Q.「巫剣神威控」ってどういう意味合いのゲーム? A.かわいさ優先

ゲーム紹介

さて、前回まではインディのアクションゲーム「巫剣神威控」のメリットとデメリット(Pros & Cons)について見てきました。とはいっても私Caffeineではなく、シロートがいろいろと話してくれたわけですが……。
今回はいつも通り私がまとめていきます。

前回のエントリ(デメリット):
【デメリット】「巫剣神威控」のオススメしにくい点は?【建設的批判】
図部野 素人 さて、 前回に引き続き デメリットについても 俺が語っていくぜ。 Caffeine …………。 図部野 素人 そう心配そうな 目で見るんじゃねえよ、 Caff...

ロール

ゲームに限らず創作物というものは、それが発表されてから時間が経つと「今になってみるとあれは新しい潮流のきっかけになったね」とか「あの作品がなかったらこの作品は作られてなかったかもしれない」といった役割を認識させてくれるものがあります。ドラえもんの発表当時ここまで広く浸透すると理解されていなかたかもしれません。ドラクエやFFもそんな兆しは見せなかったでしょう。程度の大きさは違えど、どんな作品も発表されたからにはなんらかの「役割」をもちます。
役割は英語で「ロール(Role)」といいます。RPG(Role-Playing Game)はゲーム内の役割を操作するゲームで、おもに主人公を動かします。主人公というロールを担うゲームというわけです。MOBA系ゲームをよく知っている人にもロールという言葉は馴染みが深いかもしれません。
この項目では、今回のゲームがどういった「ロール(役割)」を担っているのか、担いうるのかを見ていくことにしましょう。

今回の「巫剣神威控」のロールは以下のようになると考えられます。

  • 芸術的ロール:インディでもこうしたかわいい3Dモデルのゲームを作成できると報しめた。
  • 社会的ロール:「アクションとしてのゲーム性」より「キャラのかわいさ」があればレビューでは高評価がつく傾向があることを証明した
  • 技術的:やはり難易度の調整は難しいものだと再認識させた。

芸術性:インディでかわいい3Dは作れる

まず芸術的ロールについて確認しましょう。
芸術性というのは、狭義では「美とはなんであるか」「悪とはなんであるか」のようなテーマ性をもちうるものですが、ここではゲームについて語るので単に「グラフィック」や「音楽」などの役割を指します。あくまでメインカルチャーの芸術性というより、もっと身近なサブカルチャーとしての芸術性ですね。

今回の「巫剣神威控」の特徴は、やはりキャラクタの3Dモデルのかわいさでしょう。「巫剣神威控」でもっとも比重が大きい要素を挙げるとするなら、それは「アクションゲーム」ではなく「女子高生の3Dキャラ」なのではないでしょうか。


インディでもこのレベルの3Dモデルを使って、ゲームを作ることができるという業績。

そしてそのキャラクタにおいてしっかりと「かわいい」と認識できる点、そして開発元が大企業ではなくインディのサークルであるという点にも注目すべきでしょう。つまり一般的にゲームを発売する企業より規模が小さくなりがちなインディでも、こうしたかわいい3Dキャラクタを組み込んだゲームを作成できる、と世に示したことは、それなりに大きいのではないでしょうか。

海外のフリーゲームを含めたインディゲームをプレイしてみると、3DのFPSゲームなどが意外と多いことにはすぐに気づきます。それに対して、日本のインディゲーム界隈は2Dに偏りがちなのではないでしょうか。それもフリーゲームとなると、RPGツクール製やWOLF RPGエディター(通称ウディタ)製のものが格段に多くなります。
そうした日本のインディゲームの界隈で、こうしたかわいい3Dモデルを使いうると示したのは、おもしろいと思います。

社会性:ゲーム性よりかわいさ優先

次に社会的ロールについて見ていきましょう。
ここでいう社会性というのは、ゲームをとりまく社会的な状況全体を示します。
今回の「ゲーム性<キャラのかわいさ」という構図は、ゲームを販売するときどの要素がより重要だと判断されるかという「購買意欲」という社会性についてのロールです。

おわかりの通り、これはやや批判的な意味合いです。もちろん制作サイドに対してのみでなく、私たち消費者への戒めも含んでいます。
この「巫剣神威控」のゲーム性は難易度が上がるほど楽しむ感覚が薄れ、連打ゲーになったり敵の硬さにうんざりしたりしうるような要素があるということでした。それは私Caffeineの独善的な意見ではなく、Steamのレビューからも読み取ることのできるプレイ感です。
しかしそれにもかかわらず、レビューの評価は「全てのレビュー」で「非常に好評」となっています。

これは実際にプレイしてから判断していただきたい箇所でもあるのですが、もし購入してプレイしてみて私や他のレビュアーの方がいうように「NORMAL以上はつらい」と感じるようであれば、Steam上の高評価のレビューの多くは「ゲーム性」ではなく「キャラのかわいさ」に重点を置いて評価している可能性が高いのです。


時に「かわいいは正義」だが、誰かの正義が別の誰かにとっても正義だとは限らない。

ゲームにおける「ゲーム性」というのは非常に厄介で、原理的には「ゲーム性」という「ゲームとしての楽しさ」が最優先されるべきですが、そうではないことが多々あります。端的に述べると、ソシャゲというものがその典型です。ゲーム性ではなくキャラクタの絵柄で勝負する潮流にあるのです。

この「ゲーム性」がどれだけ重視されるか、されるべきかという問いは、おそらくゲームがこの世に存在する限りなくならないでしょう。これはゲームだけでなく、マンガは「マンガ性」を、アニメは「アニメ性」を、ドラマは「ドラマ性」を、映画は「映画性」をそれぞれに抱えています。これはそのサブカル自体のアイデンティティです。ゲーム性は「ゲームがゲームであること」自体を問うことです。そのため完全に解消されることは考えにくいことですし、もしゲーム性が問われなくなるとしたら、ゲームという存在が消えたときかもしれません。

技術性:難易度調整は難しい

次に技術的ロールについて考えてみましょう。
この「巫剣神威控」をプレイしてみて感じる難点は、NORMAL以上でプレイするときの「理不尽さ」にも似た難易度です。これが「Getting Over It」のような「わざと操作しにくく設計している」のならば構わないのですが、快適なプレイを設計してこの難易度になっているとすれば、個人的にはもっと軽めに調整していただいていたほうがプレイしやすかったのではないかと感じます。

しかしこれは「インディ」という要素で容易に納得できます。インディとしてゲームを開発する以上、金銭的・時間的な余裕があまりなくコストを割くことができなかったというのは簡単に想像できるからです。もちろんクラウドファンディングや他の企業にサポートしてもらうということも不可能ではなかったのかもしれませんが、基本的に業績がないとお金が集まらないのは周知の事実です。そのため「インディゲームならこの難易度バランスになってもしかたない」と納得することはできます。他の方はどうか完全にはわかるわけではありませんが、少なくとも私はそれで納得できました。

総括

このように今回の「巫剣神威控」についてどんなロール(役割)を担っていたか考えてみると、個人的には一長一短という印象があるゲームだったのではないかと総括できます。つまり「かわいさ」が一長であり、「難易度バランス」が一短ということです。

この「巫剣神威控」を購入した場合、もし「かわいさ」に特に比重を置くのであれば評価は上がる傾向にあり、「ゲーム性」に比重を置くのであれば評価はより低くなる傾向にあるのかもしれません。

他のものに譬えるとナニ?

ゲームというのは数多く世に発表されていながら、実際プレイしてみるまでどんなものかわからないものです。そのためあらかじめ「どんなゲームなのか?」を一言で表される指標のようなものがあれば、多くのプレイヤーの方々にとってわかりやすい情報となるでしょう。またそうした指標は、実際にプレイしてみた人がそのゲームはどんなものだったのかを深く理解するのにも役立つでしょう。
そうした指標になりうるのが、「このゲームを料理や食べ物など他のものに譬えたらナニになる?」という情報です。

今回の「巫剣神威控」を食べ物に譬えると、「ハードタイプのカラフルなパチパチキャンディ」に近いのではないでしょうか。

  • ハードタイプのカラフルなパチパチキャンディ
    • パチパチで爽快感
      • 動きの速いアクションゲーム
    • 食べるのがもったいないくらいカラフルできれい
      • かわいい
    • 3種類の硬さ
      • キャンディの大きさと硬さが選べる
        • 大きくて硬いキャンディの塊はすごく疲れる
      • カラフルなきれいさ? それとも味や爽快感?
        • 3Dモデルのかわいさ? それとも楽しさや爽快感?

みなさんは駄菓子の「口のなかでパチパチはじけるキャンディ」をご存知でしょうか? 口のなかに入れると唾液に反応してパチパチとはじけるキャンディです。今回のキャンディはカラフルで見た目にとても楽しく、さらにキャンディの大きさを選ぶことができて大きく硬いキャンディも食べられるのです。

やはりパチパチキャンディを買うのなら、パチパチ感を楽しまないと損です。その爽快感が醍醐味ですからね。しかしこのキャンディは非常に見た目が美しいので、お皿に盛って置いておくだけでも涼しげで目を楽しませてくれます。

さらにキャンディの大きさを選ぶことができ、「SMALL」「NORMAL」「BIG」の3種類から選ぶことができます。ですが……この商品をキャンディとして楽しみたいなら、SMALLをオススメします。このキャンディは硬く噛み砕くのも難しいので、爽快感を楽しみたいのであれば小さいSMALLが最適なのです。

このキャンディを買うときは、「カラフルなきれいさ」と「味や爽快感」のどちらに比重を置くのか考えておくと買った後の後悔が少なくなるかもしれません。特にNORMALやBIGを口に入れて食べきれなかったときの後悔は、決して愉快なものではないですから。

さて、みなさんはこの「巫剣神威控」をプレイしたくなったでしょうか? できればプレイしたくなった人が多くなってほしいところです。難易度の選び方や楽しみ方にちょっとした癖はあるものの、気軽にプレイする分にはとても楽しいゲームです。

もしこのパチパチキャンディが本当に発売されたら、壬佐と鈴華のパッケージが描かれたパッケージにするとけっこう売れるかもしれませんね。

さいごに

今回は全5回にわたって「巫剣神威控」の紹介を行ってきました。
もしキャラクタのモデルを見て「かわいい! どんなゲームだろう?」と興味をもったのならば、買っても後悔をする可能性は低いかもしれません。

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図部野 素人

おい、Caffeine。

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Caffeine

あ、シロート。
なにか言い残したことが
ありますか?

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図部野 素人

ああ、アレは紹介
しないのか?

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Caffeine

アレ?

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図部野 素人

グレードアップの
最後の項目のアレだよ。

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Caffeine

ああ!
アレですか!

この「巫剣神威控」で行えるアップグレードでは、スキルや能力を上げられるもの以外にも、「袴(はかま)」と「セーラー服」という2種類のコスチュームがあります。他のアップグレードに比べて抜群にコストは高いのですが、こうしたおまけ要素もあるとは脱帽です。

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