「C≧G」で選ぼう! ゲーム用PCのCPU・グラボのバランス!

グラフィックボード

ゲーミングPCなどを購入・構築するときに、どういうふうに選ぶかというのは常に重要な問題として私たちの前に立ちはだかります。いろいろな基準があるため、特に初心者の方にはわかりづらく、そのために悩んでしまうことも少なくないでしょう。

今回のエントリでは、そうしたゲーム用のPCを購入・構築する上で特に重要なCPUとグラフィックボードのバランスについて見ていきます。この2つはゲームを楽しむ上で非常に重要なので、しっかりと確認しておきましょう。

このエントリのポイント

  • 3種の神器のバランスを重視しよう!
    • 主人公のCPUが最重要!
    • 二枚目たちのグラフィックボードが次点!
  • めんどくさかったら楽なほうに行ってもいいよ。
キーフレーズは「C≧G」!!!
結局どんなPCが正解なの? 自分に合ったPCの選び方
どんな人でも新しく商品を買うときはいくらか悩むものです。高額なPCならなおのことでしょう。今回はゲーミング用途のみならず、いろいろな視点からパソコンの選び方を考えていきます。まったく触れたことのない方、程よいPCがほしい方、自作PCにちょっと興味がある方、など様々な視点からPCというものを見ていきます!

PC構築ではバランスが重要

PCを構築するときは、バランスが非常に重要になります。バランスが悪いと非常に使いづらいPCになってしまいます。ペニー・ファージング自転車のようなものですね。


ペニー・ファージング自転車(画像はWikipediaより引用)

ペニー・ファージング自転車は前輪が後輪の倍以上になっているもので、今の自転車からするととても奇妙なバランスに見えます。今の自転車は前輪も後輪もほとんど同じ大きさになっています。ゲーム用途でPCを構築するときは通常の自転車のようなバランスで、CPU(≒前輪)とグラフィックボード(≒後輪)を選びたいものです。

ゲーム用途での「3種の神器」

ゲーム用途でPCを構築するときは、「3種の神器」を適切に選ぶ必要があります。その3種とはCPU・グラフィックボード・メモリです。
「3種の神器」と呼ばれるものが実際にPCにあるわけではありません。ここで勝手に言っているだけですw
でも「3種の神器」は日本神話の宝物からなぞらえて、かつてTV・冷蔵庫・洗濯機を合わせて3種の神器と呼ばれていたので、それと似たニュアンスでとらえていただけるとわかりやすいのではないでしょうか。

CPU

CPUはPCの頭脳とされる主要パーツです。まさにPCにとっての「コア」であり、このCPUが存在しないことにはPCは価値がありません。
ゲームやマンガでいえば主人公です。主人公がいないことにはゲームもマンガも始まりません。
ドラゴンボールでいえば孫悟空です。ワンピースでいえばルフィです。NARUTOでいえばうずまきナルトです。主人公が活躍しないマンガと同じくらい、能力の低いCPUには価値がありません。

グラボ

グラフィックボードは映像の処理を行うパーツです。CPUが人間の脳ならば、グラボは目を改造して「普通の目」以上に鮮やかでキレイでわずかな動きも逃さない「強靭な目」にするようなものです。

マンガでいうならば、HUNTER×HUNTERのクラピカです。メインの主役であるゴンやキルアと似た主役級キャラでありながら、登場しないストーリー・期間があるなど少しメインから距離を置いている位置の存在です。それでいて人気があるので、やはりレオリオというよりクラピカに似ているというほうが適切でしょう(レオリオをけなす意図は一切ありません)。
クラピカが激情すると目の色が変わるのと、グラボの「目を改造する」譬えも偶然ながら似ていますね。

グラフィックボードの具体的な役割は、使用者がモニターを見て得られる情報、つまり視覚情報を強化することにあります。ゲームの稼働や動画の再生を助けたりマルチモニター化を実現したりできるのは、グラフィックボードのおかげです。そのため視覚情報に頓着しないのであれば、グラフィックボードの価値はグンと下がります。

グラボ≠GPU?

グラフィックボードはときにGPUと呼ばれます。これは実際には正しくありません。GPUはプロセッサと呼ばれる精密機械のチップで、これがグラフィックボードの内部に搭載されています。
グラフィックボード自体には、GPUも然ることながら、それを活用するための基盤や冷却装置が一緒にくっついています。このような基盤や冷却装置は、GPUという機械がなければただの使えない装置にすぎません。

CPUがないとPCが役に立たないのと似て、GPUがないとグラフィックボードは役に立ちません。その点では、GPUも孫悟空でありルフィでありうずまきナルトです。そのためドラゴンボールの話をするときに孫悟空の話をまずするように、グラフィックボードの話をするときにはGPUの話をされることが多いのです。

一般的には孫悟空の話をすればドラゴンボールの話をしているものだと理解できるように、GPUの話をすればグラフィックボードの話をおのずとすることになります。その点では、GPUとグラフィックボードをまぜこぜにするのに大きな弊害はありません。
厳密な誤解を避ける場合は、そうした用法は避けたほうがいいかもしれません。

メモリ

メモリはプロセッサのサポート役です。よく「作業台」に譬えられます。一般的にはCPUのサポートを果たすメインメモリが「メモリ」と呼ばれますが、ゲーム用途のPCの話をする際は、グラフィックボードに組み込まれているビデオ用メモリ「VRAM」と区別をしたほうがわかりやすいため、メモリはプロセッサのサポートと解釈したほうがスムーズに飲み込めます。

「ハヤテのごとく!」でいうならば、綾崎ハヤテがメモリです。作品上は主役のハヤテですが、立場はあくまで三千院ナギの執事です。執事とはつまりサポートをする人です。だからサポート役のメモリと合致するのです。

執事は決して強くある必要はありません。嘘喰いの夜行妃古壱のように敵をしっちゃかめっちゃかにできるほど強くなくて構いません。しかし弱いより強いほうがいいのは当然です。これが「メモリは少ないより大きいほうがいい」という原則に繋がります。

それぞれ役割が異なる

PCにおいてそれぞれのパーツは、明確な役割の違いがあります。それは今回の3種の神器、CPU・グラフィックボード・メモリ以外のパーツすべてを含みます。
今回は特にCPUとグラフィックボードについてのバランスを集中的に見ていくので、その役割を確認しておきましょう。

「エース」のCPU

CPUはPCの花形です。主人公です。エースなのです
そのため基本的に、「能力」「性能」がCPUの第一の存在意義とされます。ルフィが仲間を守るために「強さ」を求めるのと似ています。

現在のCPUはマルチコアが一般的です。CPUにはコアが搭載されており、これが実質的に処理を行っています。さらにはマルチスレッドとしてコアに2つのスレッドを処理させることで、より効率的に計算をできるようにしています。

少年マンガのようにいうなら、コアは技の数です。多いほうが当然強い。そしてクロック周波数がそれぞれの技の強さとでも見るといいかもしれません。
技が多くても、威力が低ければ強くはない。威力が強くても、技が少なければ強くはない。こうした「強いとはなにか?」を求める姿勢のように、CPUにおいて「効率的な処理とはなにか?」が常に模索されているのです。

グラボは「イケメンor美少女」

CPUがエースであるのに対して、GPUは二枚目です。非常に見た目が素晴らしく人を魅了するキャラクターです。
GPUの能力は、映像を処理してPCを使用する人にキレイな映像を見せたり、複数のモニターにPCの画面を表示できるマルチモニター化を行えたりする点にあります。

イケメン・美少女キャラは、とても華があります。その華を人々は求めているのです。こうしたキャラにCPUエースのような処理は求めません。「華を添える」ことが彼らの大きな仕事なのです。
これがグラフィックボードとしての「キレイな映像を見せる」という大きな用途であり、人々はゲームでキレイさを演出してほしいので、グラフィックボードを使用するのです。

ファッションのバリエーションが多いイケメン・美少女は、いくつものコーディネートのしかたを知っているものです。決して一種類ではなく、相手や好みに合わせて選ぶことができるのです。これがマルチモニター化のようなものです。

またグラフィックボードはGPUを内部に搭載し、それを生かす基盤・冷却装置などがあると述べました。これはいわばイケメン・美少女をとりまくファンや親衛隊のようなものです。このファン・親衛隊は単にとりまいているだけではなく、イケメン・美少女のサポートをします。足を引っ張らないように、しっかりと「花を添える」ことができるようサポートしているのです。

メモリはCPUの「サポート役」

そしてメモリは、プロセッサのサポート役ということでした。単にメモリと呼ばれるときは「メインメモリ」を指すことが多く、このときはCPUのサポート役を意味します。メモリにはいくつか種類があり、そのなかにはVRAMというグラフィックボードに組み込まれているメモリもあるのですが、PCの構成について考えるときは、基本的にメインメモリを指します。

メモリはCPUやGPUと違い、処理を行うことはありません。完全なサポート役なのです。
具体的には、メモリはHDDなどからデータを一時的に保存し、CPUが処理をしやすいように手助けしてくれるのです。

先ほどGPUは二枚目で、グラフィックボードの基盤や冷却装置はサポートだと述べました。もちろんこのなかに、GPU用のメモリであるVRAMもサポート役として含まれます。グラフィックボードとは、GPUだけでなくVRAM(グラフィック用メモリ)も含めた大所帯を示すのです。

ご注意いただきたいのは、ここで3種の神器としてとりあげている「メモリ」は、「メインメモリ」だけを指します。VRAM(グラフィック用メモリ)は、グラフィックボードの一部として捉えておいてください。なぜなら私たちはVRAMを直接買うことはありませんが、グラフィックボードやメインメモリはパーツとして直接購入することができるからです。

CPUとグラボは似た者同士

3種の神器について考える上で、CPUとグラフィックボードは「似た者同士」であることを踏まえておくとバランスをとりやすくなります。最初に例として挙げた自転車のように、前輪と後輪の大きさを揃えるとバランスがよくなるのと同様です。

なおこのとき、自転車のように「前と後ろ」でなくとも、「左右」と見なしてセグウェイのようにバランスを調整するととらえても問題ありません。

どちらもプロセッサ

まずひとつめのCPUとグラフィックボードの類似性は、どちらもCPU・GPUというプロセッサの役割がある、という点にあります。おおむね、プロセッサとは「処理をする装置」を意味します。CPU・GPUの真ん中にある「P」の字は「Processing」の略で、同様に処理をすることを意味します。

そして相違点は、CPUのCが「セントラル(Central)」の略で、GPUのGが「グラフィックス(Graphics)」という箇所でしょう。まさにCPUが「PCの中心」でありGPUが「映像(グラフィック)」の処理を担っているというのがよくわかります。

どちらも選択肢が多い

そしてCPUもグラフィックボードも、製品の種類がいくつもあるため選択肢が多いという点も似通っています。
CPUはIntelとAMDが主に開発しており、古いものを含めると100をゆうに超える製品が存在します。
グラフィックボードではNVIDIAとAMDが主にGPUの開発しており、さらにこのGPUを組み込んだグラフィックボード製品を各社が販売しているので、古いものを含めると数百のグラフィックボード製品が存在します。

実際のところ、PCを自分で買う人の多くがこれには気づいています。種類が多いというのは「選ぶ自由がある」ということを示しますが、同時に「どれを選んでいいのかわからない」と感じられます。もちろん逆に種類が少なければ「選ぶ自由がない」とか「自分で選ぶんじゃなく選ばされている」と感じることになりかねません。しかし自由が大きすぎるというのも、手に余ってしまう状況になる可能性があるのです。

どちらも割と高い

そしてなによりCPU・グラフィックボード(GPU)において目をそらすことができないのが、価格です。どちらも他のパーツと比べても比較的高めであり、選ぶのを失敗したくないと思う原因となっています。
市場は広く開かれているのですが、初心者の方ほど「選択肢の多さ」に迷い、その「高さ」のために躊躇しやすくなってしまっているのです。

その関係性は「恋人」もしくは「親友」

CPUとグラフィックボード(GPU)の関係性は、恋人や親友のようなものです。
ゲームをよくプレイする人は、CPUとGPUの2人が密接に会う回数が多いので、どちらかがあまりに有能でもう片方が嫉妬してしまうようでは長く続きません。

あまりゲームをプレイしない人ならば、CPUがずっと強くて構いません。いわば亭主関白の夫や、ヒモを養うキャリアウーマンのようなものです。むしろ独身でも構わないくらいなのです。

実際にはCPUにもグラフィックボード(GPU)にも性別はないので、夫婦・恋人という異性との関係性と捉えるのも、親友という同性との関係性と捉えるのも問題ありません。場合によってはお笑いコンビと捉えてもいいでしょう。「ゆず」や「コブクロ」のような2人ユニットと捉えるのもいいでしょう。

メモリはわりと簡単

3種の神器について見ていくと、実際のところ大きくバランスを考えないといけないのはおおむねCPUとグラフィックボードの性能についてです。メモリはあまり細かく考える必要がありません。
なぜならCPU・グラボほど種類が多いわけでなく高価でもないので、悩むことはあまりありません。
またメモリに関しては「増設」として後でメモリ容量を増やすことができる利点も大きく作用しているでしょう。

現在のメモリ容量の基本的な選択肢は、4GB・8GB・16GB・32GBなどです。ゲーム用途であれば4GBはあまりに少ないので、8GB以上にするのが通例となります。

ゲーム用途ではバランスが変わる

ゲームをするPCとしないPCとでは、バランスが大きく変わります。特にグラフィックボードの重要性が極端に変わるので、「3種の神器」という考え方は一般的なPCでは成立しません。

通常用途ではCPUが最重要

一般的な用途では、CPUが最重要とされます。その理由は、グラフィックボードは今現在ほとんどゲーム用途に使われるため、仕事やネットをするだけならグラフィックボードがそれほど必要ではないのです。
仕事でグラフィックボードを使うとすれば、3Dゲーム開発をする、GPGPUとして計算処理をさせる、仮想通貨のマイニングをさせる、などになるでしょう。

また仕事でなくともグラフィックボードを使うときは、PCをマルチモニター化させる場合などもあります。グラフィックボードは映像を処理するため、複数のモニターにPCの画面を表示させるときにもグラフィックボードが用いられます。このとき他の用途を求めない人は、ごくごく安いグラフィックボードで済ませてしまうこともあります。

そのためペニー・ファージング自転車のように、グラフィックボード(≒後輪)の役割が非常に弱くなっていることがあります。
実質的には「オンボード」「内蔵グラフィックス」と呼ばれる映像処理を代替させる機能を有したものがあるため、グラフィックボードを搭載しないPCはまったく珍しくありません。いわば後輪のない一輪車です。自転車しか見たことがなければ一輪車を見かければ驚きますが、別に私たちは驚きません。それと似ていますw

ちなみに余談ですが、このペニー・ファージング自転車、今現在でもレースなどで使われることがあるそうです。

ゲーム用途ではグラボの重要度が最高潮に!

一般的な用途ではCPUの比重がとても大きくなります。しかしひとたびゲーミング用途を意識すると、CPUも然ることながらグラフィックボードの重要性がいやますことになるのです。

グラボはほぼゲーム用

グラフィックボードの使用目的は、ほとんどがゲーム目的です。もちろん他に使用する方法がないわけではありません。しかし一般的なPCユーザーがグラフィックボードを使うときは、ゲームをするのが目的であることがほとんどです。

そのためゲームをPCで楽しみたい場合は、グラフィックボードを買わないわけにはいきません。いくらCPUに高性能なものを使用していても、CPUは映像処理に特化していないのであまり力を発揮できません
グラフィックボードはCPUの代用になりませんし、逆にCPUもグラフィックボードの代用になりません。

それでも「そうはいってもCPUがちゃんとしてればグラフィックボードがなくてもいけんじゃね?」と考える人がいるかもしれません。そういうときは、RPGやポケモンなどの「属性」を想像してみてください。水属性の相手に火属性をぶつけるようなものです。効果がいまいちでもしかたありません。場合によっては「ほぼ無効」なんてこともあるので、気をつけてください。

据え置き型ゲーム機でもGPUが重要

据え置き型のゲームハードでもグラフィックの性能は重要で、プレステ4ではAMD製のAPUと呼ばれるCPUとGPUを合体させた装置を搭載しています。またNintendo Switchはユーザーがハードを分解したことからNVIDIA製のTegra X1が使用されていると非公式ながら判明しています。
このように据え置き型ゲーム機もPCと同様に、グラフィック機能が重視されていることがわかります。

「グラボだけ高性能」はやめておこう

このようにCPUが最重要で、その性能を下げることはPCを稼働させる上で推奨されませんし、ゲームをプレイする上ではグラフィックボード(GPU)の性能も重要であることがわかりました。しかしこの両者のバランスにおいて、「CPU(セントラル)≧GPU(グラフィック)」となるのは構わないのですが、「CPU(セントラル)<GPU(グラフィック)」というふうにグラフィックボードの性能が大きくなるのは推奨されません

自転車でいえば、後輪だけが大きくなるようなものです。少しグラフィックボード(GPU)の性能がCPUより高いくらいならいいのですが、あまりに差が大きすぎると後輪ばかり大きい自転車のように、前のめりに倒れて自転車として使うのが難しくなります。
グラフィックボードを使用せずCPUでグラフィックス機能も代用する場合は、後輪を外して一輪車にするようなものです。しかし前輪を外して後輪だけで一輪車にすることはできないものと捉えてください。

さて、この「CPU≧GPU」をもっと簡単な図式に変えてみましょう。CPUとGPUはどちらもプロセッサだということでした。なおCPUは「Central Processing Unit」の略で、GPUは「Graphics Processing Unit」の略です。どちらの略称も「先頭の『C』と『G』が違うだけで後の2文字『PU』は一緒だよなー」と感じていた人はいたことでしょう。これはどちらも「プロセッシング・ユニット」、つまり「処理装置」を意味します。プロセッサという言葉自体が「処理をする装置」を意味するということは確認していました。このプロセッシング・ユニットとプロセッサという名称の違いは、「歩行者」と「歩く人」ぐらいの違いですので、気にする必要はありません。さて、「PU」が同じなのであれば、残りの違いはCとGだけです。この違いがそれぞれの役割の違いを示しています。すなわちCPUのC「セントラル(中央の)」とGPUの「グラフィックス(映像)」を意味します。CPUがPC全体の中央で稼働し、GPUが映像を主に処理していることを如実に表しています。

ここから考えると、さきほどの「CPU≧GPU」は「C≧G」と略記してもかまわないでしょう。CとGがそれぞれなにを意味しているのか理解していれば、「中央のCPUをグラフィックスのGPUより性能を高くしておく」という意味だというのはわかります。ゲーム用PCの構成に迷ったときは、「C≧G」という式を思い出すと解決しやすくなるでしょう。

ゲーム用途PCの鉄則:
CPU(セントラル)≧GPU(グラフィック)
すなわち
C≧G

実際の選び方の例

では実際にゲーム用途でCPUとグラフィックボードのバランスを考える際は、どのように選んでいくのがいいのか見ていきましょう。

CPUとグラボの性能を揃えよう

3種の神器のなかでも大事なのは、これまで確認してきたように第一にCPU、次点がグラフィックボードです。これを踏まえることで、一般に販売されているゲーミングPCのような立派なものを構成することができます。
これは自作する場合だけでなく、BTOで上手なバランスの製品を見つけるときも、家電量販店やオンラインショップで既製品を探すときにも、「ゲーミングPC」と銘打たれていないものを判断するのに役立ちます。

基本的には自転車で譬えたように、前輪と後輪が同じ大きさであるのが「バランスがいい」としてわかりやすいでしょう。もちろんCPUのほうが高性能でも構わないのですが、「PCはあまり使わないかもしれないけどゲームはしたい」だとか「あまり過剰に高性能にして費用を大きくしたくない」というときには、やはり同じ程度の性能のほうが安定するのです。

指標は「ひとつの物差し」にすぎない

さて、では前輪と後輪を揃えた自転車のように「CPUとグラフィックボードの性能を揃える」ということを考えるとき、なにを基準に選べばいいのでしょうか? このときにひとつの考え方として、「CPUもGPUもプロセッサでクロック周波数っていう指標があるんだから、それで揃えばいいじゃん」と見なすことができるかもしれません。

しかしこれは「CPU≠GPU」という根本的な事実を見逃しています。そしてクロック周波数という指標を過大評価して、「ひとつの物差し」にすぎないことを忘れているのです。
あるひとつの指標が絶対でないことは、筋力の強さについて考えてみるとわかります。筋力は大きいほうが、そりゃ力を強く出すことができます。

格闘技やアームレスリングでは力こぶが大きいほうが活躍しやすいでしょう。しかし水泳やサッカーなどのスポーツでは、力こぶの大きさは大した意味をもちません。これは「筋力にも種類があり、腕の力が強いからといって万能なわけではない」という当たり前のことを示しています。

それと同様に、クロック周波数はプロセッサという機械の頭のよさを示すひとつの指標にすぎません。将棋が強い頭のよさと、他人の求めていることを察知し好かれるようになる頭のよさと、他人を出し抜き騙すための頭のよさは、それぞれ異なります。CPUにはCPUのクロック周波数という頭のよさ、GPUにはGPUのクロック周波数という頭のよさが、別種として存在するのです。

やや仰々しく「ひとつの指標を過信するのはよくない」ということを述べましたが、実際にはあまり肩肘を張る必要はありません。多少バランスが崩れても大きな支障はありませんし、100%完璧なバランスを探すのが目的でもありません。あくまで「ゲームを遊び日常的にPCを使うのに問題がない程度のバランス」を探すのが目的です。

ハイエンドにはハイエンドを

ではまず高性能の製品を使用するときのことを考えましょう。
「CPU(セントラル)≧GPU(グラフィック)」であるのは問題なく、「CPU(セントラル)<GPU(グラフィック)」であると都合がよくないというのは前述しました。そのため一旦グラフィックボードの性能を決めておいて、それよりやや高めのバランスのCPUを選ぶ形で見ていくことにしましょう。

たとえば現在最高峰レベルのグラフィックボードには「RTX 2080」があります。ハイエンドのグラフィックボードとしてはこれ以上ないほどの製品です。
これに見合うCPUは、やはりi9など超高性能CPUや、i7を選ぶとしても最新世代の製品に限られるでしょう。

RTX 2080は自転車の後輪に炎を噴射して加速できるエンジンを積むようなものです。前輪がふつうの車輪だったら、まともに車輪が回転せずにむしろ自転車自体がふっとびかねません。RTX 2080と同程度の焔を噴射できる前輪があれば、見事な超加速が実現できるでしょう。

ミドルクラスにはミドルクラスを

次はあまり上を目指さずに、中程度の能力の製品を使用する場合です。
やはりグラフィックボード製品から選ぶようにすると、ミドルクラスのグラフィックボード製品にはミドルクラス~ハイエンドのCPUが見合うでしょう。

ミドルクラスのグラフィックボード製品には、「RTX 2070」や「RTX 2060」、などがあります。場合によっては「GTX 1660 Ti」なども視野に入れられるでしょう。
RTX 2070を選ぶ場合、CPUは最新世代ならi5でも大丈夫だと考えられますが、やはりなるべくi7を使用することが望ましいでしょう。
RTX 2060を選ぶ場合は、むしろi7を選ぶよりもi5のほうが安定することがあるかもしれません。

ローエンドにはローエンドを

次に安価な製品を選ぶ場合について考えてみましょう。
ローエンドの製品を使用する場合は、あまり性能が低くなりすぎないように注意しましょう。グラフィックボードではせめてGTX 1050までが限度であると見たほうが賢明です。それ以前の世代の製品では、新しいゲームではサポートされない可能性が強くなるからです。

今挙げたGTX 1050を例とすると、CPUはi3~i5で充分でしょう。ここでより安価にしようとPentiumなどを視野に入れることがあるかもしれませんが、CPUの性能が及ばなくなる可能性があるので避けたほうが安全かもしれません。

安価な製品を選ぼうとすると、やや時代遅れとなったものも含めて実に多くの選択肢が目の前に現れます。このなかから自分の求めるピンポイントのスペックのPCを、できるだけ費用を抑えて構築するのが、ある種の自作PCの楽しみ方であるといえます。
しかしこれは一般的な楽しみ方ではなく、あくまでグラフィックボードを買いたがる人は「ゲームを楽しめるPCがほしい」のだということを踏まえると、あまりローエンドで揃えるのはベターとはいえません。

最初から揃える? グラボだけ換える?

またPCのパーツを選ぶときは、大きく2種類の選び方があります。「新しいPCを入手する」という方法と「すでに稼働しているPCから特定のパーツだけ交換・設置する」という方法です。
家電量販店やオンラインショップで既製品を購入するのは、「新しいPCを入手する」方法です。「入手する」と曖昧にしているのは、BTOで購入する場合も、自作ですべてのパーツを個別に購入して組み立てる場合も、こちらに属するからです。

前者の「新しいPCを入手する」ときのメリットは、完全に刷新させられることです。そのため古いPCの古いパーツを転用することがなく、最新の情勢を反映したPCを使用できるようになります。また自作する際に自由度がもっとも高くなるのもこの買い方のときになります。
デメリットは、すべてのパーツを揃え直すことになる(既製品でも実感がないだけで、すべて揃え直すのと同義です)ので、費用がかさみがちな点にあります。

後者の「すでに稼働しているPCから特定のパーツだけ交換・設置する」ときのメリットは、一部しか改変しないため「少し性能を高くしたい」「壊れたパーツだけ取り替えたい」という際に、他のパーツに改変を加えないため局所的な費用しか発生しない点にあります。
しかしどうあがいても自作の領分に近づいてしまうので、不得手な人だと失敗しかねないデメリットがあります。また既存のパーツに合うようになにを使うか選ばないといけないという点もあります。

CPUとグラフィックボードのバランスを考える上では、「CPUがすでに使われているか否か」で考えていくことになるでしょう。なぜなら「グラフィックボードは使っているけどCPUは使っていない」という状況が考えられないからです。CPUがないとPCは起動しません。孫悟空がいなければドラゴンボールは始まりません。

そのため現実的な視点で見ると、「すでに使っているCPUをそのまま使い続けるか」もしくは「新しくCPUも取り換えるか」という考え方になるでしょう。

すでに使っているCPUがある場合

すでにCPUを使用していて、グラフィックボードだけ交換・設置したい場合、バランスを考えるならばグラフィックボードの性能をそのCPUのほうに寄せる、という形になるでしょう。恋愛において告白したほうが相手の好みに合わせ生活しやすいように合わせるようになるのと似ています。告白したほうが傍若無人ではすぐ別れる結果になるのが目に見えています。

たとえば今CPUにi5-6400を使用していると仮定しましょう。このときおおまかに「i5はミドルクラス」だと捉えておきましょう。そしてi5-6400は6世代めであることにも留意しておきましょう。Intel製CPUでは、4桁の数字の頭の数字で世代がわかります。i5-6400は「6」がそれに該当します。

現在Intel製のCPUでは9世代まで製品が販売されているので、6世代の製品は特に新しくはありません。実際i5-6400は「Q3’15」すなわち15年の第3四半期に販売されているのが確認できます(参考)。
そのため現在の事情に照らし合わせると、やはり「ミドルクラス」と分類できるでしょう。このとき年のために、クロック周波数とコア数とスレッド数を確認しておきましょう。i5-6400はクロック周波数が2.7GHz、コア数・スレッド数ともに4です。

i5-6400は全体的に見て、ミドルクラス製品としてもやや抑え気味の性能のCPUだとわかります。現在はクロック周波数が3.0GHzを超えていて当然とすらいえるので、2.7GHzはやや低めです。スレッド数は同時に行える処理の数を示しますので、コア数とスレッド数が同じというのはやや手狭ともいえます。
ここから考えられるのは、グラフィックボードをミドルクラス~ローエンドで選んだほうがいいということです。

ハイエンドのグラフィックボード製品は使いこなせないのは目に見えているので、RTX 2080 Tiなどは最初から視野に入れることすらできません。せいぜいRTX 2070程度でしょう。それでも扱いきれるか怪しいところです。
そのためミドルクラス製品として、RTX 2060・GTX 1660 Ti・GTX 1070などを選ぶか、ローエンド製品としてGTX 1060・GTX 1050などを選ぶか、というのがこの場合の具体的な選択肢となるでしょう。

性能を重視する方法をプッシュしている筆者としては、この場合もRTX 2060などを推したいところですが、ここからは「どうゲームを楽しむか」というスタイルに依存してきます。毎日PvPゲームをプレイするヘビーゲーマーなら高めの性能の製品を、ときおりプレイするくらいのライトユーザーなら低めの性能の製品でも構わないでしょう。

CPUとグラボを同時に揃える場合

CPUとグラフィックボードを一緒に揃える場合は、もう少し緩く考えてもいいでしょう。CPUを換えない場合は、「片方に荷物が乗ったシーソーに、バランスをとれるよう別の荷物を置く」ような作業でした。両方換える場合は、「なにも乗っていないシーソーに、バランスをとれるよう両側に荷物を置く」なので、別の難しさがあるにはありますが。

同時に揃える場合は、前述のように「既製品を買う」のと「BTOで購入する」のと「自作する」のとで違いはありますが、基本的な考え方の順序はとくに変わりません。
上のCPUを換えない場合では最後に「ゲームスタイル」で判断しましたが、同時に揃える場合はまずゲームスタイルから判断していきましょう。

高負荷なゲームを頻繁にプレイしたいヘビーゲーマーの方なら、ハイエンドの製品で揃えるのがいいでしょう。そんなに重いゲームを買うつもりはないけど、ゲーム自体はそれなりの頻度でプレイするという平均的なプレイヤーの方であれば、ミドルクラスの製品で揃えてもいいでしょう。そんなに多くゲームはしないけど、できないよりできたほうがいいというライトユーザーの方には、ローエンドで揃えるのがいいでしょう。

このときに予算についても考慮しておくと手際がよくなります。たとえばヘビーゲーマーでも予算が少ないならば、ミドルクラス~ローエンドに抑えざるをえません。あまりゲームをしないライトユーザーの方でも、予算が潤沢にあって「重いゲームもするかもなー」と思うのであればハイエンド製品を買ってもいいでしょう。
この点は費用としての「余裕」がどれくらいあるかが重要になります。

CPUとグラフィックボードを同時に揃えるときは、この次に「マザーボードは換えるの?」という観点が必要になります。なぜならCPUは製品・世代によってマザーボードに設置する際の「ソケット」の形状が異なるからです。マザーボードも換えるのなら、CPUに合わせてソケットの形状からマザーボードも適宜変更すれば問題ありません。マザーボードを換えない場合は、そのマザーボードのソケットの形状に「新しく買うCPU」を合わせなくてはいけません。

初心者の方は今「うわ、めんどくせ」と思ったことでしょう。そうです、めんどくさいのです。
このめんどくささは、「PCを自作する」ことのめんどくささというより、「複雑に絡み合うシステムを適切に構築しようとする」という行為自体のめんどくささです。

人間関係も、こうしためんどくささがあります。CPUとグラボだけの「恋人・親友関係」を構築するのは両者の繋がりだけを整理すればいいのですが、そこに1人加わるだけで「三角関係」というめんどくさい関係ができあがってしまうこともあります。ここからさらに人が増えると、もうめんどくさくなるのはしかたがありません。

このめんどくささと似た問題に、「多体問題」というものがあります。よく持ち出されるのは宇宙の話で、地球と太陽だけの「二体」の関係は解きやすいのですが、月を含めて「三体」にしたり、それより多く増やしたりしていくと、どんどんどんどん難しくなっていくのです。

筆者はこうした考え方を「反復横跳び」だと見なしています。何度もあっちに行ったりこっちに来たりしながら、横跳びする範囲を狭くしていくのですが、横跳びが狭くなっていくたびに細かく何度も行き来するだけで、反復横跳びが終了してラインの上で立ち止まることはできません。理想は100%完璧にラインの上で止まることですが、現実的には不可能です。どこかで妥協するしかないのです。

そのため悩みすぎる必要はありません。どこかで妥協しなくてはいけないので、完璧を求める意味はありません。自分のためにPCを構築するのですから、自分さえ納得してしまえばどこにも問題はないのです。

初心者向けのBTO

このように、おそらく多くの人がうすうすと気づいていた「めんどくささ」が浮き彫りになってしまいました。それでもゲームはしたいものです。
これから自作をしようと考えている人にとっては、このめんどくささも乗り越えることができるかもしれません。実際そこまで難しくないのは、筆者が自作を趣味として続けていることからも説明がつきます。

でも誰もがその壁を乗り越えたいと思うわけではありません。そうした方々のために、この「めんどくささ」を避ける方法があります。それは家電量販店やオンラインショップの既製品であり、またBTOです。既製品やBTOとして買うことで、少なくとも「自分で調整する」という行為を省くことができます。

そもそも初心者の方には、あまり自作は勧められるものではありません。失敗の可能性がありますし、それに対する恐怖心もあるでしょう。それまでまったくしてこなかった「PCを開ける」というような作業も、踏み出すには勇気が必要です。なにより心配をしなくても購入できるのは、安心感が強いものです。

どんなゲームをしたいか決めておこう

これまで「ゲームスタイル」で決めることの重要性を何度か示してきました。それと同様に、「どんなゲームを楽しみたいか」というのをあらかじめ決めておくのは、非常に大事です。
これはいわば恋愛で「つきあったときになにをしたいか?」と考えておくのと似ています。どこへデートに行きたいのか。そしてなにをするのか。どれくらいの時間そうしているのか。

実のところ、この先には「相手の好みに合わせる」という段階があります。その人とつきあうとなったら「どこでなにをどれくらいするのか」を考えるのは、ひとまず当然のところです。その上で、「その相手が過ごしやすいようにするため、なにをどうすればいいのか?」という問いがあるのです。まず根本的に相手を理解する必要があります。

これがいわば「そのパーツを理解して、そのパーツが仕事をしやすいように対応してあげる」ということです。「このグラフィックボードならこのゲームは難しいな」「このCPUだとこのゲームの処理は問題ないな」「メモリが苦しいから増やして助けてあげないとな」という考え方です。

PCのパーツは機械です。私たち人間のために仕事をしてくれますが、彼らは自分にできることをこなすこと以外にはできません。そのため私たちが司令塔になって、ちゃんと活躍できるように調整してあげるのが最適なのです。

このエントリのまとめ

  • 3種の神器のバランス、特にCPUとグラボのバランスを重視しよう!
    • CPUは主人公! 孫悟空! ルフィ! うずまきナルト!
    • グラボは二枚目とそのファン。
      • GPUこそがイケメン・美少女!
    • ゲーム用PCの鉄則は「C≧G」!
      • すなわち「CPU≧GPU」!
    • CPU・グラボの難しさは「選択肢の多さ」。
    • メモリは意外と簡単。
    • CPUを買い替えるか否かは重要!
    • めんどくさい「自作」の領分に踏み込むか否かも判断が大事。
    • ゲームスタイルを確認しておくと決めるのが楽になる。

さいごに

自作をする前提で各パーツのバランスを考えるのは、覚悟があるのでたとえ複雑でも決して超えられない壁ではありません。しかし多くの人は、モノを買うときにあまり学ばされたくないというのが本音でしょう。自作をしてPCについて理解を深めることは決して損をすることではありませんが、その道に進むかどうかは個々人の判断に委ねられるものです。

幸いにもPCのバランスを考えて失敗しないようにすることが、既製品やBTOで買うという方法で実現できます。初心者の方はリスクを負いたくないでしょうし、あまり負うべきでもないでしょう。あまり気を張らずに、自分の求める性能のゲーミングPCを選ぶことができるといいですね!

2019年決定版! ゲーミングPCに本気でオススメできるグラフィックボードとは!?
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