前回に引き続き、「月光妖怪」のプレイ感についてまとめていきます。前回はやや「メリット」に近いことを記してきましたが、今回は個人的に本編で感じた「あまりよくなかったところ」をまとめていきます。
プレイしてストレスを感じる人への提言:
まずは完璧にSランクを求めるより、
とりあえずはおまけ解禁まで進めたほうがいいかも?
進 – Advanced
前回に引き続き、プレイ感をまとめていきます。
難易度とストレスの兼ね合い
では個人的に本編をプレイしていて、ストレスに繋がった点を挙げていきましょう。留意しておきたいのは、これはまず個人的なプレイ感であるため他の方も同様に感じるかわからない点、また前回お伝えしたように本編でのプレイ感にのみ限定し最後の「精霊王ステージ」を含めたおまけの仕事編は除外している点です。
それというのも、おまけの仕事編では本編の各ステージと追加されたステージをプレイすることができ、ストーリー部分を省いてステージ踏破に集中できるため、本編とおまけは別で考えるほうが妥当と思われるからです。
特におまけはあくまでおまけであり、本作をおまけと本編を総合したバランスで評価すると、おまけ要素で難易度が著しく上げられているため、本編の評価が歪んでしまう可能性が高いからです。
また今回のエントリで述べるような「ストレス」に関して、おまけでステージを連続でプレイすると「中断・リセットをするよりとにかく数をこなすのが効率的」というような攻略方法になるため、本編のプレイでストレスを感じた方は、おまけで思う存分くりかえしプレイすると、案外ストレスは融解するかもしれません。
そのためこの項目で述べる内容は、あくまで「本編」に限った話であることにご留意ください。
おまけ要素は
けっこうネタ寄りだよな。
会話もギャグ調だし、
好感度上げとかあるし。
それにガチャもあるしね。
人によっては本編のイメージ
損ねることになるかもしれない。
そうですね。
おまけを楽しむにせよ
プレイしないにせよ
やはり別物と捉えたほうが
いいかもしれませんね。
リセットが面倒
まず本編プレイ中にストレスを感じたのは、リセット機能である「中断」に関してです。
プレイ中にミスをするなどしてリセットをしたくなった際、中断を利用することでステージ開始直前のセーブポイントまで戻ることができます。しかしこの中断はステージの最初に戻る機能であるため、ステージ内の各マップを個別にプレイし直すことはできません。
まず本作では、セーブポイントがあるものの、これは通常のセーブとは少し異なり、チェックポイントに近い概念となっています。セーブはひとつのデータに上書きするしかできず、データを選択するなどもできません。
中断はセーブポイントに戻る機能であるため、ステージ内のどのマップをプレイしている最中であっても中断するとステージの最初に戻されます。そのため9マップあるステージのうち、8つめのマップで大きなミスをした場合、そのまま最後までプレイするか中断するかを選べます。しかし中断をしたところで8つめのマップだけをプレイし直すことはできず、1つめのマップからプレイし直す羽目になります。
本作では全体的な難易度がさほど高くないため、クリアをするだけなら完璧さを求めずともそれなりに適当にプレイしていてもクリアできるでしょう。しかしやはりゲーマーとしては、頭のなかに思い描いた動きを再現できなければ、実際に行えるまでやり直してみたい、という気持ちが湧き起こるものです。「もうちょっと巧くできるはずなのに」という気持ちです。しかしこのゲームシステムでは、それをなかなか容易に許してくれません。
マップの調査がしにくい
そしてこの「もうちょっと巧く」をさらに加速させる要因として、「マップの精査がしづらい」という点があります。これはステージが始まりマップが開始したときに、そのマップの形状や地形、オブジェクトの配置、そして驚かせるべき対象キャラの動きがどれもとても読みづらいということです。
ゲームの流れとしては、ステージ開始直後に「Let’s Horror」の文字が表示されます。このときマップ内に驚かせるべき対象キャラはまだ登場しておらず、主人公も入口に立ったままです。この「Let’s Horror」の文字が表示されている瞬間は、決定キーを押すまで画面が動かず、マップの形状や地形、オブジェクトの配置などをいくらか観察することができます。
これがこのゲームで事前にできる最大限の「観察」です。
この「Let’s Horror」が表示され停止するのはステージ最初の1マップめだけです。それ以降のマップでは停止せず自動的に流れていき、対象キャラも移動していきます。
ここでいいたいのは「マップの調査がまったくできない」というわけではなく、「マップの精査がとても難しい」ということです。
いわば「シミュレーションだけをする」ことができず、常に「実戦をしながら改善を求められる」状態です。
これは前述のような「もうちょっと巧くできたのに」の余白の「できなかった」という部分を広げます。つまり「思っていたよりぜんぜんできなかった」になるのです。
そのため初めてプレイするマップなどでは、戸惑うことになるかもしれません。
少し卑怯な手を使うなら、マップを調査するために1ステージ分のプレイを1回「捨て」て、まったく驚かせるアクションを行わずに、マップの調査だけに費やすということもできるでしょう。
そうした手段を使うかどうかというプレイヤーの判断にもかかっているのかもしれません。
もしプレイアビリティ(プレイしやすさ)やユーザビリティ(使いやすさ)を求めるのであれば、やはり時間制限なしでマップを調査・精査する機能がほしかったところです。
引っかかる
別の要素として、上記のマップ調査とともに「もうちょっと巧くできたのに」を加速させる要因があります。それが「主人公が移動時にオブジェクトに引っかかる」という動作です。この引っかかりにはいくつかパターンがあるので、分類しておきましょう。
- 主人公が壁などに引っかかり動作が遅れる
- オブジェクト(樽など)に隣接した場合、誤操作でオブジェクトが移動することがある
- スピードを重視すると主人公がオブジェクトと隣接していなかったり適切な方向を向いていなかったりしてオブジェクトの起動をミスすることがある
まず1の引っかかりは、RPGツクールに限らず3Dのゲームでも発生しうる移動阻害です。プレイヤーが移動できると認識している場所で、実際には移動できない判定になっているときがこれに該当します。バグでいわゆる「見えない壁」が発生することもありますが、本作においてはバグではなく、「時間制限があり焦らされるため正確な判断が鈍る」という意味合いになります。
次に2の誤操作も、やはり時間制限から来る焦りから発生確率が高くなる現象です。これはいわば「ドミノ倒しのドミノを並べる」行為に似ており、ゲーム内ではコンボを発生させるために樽などのオブジェクトを適切な位置に移動させることが重要となってきます。
しかし制限時間があって焦るため、オブジェクトを移動させる微妙な反応を制御するのが難しく、「1マス余計に動かしてしまう」といったミスが発生しやすくなっています。特に本作では「押す」行為のみで「引く」行為がないため、1マスだけでも余計に動かしてしまうとオブジェクトの反対側に回って1マス押さねばならず、大きなロスとなります(反対側に回って押し直したときにさらに1マス余計に戻してしまうなどすると、もうやる気が失わることになりかねません)。
そして3つめの「オブジェクト起動ミス」は、ある程度システムを把握したときに発生しやすくなるミスで、コンボを発生させるために順番にオブジェクトを破壊・起動させている最中に、タイミングを推し量るために対象キャラの移動ばかりに集中してしまい、主人公がオブジェクトを起動させる位置・向きにないことに気づかないでいるというミスが発生します。
これを「プレイヤーのミスである」といってしまえばそこでおしまいなのですが、何度決定ボタンを押してもオブジェクトが起動せず、対象キャラがまったく驚くことなく目の前を素通りしていくのをノンキに見つめることしかできずにいると、ゲームを楽しむ気分が削がれてしまうのです。
私は各ジャンルのゲームのなかで特にレースゲームが苦手なのですが、その理由の一端はこの現象と似ています。つまり操作している車体がいうことをきかないのです。これは満足に操作できる人からすれば、単なる私の技術不足だというほかないのでしょう。それはわかります。しかし制御できずに暴走して負けるのを楽しめるわけもなく、その結果として「このジャンルは向いていない」という結論に達してしまうのです。
これは単純に操作感の問題で、「どれくらいプレイヤーが操作しやすいようにするか」という問題でもあります。わざと操作感を難しくして難易度を上げる手法もあるので、一概にこうすべきだという答えはありません。
オブジェクトの使用法が説明されない
本作にはチュートリアルがありますが、オブジェクトの使用法などは細かく説明されません。樽や瓶など破壊して狭い範囲に音を鳴らすオブジェクトと、オルゴールやピアノ、鐘など起動させて広範囲に音を鳴らすオブジェクトがあります。
これは序盤でストレスに繋がるかもしれません。特に起動させて広範囲に音を鳴らすタイプの鐘などは、起動後に硬直時間があります。つまり起動後に対象キャラが反応して近づいてから、さらに離れるまで主人公を動かすことができなくなるのです。
この硬直時間について説明がないため、思い描いたコンボを硬直時間に阻害されることがあり、その思い通りにならない状況がストレスに繋がるのです。
マップの特性が説明されない
同様にマップの特性も説明されません。特に本作では時間制限がありマップの精査が難しいため、マップの誤認をしやすくなっています。対象キャラが「通る床」と「通らない床」がありほとんどは一見してわかるのですが、一部にはわかりづらいものがあり、対象キャラがまったく予想外の挙動をすることがあるのです。
上の画像では、中央で縦に走るタイルはいっけん溝に見えますが、実は普通の床と同じタイルです。そのため対象キャラがこのタイルを避けて通るだろう、と予測していると大きく裏切られることとなるのです。
これに対して「一回間違ったなら次は間違えずに済むからいいじゃないか」と思うかもしれません。しかしこうした騙され方はプレイする際の大きなストレスとなり、やる気を削ぐ結果に繋がることがあるのです。もちろん作者が意図してしたのかたまたまそうなったのかはわかりません。
消化不良を起こす可能性
こうした点をまとめると、プレイしていると「消化不良」を起こすことになる可能性があるということになります。すべての人ではありませんが、私と同じような性格(少しでも完璧主義的に振る舞う傾向がある)であれば、その思い通りにならない動作に不満が募ることとなりかねません。
マップの調査がしにくい、オブジェクトの使用法やマップの特性が説明されないという点は、「しっかりとマップとオブジェクトを調べるシステム」があれば問題とはなりません。その場合はもちろん「マップの調査がしにくい」という点も解決されます。個人的にそのようなマップ・オブジェクトを調べるシステムがあれば不満はほとんどなくなったのではないかと感じます。
またこのように「マップの調査がしにくくリセットも万全ではない」というのは、あえて不全にして難易度を上げるという「調整」があったのかもしれません。「難易度」という仕様だといってしまえば納得するほかないからです。
しかしそうなると本編ではクリア条件である「250sec」などがとても緩い条件に設定されていることに合点がいかなくなるのもあります。そうはいってもフリーゲームで完全な難易度の調整を期待しているわけでもありませんので、これが調整であってもなくても許容する寛容さがあるとプレイしやすいのかもしれません。
繰り返し述べますが、これはゲームの攻略とは関係のない要素です。ゲームクリア自体は、ある程度下手でもできるように調整されています。この消化不良は、操作のしづらさと挙動が思い通りにならない不満から発生するのです。これを無視してプレイできる人であれば、非常に楽しんで本作を楽しむことができるでしょう。
そしておまけ要素ではステージを繰り返しプレイできるいわゆる「タイムアタック」にも似たゲームモードとなっています。そのため純粋にゲーム性を楽しみたい場合は、とにかくおまけが解禁されるまで我慢してみるのもひとつの手段かもしれません。
正直、本編だけプレイしてたら
あんまりゲームの評価
高くしてなかったかもしれないなー。
おまけでかなり挽回したけど。
サクッと遊んで雰囲気楽しむか、
がっつり遊んでジャンクに楽しむか、
みたいなところはあるよね。
おまけかなりジャンクだし。
そうですね。
本編を除外しておまけだけ
語るのは意味がありませんし、
好きに楽しむのが一番かもしれませんね。
次のエントリ
次のエントリでは、この「月光妖怪」のおまけ要素である「仕事編」についての情報をまとめていきます。
実をいうとこの私の「月光妖怪」に対する評価は、この仕事編をプレイして一変しました。本編ではややストレスが勝ち気味だったゲームという評価だったのですが、おまけをプレイしたことで歯ごたえのあるゲームだという評価に変わりました。
しかし前述のように本編とおまけは別物だと認識したほうがいいとの判断から、今回のエントリのように本編で感じたことを残すことにもいくらか意義はあるだろうと感じ、このような形式で掲載することにしました。
もし本編でストレスを感じた方は、ためしにおまけまでプレイしてみると案外評価が変わるかもしれません。