こんにちは、Caffeineです。
今回も前回と同様「Gynophobia」について紹介していきます!
「Gynophobia」のプレイ感について掘り下げているので、ネタバレ要素があります。
ご注意ください。
食べ物に譬えると?
舌が赤くなるキャンディ
どんな人向け?
バグを許せる人
FPSが極端に苦手でない人
激安ゲーム大好き♡ な人
どんなときにプレイするのがよさそう?
女性ボーカルのデスメタル(THE AGONISTなど)を聞きながら
進 – Advanced
次にこの「Gynophobia」について、少し踏み込んだ情報を考えていきましょう。ネタバレがありますので、ご注意ください。
プレイ感
実際にこの「Gynophobia」をプレイしてみるとどう感じるものなのでしょうか?
非言語的ストーリー展開
最初に明示しておきたいのは、私はこの「Gynophobia」を楽しめたということです。特に個人的に評価したいのは、ストーリーを「非言語的」に表現しているという点です。
この「Gynophobia」は「女性恐怖症」という名前の通り、主人公が女性恐怖症でありそれを克服するまでの物語です。
どうやら女性恐怖症であると同時にクモ恐怖症でもあるらしく、冒頭でクモに近づこうとすると心臓の鼓動が早くなるシーンと、中盤で玄関の除き窓から来訪者である女性を見ると同様に鼓動が早くなるシーンがあります。
物語の終盤ですべての戦闘パートを終えると、クモを踏み潰すことができ、また来訪者の女性と向き合えるようになる、というストーリー展開になっています。
戦闘パートは「ゲーム内ゲーム」と「夢」ということで現実には起こっていない戦いですが、それを経ることで主人公がクモと女性への恐怖を克己するという物語を、言語を多く用いることなく見せることができているのです。
これはたとえばセリフもナレーションもほとんどないマンガのようなものです。本屋や電子書籍のショップで今すぐ買うことのできるマンガのほとんどで、日本語で多くのセリフやナレーションが使用されています。日本人に向けているから基本的に言葉を少なくする利点が乏しいのです。
しかしインディゲームではどうでしょう? 多くが英語を基本とし、また日本語をサポートしている作品は多くありません。またこの「Gynophobia」のようにサポートされていても満足なクォリティではないこともあります。しかしこの「Gynophobia」では言語を介してストーリーが説明されているわけではないので、日本語訳が微妙でも関係ありません。もっといえばおそらく日本語をサポートしていなくても大差はなかったかもしれません(個人的な見解ですが)。
FPSとしてのクォリティは高くない
同時にいえることは、FPSゲームとしての完成度は決して高くないということです。
プレイ中に床をすりぬけて真っ暗になっても落ち続けどうしようもなくなり、「再スタート」するしかなくなるというバグに出くわしました。こうしたバグはときおりインディではない規模の企業のゲームでも発生することがありますが、基本的にはアップデートやパッチなどで修正されることが多いものです。しかしこの「Gynophobia」では発生例が少なかったのかもしれませんが、バグが放置された状態になっていました。
激安ゲーム「Gynophobia」のバグ。地面に判定がないことがあり、闇に吸い込まれていく。 pic.twitter.com/xpDG0LAGrv
— caffeine_gurasuto (@CGurasuto) June 19, 2019
そういうバグとは別に、襲い来る敵を打ち倒すFPSゲームとしての完成度自体も高くありません。敵はどれもまっすぐに主人公を目指して歩いたり走ったり飛んだりしてくるものばかりで、グラフィックや大きさ、攻撃方法などの違いはいくらかありますが、落ち着いて後退しながら撃つ単純な方法で倒すことができます。数もそう多くないので、退路を確保するよう立ち回ることで大抵は処理できます。
難易度の設定などもないようですので、この「Gynophobia」では敵が増えたり敵の体力が増えたりすることはありません。つまりFPSゲームとして創意工夫をほとんどすることなく、敵が近づいてくるのに合わせて逃げながら撃つことで基本的にゲーム内の戦闘のほとんどに対応させることができます。
それで処理できない戦闘があるとすれば、最後のボス戦です。やはり主人公めがけて直進してくるボスの攻撃を避けながら、弾薬を叩き込むことになります。弾丸の補給は戦闘マップ内で行えるのですが、攻撃を避ける手段がマップの四隅に配置された柱くらいのもので、Shiftで走っても当たるときは当たってしまいます。
しかし個人的にはバグがあるとしても進行不能なものではない上、やや中弛みする単調さがあるとはいえ戦闘もそれなりに楽しめたので、「値段に比べると遊べた」と感じています。
個人的にはもっと
怖いほうが好みだけど、
これはこれでいいんじゃないかな。
俺はスピード感あるほうが
よかったなー。
テンポが悪かったかもしんない。
全体的に激安インディゲーム
という枠組みからは出ていませんからね。
価格以上は望めないでしょうね。
「ここがオススメ!」
この「Gynophobia」を購入するメリット(Pros)にはどんなものがあるのでしょうか?
日本語がサポートされている
海外製のインディゲームとして、日本語がサポートされているというのは意外性がとても強いものです。特に世界では英語が基本的な言語であり、日本語の優先順位はまったく高くありません。
日本人が英語のゲームをプレイするときも、海外の人が日本のインディゲームやフリーゲームをプレイするときも障壁となるのが、この日本語と英語の壁です。
この「Gynophobia」ではなぜか日本語がサポートされています。他の言語は英語・ロシア語・ドイツ語・ウクライナ語とどれもヨーロッパに近しい言語です。ハッキリいってなぜアジア圏の日本語がサポートされているのかわかりませんが、日本人としては「儲けもん!」程度に考えてしまっていいのはないでしょうか。
激安
安い商品というのはいつでも需要があります。安いものは質がたとえあまりよくないとしても、安いというだけで求められるものなのです。とはいってもやはりある程度の質を保っておいてほしいものではありますが。
今回の「Gynophobia」は通常価格が205円です。500円玉だとお釣りのほうが多くなる値段です。しかもセールではここからさらに安くなります。ゲーセンだと約2ゲーム分ですからね。セールで割引になってもこのくらいの値段まで下がることがないゲームもあるなか、この値段はやはり「安い」というべきでしょう。
安っぽいかもしれないが遊べる
他の方がどう感じられるかはわかりませんが、私個人の意見としてはこの「Gynophobia」はそれなりに遊ぶことができるゲームだと感じられました。もちろん激安のインディゲームですので過度な期待は禁物です。カップ麺を食べるのに3つ星レストランに行く気分で臨んでは落ち込んで当然です。
ストーリーが前向き
FPSゲームは「銃で敵を倒す」という特性上やや暗くなりがちです。またホラー要素のあるゲームでは、なかなか建設的なストーリーにするのが難しいところです。
しかしこの「Gynophobia」では、「女性恐怖症(とクモ恐怖症)を克服する」というストーリー展開がなされます。
特にエンディングではしっかりとクモ恐怖症も女性恐怖症を克服し、しっかりと女性と向き合うことができるようになります。FPSのストーリー展開としてはやや特殊ではありますが、前向きなストーリーであることは評価してもいいでしょう。
「ここはイマイチ……」
それでは逆に「Gynophobia」を購入するデメリット(Cons)にはどんなものがあるのでしょうか?
ヘッドショットが大事
この「Gynophobia」には人型の敵が何体も登場しますが、いわゆる「胴体撃ち」はあまり効かないので、頭を狙う「ヘッドショット」を積極的に狙っていくことが大事です。これはFPSシューティングとしては非常にメジャーなシステムなのですが、あえてFPS初心者の方なども視野に入れると、これは難易度を高めている要因といえるでしょう。
最初の戦闘パートの存在意義が薄い
この「Gynophobia」をプレイし始めてすぐは日常パートになります。その後で自室にあるPCを調べると、ゲーム内でゲームを遊ぶことができます。これが最初の戦闘パートとなります。
このゲーム内ゲームは、地下下水道と夜の街中の2ステージに分かれており、下水道は迷路のようなマップを進んで脱出することがクリア条件で、夜の街中は逃げるために車のタイヤと燃料を探すことがクリア条件となります。
この戦闘パートをクリアすると、日常パートに戻ります。そしてまるでこのゲーム内ゲームに関して触れられることがないままストーリーが進んでいきます。
実際、最後までクリアしてみると、このゲーム内ゲームのストーリー的意味がまったくないことに気づきます。ゲーム内ゲームのパートがあろうとなかろうと、ストーリーの展開になんら影響を与えないのです。
おそらく戦闘パートとして重要なのは、2度めの戦闘パートである「主人公が眠った後の夢のなか」がストーリー上のキモなのでしょう。しかしそれだけだと戦闘パートが1つだけで、ボリュームが不充分だと判断されたのではないでしょうか。そのため「適当につけくわえた戦闘パート」として、このゲーム内ゲームが追加されたのではないでしょうか。
バグに遭遇する可能性あり
インディゲームは資金・技術ともに開発力が途上であるために、市販されている一般ゲームよりもクォリティが低くなりがちなのはしかたがありません。しかしこの「Gynophobia」ではバグが発生する可能性がいくらかあります。実際に私もバグに遭遇しました。Steamのレビューを見てもいくつかバグの報告が見受けられます。
そのため誰もが同じバグに出くわすという「再現性」はさほど高くないとしても、クリアするまでプレイするとなんらかのバグに出くわす可能性はある、と考えられます。
私はBethesdaのSkyrimやFalloutなどでバグには慣れているので、いくらか肝要になってしまっている可能性もあります。同様にインディならある程度はしかたないとバグを少しは許容できるなら、クリアできなくなるバグはないようなので、評価は下がりにくいかもしれません。しかしバグをまったく許容できない人などは、バグで気持ちが萎えてしまうことになるかもしれません。
激安とはいえクォリティが高くない
商品・製品というのは値段とクォリティのバランスが大事です。その点でいえば、この「Gynophobia」は激安といえる価格にふさわしいグラフィックのゲームだといえます。言葉を選ばなければ、今の時代には見合わない「チープ」な印象が残るでしょう。
ボスが意外と固い
ゲームの攻略難易度を考えると全体的に敵は倒しやすく、あまりゲームオーバーになることは多くないでしょう。またゲームオーバーになってもチェックポイントがあるので、最初まで戻されるようなことはありません。
しかし最後には上半身が女性で下半身がクモのボスが登場します(いわゆる「アラクネ」に近いでしょう)。このボスはヘッドショットを狙ってもなかなか倒せず、長期戦や混戦となる可能性を多大に秘めています。壁やクモの巣に弾薬や回復アイテムがあり、また金属製のように光るクモのオブジェクトを攻撃すると隠された弾薬が現れるので、弾丸を浪費してでも避けることに集中すれば倒せるかもしれません。
しかしゲーム全体の難易度を底上げしているのは、間違いなくこのボスです。そのためさほど長くはないながらせっかく進めてきたストーリーを、このボスで堰き止められるとすればストレスに繋がりかねません。
どこに重点をおくか
インディゲームに限らず、またゲームだけに限らず、作品を味わうときはどの要素を重視するか、どこに重点をおくかという「主観的評価の軸」をどこに設定するかが大事になってきます。
私はバグにはあまり頓着しませんし、グラフィックの安っぽさも価格相応であれば不満はありません。もちろん限度がありますので、進行不能になるバグやPCが故障しかねない不具合、またあからさまに手を抜いた作品に対しては相応の批判をしていきます。しかしこの「Gynophobia」ではそう酷いものではなかったので、個人的に満足できる出来だったと感じています。
しかしバグに出くわすとテンションが下がってしまう人もいるでしょう。グラフィックのレベルの低さにプレイする意欲が下がってしまう人もいるでしょう。また日本語訳の酷さに頭を抱えてしまう人もいるでしょう。
そうした人がいることは当然ですし、しかたがありません。
しかしこの価値観はすべて相対的なものであり、私が許容できたのも他の人が許容できないかもしれないのも、それぞれの過去の体験や個人的な好みからきています。
そのため「このゲームはクソだ!」「こんなもんリリースすんじゃねえ!」という評価ではなく、「このゲームは俺には合わなかった」「私の嫌いなタイプのものだった」と好みに合わなかったと評価するほうが建設的でしょう。
そうだな。
今まで俺がフラれ続けてきたのは
俺がダメだからじゃない、
彼女らに合わなかっただけなんだ。
ポ、ポジティブですね。
ときには
顧みることも大事だよね……。
次回のエントリ
次回も今回と同様「Gynophobia」の情報をまとめていきます。このゲームに見合った雰囲気などを模索しながら、踏み込んだ情報をまとめていきます。
じゃいの。
忘れてたの、
今ごろ思い出したんだ……。