日本でゲームといえば、未だSonyや任天堂の販売するコンシューマ・ハードが根強いですが、PCでゲームを遊べることを知っている人が近年増えてきています。あまりPCに触れたことのない人やコンシューマ・ハードに親しんでいた人は、新しくそうした状況を知ってPCでゲームを遊びたいと考えるかもしれません。
そしてPCでゲームを遊ぶ際の基本的な懸念事項は「PCのスペックがゲームの要求スペックに適っているか(足りているか)」ということです。さらにこのとき「PCのスペック」で強く心配されるのが「グラフィックボード」の性能です。
なるべくなら新しくグラフィックボードを購入するにしても、安く抑えたいものです。それではグラフィックボードに「1~3万円」という予算で臨む場合、どういった性能の製品が選択肢にのぼるのでしょうか。見ていきましょう。
このエントリのポイント
- 1~3万円という価格帯のグラフィックボードは「安い」。
- どんなゲームをプレイしたいか考えておこう。
- 古めのゲームならたくさん遊べる!
グラフィックボードの価格相場
グラフィックボードはPCパーツの一種であり、各パーツにはそれぞれ異なる価格相場にあります。CPUであれば数万円程度、HDDであれば数千円~1万数千円程度、メモリであれば数千円~数万円程度となります(もちろん時期により変動します)
グラフィックボードもこれらと異なった価格相場をもっています。グラフィックボード全体ではおおよそどれくらいの価格の製品が多いのでしょうか。また今回は1~3万円の製品を見ていきますが、これらはどの程度の価格域となるのでしょうか。
全体的な相場は1~10万円
グラフィックボード全体を見ると、市販されている製品は1~10万円がおおまかな相場となっています。もちろん1万円より安い製品はありますし、10万円以上の製品もあります。多くの人にとって現実的な選択肢としては、やはり10万円までが挙げられるのではないでしょうか。
1~3万円はローエンド帯
そうした相場観と比較すると、今回の焦点である「1~3万円」という価格帯のグラフィックボード製品は「安い」部類の製品になります。グラフィックボードは性能が上がるとともに価格も上がる傾向にあります(正比例とはいえません)。つまり安ければそれだけ性能も低くなりがちです。
多くの製品を擁する分野では、それぞれの製品をわかりやすく分類するために「ローエンド」「ミドルレンジ」「ハイエンド」と区分けすることがあります。その見方からでは、1~3万円のグラフィックボード製品はローエンド、価格が安く性能も相応の製品と区分することができます。
1万円以下は超ローエンド帯
またこの価格帯より安い1万円以下のグラフィックボード製品は、ローエンド以下といえます。これはもはやグラフィックボードとして設置する意義があるのか判断が難しい製品群です。
もちろんこの「使う意義があるか判断が難しい」というのは、一般的な性能を保持したPCで、こうした1万円以下のグラフィックボード製品を使用する場合です。現在安価で購入できるスペックのPCより低い性能でPCを組んでいる人にしてみれば、充分使用できる可能性があります。
いわば「プレステ4」が標準となっている現代のPCスペックではイマイチだけれど、初代の「プレステ」程度のスペックからしてみれば有用である、という程度の古いスペックを基本とした考え方です。「最近発売されたゲームをプレイする」という観点に到達していないことを熟知しておいてください。
1~3万円のグラフィックボードの特徴
それではこうした1~3万円程度のローエンド帯のグラフィックボードには、どんな特徴があり、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
メリット
前述の通り、グラフィックボード全体の価格相場は1~10万円程度です。その点からすると、1~3万円のグラフィックボードには特筆すべきメリットがあります。
安い
そのメリットは、もちろん「安さ」です。低価格帯のローエンド製品の特長であり、最大のセールスポイントです。
100~1000円のカレールウがあったとして、そのなかから100~300円程度の低価格帯のルウを選択するようなものです。この帯域の製品を選ぶ理由は、安さ以外にはないでしょう。
グラボ初心者に最適
その最大のメリットである安さから、さらに「グラフィックボード初心者に有用である」との観点が導き出されます。
そもそもグラフィックボードは全体的に高価な製品ばかりです。初めてのグラフィックボード製品に、何万円もする高額なものを購入するのは恐怖心が勝ち、気が引けます。そのために「試しに」「練習として」安価な製品を購入するのは、次のステップに進むための最初の一歩として有効です。
デメリット
それでは逆に、1~3万円のグラフィックボードのデメリットとはなんでしょうか?
性能はやや低め
メリットが安さであるため、その反動・裏返しとしての「性能の低さ」が、1~3万円のグラフィックボードのデメリットです。
せっかく旅行で楽しもうというのに、国外どころか国内の観光地ですらなく、近縁の遊園地に行くようなものです。
グラフィックボードに限らず、なにか商品を買うときは「性能・効能」と「費用」を天秤にかけます。この1~3万円のグラフィックボードを選ぶ場合は、費用を重視して性能の秤をギリギリまで切り詰めるような選び方です。(なお1万円以下のグラフィックボードを選ぶのは、もはや安さだけを重視して性能の秤を外すような考え方です)
安い以外の何物でもない
この価格帯の製品を選ぶ理由は、性能ではなく安さ一本です。そもそも安さが魅力で選ぶため、性能の上り幅もかなり狭まっています。とりあえず「グラフィックボード」を使用するという程度の名目になる、ということを忘れてはいけません。しっかりとした性能の製品を選びたいときは、これよりも上の製品を狙う必要があります。
前世代のグラボに性能で負けることも
この廉価帯のグラフィックボード製品は、たとえ現行の標準的製品であっても性能が低いため、すでに古いとされている前世代の製品と比べても、それより性能が低くなってしまうことがあります。
つまりこの価格帯の製品を買う前に性能を調べておかないと、すでに自分のPCにグラフィックボードが設置されていた場合、それより性能が低いものを買いかねません。
筆者は現在ハイエンドとされるグラフィックボード製品「GTX 1080」を使用していますが、以前のPCでは「GTX 660」を使用していました。2012年夏ごろの製品で古めのグラフィックボードですが、現行の1~3万円の製品である「GTX 1050」よりベンチマークスコアでは少し低い程度と判定されています。
たとえば2013年末の「GTX 780」であれば、1050のほうが性能は低いとされることがあります。
1~3万円のグラボを使う意義
それでは他の価格帯の製品ではなく、この1~3万円という帯域のグラフィックボード製品を使う意義とは、いったいなんなのでしょうか。
とにかく費用を抑える
やはりメリットである安さを最大限にいかすのは、「費用を抑える」という考えを満たすことに他なりません。ゲームをプレイする上で、必要とされているグラフィックボードをとりあえずPCに設置する、でもそれにお金をかけたくはない、というような場合です。
費用と性能を天秤にかけ、費用をとにかく軽くしたい、という意図のもとにはある程度有効であるかもしれません。予算が単に少ない場合も、この価格帯を選ぶことになるかもしれません。
中程度のスペックのゲームを動かす
グラフィックボードを設置しない状態では、オンボードのグラフィック性能をなんとか使う以外に手段はないので、その場合は10年前のゲームでも動作しない場合があります。そうした状況を打開するためには、たとえ安くともグラフィックボードを設置することが望ましいので、このような目的の場合は至極有効でしょう。
それでもなお気をつけないといけないのは、新しいゲームであれば低画質でもやや動作が重くなる可能性が高いという点です。最新のゲームを快適にプレイできる環境を構築するのは、かなり難しいでしょう。たとえグラフィックボードをこの1~3万円という安い価格帯で選んでも、CPU・メモリにしっかりとした性能がないと、安定した動作は難しいと考えられます。
1~3万円のグラフィックボード製品
それでは1~3万円のグラフィックボードには、実際にはどんな製品があるのでしょうか。
NVIDIA製
現在グラフィックボードはNVIDIAとAMDが二大巨頭となっており、そのなかでもNVIDIAが大きなシェアを誇っています。そのなかでも「GeForce」という製品群がゲーム用途として個人向けのシリーズとなっています。
GeForce GTX 1050
「NVIDIA GeForce」のなかには「GeForce GTX 10」シリーズがあり、この「GTX 1050」は当該シリーズ内でもっとも安い製品です。
<NVIDIA:新しい GeForce GTX 1050 グラフィックス カード>
VRAM(ビデオ用のメモリ)については、2GBが搭載された製品と3GBが搭載された製品とがありますので、購入する際はしっかりと確認しておきましょう。
性能を比較するために、いくつかのサイトのベンチマークのページをリンクしておきます。各サイトによってスコアは基準が異なることに留意しておいてください。
<GPUBoss:GeForce GTX 1050 – GPUBoss>
<UserBenchmark:UserBenchmark: Nvidia GTX 1050>
<PassMark:PassMark – GeForce GTX 1050 – Price performance comparison>
GeForce GTX 1050 Ti
GeForceでは少し性能が高くなった製品に「Ti」の名称が付与されています。この「GTX 1050 Ti」でいえば、1050以上1060未満の性能と考えて差し支えありません。
<NVIDIA:新しい GeForce GTX 1050 グラフィックス カード>
VRAMについては、4GBが搭載されています。
<GPUBoss:GeForce GTX 1050 Ti – GPUBoss>
<UserBenchmark:UserBenchmark: Nvidia GTX 1050-Ti>
<PassMark:PassMark – GeForce GTX 1050 Ti – Price performance comparison>
GeForce GTX 1060
「GTX 1060」は1~3万円という価格帯でも2万円台を示すというやや高額な製品です。性能はこの価格帯では最高域で、グラフィックボード全体を見ても「ややミドルレンジ寄りのローエンド」と見なすことができます。
<NVIDIA:GeForce GTX 1060 グラフィックスカード | GeForce>
VRAMについては、3GBが搭載された製品と6GBが搭載された製品があります。もちろん多くVRAMを積んでいるほうが基本的には高性能になります。
<GPUBoss:GeForce GTX 1060 – GPUBoss>
<UserBenchmark:UserBenchmark: Nvidia GTX 1060-3GB>
<PassMark:PassMark – GeForce GTX 1060 – Price performance comparison>
AMD製
AMD製グラフィックボードはコストパフォーマンスに優れているとされます。「Radeon RX 500」シリーズの「Radeon RX 550」「RX 560」「RX 570」「RX 580」が1~3万円の価格帯では候補として挙げられるでしょう。
RX 550
<GPUBoost:Radeon RX 550 – GPUBoost>
<UserBenchmark:UserBenchmark: AMD RX 550>
<PassMark:PassMark – Radeon RX 550 – Price performance comparison>
RX 560
<GPUBoost:Radeon RX 560 – GPUBoost>
<UserBenchmark:UserBenchmark: AMD RX 560>
<PassMark:PassMark – Radeon RX 560 – Price performance comparison>
RX 570
<GPUBoost:Radeon RX 570 – GPUBoost>
<UserBenchmark:UserBenchmark: AMD RX 570>
<PassMark:PassMark – Radeon RX 570 – Price performance comparison>
RX 580
<GPUBoost:Radeon RX 580 – GPUBoost>
<UserBenchmark:UserBenchmark: AMD RX 580>
<PassMark:PassMark – Radeon RX 580 – Price performance comparison>
総評
この価格帯の製品はローエンド帯であるため、前世代の製品よりも性能が低いことがあります。GTX 1050や1060は現行のGeForce GTX 10シリーズ内の製品ではありますが、当該シリーズでも低めの性能の製品であるため、数年前のグラフィックボードである「GTX 690」などと同程度、もしくはそれより低質とベンチマークスコアで比較されることがあります。
この価格帯では性能が高いほうのGTX 1060でも、前世代の「GeForce 900」シリーズである「GTX 980」にベンチマークスコアでは負けています。
安い製品であれば、現行の製品でも前世代の主力製品には及ばないことがあるのです。
新品として流通している数は、現在はGeForce GTX 10シリーズのほうが多くなっています。上で比較した「GTX 690」はほとんど流通していませんし、「GTX 980」は販売されていても6万円以上の価格となっています。
新品としてこうした前世代の製品を購入する意義はかなり薄れているでしょう。
グラフィックボードの使い方
この価格帯の製品を使う方には自作PC初心者の方が多いかもしれないので、グラフィックボードを単体で購入した際の使い方についても見ていきましょう。
マザボとモニターに接続する
グラフィックボードは、マザーボードとモニターに接続します。
ご存知のとおりグラフィックボードはPCにおいて視覚情報の処理を担いますが、マザーボードは各パーツを接続する中枢神経のような役割を、モニターはグラフィックボードなどが処理した視覚データを映像として映したりします。
マザーボードは電源ユニットとも接続しますので、グラフィックボードはマザーボード経由で電力を供給して、グラフィックボード内部でデータを処理し、その処理した後のデータをモニターに送信して映像を映します。
またミドルレンジ以上のグラフィックボードでは、補助電源も接続しなければいけない場合があります。パワーを出すにはもっと電力が必要だということです。
この価格帯では安めのGTX 1050などでは補助電源が不要なことがありますが、GTX 1060などでは必要な場合が増えてきますので、少し留意しておきましょう。
他のパーツとの相互効果
グラフィックボードが直接的に接続しなくてはいけないのはマザーボード・モニター、そして場合によって電源ユニットを含めた3つです。しかし人体を見てみると、左右の手が直接的に繋がっていなくてもお互いが重要で、両腕を同時に使用することでより複雑な行動をとることができるように、PCでもグラフィックボードは他のパーツとの相互効果が重要になることがあります。
CPU
CPUはPCの脳にあたる最重要パーツです。グラフィックボードが映像を処理するパーツであるのに対し、CPUはPCにおけるほぼすべての処理を行います。
つまりグラフィックボードの性能だけを上げてもCPUが貧弱であれば、PC全体としては大した能力の増強に至らないのです。
グラフィックボードとCPUの能力については、バランスが大事です。CPUだけが高性能でグラフィックボードが低性能では映像処理がうまくできず起動しないゲームがありますし、CPUが貧弱にもかかわらずグラフィックボードを高性能なものにしたところで起動できるだけでカクカクするだけのまともに遊べないゲームが増えるだけです。
ここではCPUの細かな説明は行いません。しかし1~3万円のグラフィックボードを選ぼうという段階では、CPUはi7などよりi5くらいで充分かもしれません。世代が新しいものであればi3でもバランスは保てるかもしれません。
メモリ
メモリは「作業台」に譬えられるPC全体の処理をサポートするパーツです。ゲームに限らずネットブラウジングや動画再生などもスムーズにするので、CPU・グラフィックボードが充分な性能でもメモリが少なければカクつく可能性は大いにあります。逆に充分な容量が確保されているのであれば増強の必要性は高くありません。
メモリが多ければ多いほどPCはスムーズに動きますが、グラフィックボードを1~3万円というローエンドで選ぶ場合は、8GB程度あればいいでしょう。16GBあっても問題があるわけではないのですが、広いお屋敷で両親不在のまま子供が独りで食事をするようなもので、そのメモリの多さをあまりいかせる構成とはいえません。
逆に少なめの4GBでは、OSにメモリ使用率を奪われてゲームの処理がおぼつかなくなる可能性があります。
ローエンド帯の製品はあまり大きくない
またグラフィックボードは、長方形の横長のパーツです。高性能な製品になるとやや大型になり、小型のPCケースでは収まりきらない場合があります。
また支えが乏しいために自重でたわんでマザーボードなどを破損させる原因となることがあります。
しかし基本的に1~3万円という価格帯の製品ではさほど大きくならないので、過剰に気にする必要はありません。
どんなゲームがプレイできる?
ゲーム用途でグラフィックボードを買うつもりであれば、やはりその製品でどんなゲームが動作するのか気になるところです。具体的な例を見ていきましょう。
快適にプレイできそうなゲーム
まずあまりPCスペックを必要としないゲームや古めのゲームは、高画質設定でも快適にプレイできる可能性が高いでしょう(ゲームの設定で高画質を選べるだけであって、最新のゲームと同様の高画質を実現できるという意味ではありません)。
対人オンラインゲーム(PVP)では、LoL、Dota 2、CS:GO、AVAなどは60fps以上の安定したフレームレートでプレイできる可能性があります。
MMOなどの対AIオンラインゲーム(PVE)では、FF14、ドラクエヒーローズ、PAYDAY 2、L4D2、Portal 2、Killing Floor 2、TERAなどが安定してプレイできそうです。
また一人用のシングルゲームとしては、TES IV: Oblivion、BioShockシリーズ、Outlast、Undertale、The Witcher、The Witcher 2、Borderlands 2、アサシンクリード(ディレクターズカット)、Civ 5、FNaFなどがスムーズにプレイできそうです。
低スペック帯ではMinecraftが動作基準として挙げられることが多いですが、Minecraftはさほど重いゲームではありませんので、基本的にこの価格帯のグラフィックボードであればスムーズに動くでしょう。
またRPGツクール製のゲームやブラウザゲームなどは、この低価格帯でもグラフィックボードを設置してあればおおよそプレイする上で困ることはないでしょう。
比較的スムーズにプレイできそうなゲーム
次に、解像度にこだわらず低画質でいいならばフレームレートが安定するであろうゲームを挙げます。
PVPゲームでは、Overwatch、CoD: BO3、CoD: BO4、ストリートファイター5などがそれにあたるでしょう。
PVEゲームでは、FF14、TES Online、黒い砂漠などが候補となります。
シングルゲームでは、TES V: Skyrim、GTA5、Fallout 3、Fallout New Vegas、FF15、BioShock Remastered、Outlast 2、The Witcher 3、FNaF: Sister Locationなどが挙げられます。
低画質ならプレイできそうなゲーム
最後に低画質であればスムーズとはいかないまでも、起動してプレイすることができそうなゲームタイトルを列記します。快適にプレイできるかは別としています。
PVPゲームでは、PUBG、Fortnite、ソウルキャリバー6などがそれにあたります。
シングルゲームでは、Fallout 4、Nier: Automata、アサシンクリードオデッセイなどが挙げられます。
総評
ここで挙げたゲームは、全体のほんの一部に過ぎません。筆者はsteamだけで800本以上のタイトルを所有していますし、PCでプレイできるゲームには海外で制作されたものが多いので、世間に広く知られていないゲームもたくさんあります。
過去のゲームは動くものが多い
全体的に見ると、安定してプレイできそうなゲームにはやはり古めのタイトルが目立ちます。PUBGやFortniteといったバトルロイヤル系は、スペックが必要で世界全国にまたがった同時接続のゲームですので、この価格帯のグラフィックボードではさすがに難しいかもしれません。
コンシューマゲームと同様に、現在にいたるまでPC用に様々なゲームがリリースされてきています。たとえ古いゲームでも、steamなどで入手することが容易になっていることもあり、Half-Lifeのような名作ゲームがプレイしやすいのもPCゲームの現状です。最新ゲームにこだわらず古くとも名作ゲームを遊んだり、3DにこだわらずUndertaleやTerraria、Stardew Valleyのような2Dのゲームもプレイしたりするようであれば、幅広いゲームを遊ぶことができるでしょう。
これからの作品に関しては厳しい
「この価格帯のグラフィックボードでも動くだろう」と楽観視できるのは、過去に発表された作品おいて顕著です。新しいゲームのなかで高画質を目指したものがあれば、この価格帯の製品ではもはや起動すら危ういものが現れかねません。
その一例が「モンハンワールド」ことモンスターハンターワールドです。公式のスペック表によると、最低環境のグラフィックボード性能は「GTX 760」以上とされています。推奨環境に至っては「GTX 1060」とされています。そして760はおよそ1050と同程度、もしくはいくらか高めの性能だとベンチマークスコアは語っています。
つまりこの価格帯のグラフィックボードを使用する場合モンハンワールドは、「起動はするが快適にプレイできるかはわからない」ゲームだと判断されます。CPUやメモリという他の環境によっては、「起動も危うい」かもしれません。
考えておかないといけないのは、「モンハンワールドが特別重い」というわけではない点です。もっと重いにもかかわらず楽しく人気が出るゲームが登場するかもしれません。もちろんしないかもしれません。そして3Dではなく2Dの軽いゲームも出るでしょう。この価格帯のグラフィックボードで充分動くゲームばかりかもしれません。しかしゲーム全体の流行として、美麗な映像を目指したゲームは今まで通り作られ続けるでしょう。なぜならそれが潮流だからです。
どんな人にオススメ?
この1~3万円という価格帯の製品はすべての人に推奨できるものではありません。これまで見てきたように安さを重視したものであまり性能の向上が見込めないからです。それでも他の価格帯よりこの価格帯の製品がオススメできるのはどんな人たちなのでしょうか。
グラボに費用をかけたくない人
「グラフィックボードの性能を増強したいけれどお金はかけたくない」という人には、やはりこの廉価帯は心やすいでしょう。もちろん安さに重きを置き、性能の比重を軽くした選択肢ではあります。
この場合は基本的に予算の多少に関係なく、本人の意志として「グラフィックボードに投資したくない」という気持ちがある場合は有効でしょう。
全体の予算が少ない人
たとえば学生などそもそもあまり多額の予算を準備できない人もいるでしょう。そうした人は廉価帯に頼る他ありません。
この場合、急に予算が増えることはほぼないので「将来どうにかして増設する」という可能性を考慮することが可能な程度で、後は現在の財布事情に合わせて製品を選ぶしかありません。
グラボに興味がない人
そしてグラフィックボード自体に興味がないという人も、安い製品なら損について深く考えずに買うことができるかもしれません。
実際には「ゲームはしたいがグラボには興味がない」という人こそ、高性能なグラフィックボードを選ぶほうがいいのではないかと筆者は考えています(そうすればしばらくグラフィックボードについて考えなくてよくなる)。しかしそうした人が安価な製品を求めることに不思議はありません。
自作PC初心者の人
また自作PCに多少なりとも興味はあるけど、知識・経験に乏しく自信がない人にとって、廉価な製品はうってつけでしょう。製品の性能に強く頓着しないのであれば、中古品などのほうが利点はあるのですが、初心者の方はリスクを削って利益を最大化する術に長けておらず、失敗に対応できないことがあるので、基本的にはやはり新調するほうが安全でしょう(もちろん失敗を経験することも大事ではありますが)。
使っているPCにグラボが搭載されていない
グラフィックボードが搭載されていないPCではオンボードといわれる補助的な映像処理機能を利用していますが、これを利用し続けるよりはどんなに安価な製品であってもグラフィックボードを搭載するほうが、性能の向上を図ることができます。この場合はコスパを重視するより安さを重視するほうが目的に適っているといえます。
練習のためなら超ローエンドも可
「経験を積む」という点のみに重心を置き「グラフィックボードの性能を増強する」という点をまったく捨てることができるのであれば、1万円以下の製品も練習台として効果的に利用できるかもしれません。
まとめ
- 古いゲームや2Dのゲームなどをプレイするのなら、この価格帯でもOK。
- 現在使用しているグラボがあるなら、ちゃんと性能が上がるか確認しておこう。
- 高負荷なゲームはスムーズにはプレイできない可能性が高い。
さいごに
1~3万円という価格帯の製品は、過去の製品も含めたグラフィックボード全体を見てみると、性能が高いとは決していえません。目的がはっきりとしていて、「高画質でプレイする」「最新のゲームをプレイする」といった性能を要する行為を除外できるのであれば、この価格帯はかなり有効です。
またグラフィックボードというものに初めて触れる方々にとっても、比較的きっかけとして安心して触れる価格帯なのではないでしょうか。
しかしこの価格帯の製品を選ぶ際に考慮しておかないといけないのは、その性能です。現行の製品であっても、前世代の製品より性能が低い可能性があることは留意しておきましょう。