この記事は、2020/07/25に大幅に改稿(リライト)しました。
今回はグラフィッ
クボードを初めて使うときなどに起こりがちなミス「グラボが入らない」という状況について見ていきます。実際こういう状況に陥ると、かなりショックを受けるでしょう。なぜなら「規格が合わない!」とか「ゲームのフレームレートが出ない!」といった技術的な話ではなく、もっと「根本的」な話だからです。いってしまえば「大きさを間違えた」という”しょぼい”ミスだからこそ、ショックを受けてしまうのです。
皆よくするミス:だから安心を
しかしショックを受ける必要はありません。誰だってそんなミスをしてしまうからです。ミスをして「やっちゃったなー……」と思うのは全然 構いません。とりあえずひとしきり、起こしてしまったミスに肩を落としてしまえばイイのです。
「こんなはずじゃないのに……」は当然
「こんなミスするはずじゃなかったのにな……」と悔やむのは、むしろイイ証拠です。この失敗に過剰に反応してしまう人は、「ああやっぱりミスしちゃった……。新しいことになんか手をだすべきじゃなかったんだ……」と、自作を始めたことすら後悔してしまうのです。
この考えよくないところは、「なにごとも継続」「継続は力なり」にかなり繋がりにくいマイナス思考だからです。バイトを始めたと思ったらミスして「やっぱりバイトするべきじゃなかった……」と1日で辞めてしまうような人がいたら、「えっ、そんなんじゃどの仕事も続かなくて生きていけないよ?」と思うでしょう。
「お金を無駄にしたくない」も皆おなじ
「せっかく買ったグラボを無駄にしたくない……」「けっこう高い金額出したのに……」と悔やむのも構いません。だって、お金は大切ですから。
「お金で買えないものもある」とよくいいます。たとえば愛とかがそれにあたるとよくいわれますね。一理あります。
しかし「せっかく買ったグラボへの愛」は、ちゃんと使ってあげることで達成されますよね? 安いグラボを買って「どうせ安いから壊れてもいいやー」とぞんざいに扱う人より、ずっと愛があります。
そもそもほしいのは「大きいグラボ」じゃない
「ドリルを買おうとしている人は『ドリル』がほしいのではなく、ドリルを使って開ける『穴』がほしい」という文句があります。そこから考えると、グラフィックボードを買う人に、ほとんど「大きいグラボ」を買いたがる人はいないでしょう。
「性能がイイものを選ぶと、勝手に大きかった」ということはありえます。しかし「大きいのはイイもんだ。だからグラボも大きいのを選ぼう!」なんて考えでグラボを選ぶ人は、そうとう少ないでしょう(世のなかは広いのでゼロとはいえませんが)。
大事なのは失敗感で気落ちしないこと
「グラボが入らない!」といったミスをしたときに大事なのは、「やっぱり自作なんか始めるべきじゃなかった……」と失敗感でいっぱいになり気落ちしないようにすることです。マラソンでいうと、苦しくても足を動かし続けることが大事で、足を止めてしまうともう歩けなくなってしまうのと似ています。
諦めて自作を嫌いになるほうがもったいない
マラソンの話を続けてみましょう。あなたなはすでにシューズやランニングウェアなどを買ってある程度の訓練を積んで大会に出られるようになったのです。
最初は誰だってミスをします。思ったよりペースが出ず、疲れもあって途中でリタイアしてしまいました。
「ああ、こんな悔しい思いするなら始めなけりゃよかった……」と思うかもしれません。入らないグラボが手元にある状態は、まさにこんな感じです。
極論をいってしまえば、諦める諦めないの最終判断は本人がします。そこに私は口を挟めません。しかし私も自作をする人間として、こんなところで諦めてほしくない、というのが本心です。
そもそもグラボを自分で買って自作を始めようという人は、前向きな人です。今は電気量販店でPCを買うだけでなく、BTOや組み立てキット、組み立て代行のサービスなどもあります。いろいろな選択肢があるなかから、「自分でグラボを変えよう」と考えた人は、難易度のある挑戦へ前向きに挑める人です。
そういう人には、やはりこうしたミスでめげてほしくない、という思いがあります。
失敗を次へ生かす「経験値」に
古臭い言葉ですが、「失敗は成功の母」というものがあります。鼻で笑うのは簡単ですが、これを信じてもう少し前向きになってみるのも悪くないはずです。経験値を溜めて熟練になるということは、「ミスがゼロになる」ということではありません。「ミスをしてもすぐにリカバーできる」というミスへの対処法を理解していることです。
音楽のバンドでも、プロですらライブの最中にミスをします。しかし、たとえメンバーたちには「あれ? あいつ今ミスった?」と理解されても、オーディエンスのお客さんたちに気づかれないように「これがこのライブ用のアレンジだぜ!」という風にごまかすことができれば、それはお客さんにとってミスにはならないのです。
自作をゲームだと捉えると、大したことのないミス
人生はよく旅に譬えられますが、自作はいってしまえばゲームです。自作は慣れた人にとってはプラモ作りと大きな違いは感じられなくなってきます。自分なりにカスタマイズできるので、まるでキャラメイクをするように自分の色に染められます。
というか「自作はゲーム」というのは、本当にただの口からデマカセではなく、自作をするゲームがあります。一時期少し話題になったので、ご存知の方もいるかもしれませんね。「PC Building Simulator」というゲームが実際にあります。
いわば「序盤の中ボス」
このシミュレーターは本当にPCを組み立てるのを仕事にするゲームですが、シミュレーションゲームでなくRPGなどでも簡単に話は繋がります。
「グラフィックボードが入らない」というミスは、初心者的なミスといえるかもしれません。RPGでいうと、序盤のLv10未満で挑む中ボスくらいの強さの敵くらいでしょうか。
本当にそのRPGがつまらなくてつまらなくて、このボスと戦う前からやめたいやめたいと思っていたのなら、たしかにそのRPGをやめてしまったほうがイイのかもしれません。
しかし「これからもっとおもしろくなるかもしれない」と思っていた矢先に、今の自分のレベルではかなり強そうに見える敵に遭遇して、「あー……アイツと戦うのを避けられるなら、やめちゃおっかな……」というのは、もったいないという他ありません。なぜならまだ「スゴク好きになるかもしれないゲームの序盤」だからです。
乗り越えられないミスではない
ハッキリいいましょう。「グラボが入らない」というのは、大したミスではありません。たしかに入らないグラボが目の前にあって、落ち込んで諦めてしまいそうになっている気持ちのままでは、少しばかりキツく感じるかもしれません。いわばその中ボスの前で、装備も弱い状態なのに体力が尽きかけているようなものです。
装備をより強くしないといけないかもしれません。回復アイテムも用意しておいたほうがイイかもしれません。Lv上げをしたほうが乗り越えやすくなるかもしれません。コストはある程度かかってしまうかもしれませんが、このミスは絶対に「乗り越えられないミス」ではありません。
それで、どう対処するの?
「よしよし、意気込みはわかったから、で、どうすればイイの?」と思い始めたころでしょうか。ここからは実際にどう考えていくか、ひとつずつ見ていきましょう。
最初の選択:買ったグラボを使う? 使わない?
最初の選択は、「目の前にある『買ったものの入らなかったグラボ』をどうするか?」です。もちろん「使う」か「使わない」かの2択です。
たとえば「RTX 2080 SUPER」を買った場合を想定して見ましょう。
「せっかく買ったのに」「無駄にしたくない」という強い思いがあれば、当然「使う」選択になるでしょう。当然ながら、現状での損とは「買ったグラボを使わない」ことです。
この場合、買った金額はそのまま無駄になります。それどころかそのグラボを使ってPCでしたかったこと(たとえばゲームなど)への期待もそのまま無駄になってしまいます。
もしここで「もう立ち直れないよ……」とショックが大きすぎて前向きになれない人がいた場合は、少なくとも今は気持ちが回復するまで待ったほうがイイかもしれません。気持ちが回復してから、「あのグラボ……本当に諦めたほうがイイんだろうか?」と思い返して、「いや、今の気持ちなら前向きに頑張れるかも!」と思えたときにでも、またこのページを見てくださればイイと思います。
ここから先は、「そのグラボを使う」と決めた人が、どうすれば実際に使えるようになるかを考えていきましょう。
まずは買ったグラボを使えるようにしよう
ここでの最終目的は、「そのグラボを使う」ということです。RPGでいうと、「序盤のLv10未満で戦う中ボス」に勝つというのが最終目的です。そのためには、どれくらいなら犠牲が払えるか、を考えていきましょう。いわば「今もっている装備を売ってでも新しい装備を買うか?」というようなものです。
なぜ入らない?=サイズが違うから
「グラボが入らない」という状況で、一番多いと考えられる原因は「サイズが合わないから」というものです。「グラボのサイズが大きくてケースに入らない」という状況もありますし、「他のパーツが邪魔でグラボが入らない」という状況もあります。少し細かく見ていきましょう。
グラボのサイズは変えられないので他を変えよう
最終目的は「その買ったグラボを使う」とすでに決定しました。そのため「グラボを買い替える」というような選択肢は、もうここでは考えません。その決定のため、考えられる選択肢は「そのグラボを入れるために、他のなにを変更できるか?」という点のみになります。
どの状況でもそうですが、PCパーツを外したり挿したりするときはケガに気をつけてください。PCパーツは尖っているものが多いので、場合によっては使いやすいゴム手袋を使用するのもイイかもしれません。
そもそもケースに入らない場合
そもそもケースに入らない、という状況について考えてみましょう。このときは、ケース内に入っているグラボ以外のパーツを変えるより、ケース自体を変えていくことになるでしょう。
PCケースの価格は、ピンからキリまであります。安いものは数千円、高いものは数万円、ときにはそこらのグラボより高いケースもあります。今回のような状況だと、高いケースは必要ありません。状況に合った商品を選びましょう。
ケースを変えるときは、「ケースの大きさ」を表す「フォームファクタ」というものに気をつけましょう。これは数値ではなく、「ATX」「MicroATX」のような表記で分類されています。このフォームファクタは、PCケースの大きさを示すときにも使われますし、PCの重要パーツ「マザーボード」の大きさを示すのにも使われます。
もし今のマザーボードを変えたくない場合は、そのマザーボードの商品名で調べればフォームファクタがわかります。
たとえば「B450 Steel Legend」というASRock製のマザーボードを使っているときは、品名で調べるとこうしたページが出てきます。
価格コムのサイトでもおそらく間違いは少ないと思われますが、なるべくならメーカーのサイトを直接見るほうがイイでしょう。ASRockのページでは、「規格」という項目に「ATX 規格」と明記されています。
ここからわかるのは、もしマザーボードに「B450 Steel Legend」を使用していて、このマザーボードを変えずにケースのサイズだけを変えたい場合は、「ATXに対応していて、サイズが大きいケース」を選べばイイのです。
サイズは「大は小を兼ねる」なので、PCケースでも「大きいサイズのものは小さいサイズのものも使えることがある」という場合がよくあります(絶対ではありませんが)。
現在販売されているものだと、大きいサイズのケースは「Extended ATX」が入手しやすいでしょう。他にもっと大きいケースがありますが、入手しにくいものなどがあるので「Extended ATX」を選んでおくと安心でしょう。
他のパーツが邪魔
次に、「グラボは入りそうだけど、他のパーツが邪魔で入れられない」というパターンを考えてみましょう。
このパターンでは、うまくいけば新しくなにも買わずとも他のパーツをちょっと動かすだけでグラボが入ることがあるかもしれません。しかし状況がよくないと、他のパーツを動かしたくらいではどうにもならず結局ケースを買い替えることになるかもしれません。
なかば希望があるだけに迷いがちですが、場合によっては決心してケースを買い替えたほうが悩む時間が少なく済むこともあります。最終的な決定は皆さんにあるので、悩む時間も経験だと割り切れる場合はいろいろ考えてみてもイイかもしれません。
自作PCにある程度慣れた人なら「まずは他のパーツを一旦抜いたりして、入るか入らないかから見極めよう」となります。今ならパーツを抜いている状況を録画して、後で元に戻しやすいようにしておくこともできるでしょう。
私は全部のパーツがバラバラの状態からPCを組み立てできますが、意外と初心者の方にとっては「全部最初から組み立てる」ほうが「パーツを抜いたり挿したり繰り返す」よりも簡単な場合があります。
もちろんそれまで使えていたPCを分解することになるので緊張はするでしょう。しかし「どうしてもお金をかけずに今あるパーツを動かして空きを確保したい」というときは、これも1つの方法なのだと考えておくとイイかもしれません。
スロットにグラボが挿せない場合
グラボを挿すスロットは、「PCI Express」と呼ばれるものです。マザーボードに最初から組み込まれているもので、マザーボードの種類によって用意されている数が変わります。
場合によっては、この「PCI Express」を挿せる空きがなく、ケースを開けてみて初めて「グラボを挿すスロットが埋まっている」と気づくこともあるかもしれません。
この場合 答えは明確で、すでに挿さっている他のパーツを抜くのが手っ取り早い方法です。もしくは使えるPCI Expressスロットがもっと多いマザーボードに変えるしかありません。
手っ取り早い方法を選ぶなら、すでに挿さっているパーツを抜くことになりますが、もちろんその抜いたパーツは使えないことになります。
マザーボードを変えよう
ではマザーボードを変える場合を考えてみましょう。マザーボードの役割は、他のいろいろなパーツを「繋ぐ」ことです。最重要といっても過言ではないパーツで、グラボのみならずCPU・電源・HDD・SSD・メモリなどほとんどのPCパーツはマザーボードに繋げられることで使えるようになります。
そのためマザーボードを変えるということは、「PCそのものを変える」のとほとんど同じことです。
マザーボードにはデータを送るための「バス」というものがあります。これは言葉通り、「乗り物のバス」から名づけられたそうです。そのためバスによってあるパーツから他のパーツへデータや電力を送るマザーボードは、「道路」のようなものです。
道路をそのままそっくり別のものに変える、というのを現実的に考えてみると、いかに根本的で規模が大きいかがわかることでしょう。それと似たようなことをPC内で行おうとするのが、「マザボを変える」ということです。
具体的になにに気をつければイイかというと、まずは今回の最終目的である「買ったグラボを使えるようにする」を達成させるために、ちゃんと「PCI Express」スロットを確保することです。基本的に「PCI Express x16」というものが使われていますが、「3.0」や「4.0」といった世代の違いもあるので、気をつけておくとイイでしょう。
またPCケースも一緒に買い替える場合は、ケースにちゃんとマザボが入ることを確認しておきましょう。「ケースにグラボは入るみたいだけど、マザボが入らなくなった」なんてことになったら目も当てられません。
たとえばケースのフォームファクタは「ATXにも対応したExtended ATX」にして、マザボのフォームファクタは「ATX」にすると、「ケースにちゃんとマザボが入る」「買い替える前よりPC内に余裕ができる」「だからグラボが大きくても入る」というふうに最終目的を達成しやすい構成にできます。
次に気をつけておきたいのは、CPUのソケットです。CPUによって対応しているソケットが異なるので、実はこのソケットで間違わないようにするのも自作PCの基本なのです(そして初心者がミスしやすいところでもあります)。
今のCPUをそのまま転用するのであれば、CPU名で調べておくとイイでしょう。たいていソケットの情報も掲載されています。AMD製のCPUだと「Socket AM4」のように、Intel製のCPUだと「LGA1200」のように表記されます。
他にも電源やHDD・SSD、そしてメモリなどを接続されるのにも配慮しておきたいのですが、大きくミスに繋がりやすいのはおおまかには以上となります。
自作PCでマザーボードを扱うのはレベルが高いながらも避けて通れないところです。むしろ初心者の方であれば、ここを通過できることで経験値が溜まって自作レベルが上がること間違いなしです。
どちらでもイケそうな場合
実際のところ、ここは「絶対にどちらになるかハッキリ決まる」というほど厳密なものではありません。「グラボ以外のパーツをどう動かしても、そのグラボが入らない」とわかっているときはケースを変えればイイのですが、曖昧な場合もあります。
状況を見ながら、どちらのほうが簡単そうか、もしくはコストが安く済むか、などを基準に考えるとイイでしょう。
考えるのが面倒だという場合は、グラボを挿すスロットがちゃんと空いている状況などに限ってですが、「大きめのケースを買ってマザーボードごと全部のパーツを移動させて、そこにグラボを挿す」という方法でもイイかもしれません。
すでにPCが使えている状況なので、わざわざマザーボードからアレをとったりコレを挿したりすることで、むしろワケがわからなくなってグラボ以前にPCが使えなくなる、という状況をなるべく避けたいからです。
さいごに:経験値が減ることはほとんどない
ミスをしてしまうと、へこんでしまうのはしかたありません。初歩的なミスであれば、なおさらです。
しかし目的があって始めたことであれば、それを途中でやめてしまうことは、その目的から考えると初歩的なミス以上に致命的かもしれません。
あくまで自作PCは趣味です。失敗しても命にはかかわりません。ゲームと同じで、ミスをしてうんざりしたら少し離れてしまってもイイのです。気分が落ち着いたときに、またとりかかって前へ進めれば、それでも充分です。
今回の記事は、皆さんの役に立ったでしょうか? 自作PCを進める上での、ちゃんとした攻略本として使えたでしょうか?
ちなみにこのサイトでは、現在 自作PCの情報だけでなく、「無料ゲーム(フリーゲーム)」や「無料配布ゲーム(もともと有料だけど期間限定で無料になっているゲーム)」の情報をまとめています。
もしグラフィックボードを買うような自作PCをしているアナタが、ゲーム好きのゲーマーであれば、無料で遊べるゲームの情報でよりゲーマーライフを楽しく遊んでいただけるかもしれません(ゲーマーの方により楽しくなってもらうのがこのサイトの目的です)。
現在は「Epic Games」がほぼ毎週 新しいゲームを無料で配布してくれていたり、Steamでもときおり無料配布されていたり、海外インディゲーム特化サイトitch.ioでもいろんなゲームが100%オフになっていたりします。
そうした情報を継続的かつ集中的に、ゲーマーの皆さんが「見やすい!」「手っ取り早く情報を集められる!」と喜んでいただけるように、「無料配布ゲーム」専用のページを作りました。ご興味ある方は、ぜひチェックしてみてください。