しかしそうなるとカラコロが自覚する際に、イザナイが現れたことが不可解です。イザナイが自由に移動できるのだとしたら、裏世界の力は無効化されているということだからです。それほどイザナイが裏世界に順応しているということなのかもしれません。
イザナイが人間だったころ
なおイザナイが人間だったころのことは、ミチビキのときと同様にまったくわかりません。
ミノニヨクシティの住人のときは、幻と凶新聞などが情報源となっていました。しかしこの凶である2人に関してはそうしたものが皆無であるため、なにもわからないのです。
まとめ
作者の裏話を見た後で「青い森」のメッセージを見返すと、いろいろ考えることができます。現実でも、加害者となる人がかつて被害者だったという事例はあります。もちろんそんな事実があったとしても、いかなる犯罪をも正当化できません。しかし情状酌量などを考えることはできるはずです。
誰かに厳しくあたるくらいつらいことがあったということでしょう。ミノニヨクシティの住人にとってはよくない存在ではありますが、イザナイの恨みが晴れるときはバッドエンドのような形ではなく、できればグッドエンドと思えるものであればいいとは考えてしまいます。
イザナイの責任とサトリ・ミトリの責任と
イザナイが元々は真面目で凶としての仕事にとりくみ、そのため自覚した住人が暴れるのを裏切りと捉えて今のイザナイのようになってしまったとしたら、責任は上司であるサトリ・ミトリにあります。正しく導くことができない上司は、能がないといわれてもしかたありません。イザナイがこうなってしまうことを予測して、未然に防がなければいけなかったはずです。
しかしイザナイにも落ち度はあります。それは自覚して暴れるのを「裏切り」と捉えてしまっていることです。凶はもともと人間の魂であるので、イザナイ自身も自覚した瞬間があるはずです。
エンディング前に幽霊退治をするとき、自覚した住人を同行させた場合、彼らは自覚しそうになったピギュラに「みんなピギュラのことが好きだから、できるならなにかあってもミノニヨクシティに留まってほしい」というようなことをいいます。これはピギュラと一緒にいたいと思い、悲観してほしくないと感じたことからくる優しさでしょう。
他人への期待は勝手なもの
おそらく似たようなことがイザナイにもあったのでしょう。期待しては暴れられ、同じようなことが何度も何度も続いたのでしょう。しかし期待するのは期待する側の勝手ですし、期待した反応が返ってこなかったら単に見る目がなかったというだけのことです。期待はときに負担にもなります。イザナイの期待が住人の重荷になっていた可能性もあります。
期待していたのに暴れられて「虚しい」ならまだわかります。期待していたのに暴れられて「裏切られた」だと相手に怒りを抱えていることになります。勝手に期待しておいて、です。おそらくその点でいうと、ミチビキはピギュラなどに大きな期待は抱いていなかったのではないでしょうか。そのかわりピギュラが自覚して輪廻道へ入るときも大きくは失望していないように見えます。
つまらない答え
とてもつまらない言い方をすると、イザナイは不運とすれちがいのためにああなってしまった可能性があります。彼女が自身のことをよく知り、サトリ・ミトリがしっかりと責務を果たしていれば、ひょっとしたらイザナイと一緒になってミノニヨクシティを極楽にしようとしていたかもしれません。
もっとつまらない言い方をすると、物語には悪役が必要なのです。イザナイがああなったのが不運とすれちがいかもしれないというなら、作者が「こういう物語にしてやろう」と考えて、不運とすれちがいを必然にし、イザナイを狂わせるように設定させたと見なせるのです。
さらにつまらない言い方をすると、作者が悪役を用意し、その物語の作り方を実現させるべくイザナイを狂わせたのだとしたら、作者にそうさせるよう仕向けたのは私たちプレイヤーかもしれません。そのほうがいいと思わせるきっかけが「プレイヤーがおもしろがるから」だったとすれば、イザナイを狂わせた元凶は私たちにもあるのかもしれません。
次のエントリ
次回のエントリでは、凶の上司であると思われるサトリ・ミトリについて考察していきます。