「ママにあいたい」#02【フリゲ】絵柄がイイから最後までプレイできる? このゲームのオススメとイマイチは?【ダーク】

ゲーム紹介

こんにちは、Caffeineです。
今回は「ママにあいたい」のオススメなところ(メリット)とイマイチなところ(デメリット)をご紹介していきます!

どんなとこがオススメ?
キャラの絵が抜群にいい!
暗い話や血生臭い世界観でも大丈夫な人向け

前回のエントリ(基本情報):
「ママにあいたい」#01【フリゲ】受精卵である彼の願いはただひとつ、ただママに……【ウディタ】
この記事は、2019/08/12に投稿した記事を2020/07/26に加筆・修正したものです。投稿スタイルが大きく変化しているため、2019年当時の執筆スタイルとも現在(2020年)の執筆スタイルとも異なる点をご了承ください。 こんにちは...

この「ママにあいたい」について、少し踏み込んだ情報を考えていきましょう。

「ここがオススメ!」

どんなところがオススメできるゲームなのでしょうか? まずはわかりやすいところから確認していきましょう。

キャラの見た目がいい

「ママにあいたい」の魅力について誰にでもわかるところを挙げるならば、タイトル画面や「ふりーむ!- Freem!」の個別ページにあるサムネイル画像からわかる「主人公の見た目のよさ」は外せません。誤解をおそれずにいうならば、徹頭徹尾この「キャラクタの見た目」だけでプレイすることができます。

私は男性に対して「かわいい」が誉め言葉だとはあまり思えないので、主人公が男であるにもかかわらず「かわいい」と感じられることを、ストレートにオススメとして強調することはできませんが、かわいいと誰もが認識できるかどうかは別として、この「ママにあいたい」で使用されているイラストはどれもレベルが高いというのは多くの人が同意することでしょう。


主人公(左)と双子の兄(右)。どちらもれっきとした男。

本作には女性キャラも登場しますし、マップ上のドット絵だけでなく、それぞれのキャラクタには「立ち絵」が存在します。ゲーム内でそれを確認するには少し手間がかかりますが、ゲームにおいてキャラクタがかっこいい・かわいいというのはそれだけでプレイする価値があると感じさせうるものです。


ドット絵もかわいらしいが、それでも男は男。

ストーリーの展開やバッドエンドは心地いいとはいいがたいものがありますが、そうしたものを押しのけてすべてのエンディングを見たいと思わせる魅力があります。そのひとつとして、「キャラの見た目のよさ」はしっかりとした「オススメ要素」として挙げることができるものでしょう。

世界観・ストーリーが独特

本作を紹介するサイト内では「ストーリーメイン」と本作を説明している箇所があります。実際「ママにあいたい」は、ゲーム性重視の探索ゲームというより、エンディングを含めたストーリーを見せることを主体としたゲームだといえます。このストーリーとそれを含めた世界観はかなり独特で、他の作品ではなかなか感じることができないものなのではないでしょうか。

世のなかには「鬱ゲー」というものがあり、2000年代のノベルゲームには鬱ゲーに分類されるゲームが多くリリースされました。これはストーリー展開やエンディングを見た後、「鬱になったように気分が落ち込んでしまう」というタイプのゲームを指します。また救いのない内容や悲劇的な物語に対しても用いられます。本作の「ママにあいたい」も人によっては鬱ゲーのひとつとして数えることができるでしょう。

あえて気分が落ち込むゲームをプレイする必要はないのですが、人間とは不思議なもので、いろいろなものを楽しみ、味わい、多種多様なものを鑑賞することができます。気分が下がるダウナー系のものがまったく受け入れられないなら、世のなかは明るいものだけになり、音楽も短調のものは排除され、多様性は見る影もなくなっているはずです。

しかし私たちは不思議なことに、気分が下がるダウナー系のものも摂取することができます。それも嫌々ながらではなく、喜んで作品を鑑賞することすらあります。そうしたものが嫌いで受けつけない方にはどうしようもありませんが、そういったものも味わうことができる人にとっては「味わい深さ」を感じることができる作品かもしれません。

「ここはイマイチ……」

逆にどんなところがイマイチなのでしょうか? 遊びやすさと作風から見ていきましょう。

遊びやすいゲームではない

現在に至るまでいろいろなゲームが発表されてきていますが、本作は他の作品と比べても決して「遊びやすい」タイプのゲームとはいえません。

ユーザビリティが高くない

なぜ遊びやすくないのかというと、細かい理由としてユーザビリティが高くないという要素が挙げられます。当サイトでは何度かユーザビリティという考え方をとりあげていますが、これはユーザーがそのアプリやソフトを利用する際に「どれくらい扱いやすいか?」を表す指標です。ユーザビリティが高いと快適に操作することができ、不満やストレスを軽減できます。

移動速度が遅い

RPGツクールやウディタで作られたゲームは、多くの作品がShiftキーを押しながら移動することで早く移動することができます。探索系のゲームでは早く移動することで見落としが増えることになりかねませんが、多くのゲームでは早く移動することはしっかりとしたメリットがあります。

移動というのは、基本的にストレスに直結します。ドラゴンクエストでいうと「ルーラ」のように移動する魔法があり、歩いて移動する手間を省くことができます。これはなにもゲーム内だけの話ではなく、現実でも移動手段として自転車・自動車・タクシー・電車・フェリー・新幹線・飛行機などいろいろな種類があるのは、利便性を確保するためです。仕事場へ行くにしても遊びに行くにしても、徒歩しか使えない状況であれば日常生活がとても不便になってしまいます。

そこまで大仰な話ではないのですが、ユーザビリティを高くするためには移動について考えることは無駄ではありません。ルーラのようなワープ手段がないとしても、「走る」と「歩く」の2段階を切り替えることができるだけでも利便性は違います。

そうした面から考えると、本作でなぜ走る要素が削除されているのかは合点がいきません。探索ゲームとしてのんびりプレイしてほしかったのでしょうか? しかしそれでも走るシステムを削除までする必要はなく、プレイヤーの判断に委ねてもよかったのではないでしょうか。

テンポがよくない

その移動の遅さが、ゲーム全体に影響しており「テンポの悪さ」に繋がってしまっています。本作はマルチエンディングですので、このゲームをしっかりと遊び尽くすにはすべてのエンディングを見ることが推奨されます。そのためには何度か繰り返しプレイすることになります。

前回お伝えしたように、エンディングはすべてで「3+1」となっており、最後の1つのシークレット要素を見るには、おそらく最初からやり直してしっかりと条件を満たすように注意しながらプレイすることになるでしょう。

その際、どうしても一度辿ったすでに知っている物語をやり直すことになるので、早く済ませてしまいたいという欲求が発生します。それを阻害するのが、移動の遅さなのです。一度めはゆっくり探索するのもいいのですが、二度め以降はわりとどうでもよくなってくるのです。そのテンポの悪さは、すべてのエンディングを見る上で少しストレスに繋がるかもしれません。

奥深い……?

今回のエントリでは、少し言葉を選びながらオススメとイマイチを説明しています。その理由は、ストーリーの展開が「奥深い」といえるのかどうかという判断が難しいからです。私はこうしたストーリーがあってもいいとは思いますが、多くのプレイヤーがこのゲームのストーリーを追体験した後で「奥深い物語だった」と感じるかどうかには確信がありません。

本作のストーリーは、「疑問提起」としてはとても価値があります。人間の世界・社会に対して、創作の物語を提示することで疑問を読者・プレイヤーに投げかけるというのは、エンターテインメントの世界ではよくあります。本作もそのような疑問提起を、独特な世界観をもって行っていると見なすことができます。
しかし履き違えてはならないのが、疑問提起の形式になっていたとしても、「答え」の提示は行っていないということです。

映画や小説などでよくいわれるのが「考えさせられた」という感想です。考えさせられるということは、疑問提起が作品内で行われ、それがしっかり視聴者・読者に伝わったということを意味します。しかしこれは「あなたがこの作品を見るまで疑問に感じていなかったところを暴きました。あなたはこれからの人生でその疑問について無視することはできなくなります」というメッセージであり、その答えは作品で提示されておらず「皆さんで考えてそれぞれの答えを出してください」というものになります。
もしこれで答えが提示されていれば、「考えさせられる」ではなく「ためになった」といったような感想にになることでしょう。

その点を考慮するなら、本作も「考えさせられ」はするものの、「ためになる」作品とはいえません。「奥深い」とはいいがたいものの、「示唆に富んでいる」ということはできます。
そのためこの作品を通じて「自分のなかに波紋を投じさせる」ことはできても、なにかスッキリするような爽快感などはおそらく芽生えはしないと思われます。

血生臭い

本作の雰囲気は、ホラーではないもののダークで血生臭いのが印象的です。白と赤が基調とされており、病院のような無機質な印象を受けることもあるかもしれません。ダークな作品は他でもありますが、本作では特に「血生臭い」という印象が他より顕著だといえるでしょう。


全体的に血をイメージさせる赤が基調となっている。血に弱い人にはなかなかつらいかもしれない。

主人公は最初に目が覚めた瞬間から、腕がありません。そして冒頭で双子の兄と出会うとき、実は脳もなくなっていることが知らされます。それを教えてくれる双子の兄も、足がちぎられており歩くことができなくなっています。
しかし主人公たち「受精卵」は、体の部位がちぎれたとしてもまた接着すれば手術をしなくてもくっつけることができます。

これは私たちが想定する人間像とは大きな食い違いがあり、おもしろい設定だと感じる一方で、不気味だと感じることにもなります。そしてストーリーを進める上で、主人公が会いたいと願う「ママ」の声を聞くことになり、ゲーム内のキャラクタである他の受精卵の誕生に関する「ママ」の思いなども知ることになります。

スプラッタ映画のように、直接的に流血するような表現はほとんどありません。激しい「動」のゲームではありませんので、敵であるカンシに襲われるときも驚いたり鼓動が激しくなったりするようなことはほぼないでしょう。
しかしどこか「深入りしてはいけないところに入り込んでしまった」ような違和感をおぼえたり気持ち悪さを感じたりすることになるかもしれません。

次のエントリ

次回のエントリでは、ネタバレを含めた「すべてのエンディングを見た上での感想」を述べていきます。

「ママにあいたい」#03【ネタバレ】舞台は子宮? カンシの正体は?【フリゲ】
この記事は2020/07/26に加筆・修正しました。 こんにちは、Caffeineです。 今回は「ママにあいたい」のネタバレありの感想です! 前回のエントリではなるべく客観的に述べるようにしましたが、今回はネタバレを交えて主観...
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