【海外フライトゲーム】鳥になって空を舞おう。浮く島々を駆け抜けよう。雲間の先にも、広い空がまだまだ続く。「AER」

4.0
SS:超オススメ(★★★★)

記事の最後にある「レビューツイート」に、プレイの様子を撮影した動画があります。実際にプレイしている様子を見てみたい方は、こちらでご覧ください。

概要

このゲームは、「Epic Games」にて無料配布されていた時期がある作品です。このサイトでは主に無料配布されたゲームなどのレビューを行っています。そのためこのゲームもレビューしています。しかし無料期間を過ぎてしまっていると、有料に戻っています。ご注意ください。

「AER」は、海外製のフライト系ADVです。島が点在するオープンワールドの世界を、鳥になって飛び回る作品です。

空を飛ぶことが、このゲームの楽しさ。鳥になろう。

鳥になって空を舞おう

このゲームの最大の特徴は、「空を飛ぶ」というシステムです。最序盤ではチュートリアルがあるため飛べないものの、いったんワールドに出てしまえばジャンプ中にEキーを押すことで鳥に変身できます。鳥になるので、ドラゴンボールの浮遊のような直線的な動きではなく、翼を使った曲線的な動きをします。

飛行中に変身を解除すると、生身で滑空できる。

ここは主観をあえて交えて解説しますが、この「鳥になって空を飛ぶ」というシステムには、爽快感を含めた”感動”がありました。頭にガンッと来てそれまでの人生観を変えられるような大きなものではありませんが、ゲームとはいえ本当に空を飛んでいるような、「単なるシミュレーターではない」という印象を受けました。

心の向くまま、思うままに、空を飛び回れる。

これはFPSではなくTPSなので視界が広くもてることや、浮遊時や雲のなかを抜けるときのSEがしっかりしていて、またBGMも落ち着いていて静かに縁の下の力持ちになっているのも影響しています。

TPSで距離も離れているので、視界が広くとれている。

つまるところそうした音響演出や鳥としての曲線的な飛行といった表現が、かなり巧く演出されているということなのでしょう。

個人的に好きなムーブは、飛行している間に変形を解除して人間の姿に戻り、高い位置から人間の姿で落ちながら滑空する動きです。

高いところからなら、より長く滑空できる。

私は昔からあまりロボットものに憧れることがなかった男で、空飛ぶ機械にも興味があまり湧きはしませんでした。おそらく私のようなタイプの人間にはこうした「鳥に変身して飛ぶ」「人間の姿では羽ばたけないが滑空ならできる」というモデルのほうがより素直に「飛ぶ」行為として実感できたからなのかもしれません。

他はそこそこ

フライトシミュレーターとしてはかなり爽快感があるものの、他の要素は「そこそこ」といった具合です。

キャラのグラフィック

グラフィックはローポリゴンで、キャラの顔には目や口などが描かれていません。

主人公の顔も簡素化されている。インディゲームとしてはひとつの作戦。

海外ゲームではときおりキャラの顔が省略されていることがありますが、個人的にこれは有効な方法だと判断しています。プレイヤーが特徴的な顔、特にカッコよかったりカワイかったりするキャラの顔を求めているのはわかりますが、それを細かく表現していくのは大きなコストであり、また失敗すると他の要素すら浸食しかねないリスクでもあります。

そのため省コストを兼ねてリスクを減らすために、わざと「顔を細かく表現せずデフォルメ調でごまかす」というのは、インディ系に向いた作戦だと判断しています。

しかしそうはいっても、プレイヤーにとって「あれ? 顔がない……」と感じるのはまた別の話で、その反応も正しいのです。そのため「キャラの顔がちゃんと描かれていないと我慢できない」という人でない限りは、ここは大きな問題点ではないでしょう。

世界のグラフィック

風景やマップのグラフィックは、全体的にシンプルで平坦な印象を受けるものとなっています。キャラがローポリゴンなので そことの違和感は少ないでしょう。

序盤の洞窟。インディ系にありがちな滑らかさ。

いわゆるFFやバイオハザードなどのビッグタイトル(のリメイク)のようなリアル系を追究したものとは異なります。むしろインディ感が強い作風といえるのかもしれません。

なお陸のない空間をずっと下りていくと、自動的にロードが挿入されてチェックポイントまで戻されるようです。しかしプレイしているとき試しにわざと下まで降りてみたら、画面がホワイトアウトして操作をまったく受けつけず、強制終了するしかないバグに出くわしました。特に致命的でもないのですが、アップデートなどで修正されるとイイ点ですね。

ストーリー

そしてストーリーは神話的で、冒頭で手に入れるランタンを含めたいろいろなものに、神話的な要素が絡んできます。これもフレーバーとしてはイイものですし、キャラや雰囲気とかなり合っているともいえるでしょう。

石碑を読んで物語を理解していく。神話的で雰囲気もある。

ただ実際にゲームをプレイして空を飛ぶ楽しみを体感してみると、正直のところストーリーはどうでもいいと感じることがあるかもしれません。あって困るものではありませんが、「あってよかった!」と喜ぶほどのものでもないかもしれません。

「空を飛ぶ爽やかさ」の一点訴求

総評すると、このゲームは「空を飛ぶ」という点だけで充分な作品だといえます。このゲームでは空を飛ぶ楽しさを満喫できれば、グラフィックやストーリーは些細であまり気にしないものになってしまうのです。

謎の塔。空を飛んで喜びを感じられる人が、このゲームでは勝者だろう。

もちろん空を飛ぶ間はずっと島や雲などが見えているので、ちゃんと評価するとグラフィックは重要な要素だといえるのでしょう。しかしそれは『「カレーライス」にとっての「ライス」』のようなもので、カレーライスで”一番”大事なのは「カレー」だということに異論のある人は少ないでしょう。

そのためレビューや評価でも、「空を飛ぶ」ことの楽しさにすべて帰結するといっても構わないでしょう。このゲームの「空を飛ぶ」が気に入らなければこのゲーム自体を気に入ることはそうそうありえませんし、逆にこのゲームの「空を飛ぶ」さえ気に入ってしまえば他をすべて無視してでもこのゲーム自体を好きになってしまう可能性が高いのです。

オススメ度

「AER」のオススメ度は、SSランクです。SSランクは、毎月の「#1ツイゲームレビュー」まとめ記事にて、月間の「超オススメ」としてピックアップできるくらいのオススメ度です。

このゲームがSSランクなのは、これまで解説してきたように「空を飛ぶ」という表現がただただ巧みだからです。

このサイトでは、基本的に新作や準新作を扱っているため、無料配布ゲームなどの発売から時間が経っている作品にはあまりSSランクをつけることはありません。それでもSSランクにしたのは、それだけの感動があったからです。

ゲームの情報

タイトルAER
開発Forgotten Key
オススメ度SS<超オススメ>:★★★★(月間でのオススメ)
リリース日2017/10/25
価格¥1,580(Epic Games)、¥ 1,880(Steam)
次元3D(3次元)
ジャンルフライトADV
特徴鳥/変身/女性主人公/島/浮島/雲/神話/シングル/実績
視点TPS視点
グラフィックデフォルメ3D
操作方法マウス&キーボード
言語日本語/英語/その他/マルチ
インストール必要
ファイル容量1.22GB(2020/06/26時点)

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補足

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