「とにかく高性能なPCがほしい」、PCでゲームを遊ぶ人ならば多くの人がこうした願望をもつことでしょう。しかし現実的には予算という費用的な限度があり、人は泣く泣くコストパフォーマンスなどに走ることになります。
現実的にはコストパフォーマンスに向かうことが多いものですが、コスト度外視で性能に重きを置くと、いったいどういった製品があるものなのでしょうか?
このエントリのポイント
- グラフィックボードのデメリットは値段。
- 費用に頓着しなければグラフィックボードなんて簡単!
グラフィックボードの性能差
NVIDIA製・AMD製、どちらを選ぶ?
グラフィックボードは現在、NVIDIAとAMDが二大巨頭として鎬を削っている状態です。いわばコーラの世界でコカ・コーラとペプシコーラがシェアを握っているのと同様です。
基本的にはどちらを選んでも構いません。個人の好みの問題です。
また数値でおおまかな性能を比較したければ、各サイト・動画などでベンチマークのテスト結果を見てみるのも良いでしょう。
当サイトでは自作初心者の方に向けて情報をまとめる方針上、NVIDIA製のグラフィックボードをオススメしています(細かい理由は後述しています)。
NVIDIA製グラボシリーズGeForce
NVIDIA社のグラフィックボードは、とても大きなシェアを占めています。また製品の種類も多く、ローエンドの1万円を切るような製品から、2万~5万円程度のミドルクラスの製品、そしてそれ以上のハイエンド製品まで広く扱われています。
最新グラボ! GeForce RTX 20シリーズ
そうしたNVIDIA製のグラフィックボードのなかでも、最先端・最新といえるのは「GeForce RTX 20シリーズ」でしょう。GeForce RTX 20シリーズはTuringアーキテクチャを使用しており、2018年に発表されたばかりの最新グラフィックボードシリーズです。
<GeForce RTX 20シリーズ公式ページ:GeForce RTX 20 シリーズ グラフィックス カード – NVIDIA GeForce>
このシリーズには「RTX 2080 Ti」「RTX 2080」「RTX 2070」が現在発表されています。それぞれVRAM(グラフィック用のメモリ)を8GB以上搭載しています(RTX 2080 Tiに至っては11GBも積んでいます)。
<RTX 2080 Ti公式ページ:GeForce RTX 2080 Ti グラフィックス カード – GeForce>
<RTX 2080公式ページ:GeForce RTX 2080 グラフィックス カード – GeForce>
<RTX 2070公式ページ:GeForce RTX 2070 グラフィックス カード – GeForce>
2018年9月現在、GeForce RTX 20シリーズは発売されたばかりで、これまで発売された製品に比べると使用感や実質的な性能の情報はあまり多くありません。
それでも「最新好き」かつ「採算度外視」のゲーマーの方であれば、このシリーズを選ぶほかないでしょう。
GeForce GTX 10シリーズのハイエンド製品
GeForce RTX 20シリーズは最新のグラフィックボードとして注目されていますが、現行のグラフィックボードとして「GeForce GTX 10シリーズ」は今なお健在です。Pascalアーキテクチャを使用しており、ハイエンドの高性能グラフィックボードからミドルクラスのコストパフォーマンスに優れたグラフィックボードまで揃っています。
<GeForce GTX 10シリーズ公式ページ:GEFORCE GTX 10 SERIES>
GTX 1080 Ti
GeForce GTX 10シリーズの金字塔として君臨しているのが「GTX 1080 Ti」です。現行のグラフィックボード内では未だ最高峰の性能として認められています。
すでにその性能の有用性が広く知られているので、新製品の不確実性を避けたい場合はこのGTX 1080 Tiが最適でしょう。
<GeForce GTX 1080Ti公式ページ:GTX 1080 Ti グラフィックス カード – GeForce>
VRAMはRTX 2080 Tiと同様に11GBも搭載しています(規格は2080 Tiが「GDDR6」、1080 Tiが「GDDR5X」と異なります)。現在発売されているゲームでは、このグラフィックボードを使用しておきながら動作が遅くなるということはほぼないのではないでしょうか。
GTX 1080
「GTX 1080」もハイエンドのグラフィックボードとして、高性能かつ高価なグラフィックボードとして認知されています。GTX 1080 Tiに比べると性能も価格も少し落ち着きますが、そうであるからこそ一般人の手にもいくらか届きやすくなっているのではないでしょうか。筆者が所有しているグラフィックボードもGTX 1080です。
<GeForce GTX 1080公式ページ:GTX 1080 グラフィックスカード | GeForce>
VRAMは8GB搭載しており、充分なスペックを保有しています。
当サイトではこのGTX 1080を強くオススメしています。その理由は、高性能でありながら一般人に手の届く範囲内であると想定してのことです。
GTX 1070
「GTX 1070」はGTX 1080やGTX 1080 Tiに比べると、ややコストパフォーマンス寄りのグラフィックボードです。それでも性能は充分に高く、価格も比較的高価であるといえます。
AMD製グラボRadeon
NVIDIAと共にグラフィックボード界を支えているAMDの製品では、Radeonシリーズなどがあります。NVIDIA製グラフィックボードに比べると、コストパフォーマンスに優れた製品が多いとされていますが、そのなかでも現行では「Radeon RX Vegaシリーズ」が高性能な製品群であるといえます。
RX Vegaシリーズには「RX Vega 64」「RX Vega 56」があり、共にVRAMを8GB搭載しています。
<Radeon RXグラフィックボード公式ページ:>Radeon™ RXグラフィックス | AMD>
各製品のおおよその価格(2018/10現在)
2018年における各製品のおおよその価格を掲載しておきます。
NVIDIA製GeForce
RTX 2080 Ti | 18万円前後 |
RTX 2080 | 12~13万円あたり |
GTX 1080 Ti | 8~13万円 |
GTX 1080 | 6~9万円 |
GTX 1070 | 5~8万円 |
本当に予算度外視という場合以外は、いくら高性能な製品を求めていても「10万円」がひとつの予算のラインとしてチラついてくるものです。その点では「RTX 20シリーズ」は価格が落ち着くのを予想して待つなどが必要かもしれません。
GTX 10シリーズでは、GTX 1080 Tiに10万円を超える製品があり、ひとつ群を抜いています。
また高性能製品を探す上で、5万円という下のラインも見えてきます。5万円を切る製品を探すならば、もはやハイエンドの製品を諦めてミドルクラスのコストパフォーマンス重視の製品を探すほうが良いでしょう。そうした点では、やはりGTX 1070がハイエンドの下限として見ることができます。
予算として6万円を出せるのならばGTX 1080を視野に入れて良いでしょうし、8万円を超えて出費できるようであればGTX 1080 Tiについて考慮するのも良いでしょう。
AMD製Radeon
Vega 64 | 7~9万円 |
Vega 56 | 5~7万円 |
NVIDIA製GeForceをオススメする理由
当サイトでは前述のように、NVIDIA製のグラフィックボードを強く推奨しています。その理由は当サイトがPC自作の初心者の方に向けて情報をまとめており、携帯電話のプランのようにあえてわかりやすいまとめ方をしているからです。「もっと自由に選びたい!」という人は、もちろん他の可能性を求めて情報を探ることで達成できます。
AMDの製品はCPUでもグラフィックボードでも、コストパフォーマンスに優れた良質な製品が揃っているとされています。しかしシェアの大きさが、CPUではIntelに、グラフィックボードではNVIDIAに軍配が上がっているのが現状です。
そうしたなかで製品の情報や使用感について調べやすいのは、やはりシェアの大きいメーカーの製品になります。一社の製品の情報ですら、あまり興味のない人にとっては把握するのは根気のいる作業です。
そのため情報を集めることで疲弊してしまうことのないよう、あえてシェアの大きいメーカーの製品に焦点を絞っているのです。
まったくコーラを飲んだことがない人に、「有名なコーラって2種類あるんだよ、コカ・コーラとペプシコーラっていってね……」と情報をたらたら流すよりも、一度まずコカ・コーラを飲んでみてもらったほうが話が早い、といったような判断です。
グラフィックボードのデメリットは値段
どんなものでも製品を購入しようとすると、その製品のメリットとデメリットについて考えざるをえません。グラフィックボードにおけるメリットは性能であり、デメリットは価格であると判断するのは非常に容易です。
多くの人はこの性能と費用のはざまで悩みながら、妥協点を見出そうとします。しかし今回は性能重視で見ており、場合によってはどれだけコストパフォーマンスが悪くても構わない、というような視点からここまで見てきました。
性能重視・採算度外視とはいえ、いくらかコストについても考慮しながら見てきましたが、本当にコストについて頓着しないのならばRTX 20シリーズもしくはGTX 1080 Tiを購入すべきでしょう。
また条件を整えれば、SLI(Scalable Link Interface)として複数のグラフィックボードを1つのPCで使用することができます。
これを利用するとさらにPCのグラフィックの性能を上げることができるでしょう。
値段さえ呑み込んでしまえばグラボの攻略は簡単
単純に価格がデメリットだと認識すれば、予算に頓着せず潤沢に費用を投じることができる環境にある人は、もはやグラフィックボードに関してなんの障壁もありません。
コストパフォーマンスを重視して予算を中程度に設定した上で、それぞれのグラフィックボード製品の性能を確認していくのもいいですが、いささか味気ない方法とはいえ、上限いっぱいの予算を設定してグラフィックボードに投資できるのであれば、グラフィックボードについてなんら悩み時間をかけることなどありません(もちろんその度量、ふんぎりがつかないことがグラフィックボードにおける難点ではあります)。
まとめ
- グラフィックボードを買う判断材料は、「本当の上限としてどれくらい予算を出せるか」。
- 予算のラインとしては10万円・5万円が挙げられる。
- 予算が6万円ならGTX 1080を、8万円以上ならGTX 1080 Tiを視野に入れられる。
さいごに
グラフィックボードを買うという行為は、PCのパーツのなかでもやや難易度が高く思われます。そもそも高価格製品であること、またゲーム用途以外ではさほど重要なパーツでないこと、遊ぶ目的のものにどれくらい資金を投じられるか個々人によって大きく異なること、などが理由として挙げられます。
今回は「費用にまったく頓着せず資金を投資できる人」を、やや強引に想定しながら情報をまとめました。どれくらいの方がこのターゲットに相当するのかは存じませんが、もしそれだけ自由に資金を動かせるとしたら実に羨ましい限りです。
とはいえ今回もコスト度外視というひとつの観点から、グラフィックボードを購入する基準を考えてきました。こうした観点が、皆様の悩みを少しでも解決する助けになれば幸いです。