PCでゲームをプレイする予定のとき、PCの様々なパーツのなかでも優先順位があり、そのなかにはグラフィックボードをはじめとして、CPUやメモリも含まれます。
グラフィックボードとCPUの組み合わせは以前エントリとして掲載しましたので、今回はグラフィックボードとメモリの組み合わせについて考えてみましょう。
このエントリのポイント
- メモリはサポート役
- メモリとグラフィックボードの関係は、間接的。
- 必要なメモリの量は、用途によって変わる。
メモリの役割とは?
メモリはよく「作業台」に譬えられ、その容量により「どれくらい作業がしやすくなるか」というスムーズさを示します。
作業台とはそれ自体はツールとしてとても地味で、それでなにかができるわけではありません。いわば「スペース」として利用できるだけなので、ノコギリのように切断することにも使えず、接着剤のように接合することにも使えません。
それではメモリには、いったいどんな役割があるのでしょうか?
PCをスムーズにするためのサポート
メモリがないと、PCは動作しません。さてこれから仕事をしようというときに我々の前にテーブル(≒メモリ)がないようなものです。ただイスに座るだけで、ノートやペンどころかカバンを置くスペースすらないのです。
メモリが足りないというのも同様で、書類や私物を置くだけでテーブルの上に空きがなくなるような状態です。新しく作業をするには、テーブルをキレイにして空きを確保しなくてはいけません。作業が停滞する度に空きを確保しなくてはいけませんので、かなり煩雑です。
筆者は現在Windows 10を使用してメモリは16GBを搭載したPCを使用しています。かつてWindows XPを使用していた頃はネットブラウジングをするにも苦労して、重くなったらメモリ解放や再起動などを繰り返して使用していました。
メモリの量は、いわば作業台・テーブルの大きさです。この量が充分でないと、新しく作業を試みる度に停滞します。
基本的にこの停滞を避けるには、メモリの量を増やすことが根本的な対策となります。メモリの量を増やすといのは、作業台としてのスペースを広くすることであり、私物などでいくらかスペースが占有されるにしても、それ以上の余裕をあらかじめ確保しておくことになるのです。
メモリの相場観
メモリは基本的に4GB・8GB・16GB・32GB・64GBと等比数列的に増えていきます。
現状では、「8GBであれば充分である」という通説があります。この考えには「4GBでは少ない」が「16GBも積む必要はない」という意識が伺えます。
厳密にいうとメモリの使用量については、使用するソフトの種類によって変わるというのが実際のところです。
一般的には「8GBで充分である」という考えは、そこまで極端ではありません。現行のOSでのメモリの使用量を考慮すると4GBではかなり余裕がありませんし、16GBはややオーバースペック気味とも受け取れます。
しかしこの考え方は「ゲーム」をあまり意識していない「ネットブラウジング用途」を中心としたPCの構成での話です。
ゲームタイトルによって変わりますが、ゲームを中心にPCを使用するのであれば、8GBでは心許ないといえます。
現行のOSではなくWindows XPなど古いものを使用していれば、OSでのメモリ使用量がもっと少なくなると想定されるので、4GBでも問題ないことがあるかもしれません。しかしXPは2014年にサポートが終了しています(参考:Microsoft)。サポートが終了しているのでセキュリティ上リスクが大きいので、インターネットに接続するなどは推奨されません。メモリを減らしたいがために、このようなリスクをおかすのはあまり賢明とはいえません。
「どれくらいメモリを積めばいいか」という問題に答えを出すには、用途をしっかりと定めておかなくてはいけません。もしここを中途半端にしておくなら、「メモリが足りなくなっては大変だ」と多めに設定しておかないと不安になることもあるでしょう。(→当エントリ内「オススメの構成」で用途別にオススメのメモリ量を解説しています)
できるだけ細かく用途を考えておくことで、「どれくらいであればメモリは充分か」という問題に答えを出しやすくなります。
「サポート」の意義とは?
メモリというパーツはPCにおいて、決して見栄えのする華々しいものではありません。CPUがPCの花形なら、メモリはそのサポート役です。CPUがアイドルやタレントだとすれば、メモリはマネージャーです。
「ギリギリのサポート」の有用性
さて、ではそのサポート役について、「どのくらいの質と量」を用意しておくのが望ましいのでしょうか?
その答えは人によってそれぞれあって当然です。あくまで「大事なのは花形だ!」としてサポート役よりも花形を大事にするのも本人の選択です。
しかしサポート役が常にギリギリで余裕がなく、切羽詰まった状態で運用されているのは、リスクが大きい状態です。
アイドルやタレントで譬えると、目的としては人気が出ること(またはそれで利潤を得ること)なのですが、通常状態の特に人気が出ているわけでもない状況で、すでにマネージャーが疲労困憊、ストレスではいつくばるような切羽詰まった状態であれば、目的である「アイドルが人気を獲得する」を実現できたとしても、増えた業務をマネージャーが処理し切ることができるはずもなく、結局はせっかく得た人気を次にいかすことができずに終わりかねません。
そうした観点からは、「支障をきたす寸前ギリギリのサポート」とは、その支障をきたす以上の動作・パフォーマンスをなにひとつ考慮せず期待もしない運用方法といえます。つまりこのギリギリのマネージャーがつけられたアイドルは、そもそも「人気を獲得する」ことを目的としておらず、「現状維持」が目的となっているのです。
これをPCに戻して考えてみると、やはり同じく「現状維持」であると認識できます。PCでゲームをする場合は、これまでそのPCでプレイしてきたタイトルのみを遊ぶことを目的としており、新しいゲームなどは考慮していない状態です。
もちろん新しいゲームでも要求スペックが低ければ、プレイできるかもしれません。しかし高負荷なものは期待できないでしょう。
現状を基準に「ギリギリ」の上限を設定しているので余裕がなく、その現状以上の能力を要求されても応えることができないのです。
アイドルやタレントの運用としてサポート役のマネージャーの量を制限することは、企業として利益を生み出す上でリスクが大きい考えです。もしくは利益の拡大をもはや考えていない状態です。しかしPCにおいてサポート役のメモリを制限したところで、基本的に苦労やストレスを味わうのは使用者本人だけです。極論をいうと、好き勝手に選んでも構いません。メモリに関する知識なしに選んで苦労しても、本人の責任だからです。
余裕への考え方
ここで「余裕」について考えてみましょう。おおまかに見ていくだけで充分なので、「少ない余裕」「ほどほどの余裕」「過剰な余裕」という3段階で見ていきましょう。
無駄として切り詰める
まずは「余裕を少なくする」という観点です。余剰は「無駄」であると考えるときは、このときのように「少なくする」「切り詰める」と対処することになるでしょう。
この考え方の利点は、的確にサポートの量を割り当てることができれば限りなく無駄を切り詰めて効率化することができる点にあります。
売れないタレントに有能なマネージャーを割り当てるより、マネージャーのマネジメント能力に合わせて仕事が少ないタレント複数人のマネジメントを任せるなどすれば、少ないマネージャー数でも運用していくことが不可能ではないのと似ています。
余裕を切り詰めるデメリットは、容易に破綻することと、的確なサポートの量を計上するのが難しい点にあります。
売れないタレントがどんなきっかけで売れるかわからず、もし売れてしまったらもはやそれまで担当していたマネージャーでは管理し切れなくなります。このときに別のもっと余裕のあるマネージャーを担当させることができなければ、せっかく売れたタレントに仕事を割り当てることができなくなります。
またブラック企業という言葉が近年では広く知られるようになりましたが、これはその仕事を担当している人員に許容量以上の仕事を割り当ててしまうことで、その人員が疲弊してしまうことだといえます。
売れないタレント複数人を1人のマネージャーに担当させるとしても、マネージャーには個々に許容量があります。いくら過剰に負担を強いたとしても、根本的に実力以上の能力を発揮することはできません。
これをメモリの話に戻すと、「売れないタレントが売れる」というのは「新しい高負荷のゲームでおもしろいものが登場する」といったようなことで、たとえCPU(アイドル・タレント)がその処理に耐えられてもメモリ(サポート役のマネージャー)の量が少なければ対応できなくなります。
これは「新しいゲームをメモリ制限したPCでプレイしたい」という「当初の目的からの逸脱」という使用者の精神的な目標設定が曖昧だったことに起因します。
確固たるメリットはあるのですが、メモリ量を制限すると新しい用途(新発売のゲームなど)に対応できなくなることがあるので、初心者向けとはいえません。
PCを複数所持していて完全に用途別に使い分けているときは、メモリに限らずPCの構成を限定して運用しても問題が発生しにくいといえます。
いずれにせよ運用方法をしっかり理解している熟練者向けの考え方でしょう。
少しだけ余裕をもたせる
次に「ある程度は余裕を残しておく」という観点です。この場合は「ほどほど」に余剰をもたせ、過剰には得ないようにしておくという一般的な考え方といえます。
この考え方がメモリに関しても多くの人が知らず知らずのうちに採用しているものでしょう。
具体的なメモリの数値でいえば、上述した「無駄なメモリを切り詰める」というのは4GB以下などになり、この「余裕をもたせる」というのは8~16GB程度で、次の「最大限まで確保する」が32GB以上だと見なすことができます。
8~16GBと示しているように、もちろんいくらか段階的に「どれくらい余裕をもたせるか」という選択の余地があります。
基礎的な考え方として、ストレージ(HDDやSSD)などと同様にメモリは「多くあって損することはない」と見なすことができます。PCを活用する上でメモリやストレージは、多くあることで特に損はありません。
単純にPCを活用するだけでなく、費用対効果(いわゆるコスパ)を考えるなどすると、むやみに「多くする」ことは賢明とはいえなくなります。
マネージャーの譬えになぞらえると、アイドルやタレントの仕事量を考慮し、また近い将来に仕事量が増えることを見越して、ある程度マネージャーの人員数をいくらか多めに雇っておくことだといえます。
なお「あらかじめ多めにマネージャーを雇っておく」ではなく「いつでも雇えるように準備しておく」ことは、いわばメモリでは「簡単に増設できるようにしておく」ことだといえます。
最大限まで確保する
3つめは「余裕はできるだけ多く確保しておく」という観点です。この場合は1つめの「限界まで切り詰める」とは逆に、「限界まで余裕を確保しておく」という考え方になります。
実際には、マザーボードによって搭載できるメモリの最大量が決まっています。
製品によっては8GBが上限で16GBを搭載できないものから、1024GBつまり1TBを搭載できるマザーボードも販売されています。
具体的な例として、ASUSのマザーボード「TUF Z390-PLUS GAMING」を見てみましょう。
公式ページのスペック表によると、「Max. 64GB」と表記されており、最大のメモリ容量が64GBであることがわかります。
(TUFZ390-PLUS GAMING | マザーボード | ASUS 日本)
このようなマザーボードを使用することも、その最大限度までメモリを搭載する(上のマザーボード製品で1TBのメモリを搭載する)ことも、使い勝手がどうであるかは別として個人の趣味の範疇内でしょう。
自作PCの世界では、「ロマン」という言葉があります。実用性を重視したものではなく、性能や価格の極めて高いものを使用するという採算度外視の構成を、ときに「ロマン」といいます。
メモリを1TB搭載するような行為も、ロマンに類するものだといえます。いわば「最大限までメモリを確保する」行為は、実用性を重視したものではなく、「極限であること」を目的としたものです。
そうした意味でメモリを最大限まで搭載するのは、実用性を重視した場合には選択肢に入れるような考え方ではありません。あくまで資金に余裕のある人が趣味で興じるようなものです。
MOBA系ゲームで考えてみよう
「サポート」という言葉をあえて使っているのは、PCでMOBA系に類するゲームをプレイしている人ならそれなりに馴染みがある言葉だと思ったからだというのもあります。
筆者はLoLことLeague of LegendsとOverwatchをプレイする頻度が高いので、これに譬えてみましょう。
LoL
LoLでは、まずレーンによってTop・Mid・Botの3つに分けられ、BotはさらにADCとSupに分けられ、Junglerがマップを動き回るロールとして区分けされます。
おそらくこのなかで最も影が薄いのはSupでしょう。戦いにおいて最も華があるのは攻撃をする役(Mid・ADC)であり、次いでアシストする役(Top・JG)、そして最後がサポート役(Sup)となるのはある種の摂理といえます。
しかしSupは必要ないロールなのでしょうか? 答えはとても簡単です。必要なのです。必要ないロールであれば、Supというロールが成立せず、Topを2人にしたりするメタが当たり前になっているはずです。Supというロールが現存していることこそが、その必要性の証明のひとつなのです。
Supには、ソラカやソナのような回復役、アリスターやブラウムのようなタンク役、レオナやラックスのような強力なCCスキルをもつサポートなど、いくつか種類があります。もしこのなかに「メモリ」がSup役として参入するなら、どんなチャンピオンになるでしょうか?
その場合、メモリは決して回復を行いませんし、タンクとしてダメージを肩代わりしてもくれませんし、強力なCCスキルをもっているわけでもありません。
メモリの最大の特徴は「移動速度・攻撃速度・CDRを上げるバフをADCに与えるトグル式のスキルをもっている」というようなものです。
PCを使っているとき、普段はメモリの恩恵というのはあまり感じることがないかもしれません。それはいわば「トグル式のスキルがオフになっている」からなのです。普段は大きな力を出す必要がないのでメモリは静観して落ち着いています。
しかし一旦ADCが戦い始めると、このトグル式のスキルをオンにして戦いやすいように移動速度・攻撃速度・CDRを上げてくれるのです。
どれくらい上げてくれるかは、レベルによってスケーリングするものと考えてください。このスキルに少し難点があるとすればこのレベルのスケーリングについてであり、経験値を溜めるごとに1→2→4→8→16→32→64と増えるしかないので、増やせば増やすほどコストがやや大きくなる点です。
こんなチャンピオンは、もちろん実際にはLoLにいません。いたらすぐさまnerfされますし、そもそもゲームバランスを崩壊させてしまうほどOPです。しかもレベルを上げるとスケーリングしてスキルのバフ能力が上がるので、始末に負えません。
Overwatch
Overwatchは厳密にはMOBA系とは異なるFPSゲームですが、攻撃役としてアタッカー・DPS・ヒットスキャンなどと呼ばれる役割、タンク、そしてヒーラーが存在します。
メモリの役割をOverwatchで譬えるならば、「戦闘中ずっとナノブースト」のような状態だと考えてください。
この「戦闘中ずっとナノブースト」はかけられたヒーローの移動速度・攻撃速度を上げ、かつスキルのクールダウンを短くする効果があるようなものです。Overwatchのスキルは修正によってnerf・buffされることが頻繁にありますが、マーシーの蘇生がULTから通常スキルに変わったように、このナノブーストは通常スキルとして使用できるのです。
使わない理由がない
このような「ありえないほど強力なスキル」をもったメモリを使わない理由があるでしょうか? 筆者は使う他ないと考えているので、16GBをメインPCに搭載しています。
ここで「なぜ32GB搭載しないのか」と問われれば、そこまで必要ではないからです。
花形が活躍するためのサポート
基本的にサポート役とは、花形となる存在の世話をするために存在します。そうしたサポート役が不必要であれば、そもそもサポート役が存在する意義はありません。逆説的に、メモリのようなサポート役が「存在する」ということ自体が、サポート役の存在する意義を際立たせています。
根本的な考え方として、「花形を活躍させる」という価値観に違いはありません。しかしアイドルやタレントであれば、彼ら彼女らの仕事は「元気に活動してファンや周囲に笑顔や元気をふりまく」ということであり、自分たちのスケジュールや売り込み営業の管理まで行うことではありません。いわば「花形として仕事に集中してもらう」ために、サポート役であるマネージャーは彼ら彼女らのスケジュール管理や売り込みの営業を行っているわけです。
CPUとメモリの関係でいえば、高性能なCPUを使用していてもメモリが少なければ、CPUは全力を出し切ることができません。Intel製CPUのi9などを使用しているにもかかわらずメモリを4GBにしているなら、イチローが小中学生の試合に混じるようなもので、ただただ「もったいない」使い方をしているにすぎません。
高性能なCPUを使用する費用と比べると、メモリを増設する費用はいくらか穏やかなものです。ゲーム用途にかかわらずPCの性能向上を図るときには、「メモリ増設」はもっとも簡単で単純なパフォーマンス向上の手段のひとつとして認知されています。
32GBの捉え方
現状では、32GBというメモリ量はハッキリと「多すぎ」だといえます。
しかしそうした認識とは別に、BTOなどでは32GBのPCも用意されるなどしています。これは購入者を騙そうとしているのでしょうか?
もちろん、そうではありません。
16GBで苦しいゲーム
現在いくつかのゲームでは、推奨スペックとして16GBのメモリがあったほうがいいと設定しているタイトルがあります(BATTLEFIELDVや黒い砂漠など)。こうしたゲームが現状で存在するのですから、いずれ「推奨スペックに32GBのメモリを設定するゲームタイトル」が登場することは、もはや運命づけられています。
世のなかには「映画のようなゲームは好きじゃない」という人がいますが、そうした意見とは裏腹にやはり「豪奢な映像」を売りとしたゲームは続々と登場しています。この潮流はもはや「止めえない」ものとすらいえます。PCの各パーツがより高性能を目指しているように、人々がより裕福な生活を望むように、上を目指すという潮流はなかなか止めにくいものです。
そう考えると、8GBで普通、16GBで充分、32GBは多い、と感じていられるのは「今だけ」なのでしょう。いずれ8GBではまったく足りない、16GBが普通、32GBで充分、64GBだと少し多い、と感じられる時代が来ることでしょう。
そしてその先には16GBが少なく、32GBが普通で、64GBが多いほうだと感じられる時代が来ることも目に見えています。
そう考えると、今のうちに32GBにしておくと安心かもしれない、と見なすこともできるかもしれません。
もっと広い視点で見ると、そのように時代が進むにつれて「メモリ」という代物が時代遅れになって使われなくなる可能性もあります。
しかしそう考えて「メモリを使用するのは愚か」だと判断するのは、早とちりというものでしょう。
現状では16GBあれば充分ですが、いずれにせよこの先はわかりません。
「多い」ことは悪いことではない
また現状で多いとされる32GBでも、多いから「悪い」ということではありません。
たとえば広い家に住んでいたとして、その広さによって「どれくらい悪いか」が決まるわけではないのと同様です。
それは単に他人からすれば「余剰(あまり)が多すぎてもったいない」と感じられるだけです。その家に住んでいる当人が満足していて家賃をちゃんと払えていれば、なにも問題はありません。
余裕が過剰だともったいないと感じられるのはおかしくありませんが、当人が満足していれば基本的には他者が口を挟むことではありません。
ただそれが「蛇口を開けたまま水を出しっぱなしにする」ような資源を無駄使いするような行為であれば、もちろん止める側にも正当性があります。
しかしメモリの多さに関しては基本的にこれとは別の問題なので、当人が満足しているという事実さえあればどこにも問題はないのです。
オススメの構成
それでは現実的なメモリの構成について考えてみましょう。
メモリはCPUのサポートをするので、グラフィックボードとの相性は直接的にはありません。特にグラフィックカードを利用する際はゲームに関係してくることが多くなりますが、ここでは広く可能性をとらえて考えてみましょう。
目的によって変化する
現状ではどの程度メモリを使用するかという選択肢は、さほど多くありません。基本的に最新のOSを使用していればシステムで使用するメモリ量がおおまかに決定され、少ないメモリ量では「ただPCを稼働させる」だけでブラウザすら起動できない状態は「PCを使用できている」とはいえないので、メモリの下限がおおよそ把握できます。
また上限は前述のように青天井ではなく、マザーボードごとに最大のメモリ搭載量は決定されていますが、上限までメモリを搭載することは多くありません。
そのためやはり基本的な考え方は、「下限ギリギリ」でも「上限最大」でもなく、「下限から上限までの間でほどほどの余裕を」という形になります。
そして高負荷なソフトやゲームを起動・活用するにしても、どんなソフト・ゲームを使用するかで必要なメモリ量はまったく変わってきます。
大まかな用途を3つ「ゲーム用途」「ネットブラウジング用途」「ビジネス用途」で大別して見ていきましょう。
ゲーム用途の場合
ゲーム用途でPCを使用する場合は、比較的重い使い方であるといえます。そのなかでも重いゲームと軽いゲームがあるので、どのようなゲームをプレイしたいかでも必要なメモリ量は変わります。
いくつかのゲームを、公式のスペック表を引用してまとめたページがありますので、閲覧する場合はこちらのリンクからご覧ください。
おおよその傾向として、やはり3Dのゲームは2Dのゲームに比べて重くなりがちです。もちろん3Dゲームでも古いゲームであれば8GBのメモリでも難なく動作するものもあるでしょう。
ざっくりとした考え方では、古いゲーム・2Dゲームならば8GB、重いゲーム・最新ゲームならば16GBで良いでしょう。
もちろん大きく余裕をもちたいときは32GBでも問題ありません。
ネットブラウジング用途の場合
ネットブラウジングを主要用途とする場合は、YouTubeなどの動画サイトを利用することが負荷の高めな行為だといえるでしょう。
場合によってはブラウザゲームでもCPUに負荷をかけるものがあるので、そうしたものを遊ぶ際はある程度メモリの余裕があることが望まれます。
しかしネットブラウジングならば16GBも必要ないかもしれません。
もちろんタブブラウザなどで数十のタブを常時開いている状態であれば、8GBではやや心許なくなることもあるでしょう。
また複数のブラウザを使い分ける場合は、よりメモリの余裕は大きく確保されているほうがスムーズになるでしょう。
ゲーム用途と異なり、ネットブラウジング用途で32GBを要することは基本的にありません。16GBで多めに搭載している状態です。もちろん32GBあることで安心できるのならそうすることは間違いではありませんが、ややコスト度外視の考え方であるといえます。
ビジネス用途の場合
ビジネス用途の場合も、基本的には使うソフトの負荷によって要求されるメモリ量は変わります。
ゲーム開発や3D処理などを施すソフトの場合は、CPUもグラフィックボードもしっかりとした性能のものが要求されますし、メモリについても言わずもがなです。
ビジネス用途としてはMicrosoft Officeを使うことが想定できますが、これについてはノートPCでも使用できるソフトです。数十のファイルを同時に開くなど無茶な使い方をしない限り、Officeを使用するだけなら8GBでも充分でしょう。
場合によっては4GBでも運用が可能ですが、やや動作がもたつくことが想定されますし、マルチタスクを極力避けるなどの工夫を要することもあると考えられます。
グラフィックボードとメモリの相性は?
ゲームをプレイするときにはグラフィックボードの性能が肝となりますが、このグラフィックボードとメモリの相性についてはどうなのでしょうか?
直接的な相性はあまりない
実のところ、グラフィックボードとメモリについて直接的な相性はあまりありません。メモリはCPUを動作させるためにストレージ(HDDやSSD)のデータを一時的に溜めておく部分なので、グラフィックボードはこのメモリを使用しないのです。
グラボには個別にメモリが搭載されている
グラフィックボードは内部にGPUというチップ(集積回路)を搭載しています。これは映像処理用のプロセッサーであり、いわばCPUの親戚です。そしてこのGPUも実はメモリを使用するのですが、GPUが必要とするメモリは個別でグラフィックボード内にVRAM(ビデオ用メモリ)として確保されています。そのためにグラフィックボードが別にメモリを要求することはなく、グラフィックボードとメモリには直接的には関係がないといえるのです。
しかしグラフィックボードにおいてもVRAMが重要であることは頭の片隅にでも置いておいてください。
それというのも、グラフィックボード製品では個別にVRAMの量が設定されているからです。
特に一部の製品ではVRAMの量が異なるバリエーションが用意されていることがあります。
具体的な例として、「GTX 1050」にはVRAMが2GBの製品と3GBの製品が別々に販売されています。
もちろんメモリの多い3GBのほうがパフォーマンスは上位であると見なせます。
でもゲームにはメモリが必要
グラフィックボードとメモリには直接的な関係がないのですが、メモリの性能はCPUに影響を及ぼすので、CPUが満足に稼働できていないとグラフィックボードならびにCPUが充分な性能をもっていても、メモリが少ないとゲームが満足にプレイできないことになりかねません。
CPUとメモリは二人三脚でPC全体の処理を担っています。ゲームもその処理のひとつであり、ゲームをプレイする際にはグラフィックボードが重要な役割を果たすと同時に、CPU・メモリの活躍も重要で、中途半端な性能ではスムーズにはいきません。
いわばグラフィックボードはGPUとVRAMが夫婦として「ひとつの家族」として認識されており、CPUとメモリは「恋人」として別々に認識されているようなものです。そしてゲームを処理する際には、グラフィックボード(GPUとVRAMの家族)とCPU・メモリが協力している状態なのです。
そしてメモリが少ない状態ではCPUがあたかも心配になって調子が出ないように、グラフィックボード(家族)だけががんばっても結果が出ないのと類似しています。
まとめ
- メモリはCPUをサポートする。
- グラフィックボードのGPUは、同じグラフィックボード内のVRAMを使用している。
- 基本的に8~16GBが一般的なメモリ量。
- メモリが多いことは悪いことではない。
- むしろメモリを少なく済ませようとすると、PCは重くなりがち。
さいごに
メモリはPC全体の許容量を上げてくれる名脇役です。CPUやグラフィックボードのように比較的安価に増設でき、またスロットに挿すことで失敗のおそれも他に比べると少ないといえます。そのため自作PCに長じていない方でも入門としてうってつけです。
グラフィックボードとメモリの間には、実質的に直接的な関係はありませんでした。しかしメモリがサポートをしているCPUはPC全体の性能を左右するため、ゲームをプレイするときにはグラフィックボードの性能だけでなくメモリの容量も影響してくるのです。
予算やオーバースペックへの考慮はありますが、基本的にはメモリは多ければ多いほど「安心」に繋がります。効率的なPC構成にするにはメモリの容量を減らすことも考えられますが、リスクの観点からはあまり推奨されません。メモリの性能は安心に直結するので、安心を多少の費用でまかなうものとして、ある程度は保持しておきましょう。