こんにちは、Caffeineです。
前回に引き続き、ミチビキの考察を進めていきます!
前回のエントリ(【考察】ミチビキ前編):
ミチビキの真実
前回は凶の都にいる他の凶たちの評判などから、ミチビキについて考察してきました。今回は他の箱庭の情報から考察を進めていきましょう。
忘れじの三日月
また詳細はわかりませんが、特定の食べ物を食べると行けるようになる特殊な街のひとつである「忘れじの三日月」も、ミチビキに関係していると考える向きがあります。
忘れじの三日月へは、5日めに受けられるスピーからの依頼をこなすことで貰える「はっか飴」を食べると行けるようになります。
ワスレジと凶
ここには「ワスレジ」という名の少女がいて、他には基本的に彼女の影しかいません。分身のようなものなので、実質的にワスレジ以外にはいないと考えてしまっていいでしょう。ワスレジは忘れられることを求めており、マップ内の大樹のようなものを登っていくとワスレジの姿が見つかります。このときに調べようとすると消える凶の姿を確認することができます。
そしてワスレジ本人に話しかけると、こう答えます。
…ここは「忘れじの三日月」。
私の理想郷。
私は、みんなに、
私のことを忘れてほしかったんです。
だから、ここにいます。
誰の心を乱すこともなく、
消えていけるのは、私にとっては、
なにより幸せだったから。
…あの人は、それを分かってくれた。
だから私のために、この箱庭をくれた…
…月がきれい
ここで推測できるのは、調べようとすると消える凶がこの「忘れじの三日月」という箱庭をワスレジのために用意したということです。考えようによっては、この消える凶がミチビキであると見なせます。そして彼女のいう「あの人」が「くれた」箱庭というのが、この「忘れじの三日月」だけでなくミノニヨクシティをも含むのかもしれないと疑うことができます。
ここの凶には話しかけられない
海底都市やビル街にいる管理者の凶と同じように、「忘れじの三日月」の凶は消えます。その海底都市やビル街の凶は、ピギュラが自覚してユウヤになりミノニヨクシティに留まるルートでは、おまけで話しかけるようになっています。
しかしこの「忘れじの三日月」の凶は、自覚した後でも話しかけられません。「忘れじの三日月」へと続く図書館「ジュテーム」のドアが開かないようになってしまうからです。そのため結局はその凶が何者かを知るのことはできません。
しかしわからないのは、なにもこの「忘れじの三日月」のみではありません。他の街もよくわかりません。食べ物を食べることで行けるようになる街は特にその傾向が顕著です。赤影タウンやアサセ―海岸もよくわからないので、実質的にはミノニヨクシティとは切り離して考えたほうがいいのかもしれません。
作者の裏話
しかし実はこの「忘れじの三日月」に関しても、作者の方の裏話で確認できます。
この情報によると、ワスレジの傍には見えないながら凶がずっといて、その場所ではピギュラが引っかかるようになっているそうです。また箱庭は複数の住人を収容することが最低条件であり、その点からするとこの「忘れじの三日月」の管理者である凶は罪が重いということなのだそうです。
この裏話の記述からすると、やはり「『忘れじの三日月』の凶」はミチビキとは別人と見なすのが自然でしょう。ワスレジの傍にずっといるなら、ミチビキがミノニヨクシティにいるのとは矛盾します。またそもそもこの裏話では、「『忘れじの三日月』の凶」とミチビキを別人であるのが前提として記されているようにも見えます。
このことからやはり、ミチビキについて考えるときは忘れじの三日月の情報を混同させないほうがいいのでしょう。
「忘れじ」とは
なおこの「忘れじの三日月」の「忘れじ」とは「忘れないだろう」という意味を示します。このときの助動詞「じ」は「負けじと頑張る(負けないようにと頑張る)」のときと同じ「じ」であり、打消の推量を意味するものです。これが強調されると、「許すまじ」などの「まじ」という形に変わっていきます。
そのためワスレジや彼女の影がいっていることとは裏腹に、「忘れじの三日月」を用意した凶は彼女のことを完全に忘れ去られてしまうのは避けたかったのかもしれません。本当に忘れ去らせたかったのなら、「忘れじの三日月」に続くドアなど繋がないほうがいいのですから。
そしてもっといえば、ワスレジがピギュラの訪問を受け入れているのも妙です。忘れられるのが望みであれば、訪問者を拒絶するはずです。そして訪問者を許してしまった凶への不信も募るはずです。
しかしそうした否定的な言動がワスレジにはないことから、ひょっとするとそうした凶の心境をすら察して受け入れているのかもしれません。幻想的で美しい関係性にも感じられますが、この凶は箱庭管理者としてもワスレジの望みを叶える者としても失敗しているようです。
灰色きのこ
ミチビキが管理している「きのこねくしょん」では、通るきのこの色によってどこに繋がっているかが変わります。赤色が海底都市、青色が樹海クラブの集落、黄色がビル街に繋がっています。そして残る1つの灰色は、「凶の都」へと繋がっています。
赤・青・黄の3つを繋いだ後でミチビキに話しかけると、灰色きのこについて少しだけ教えてくれます。
ああ、あそこはね~。
ぼくが通勤時間を短縮するために
繋いだだけなんで~…。
たしかにミチビキの住居はミノニヨクシティに見当たりません。そのため彼のいうことから考えてみると、「凶たちは凶の都に住むもの」と捉えてもいいのかもしれません。
もちろんイザナイのことを考えると、「凶たちは凶の都以外には住めない」という破りがたいルールがあるのではなく、単に「基本的にはそうする」くらいのルールなのかもしれません。イザナイは問題視されているので、凶の都に強制的に戻されるのなら捕らえるのは簡単になってしまうからです。
ミチビキが人間だった頃
ミチビキの生前のことを探っていくとなると、凶となる以前のことを探っていくことになります。しかし凶は輪廻道を旅する「リンネ」たちからスカウトされるとされ、その旅路は非常に長いため、記憶が失われていくともされています。そのため凶たち本人から生前の情報を聞き出すのは難しいでしょう。
また凶の生前の情報が、他の住人のように残されているということもないようです。そのためミチビキに限らず、基本的に「凶の生前の情報はほとんど知り得ない」と判断することになるでしょう。
まとめ
ミチビキについては、彼が何者であるかというより、単に箱庭の管理者としての「凶」としてどうであるかを知るくらいに限られてしまいます。やはりリンネを経て記憶をなくしてしまったのかもしれませんし、凶の情報は消されるものなのかもしれません。
ただ彼の昔がどうであれ、今の彼を見ることでミチビキという人物について知ることは難しくありません。特にミノニヨクシティという「自覚した者が住む町」を実際に築いたのは、大きな実績なのでしょう。
ただしそもそも「自覚した者が暴れる」というのが、凶やサトリ・ミトリの統治の不始末からの結果であれば、この実績は必ずしも褒められるべきだとはいえません。そもそも凶が管理すること自体が不適切な可能性があるからです。
しかしこうした考え方は、もはやミチビキという1人の管理者に背負わせるべき責任でもありません。実際、他の凶たちを見る限り、ミチビキは巧くやっているほうなのでしょう。ミチビキの管理は「ベスト」とはいいがたいのかもしれませんが、少なくとも「ベター」ではあるのでしょう。
個人的には、ミノニヨクシティのような「楽園」をつくろうと目論むミチビキが、生前どのような人間だったのかたしかに気になるところではあります。しかしもうそれは過ぎ去ったことなのでしょう。もし彼自身が忘れてしまっていたのだとしたら、蒸し返す必要もないのかもしれません。
次のエントリ
次回のエントリでは、死後の世界をかきまわす「イザナイ」について考察していきます。