このゲームに一言キャッチフレーズをつけるとしたら?
概要
「666laboratory」は、2DのADVです。SCPを模した機関で発生する怪奇現象を体験していくホラーADVです。
SCP風機関のカウンセラー
主人公はある機関に所属するカウンセラーとしてとある少女のカウンセリングを行います。その間、少女や他の同僚との会話からキーワードを聞き出し、それを端末で調べながら少女は何者なのか、なぜカウンセリングを受ける必要があるのか、などを探っていきます。
エンディング数は2つと少なめで、全体のボリュームもさほど長くないので、非常に手軽に遊ぶことができます。そして少女の謎を解いてくミステリに加えてホラー演出があるので、そうした要素が好きな方は楽しくプレイすることができるでしょう。
有名な開発者
開発者は日本の「HIJIKI」氏です。「くらげのかえり道」というサイトをWiX.comにて運営されており、Twitterでも活動されています。
「Freem! – ふりーむ!」でゲームを公開されている他、「RPGアツマール」でも複数のゲームを発表されています。2時間未満でクリアできるような作品を多数制作されており、特に「四見塚の怪異さん」はコミカライズされていて販売もされています。
世界観
公式の説明文に「某財団風」とあるように、SCP財団がモチーフとして扱われています。SCPとはいわゆる超常現象を扱った創作サイト、およびそのサイトで創作された人物・アイテム・現象などを指します。ゲームとしては3Dのインディゲーム「SCP – Containment Breach」が有名です。
SCPは世界的に有名なサイトで、もともとは英語圏で広まったものですが、今では各言語に訳されていますし、それだけでなく各国でオリジナルのSCPが創作されてもいます。膨大な量の作品がありますので、1日1つの作品を読んでいっても数年かかってしまう量となっています。
本作「666laboratory」はそのSCPを管理する財団をモチーフに制作されていて、主人公のカウンセラーが対峙する少女「イオ」も超常的な異能をもっています。その異能がなんなのか最初はわかりませんが、カウンセリングとしてイオや同僚との会話を進めてそこに現れる言葉を調べていくことで、詳細が理解できるようになっていきます。
もともとSCPは恐ろしい能力のある人物やアイテムを扱っているので、全体的にホラーに偏る傾向があります。ものによっては感動的、悲劇的、泣けるような話、後味の悪い話などにもなりますが、おおむね人間の生活、生存をおびやかす存在がSCPとして扱われます。
本作では「イオ」以外にSCPに該当するような存在は登場しませんが、本作もやはりSCPと同様にホラー演出が施されています。あくまでSCP風(厳密には某財団風)の作品ですので、SCPをあまり知らない方にとっても楽しめるゲームとなっています。SCPが好きならば、雰囲気をより細かくつかむことができるでしょう。
グラフィック
「666laboratory」はスマホのようなデバイス(端末)を通じて「イオ」や同僚とコミュニケーションをとるという形式をとっています。そのためRPGツクール製ではありますが、全編を通して「プレイヤーがデバイスを操作している」という視点でゲームを進めていきます。
通話はカメラを通して行われ、イオや同僚の顔が表示されます。2Dでややアニメ調のキャラクタとして描かれ、ゲームをよくプレイする方にとっては馴染みやすいグラフィックとなっています。
デバイスでは通話の他、イオの情報などのドキュメントの閲覧、また会話で登場した重要な単語を調べるための「ライブラリ(LIBRARY)」という検索システムなどがあります。すべてデバイスを通してプレイしていくので、没入感が高めだといえるでしょう。
操作方法
PCでの操作は通常のRPGツクール製の作品と同様、ZやEnterキーで決定、XやEscキーでキャンセルを行います。主人公の移動を行うことはありませんが、デバイス上でカーソルを操作してアイコンを指定することで各アプリを使用するのに上下左右キーを使用します。
ブラウザを通してスマホでプレイするときのために、クリック・タップ・二本指タップで操作ができるようにもなっています。
探索型のADVといえる本作ですが、脱出ゲームのように「マップの指定範囲を調べることでアイテムを入手する」といったシステムではなく、基本的に会話に出てきた単語を調べて、イオの超常的能力について真相を理解していくシステムになっていますので、細かく調べる必要はありません。
システム
「666laboratory」の主要システムは、デバイスを使用して少女「イオ」の真実を探ることです。それを果たすものとして、ビデオ通話や重要単語を調べるシステムがあります。単語を調べていく上で閲覧できない制限された情報があるので、そのロックを解除する暗号を調べることが重要になっていきます。その点はパズルやクイズ、謎解きのように推理していくことが大事になります。
そうしてゲーム性があるなかで、ストーリー上はミステリやホラーの要素があります。全体的には「イオの能力とは?」という謎を焦点としたミステリが続きますが、終盤ではホラーの演出が濃くなります。
所要時間
本作は公式の説明文に「30分程度」とあるように、かなり短い時間でクリアすることができます。エンディングは2つと明言されており、その条件も説明文に「イオにウソをつかず」と書かれているので、両方のエンディングを見てもおおむね1時間かからないのではないでしょうか。
難易度
「666laboratory」は探索ゲームとしてはさほど難しくありません。しっかりと重要単語を控えておき、それを調べていくことで順調に進めていくことができます。また2つのエンディングもそれぞれ条件がわかりやすいため、そこも難易度は高くありません。
ゲームとしてつまづきやすい点があるとするなら、閲覧制限がかけられた情報のロックを解除する「暗号」を見つける謎解き要素です。これはしっかりといろんなところを見ていれば違和感に気づけるようになっていますが、その違和感に気づいたところでパズルのように答えを推理しないといけないため、個人差が出やすいところでしょう。本作で難しいところがあるとすれば、この謎解きくらいです。
謎解きの答えはプレイごとにリセットされたりランダムに変更されたりすることはないので、1度答えがわかってしまえば2周めはより簡単にプレイすることができます。謎解き要素では苦手な人は時間がかかってしまうかもしれませんが、極端に難しいものではありません。そのため全体的なバランスを考慮すると、29点(100点中)と上の下くらいの難易度だと思われます。
恐怖度
「666laboratory」はさほど怖くはありません。終盤ではイオの能力の種明かしとともにホラー演出がありますが、「RPGアツマール」の説明文では以下のように記されています。
一応ホラーゲームなので、ホラーが極度に苦手な方はご注意ください。(脅かし要素などはありません)
瞬間的に驚かすような「画像が急にアップで表示される」「大音量のSEが流れる」といった演出はまったくなく、じわじわと底から湧いてくるような恐怖を演出しています。もともと絵柄がポップなので、一部スプラッタ演出もあるものの、比較的マイルドなものとなっています。
もし本当に怖いのが苦手な方は、ミュートでプレイして音楽やSEをオフにするとプレイしやすいかもしれません。
そうはいっても全体的にとてもマイルドで、「しっかりしたホラーを体験したい」という方にとっては、むしろ拍子抜けしてしまうくらいかもしれません。そのため本作の恐怖度は、低めの18点(100点中)と判断しました。
ゲームの情報
タイトル | 666laboratory |
開発 | HIJIKI |
オススメ度 | A<GOOD>:★★ |
リリース日 | 2017/05/03 |
価格 | フリー |
次元 | 2D(2次元) |
ジャンル | SCP風ホラーADV |
特徴 | ミステリ/FPS視点/謎解き/パズル/SCP風/シングル/RPGツクール |
視点 | FPS視点 |
グラフィック | アニメ調2D |
操作方法 | キーボード |
言語 | 日本語 |
インストール | 不要 |
ファイル容量 | 約52.8MB(アーカイブ)/約120MB(解凍後)<Ver.1.03> |
次のエントリ
次回のエントリでは、「666laboratory」のオススメなところとイマイチなところを、なるべく客観的に解説していきます。