殺人の謎を解いてハートフルに終わらせよう「星雨列車の終着駅」

1ツイゲームレビュー
殺人の謎を解いていくハートフル系の探索ADVゲーム「星雨列車の終着駅」の紹介記事です。

ダウンロードサイトのURL:
星雨列車の終着駅:無料ゲーム配信中! [ふりーむ!]
「星雨列車の終着駅」:その列車は、夢のような豪華寝台列車
タイトル星雨列車の終着駅
開発蔓桜
オススメ度SS<超オススメ>:★★★★(月間でのオススメ)
リリース日2020/04/04
価格フリー
次元2D(2次元)
ジャンル探索ADV
特徴グロ/ハートフル/ミステリ/サスペンス/ホラー/ヒューマンドラマ/物語重視/シングル/殺人事件/幽霊/モンスター/救済措置/ウディタ/マルチエンド/鬼ごっこ
視点
グラフィックアニメ調2D
操作方法キーボード
言語日本語
インストール不要
ファイル容量171MB<アーカイブ> / 182MB<解凍後>(Version 1.00)

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ツイートより概要を読みたい方は、こちらで飛ばせます。

補足

概要

「星雨列車の終着駅」は、日本製のADVゲームです。ゲームの進行度によってミステリ色が強かったりファンタジー色が強かったりコロコロ変わる作品です。

全体的なシステムは探索系で、タイトルにもなっている星雨列車(スターレイン号)のなかを探索します。ストーリーはほぼ一本道で、エンディングの前に分岐点があります。探索系ですが、ゲーム内でヒントを見られるので苦手な方でも救済措置として利用できます(使わなくてもクリアできる難易度です)。

本作は、同じ作者の制作しているゲームシリーズの番外編という位置づけのようで、登場するキャラのなかには「本作では語られないバックグラウンドがある」と匂わされる場面がいくつかあります。ただしあくまでそうしたキャラは本作においてサブキャラ扱いがほとんどです。本作だけプレイしても充分 楽しめます。

物語が二転三転する

本作のおもしろいところは、展開が二転三転するところです。最初は、仕事をしていたのに車を使えなくなってしかたなく列車に乗ることになった主人公が、列車の従業員や客たちとしばしコミュニケーションをとっていきます。多少の波乱はありつつも、比較的 落ち着いた雰囲気が保たれます。

しかし翌朝にはイタズラなのか「血まみれの手首(のオモチャ)」が列車で見つかり、客たちに不安が広がります。本作では流血およびわずかながらグロ表現があります。いわばそういう展開が繰り広げられていくのです。

しかしゲームを進めていくと、この展開が単なるミステリやサスペンスではなく、急に魔法が登場するようなファンタジーに変わっていきます。そしてファンタジーとして進めていくと、今度は登場キャラたちの過去にまつわるヒューマンドラマへと変化していき、かなりハートフルな内容へと繋がっていきます。

かと思いきや、意外な人物が思いもよらない事情を抱えていたり、主人公に牙を剥いたりしてきます。ボリュームは公式で約4~5時間(私は4時間半ほどですべてのエンディングを見ました)と記されているくらいですが、物語のおおよその流れをつかむごとに足元をすくうような展開が巻き起こるので、なかなか予想がつかないものとなっています。作者の物語の作り方が巧いということだと、私は判断しています。

ゲーム性は疑似的に保たれている

ゲームを評価する際、おおまかに「物語(ストーリー)」と「ゲーム性」の2点で私は判断しています。本作はかなり物語に偏った作品です。

ただそれはゲーム性が損なわれているというより、「苦手な方でもプレイできるように配慮されている」というユーザビリティに配慮した結果だと捉えられます。ストーリー上、ミステリとして推理していく要素があるのですが、実質的には推理を外してもデメリットがないように、ゲーム全体が設定されています。

エンディングが3つあるマルチエンド方式ですが、複雑な分岐をしないので1つのエンディングを見るくらいまで進めれば、すべてのエンディングを見るのはまったく苦労しません。分岐自体には少しイジワルな設計がされているのですが、トゥルーエンドに行けなかった場合は最後に分岐の条件がヒントとして提示されます。

救済措置は難易度を著しく下げる

こうした救済措置は、ハードなプレイを求めるゲーマーにとっては「難易度というゲーム性を損なう設計」と見なせます。たとえばマリオで穴に落ちたときに、絶対に死なずに助けてくれる救済措置があれば、ACTとしてかなり難易度が下がることがわかるでしょう。そうした「ユーザビリティへの配慮」は、ときに「つまらない」という印象を与えかねないのです。

本作では推理をしたり誰かを助けたりする展開があるものの、いずれもミスが発生しないように配慮されています。そのため難しめの推理を求めている方は、生半可、つまらないといった印象を受ける可能性があります。

難易度はひとつの思想

ここはもはや制作者の設計として、「みんなが楽しめる」を目指すか「コアな人だけが楽しめる」を目指すかの思想に依存します。マリオの話を続けるなら、残機というシステムを捨てて1度でも倒されれば最初からやり直しという設定にすれば簡単に難しくできます。敵を踏むという攻撃システムも捨てれば、よりハードにできます。しかしその難易度だと、現在ほどマリオが流行っていたかは定かではありません。

しかし本当に手慣れたプレイヤーであれば、そんな救済措置は意味をなしません。マリオで一度たりとも穴に落ちず、敵に触れる(敵を踏む)ことすらなく全ステージをクリアできるなら、そもそもミスがないので救済があってもなくても同じなのです。そうなるといずれにせよマリオでは「ACT性」というゲーム性が重要なものとして浮かび上がります。

そうした観点からすると、本作でもすべての謎をストレートにミスなく解けるなら、救済措置やユーザビリティについてああだこうだいう必要はなくなります。そうして見てみると、あとは「ミステリとして謎がしっかり描かれているか」という点が本作の重要なものとして浮かび上がります。そこに関しては、しっかり描かれていると私は判断します。

オススメ度

「星雨列車の終着駅」のオススメ度は、SSランクです。SSランクは、毎月の「#1ツイゲームレビュー」のまとめ記事にて月間の「超オススメ」としてピックアップするくらいのオススメ度です。

本作がSSランクなのは、まずミステリとしてしっかり謎が描かれており、その謎がすべて明かされた暁にはヒューマンドラマとしての一種の清々しさが残る見事なストーリー展開が理由です。

それだけでなくゲーム性も疑似的とはいえ保たれており、ミスを恐れることなく推理を楽しめるでしょう。救済措置がありユーザビリティが高く保たれているので、推理が苦手な人でもプレイでき、ストーリーを楽しめるようにもなっています。

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