※このエントリは2018年9月に「2018年決定版!」として執筆したものを、2019年用にリライトし刷新させたものです。
このエントリは非常に長くなっています(約5万字)。全部を一度に読もうとすると時間がかかってしまうので、複数回に分けて読む、強調されている箇所だけ読む、など読み飛ばしていただいて構いません。
またブロックとして前半と後半にて、エントリを分けています。前半のブロックで、はどのような方にでもグラフィックボードの選び方がわかるように平易に情報をまとめてあります。後半のブロックでは、具体的なグラフィックボードの詳細情報をまとめてあります。前半は読みやすいように難しい情報を省いています(そうした情報は後半のブロックに掲載しています)ので、お時間があまりない方は前半だけ読んでいただいても問題ありません。
ブロックA
このブロックでは、簡単なグラフィックボードの選び方をまとめてあります。各グラフィックボード製品のおおまかな傾向である「高性能なほど高価」という性質を利用した簡単な選び方です。グラフィックボードにあまり興味がない方にでも読みやすいように、詳細な情報は後半のブロックに掲載してあります。
お時間がある場合は、前半を読んでいただいてから後半も見ていただくと、細かい情報もいくらかわかりやすいかと思います。
このブロックのポイント
- どれくらいゲームを遊びたい?
- 人を動かすのは熱意だ!
- 余裕をもてば怖くない!
- どんなグラフィックボードがほしいかは、「自分」に聞こう!
キーワードは「熱意」と「余裕」!!!
どんな人にグラフィックボードがオススメ?
実のところ、グラフィックボードという製品について興味がある人は、世のなかではさほど多くないでしょう。それというのもグラフィックボードは用途が限られており、不要な人にとってはまったく必要のない代物だからです。
ではグラフィックボードはどんな人に向いている製品なのでしょうか? 一緒に見ていきましょう。
- ゲームに熱意のある人!
- 余裕のある人
- PCをゲームハードにできる!
- より多くのゲームを楽しめる
- より高画質でゲームを楽しめる
- よりスムーズにゲームを楽しめる
- グラボの魅力はゲームの魅力
- RTX 2070
- RTX 2080 Ti
- ちゃんと接続すればプロでなくても大丈夫!
- マザボとモニターに接続する
- 接続規格も覚えておくと便利
- どれくらいゲームを楽しみたい?
- 性能で選べ!
- 熱意で選べ!
- 性能・コスパ・価格
- Minecraft
- Skyrim
- TESO
- Fallout 4
- Fallout 76
- GTAV
- LoL
- PUBG
- Fortnite
- Apex Legends
- フリーゲーム
- MODについて
- ブロックAあとがき
- グラボはどういう働きをしてるの?
- どんな種類のグラボがあるの?
- グラボの性能ってどう知るの?
- PCパーツにはそれぞれ明確な役割がある
- プロセッサは「頭脳」
- 役割分担は大事!
- 画質を上げる
- フレームレートを上げる
- 遊べるゲームの数を増やす
- マザボとモニターに接続する
- 接続規格が決まっている
- どうしてマザボとモニターに接続するの?
- ノートPCのグラボはどう交換するの?
- グラボってどんな形?
- NO! 重要なのはグラボだけじゃない
- 家電量販店
- オンラインショップ
- BTO
- ジャンク品
- ネットオークション
- RTX 20シリーズ
- GTX 16シリーズ
- GTX 10シリーズ
- AMD製グラフィックボード
- 各種グラフィックボードのスペック
- 客観的な選び方
- 主観的な選び方
- オススメ:予算最大のグラボ
ゲームに熱意のある人!
グラフィックボードはまず「ゲームに熱意のある人」に向いた製品です!
一般の人には「グラフィックボード」という製品があることすら知らない人も多いことでしょう。なぜならそのような人は「ゲームに興味がない」からです。グラフィックボードは現在、基本的な用途は「PCでゲームをする」という使われ方をしています。そのため基本的な用途であるゲームに興味がなければ、グラフィックボード自体に興味をもたないのです。
このページを見ているという多くの人は、すでにゲームに興味がある人だということです。グラフィックボードにはもちろん他の用途もありますが、一般的な用途はほとんどPCゲームに限られます。そのため一般的には「グラフィックボードはゲームをしたい人向け」という考えが成立しやすいのです。
実はここにもうひとつ隠された要素があります。それは「PCでゲームをする」という使われ方のうち、「ゲームをする」という点だけでなく「PC」を使って楽しみたいと考えている人向けだということです。
現在ゲーム用ハードといえば、たくさんあります。据え置き型のプレステやSwitch、携帯ゲーム機、また近年ではソシャゲの人気からスマートフォンもゲームハードのひとつとして認知されつつあります。
PCはスマートフォンより重厚なゲームが楽しめるハードだといえます。据え置き型ハードと比べると……これは好みですねw 据え置き型ハードが好きな人もそうでない人も、それぞれの選択が尊重されて然るべきでしょう。ただPCでしかできないゲームや、コントローラでできない操作(マウスやキーボード)があるため、その点での区分もあります。
両方とも使い分けることができるのが理想ですね!
余裕のある人
次に挙げられる「向いている人」は、「余裕のある人」です!
これはグラフィックボードを使うのに向いているというより、ゲームを趣味とするときに余裕のある人は「存分に趣味を楽しめる」という意味合いです。
趣味とは金銭的・時間的な余裕が必要なもの
バイクが好きな人はバイクに乗るものです。登山が好きな人は山に登るものです。釣りが好きな人は釣りをするものです。
それではゲームが好きな人は? 当然、ゲームをするものです。
バイク・登山・釣り・ゲーム、いずれもお金がかかりますし、時間もかかります。このときに「費用を抑えたい」「時間を短くしたい」というのは、ちょっと本末転倒ではないですか? 趣味の第一目的は楽しむことです。楽しむためには、ある程度の金銭的・時間的なコストをかけなくてはいけません。
金銭的な余裕がないときは、コストパフォーマンスを重視したり安く買ったりすることでいくらか補うことができます。しかしたとえば外車が好きな人がコストパフォーマンスを重視するでしょうか? 背伸びをして無理に買うことはよくありませんが、ほしいものを手に入れるにはお金が必要なのは世の常です。そこで安めで済ませたとしても、満足度も高くありません。
趣味を楽しむのには、余裕が必要なのです。
余裕ができてから趣味を楽しもう!
とはいっても、世間はいつも忙しいものです。学生時分は時間がたくさんあってゲームを楽しむ余裕があったけど、社会人になってみたらやらないといけないことがたくさんあって、ゲームを楽しむ余裕がない……。ゲーム好きの社会人にとってよくある悩みです。
こんなときに「しないといけないことが山積みなのにゲームをする」というのはちょっと危ういですよね。それが仕事全体や生活に関係してくるならなおさらです。社会人であれば、片づけることは片づけて余裕ができてから存分に楽しみましょう!
社会人とは逆に「時間はあるけど……予算がない」という人たちもいます。顕著な例は、そう、学生です。筆者も学生時分はなけなしの小遣いをはたいて中古ゲームなどを買い漁ったものです。そして財布の軽さによく落胆したものです……。
学生さんはまずお金を稼ぎましょう! 趣味にお金はかかるものです。グラフィックボードなどPCでのゲーム環境を構築することを考えるなら、焦る必要はありません。グラフィックボードなどは種類がいくつもありますしインターネットで買えますので、売り切れるということがあまりありません。ソフトもDL(ダウンロード)してインストールする時代ですから、同様に買いそびれるなんてことはありません。
時間にしても予算にしても、まずは余裕をもつことからです。余裕がなければゲームは楽しめません。「大事な会議をサボってゲーム……。明日会社に行ったらクビかな……」とか「借金してゲーム買い漁ってるけど、借金取りがずっとドアを叩いててゲームに集中できない!」なんてのはちょっと健全ではありませんよね。
物事を楽しむには、まず余裕があったほうがずっと集中できます。
余裕の凄さ
多くの人が大金持ちを夢見て、石油王を羨ましがり、ハリウッド俳優に憧れます。この点で「お金スゴイよね!」と考えるようであれば、少し危ういかもしれません。凄いのは「余裕」です。お金ではありません。
石油王はあふれんばかりの石油をお金に変換し、俳優はあふれんばかりの才能をお金に変換します。価値があるのは「石油」「演技の才能」であり、お金は中継ぎでしかありません。仲介でしかありません。
もしお金の凄いところがあるとしたなら、「大概のものならお金で買える」すなわち「大概のものならお金で変換できる」という柔軟性にあります。しかし私たちは1円のすごくなさ、つまらなさを知っています。お金が素晴らしいものであると知っているにもかかわらず、1円は素晴らしくないのです。なぜでしょう?
もちろん「少ない」からです。つまり「余裕にならない」からです。1円は「余裕」と呼ぶにはあまりに少ないからです。
1億円と1円という金額から、私たちは明確な違いを感じることができます。この違いは「お金はお金である」「お金はすべて凄い」という価値観ではなく、「額の大小は大事」「程度の大小こそが凄い」という余裕の大切さを教えてくれます。
よく「宝くじで巨額を得た人が散財してしまう」という話を聞きます。この話から学ぶことがあるとすれば、「お金はお金、使えばなくなる」ということです。せっかく得た余裕も、浪費すればなくなるのです。石油は枯渇するのでやがて石油王は別の稼ぎ方を考えなくてはいけません。演技を磨くことを忘れてしまえば、ハリウッド俳優の演技といえども陳腐になってしまいます。
大事なのはお金ではなく「余裕」です。余裕とは大きいほど都合がいいものです。「お金に余裕があっても時間が足りない」「時間に余裕があってもお金に余裕がない」「お金も時間もあるけど気持ちに余裕がない」どれも好ましくありません。貧しくても清ければいいという清貧の考え方もありますが、ないよりはあったほうがマシです。
決して「誰もが追いつけないほどの余裕」を手に入れる必要はありません。ほどほどでいいのです。ほどほどにお金があって、ほどほどに時間があって、ほどほどに気持ちに余裕があれば、それで充分なのです。それだけでいろいろなものごとを楽しめるのです!
グラボを使うメリット
さて、では主旨であるグラフィックボードの話に移りましょう!
まずはこれから買おうかと考えてるものに対して、「それを使うと、どんないいことがあるの?」とい疑問を抱かない人はいません。グラフィックボードを使うとどんなメリットがあるのでしょうか?
PCをゲームハードにできる!
PCとは基本的に仕事やインターネットを見るのに使われます。スマートフォンで代用できる部分も大きいのですが、PCでないと処理できない難しいこともあります。そうしたPCの使い途に「ゲーム」を追加するのがグラフィックボードの能力です!
またPCはおおまかにデスクトップPCとノートPCに分けられます。ご存知の通り、デスクトップは家や会社などに置いたまま動かせないタイプのもので、ノートは持ち運びの簡単なタイプのものです。現在ではデスクトップにもノートにも「ゲーミングPC」としてグラフィックボードが搭載された製品が市販されています。ノートでもグラフィックボードを使用することで、一部のゲームを楽しむことができるのです!
もちろんグラフィックボードの種類や他のパーツの性能によって、どんなゲームが遊べるかは変化してきます。しかしこれまで据え置き型ハードなどがなければゲームは楽しめないと考えられていましたが、現在ではさほど苦労しなくてもPCでゲームが楽しめるようになったのです!
より多くのゲームを楽しめる
性能のいいグラフィックボードを使うことで、ゲームハードとしてのPCをより強化することができます!
初代プレステとプレステ2、プレステ3などを比べてみてください。明らかに新しく性能のいいハードのほうが映像の質などがよくなっていますよね。性能のいいハードであれば、古いゲームは簡単に動かせるのです。
またPCでは他のゲームハードで遊べないゲームがたくさんあります。顕著なのは「フリーゲーム」です。
フリーゲームには様々な種類がありますが、日本ではRPGツクールやWOLF EDITOR(通称ウディタ)などで作られたフリーゲームがたくさんあります。また海外ではLUDUM DAREで開発されたゲームや、インディーズゲームをダウンロードできるサイトがあります。こうした基本的にWindows向けソフトは、PCでしか遊べないのです。
より高画質でゲームを楽しめる
PCでは、ゲーム内の設定で画質を選ぶことができます。高画質を選ぶともちろん処理の負荷が大きくなり、性能の高くないPCではまともに動作しません。つまり画質を向上させるには、PCの性能を上げればいいのです!
そのなかでもグラフィックボードはゲームの処理をたくさんしてくれるので、高性能にするとより高画質でゲームを楽しめるのです!
よりスムーズにゲームを楽しめる
また性能のいいグラフィックボードを使うことで、ゲームをスムーズに動作させることもできます!
ゲームは動画のように映像が動きますが、これはアニメと同様で、1枚1枚の静止画を連続で切り替えることでスムーズな動きとして表現しています。この処理はグラフィックボードの性能が高いほうがよりスムーズに行うことができるため、もたついた動きを解消したいなら高性能なグラフィックボードを使うのが有効なのです!
→<フレームレートの話(このページの後半ブロックに移動します)>
グラボの魅力はゲームの魅力
グラフィックボードを使うメリットを考えるには、グラフィックボードの魅力について考えることでわかります。上で確認したように、グラフィックボードの性能を上げることで「稼働できるゲームの多さ」「ゲームのスムーズさ」「ゲームの画質」を向上させることができます。これをまとめると、「グラフィックボードの性能を上げると、いろいろとゲームをする上で都合がいい!」ということになります。適当に見えますねw
実際のところ、これは適当にいっているわけではありません。性能のいいグラフィックボードを使用することで、「ゲームを楽しむ」という行為の多くを実現し、さらに向上させることができるのです。逆に性能のよくないグラフィックボードを使用していれば、思うようにゲームを楽しめないことがあるでしょう。
性能の指標というのは確かにあるのですが、グラフィックボードに興味がない人にとって知るメリットは多くありません。
グラフィックボードの性能はPCで遊ぶゲームに直結します。ゲームの魅力を知っていれば、グラフィックボードの魅力はすぐにわかるようになります。
RPGで冒険するときに武器が必要なものです。どの武器を選ぶかは好みで構いません。武器の知識を蓄えてその道のプロになる必要もありません。ただ「どう使うか」「どれが自分に合っているか」がわかればいいのです。剣・槍・斧・ハンマーなどを好みで選ぶようなものです。
オススメのグラフィックボード!
グラフィックボードを販売している会社は世界にいくつもあります。またその会社が販売しているグラフィックボードの種類もたくさんあります。そのなかでゲーマーはどんなグラフィックボードを選ぶのがいいのでしょうか? 2019年に相応しいグラフィックボードをオススメします!
→<各種グラボのスペック(このページの後半ブロックに移動します)>
RTX 2070
「RTX 2070」はNVIDIA製のグラフィックボードです。NVIDIA製のグラフィックボードのなかでも「RTX 20シリーズ」という現在で最高峰ともいいうる製品群に属します。
RTX 2070は、RTX 20シリーズのなかではミドルクラス、つまり中程度の性能の製品です。ミドルクラスの製品のいいところは、性能と価格のバランスがいいことです。つまり「みんな大好きコストパフォーマンス!」に優れているのです!
RTX 2080 Ti
「RTX 2080 Ti」もRTX 20シリーズのなかの製品のひとつです。製品名にある「Ti」はより性能が高いものを意味します。つまり2080 Tiは2080よりも性能が高いということです!
おおまかな名前の法則として、数字が大きいほうが高性能になるという法則があります。そして現在このRTX 2080 Tiより数字の大きい製品はありません。
RTX 2080 Tiは現在のグラフィックボードの最高峰とすらいえる製品なのです!
知っておきたいグラボ情報!
PCでゲームをすることとは直接関係ないのですが、グラフィックボードなどのパーツはプロに頼まずとも自分でつけかえることができます。こうした自分でパーツを換えたり新しく搭載したりする行為を「自作」といいます。市販されているPCはどれもケースを開けてなかのパーツを取り外すことができるのです。
もちろん失敗すると……いろいろと弊害はありますw でもちゃんと正しく使えば、怖いものではないのです!
ちゃんと接続すればプロでなくても大丈夫!
BTOなどでゲーミングPCを買うと、自分で選択したパーツの組み合わせでプロが組み立てて届けてくれます。これはとても便利なサービスです。
しかしパーツを組み合わせるのはプロでなくともできるんです! ちゃんと経験を重ねれば、失敗もグッと減らせます。
PCを自作することで費用をいくらか減らせるともいわれますが、現実的には「自分でPCの構造を理解してメンテナンスできる」という点のほうがメリットは大きいかもしれません。プロを介さずに修理できるということです! そうすることで「PCが故障した。PCを買い替えないと……」ではなく「このパーツが故障してるのか。じゃこのパーツだけ新しいのに換えよう」とピンポイントで原因を把握し、無駄を減らすことができるのです!
マザボとモニターに接続する
グラフィックボードはマザーボードとモニターに接続します。
マザーボードはグラフィックボードへ、データや電力を送ります。その電力を消費してグラフィックボードはデータを処理します。そして処理したデータをモニターへ送って、ゲームなどの映像がモニターに表示されます。
→<詳細な接続方法(このページの後半ブロックに移動します)>
接続規格も覚えておくと便利
グラフィックボードを接続する場合、「規格」と呼ばれるものが重要になってきます。コンセントなどと同じで、形状が違ったり使えないものを無理に使おうとしたりすると不具合が発生する可能性があるからです。
モニターと接続する規格で有名なのは「HDMI」などで、マザーボードと接続する規格では「PCIe(PCI Expressの略)」がよく使われます。
→<詳細な接続規格の解説(このページの後半ブロックに移動します)>
どのグラフィックボードを選ぼう?
グラフィックボードについていくつかのことを見てきましたが、実際にグラフィックボードを選ぶとなったとき、私たちはどんなものを選ぶべきなのでしょうか? もちろん上記した「オススメのグラフィックボード」から選ぶこともできますが、自分で選びたいという方もいることでしょう。
選び方には種類がいくつもあります。カップ麺を選ぶように値段・安さを重視する選び方、生涯に一度の買い物になりかねない家などを買うときの選び方、なにげない日用品を購入するときのコスパ重視の選び方……。そのなかでもやはり価格は指標のひとつとして最重視されることが多いものです。
ではグラフィックボードを選ぶときは、なにを重視して選ぶのがいいのでしょうか?
どれくらいゲームを楽しみたい?
ゲームはそもそも趣味です。ゲームハードはもちろんのこと、グラフィックボードも「嗜好品」です。必需品ではありません。いわば「どんなグラフィックボードを選ぶか?」という問題は「段階的に好きな性能のゲームハードを選べる」ようなものです。
Nintendo SwitchならNintendo Switchを買うしかありません。プレステ4ならプレステ4 Proなどを選ぶことができ、Xbox OneならXbox One SやXbox One Xをできます。グラフィックボードはさらに細かく性能で分類されているようなものです。
またグラフィックボードの性能によって、「どれくらい多くのゲームが遊べるか」「どれくらいスムーズにゲームを遊べるか」「どれくらい高画質でゲームを遊べるか」という要素が変化することは確認しました。つまりグラフィックボードのどの性能を選ぶかという問題は、「どれくらい多くのゲームを、どれくらいスムーズに、どれくらい高画質で遊びたいか?」という意味にもなるのです!
性能で選べ!
人は誰でも質のいいものを求めます。外食ではハズレを引きたくはありませんし、映画ではつまらないものは見たくありません。引っ越すなら治安がいい場所に住みたいものですし、ゲームではクソゲーに出会いたくないものです。
そうした「実際に体験してみるまで本質がわからないもの」があるなかで、グラフィックボードの性能はあらかじめわかるようになっています。具体的にはクロック周波数やVRAM量、またベンチマークスコアなどの数値でわかる部分があります。
RPGの武器や防具のように数値があらかじめわかるのがグラフィックボードです。だったら私たちがとる行動は、「数値の高いものを選ぶ」すなわち「性能のいいものを選ぶ」ということでしょう。もちろんそのときに心理的な抵抗として頭に浮かぶのは「値段」です。それはリスク回避として当然の考え方です。しかし私たちはゲームのなかでは「とにかく性能のいいものを求め、実際に手に入れられるよう努力する」のに対して、なぜ現実では性能のいいものを求めながら躊躇してしまうのでしょうか。
それはもちろん「現実でお金を稼ぐことの難しさ」があるからです。ゲームのなかよりずっとお金を稼ぐのは難しいのです。そうした抵抗が頭に浮かびブレーキがかかるのは自然なことです。
しかし私たちが求めているのは「グラフィックボードの性能」です。さらに深くは、私たちは「多くのゲームをスムーズに高画質で楽しめる性能」を求めています。「金銭的な抵抗」を求めてはいません。「ほしいものを諦めるブレーキ」をほしいとは思っていません。「安さ」がほしいわけではないのです。
そのような抵抗を振り切ることができれば、私たちは性能だけを求めることができるのです。
熱意で選べ!
このエントリの最初に確認したことを思い出しましょう。「グラフィックボードは熱意のある人に向いた製品」ということでした。趣味というものは内容にかかわらず、熱意がなくては持続しません。それは燃える激情のような熱い意欲かもしれませんし、静かに青く燃え続ける熱意かもしれません。どちらが優れていて劣っているかという問題ではまったくありません。
人を動かすのはいつでも「熱意」です。どんなに静かな人でも、衝動がなければ活動はできません。もし熱意に乏しい人がいたら、それは「鈍感にならざるをえなかった」のかもしれません。この世界ではすべての人のすべての熱意が叶えられるわけではないからです。
しかしそうした人でも熱意がないのではなく、「熱意を抑えることに慣れてしまった」としたら、それを思い出せばいいのです。ゲームをする上でも生きる上でも、熱意を無理に抑え込む必要性はさほど高くないのです。
金銭的な抵抗さえ振り切ることができれば、性能を追い求めることができるということを先ほど確認しました。そしてその抵抗を振り切ることができるものがあれば、それは「情熱」そして「熱意」ではないでしょうか?
私たちはゲームを楽しみたいのです。そのために性能がほしいのです。ほしければそれを選べばいいだけです。おかしなところはどこにもありません。
ここで大事になってくるのが「余裕」です。時間としても予算としても、余裕がなければここで窮してしまいます。ほしい性能のグラフィックボードを選んだことで会社を休んでクビになったり破産したりしては意味がありません。
RPGで次のボスを倒すために必要な武器や防具がほしいとき、「この程度でいいや」と半端な装備で挑むことはよくありませんし、また回復アイテムを買う余裕すらないのに無理を承知で特攻することもありません。
グラフィックボードを選ぶときは、余裕があるときに自分の熱意に問いかけることで確認しましょう。どんな性能なら満足できるかがわかることでしょう。
本当に好きなものは?
ひとつ留意しておきたいのは、この「熱意」を計測するのは筆者ではないということです。筆者が皆さん個々人の熱量がどれほどのものか試しているわけではありません。
これは「自分の胸に聞いてみてください」という問いです。「あなたが本当にほしいものはなんですか?」という問いです。その答えが「ゲームはそこまで好きじゃない」というものであれば、グラフィックボードやゲーミングPCはあまり必要ありません。無駄になる可能性が高いからです。
筆者は幼いころ映画が好きでした。友人にも映画好きな人がいて、見た映画の話を一緒にしました。しかしいつからか、さほど映画を見なくなりました。
小説も読みました。太宰治が好きで、スティーブン・キングや舞城王太郎の小説を読んだりしました。しかしそれも最近ではあまり多くありません。
アニメに関しても、好きなゲームの声優さんが出ていたりすると興味が湧くことがありますが、なかなか最後まで見通すことができないでいます。ガンダムを見通すのも、根気が必要でした。
この筆者の好みは、単に筆者が「映画の人間」でなく、「小説の人間」でもなく、「アニメの人間」でもなかったことの示唆でしかありません。そんななかでゲームは、特に「頑張る」という気持ちもなく、自然と続けられています。これこそが「好きなものはなにか?」という問いの答えではないでしょうか?
この問いを軽い気持ちで構いません、一度自身で試していただいて、その熱意の度合い、不自然さの度合いなどを「自分で」判断して見てからでも、グラフィックボードを選ぶのは遅くないでしょう。
値段と熱意の一騎打ち!
こと趣味の世界においては、買い物はいつでも一騎打ちをするようなものです。誰と誰のかといえば、値段と熱意の一騎打ちです。この一騎打ちは買い物の度に繰り返されます。そのため領土を奪い合うように、負け続けたほうはどんどんと居場所を追いやられていくのです。
実のところ、細かいことをいえば買い物とはすべてこの「一騎打ち」の繰り返しです。販売側と購入側、企業と消費者の一騎打ちではありません。すべて「消費者」である購入する側の内部で巻き起こっている一騎打ちなのです。
人々はこの一騎打ちを繰り返すうち、自然と「値段」が熱意に勝ち続けてしまい、いつのまにか「安さ」をことのほか重視するようになってしまいます。それも無理からぬことです。なにせ人々を包む情勢、日本という国の情勢、ひいては地球という世界の情勢が芳しくないからです。
よく「財布の紐が硬くなる」という表現が使われることがあります。今の時代でいえば、電子マネーのロックが厳しくなる、交通系ICカード(Suicaなど)をかざす手が止まる、といったようなところでしょうか。
このような状況に陥ってしまうのは自然なことなのですが、趣味に興じるなかでも「値段に負け続ける」ようでいいのでしょうか?
もちろん値段と熱意の一騎打ちにおいて、熱意を勝たせるというのは素晴らしいことです。それだけ打ち込めるものがあるという証です。
しかし熱意を特攻させて勝った挙句、身を滅ぼすようではよくありません。つまり生活費に手を出してしまい、生活が立ち行かなくなってしまうような状況です。
そのために重要なのが、やはり「余裕」です。私たちは値段と戦うとき、余裕の笑みを浮かべながら熱意を勝たせてあげないといけません。必死の形相で汗水漬くになり目を血走らせながら勝つようではいけないのです。「今回も私の熱意に勝てなかったようだな」くらいの涼しいセリフをいえるようでないといけないのです。
性能・コスパ・価格
グラフィックボードに限らずどんな商品でも、選ぶときには基本的に3種類しかありません。性能重視の「金に糸目はつけねえ! 性能のいいヤツをよこしな!」と、中間の「ほどほどだよね、何事もほどほどだよね」と、価格重視の「安けりゃいいよ。高望みはしない」の3種類です。コストパフォーマンス重視は、中間のものに類した考え方でしょう。
グラフィックボードに関して考えると、グラフィックボードで求められるのは「性能」であるため、性能重視で考えるのが妥当です。中間・コスパ重視・価格重視のどれを選ぶのも自由ですが、やや本質からはズレます。
このようにどう選ぶかを考えるとき、「そもそもなにがほしいんだろう?」と考えてみてください。コストパフォーマンスがほしい、安さがほしい、というのは言葉としても考え方としても矛盾して聞こえませんか? また性能重視が前向きで、それ以外はやや後ろ向きに感じられませんか?
答えを急ぐ必要はありません。ゆっくりと考えてみましょう。
→<「価格重視」の考え方(このページの後半ブロックに移動します)>
→<「コスパ重視」の考え方(このページの後半ブロックに移動します)>
こんなゲームが遊べる!
現在ではPCでゲームを遊ぶことはとても一般的になっているため、たくさんのゲームをPCで楽しむことができます。
Minecraft
Minecraftは、サンドボックス型と呼ばれる「ゲームクリア」の明確なゴールがないタイプのゲームです。ある程度ゲームに親しんでいる方であれば説明不要のゲームでしょう。
オープンワールドの世界で、基本的にロードを挟まずにゲームを楽しめます。敵や動物を倒したり植物を育てたりして食べ物を入手し、地下で功績などを採掘(mine)し、道具やアイテムを作成(craft)し、さらには家や建造物などをつくることもできます。
PCだけでなくスマホでも遊べるため、さほど処理の重いゲームではありません。しかし「広い範囲を高解像度で読み込む」「爆弾を大量に使用する」というような行為をすると、PCでも重くなることがあります。
正方形のブロックを重ねることができるゲームなので、一般的なゲームより「創作する」という側面が強く、敵と戦うことを楽しむ面はさほど強くないのも特徴です。
このゲームはPC以外でもプレイできるマルチプラットフォームに対応しています。導入できるMODの数に頓着しないのであれば、他のハードでプレイするのもいいかもしれません。
Skyrim
Skyrimは3DのFPS視点RPGです。オープンワールドで室内と室外を行き来するなど以外はロードを挟みません。2011年末に発売されたゲームですが、今なお人気は衰えません。
剣と魔法を武器にして戦う中世ヨーロッパのような雰囲気のあるファンタジー要素の強いゲームです。また北欧のような雪国が舞台で、風景の綺麗なゲームとしても有名です。武器は剣の他にも弓・斧・メイス・ダガーなどがあります。
SkyrimはThe Elder ScrollsというRPGシリーズの5作目で、Bethesdaというアメリカの会社で開発されたエゲームです。SkyrimをはじめとしてBethesdaが開発したゲームでは、「MOD」が多く使えるというのが大きな特徴だと認識されています。
なおThe Elder Scrolls(通称TES)シリーズは、3作め(前々作)の「Morrowind」と4作め(前作)の「Oblivion」も3DのFPS視点のRPGです。Skyrimより古い作品ですので映像はやや見劣りするかもしれませんが、この2作も人気がある作品です。
TESO
The Elder Scrolls Online、通称「TESO」はSkyrimなどのTESシリーズ初のオンラインMMORPGです。
SkyrimなどにあったMODのようなシステムは、アドオンという形でTESOでは実装されています。
Skyrimまでは1人プレイ専用でしたが、本作では協力プレイができるようになっています。
Fallout 4
Fallout 4はSkyrim同様のFPS視点RPGです。こちらもBethesdaが開発したゲームで、やはりMODが使用できるようになっています。
Falloutは核戦争から約200年後の荒廃したアメリカを舞台としています(北斗の拳のように荒廃した世界の物語を「ポストアポカリプス」と呼びます)。核に汚染された世界で銃を使って敵と戦っていきます。
Bethesdaが開発したFalloutシリーズのゲームはFallout 3からで、その続編としてFallout: New Vegasがあります。
Vault(ヴォルト)というシェルターが存在し、シリーズの主人公の多くはVaultに関連した人物であると設定されています。Fallout 3ではVaultから出て行った父親を探す子供が主人公で、Fallout 4では子供をさらわれた親が主人公となっています。
ゴア表現があり、敵を倒すときに手足が砕けたり首が飛んだりする表現があるため、そうしたものが苦手な方はご注意ください。
Fallout 76
Fallout 76は2018年末に発売されたFalloutシリーズ初のオンラインMMORPGです。
TESOと同様に、それまでの作品が1人プレイ専用であったため、それまでとは違う協力プレイを楽しむことができるようになっています。
GTAV
グランドセフトオートことGTAは、PCゲーマーでなくとも知っている有名なゲームです。オープンワールドのゲームで、街中で車を乗り回したり銃で人を撃ったりできるやや「不謹慎」なゲームとして有名です。
LoL
対人型(PvP)ゲームとして世界的に有名なゲームがLeague of Legendsです。見下ろし型のマップ内で、敵と味方に分かれて5対5で勝負をするゲームです。基本無料プレイで、有料アイテムはゲームの勝敗に影響を及ぼしません。ゆうに100人を超えるキャラクター(LoLではチャンピオンと呼ばれます)が実装されており、多様性に富んだ戦いが楽しめます。
非常に奥が深く、チャンピオンそれぞれが違った特徴・スキルをもっているため、うまくチャンピオンを操作する技術が要求されます。また自分でプレイするだけでなくプロなどのプレイを見ることも楽しみのひとつで、そこから技術を学んでいくのもおもしろい楽しみ方です。
PUBG
「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」通称PUBGは、2017年末に発売されたTPS視点の3Dゲームで、バトルロイヤル形式ゲームの火つけ役として有名です。最大100人のプレイヤーが1つのマップ内に集まり、最後の1人になるまで戦い続けます。
Fortnite
Fortniteもバトルロイヤル形式のゲームとしてこんにちでは有名なゲームです。素材を集めて壁や床を作って戦うというクラフト要素があるため、前述のMinecraftと似ていると挙げる人もいます。ややポップなグラフィックも特徴的です。
Apex Legends
Apex Legendsは2019年2月にリリースされたばかりのバトルロイヤル形式のFPSゲームです。3人1組のチームを作り、最後の1チームになるまで戦い続けます。
新しいゲームということもあり、他ゲームのプロプレイヤーや様々な配信者などがプレイしており、もっとも人気上昇率の高いゲームのひとつといえます。
実際の戦場を忠実に再現しようとするリアル系FPSとは異なり、多彩なアクションや素早い動きで楽しむことができるスポーツ系FPSといえるでしょう。
フリーゲーム
フリーゲームはその名の通りフリー(無料)のゲームです。多くのフリーゲームは、プロを目指す方の習作や趣味でゲームを作りたい方の作品です。英語圏では「Indies game(インディーゲーム)」と呼ばれることのほうが多いでしょう。インディーゲームの場合は、有料・無料を問わず大企業のように実績が多いわけではない人・企業の作品を指します。
非常に様々な作品があり、ジャンルも多種多様にわたります。
最初はPC限定のフリーゲームだった作品が、人気を得るにつれて有料になったり、他のゲームハードに移植されたりすることもあります。
日本サイト
<ふりーむ! – フリーゲーム/無料ゲーム 10000本!>
<フリーゲーム夢現 おすすめ無料ゲームランキング!>
海外サイト
<Rockin’ Indie Games one pixel at a time – Indie DB>
<Game Jolt – Indie games for the love of it>
<Ludum Dare> 48時間でゲームを作成するイベント
有名な作品
I WANNA BE THE GUY
青鬼
ゆめにっき
1999Christmas Eve
つぐのひ
Baldi’s Basics in Education and Learning
その他多数
フリーゲーム・インディーゲームは特定のジャンルを表すものではなく、おおむね無料であったり一般的な販売形式を経ずに発表されたりするゲームなどを指します。そのためこれまで発表されてきたフリーゲーム・インディーゲームも然ることながら、これから先もずっと新作や新しい作者が登場し続けることが期待できる分野なのです!
MODについて
MODとは「modification(変更、修正)」の略で、そのゲームを開発した会社とはまったく別のユーザーが作成した改造ファイル(このファイル自体もMODと呼びます)を使用し、ゲームの内容を改造・変更・修正することができるシステムです。
ゲームによって特色が異なり、Minecraftではスキンやテクスチャなど見た目を変えるものや、工業化MODのようにゲームシステムを改変するものなどがあります。
Skyrimなどでは、単純なものではバグフィックス(バグの修正)などから、キャラクターの新規追加、街の新規追加、またゲームシステムを改変するMODなどが存在します。
このブロックのまとめ
- グラフィックボードはゲームに熱意のある人向け!
- 本当にゲームが好きですか!?
- どれくらい好きですか!?
- まずは余裕を確保しよう!
- 趣味には金銭的・時間的な余裕が必要!
- グラフィックボードがあるとPCでゲームができる!
- 性能がいいと、より多くのゲームを動かせる!
- 性能がいいと、よりスムーズにゲームを動かせる!
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ブロックAあとがき
ここまで読んでいただいてありがとうございます。あなたはもう「どんなグラフィックボードが自分に合っているか」を選べます。余裕をもって予算を確保した上で、許される限り最高性能のグラフィックボードを買えばいいだけなのですから。
次はもっとグラフィックボードについてより深く知りたい方に向けて、「グラフィックボードとはいったいなにか?」について見ていきます。グラフィックボードの情報をより細かく掲載しますが、読む方にとっては退屈になるかもしれませんので、ご留意ください。
ブロックB
これまでは「グラフィックボードを使うことのメリット」について見てきました。ここではグラフィックボードについてのより進んだ情報を一緒に確認していきましょう!
このブロックのポイント
- グラフィックボード内の「GPU」が映像処理をしてくれる。
- VRAMは映像用のメモリで、処理をスムーズにしてくれる。
- 高性能なグラフィックボードでゲームのパフォーマンスを向上させられる!
- 画質を上げて、アンチエイリアシングを使用できる!
- フレームレートを上げて、スムーズにゲームを動作させられる!
- 遊べるゲームを増やせる!
- グラフィックボードを使うなら接続の方法・接続の規格に注意しよう。
- ベンチマークやスペックからグラフィックボードの性能を判断できる
- GPUのメーカーはNVIDIAとAMD。
グラフィックボードってそもそもなに?
先ほどは「グラフィックボードがあるとゲームに役立つ!」というふうに理解を進めてきました。ここではより具体的にグラフィックボードという機械がどんなものであるのか確認していきます。
グラボはどういう働きをしてるの?
車がどのようなものであるかを確認するとき、エンジンやフレームの構造を理解すると「人を乗せて安全に移動するための乗り物」であることがわかるようになります。
扇風機がどのようなものであるかを確認するには、構造を理解することで風を一方向に限定して送ることができ、おもに冷却装置として用いることができると理解できるようになります。
それと同様に、グラフィックボードがどのようなものであるかを確認するには、その構造を理解すればわかるようになります。
それではグラフィックボードの内部がどうなっているのか見ていきましょう。
グラボはどう動いているか
グラフィックボードは、主にGPU・基盤・冷却装置・リアパネルなどで構成されています。
グラフィックボードが動作する上でもっとも重要なのは、GPUです。
GPU
GPUとは「Graphics Processing Unit(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)」の略で、グラフィック用の処理装置を意味します。処理装置とは頭がよくいろんな計算を処理してくれる装置です。
似た言葉で「プロセッサ(Processor)」という言葉があります。こちらもほぼ処理装置と同じ意味合いです。
プロセッサにはいくつか種類があり、おそらくもっとも有名なのはCPUでしょう。
CPUは「Central Processing Unit(セントラル・プロセッシング・ユニット)」の略で、PCなどの中心的な役割を果たす処理装置です。
ここまで見ると、GPUとCPUの類似点と相違点に気づくでしょう。グラフィックボードのGPUは「グラフィック用」であり、CPUは「セントラル=中心的」であるのです。こうして見てみると、CPUがPCにおいていろいろな処理を任せられるのに対して、GPUはグラフィックという専用の役割を与えられているのです。
VRAM
グラフィックボードで最重要な箇所はGPUです。しかしこのGPUというプロセッサがうまく処理をするには、「メモリ」というものが必要になります。
このメモリは「VRAM(Video RAM)」と呼ばれ、ビデオ(グラフィック)用のメモリを意味します(RAMはメモリの種類のひとつです)。つまりグラフィックボードはVRAMを必要とし、VRAMが多いほどスムーズに動作するのです。
PCを使い慣れている方なら、「メモリ」という言葉には馴染みが深いことでしょう。実はPCには同様の「メモリ」があります。このメモリはVRAMなどと区別をつけるために「メインメモリ」と呼ばれます。このメインメモリはCPUの補助をするパーツです。
VRAMにせよメインメモリにせよ、役割は基本的に変わりません。それは「プロセッサが使うデータを一時的に保存する」というサポートを行います。
CPUもGPUも「プロセッサ」であるのでメモリを必要とするのです。
メモリはよく「作業台」に譬えられます。私たち人間が作業をするとき、作業台やテーブルが広いほうが便利です。狭いと物を置く場所がなく、あまりに狭いと作業が停滞することになります。
作業台は広いほうが便利であるように、メモリは多いほうが便利になります。つまりメインメモリが多くなるとCPU(セントラル)は作業がしやすくなり、VRAMが多くなるとGPU(グラフィック)は作業しやすくなるのです。
その他の構成要素
グラフィックボードには、他にも基盤・冷却装置・リアパネルで構成されていると前述しました。
基盤はGPUのための「神経」のようなもので、GPUへ送られるデータや電力、またGPUから送られるデータなどを伝達します。
冷却装置は、GPUを冷やすための装置です。GPUは電力を消費して処理を続けていると熱をもちます。そのまま放置していると、処理ができなくなるまで熱くなるので、それを防止するために冷却します。
リアパネルはモニターを接続する端子などがついており、GPUが処理したデータをモニターに送って表示できるようにしてくれます。
どんな種類のグラボがあるの?
グラフィックボードのおおまかな構造を確認しました。それでは次はどんな種類のグラフィックボードがあるのか見ていきましょう。
NVIDIAとAMD
グラフィックボードをつくっている会社には、NVIDIAとAMDがあります。現在この2社が多くのシェアを占めています。
2017年5月22日に日経ビジネスに掲載された「詳報:トヨタが頼った謎のAI半導体メーカー」という記事で、NVIDIAが「謎のAI半導体メーカー」扱いされたことがネット上で話題にもなりました。当時からPCゲームをプレイするにはグラフィックボードが重要であり、NVIDIAの存在はまったく「謎」ではなかったからです。
いずれにせよ現在グラフィックボードの世界では、NVIDIAとAMDが二大巨頭となっています。
NVIDIAはシェアが大きく、BTOでゲーミングPCを販売している会社ではNVIDIA製グラフィックボードしか扱っていないところもあります。
AMDはコストパフォーマンスに優れているとされ、映像の発色もいいという評判から、玄人好みの会社ともいえます。
どちらを選ぶかは、好みで構いません。しかしNVIDIAはシェアが大きく製品の情報を得やすいため、初心者の方はまずはNVIDIAを選んでみてもいいかもしれません。コーラを飲んだことがない人は、ペプシよりまずコカコーラを飲んでみたほうがいいのと同じ理由です。もちろんペプシからでも構わないので、AMDからでも問題ありません。
メーカーには2種類ある?
上の項目では、あえて「メーカー」という名称を使いませんでした。それというのも、グラフィックボードの界隈では「メーカー」には2種類あるからです。GPUを開発しているメーカーと、グラフィックボードを販売しているメーカーです。
NVIDIAやAMDはGPUを開発しているメーカーです。それに対し、実質的に私たち消費者にグラフィックボードを販売しているメーカーは、GPUをもとに冷却装置などと組み合わせてグラフィックボードを作成しているのです。
大まかには「GPUメーカー」と「グラフィックボードメーカー」とでも分けるのが妥当なのですが、この点を明確に区別するのはあまり浸透していません。グラフィックボードのメーカーをベンダー(Vendor)と呼ぶこともありますが、ベンダーも「売り手」くらいの意味ですので、メーカーとあまり違いはありません。
私たち消費者がグラフィックボードを購入するときは、グラフィックボードのメーカーから買うのであり、GPUメーカーから買うわけではありません。
グラフィックボードのメーカーには、「MSI」「GIGABYTE」「ASUS」「玄人志向」「ZOTAC」などがあります。
どのグラフィックボードのメーカーを選んでも問題なく、好みで大丈夫です。
台湾の「MSI」「GIGABYTE」「ASUS」、日本の「玄人志向」、香港の「ZOTAC」と、台湾がかなり強い分野となっています。
スペックの違いで選んでも、国で選ぶのもまったくの自由です。
グラボの性能ってどう知るの?
実際にグラフィックボードを選ぶ算段となったとき、なにを基準にグラフィックボードを選ぶといいのでしょうか?
おおまかに見れば、他の商品と同様に高価格なものほど高性能になる傾向があります。しかしそれだけの曖昧な情報で選ぶのはやや気が引けます。
それではグラフィックボードに関するいくつかの指標を見ていきましょう。
ベンチマークを使おう
グラフィックボードに限らず、PCそのものやPCのパーツの性能を数値で把握するのに、「ベンチマーク」というものが使われます。
ベンチマークとは、実質的にはPCのソフトウェアなどで性能を計測することを指します。そうした計測ソフトウェアをベンチマークソフトと呼ぶこともあります。
語源は、各地で測量を行っているときに基準点を設けていたのを、「ベンチ」と呼んでいたことに起因するようです。
ベンチマークソフトには、ただベンチマークの機能だけを追及したソフトもありますし、ユーティリティソフト(いくつもの機能を有した便利なソフト)のなかにベンチマーク機能が付与されていることもあります。
ベンチマークソフトでは、「CINEBENCH」や「3DMark」などが有名です。
またオンラインの有料PCゲームなどでは、事前にちゃんとゲームが動作するか試験できるように、ベンチマークソフトを用意している場合があります。
「ドラゴンクエストX」や「ファイナルファンタジーXV」のベンチマークソフトなどが有名どころでしょうか。
ベンチマークで得られたスコアは、ある程度の客観的な価値があります。もちろん単なる数値ですので虚偽の記載を行うことができますが、ベンチマークソフトを使えば誰でも計測できるため、ある程度の客観性を有した情報だと見なせるのです。
このようにベンチマークのスコアは有用なのですが、厳密には他のパーツの影響を完全に除外できず、CPUやメモリ、SSDなどの構成の違いによって数値が変わることが容易に想定できるのが難点です。そのため参考程度に留めておくのが賢明でしょう。
かつてWindowsでは「Windowsエクスペリエンスインデックス」という総合的なシステム評価のツールがありましたが、このツールはWindows 8.1以降は簡単に測定できないようになってしまいました。Windows 10などでも「WinSAT.exe」を実行することで使用できますが、やや煩雑な上、計測できるスコアが参考程度にしかならず、「どの製品を換装・購入するか」という判断基準にするには不安が残るものです。
ベンチマークのスコアはグラフィックボードだけでなく、CPUやメモリ、ストレージ(HDDやSSD)の性能を「パッと見てわかる」という一元的な数値に落とし込めるというのは、大きな利点です。不確実性を上回る利便性があるため、日本だけでなく世界的によく使われる指標なのです。
スペックを知ろう
ベンチマークはユーザーが個別にソフトで計測し、スコアを一元的に算出する方法でした。これはある程度は客観的な情報であり、口コミなどのような情報に近いものといえます。そうした情報とは別に、「実際にその製品がどういう性能をもっているか」を表す情報が「スペック」です。
「Specification(スペシフィケーション)」の略「spec」のことで、詳述や仕様書を意味します。PCの性能などを示す「スペック」は和製英語とされます。
クロック周波数
グラフィックボードの要は「GPU」です。グラフィックボードはGPUが効率的に仕事を処理できるように、基盤・冷却装置・リアパネルなどが付属されている、ということでした。そしてこのGPUの性能を端的に表しているのが、「クロック周波数」です。単位はGHzおよびMHzです。
おおまかには、このクロック周波数の数値が高いほど「頭がいい」ということになります。
より具体的に解説すると、プロセッサはクロックという短い信号に合わせて動作しており、このクロックが短ければ短いほど多くの処理ができるようになります。このクロックが1秒間に何回あるかを示したのが「クロック周波数」です。たとえば1GHzというのは、1秒間に10億回のクロックがあることを示します。そのためクロック周波数が大きいほど頭の回転が速いという意味に繋がるのです。
ただしこの数値が少しややこしいのは、必ずしもクロック周波数が大きければ必ずしも早い、とはいいきれない点にあります。同種の製品であれば基本的に「大きい=早い」が成立します。しかしプロセッサには「(マイクロ)アーキテクチャ」と呼ばれる世代があり、これが新しいほど早いとされます。NVIDIA製品では「Turing」「Pascal」「Maxwell」などのアーキテクチャがあります。
VRAM
VRAMについては前述しましたが、ビデオ(グラフィック)用のメモリのことを指します。
このVRAMが多いほど、GPUは処理を楽に行うことができるようになります。
GDDR6などメモリに種類があり、速度が大きいほど性能がいいとされます。
両方を総合的に組み合わせよう
ベンチマークとスペックは、いってしまえばどちらも重要です。
ベンチマークのスコアは、ある製品Aと別の製品Bを比べる際などに有効です。いわば学校のテストの結果で、自分と友達の点数を比べるようなものです。複数の製品を比較するのには有効ですが、「どの数値まであれば理想に近づけるか」という理想の製品を探すのにはあまり役立ちません。世間一般で求められる理想的なテストの点数と、自分のなかでの理想的な点数が異なるのと同様です。
そしてスペックから判断する方法は、理解を深めれば効果的に望む製品を選ぶことができる可能性が上がりますが、慣れていない方からすると覚えることが多く、「別に勉強したくて選んでるわけじゃない」と気持ちが萎える結果に繋がりかねません。
VRAMに関しては、同名のグラフィックボードでもメモリ量が異なる製品があります(たとえばGTX 1060には3GBと 6GBの製品があります)ので、どちらを選ぶか考えるにはVRAMのことを知っておくのは無駄ではありません。
またどのグラフィックボードのメーカーの製品を選ぶか考えるときは、その会社の国や値段で選ぶのもいいのですが、冷却装置や補助電源の有無などで選ぶこともできます。
冷却装置はGPUを冷やすためのものであり、ファンがついたものとファンレス(ファン無し)のものがありますが、やはりファンがついていたほうが高い冷却効果をもつのは当然です。ファンレスのタイプは小型化されているので省スペースの「ロープロファイル」になっているものもあります。
補助電源は高性能なグラフィックボードについていることがありますが、もちろん消費電力は増えてしまいます。
このように自分が注目しているグラフィックボードがどれくらいの性能のものなのかを判断するのには、ベンチマークを利用するのが手っ取り早く、付属の部品など細かな違いを判断するのにはスペックを確認するのが確実です。
両方ともうまく活用できると、より理想のグラフィックボードを選びやすくなるでしょう。
どうしてグラボは必要なの?
前のブロックでは、とにかく「PCでゲームをするにはグラフィックボードが必要」だということを繰り返し述べました。もちろんそれには理由があります。この項目では、その内容を一緒に見ていきましょう。
PCパーツにはそれぞれ明確な役割がある
PCのパーツは、明確に役割が分けられています。グラフィックボードは映像の処理を任せられています。他の処理はあまり行いません。キーボードから音声が流れてきてスピーカーの代わりをしたり、マウスから電源が供給されたりしないのと同じです。キーボードはキーで文字情報を入力する機器で、マウスは動かすことでマウスポインタを動かしクリックで指示をする機器です。
プロセッサは「頭脳」
俗にプロセッサは「脳」だといわれます。CPUもグラフィックボードのGPUもプロセッサの一種であることは前述しました。そのなかでも特にCPUはPCにとっての脳だと譬えられます。
この譬えからすると、GPUも脳であることに代わりはありません。どちらも頭がよく「処理」を効率的に行える脳なのです。
CPUは生徒会長でGPUは副会長
CPUとGPUについて見ていくと、PCという機械は「生徒会」のようなものに感じられてきます。CPUが生徒会長で、GPUが副会長です。
このCPU生徒会長はとても優秀なので、ほとんどの仕事はCPU生徒会長が処理してくれます。GPU副会長の職務はCPU生徒会長のサポートをする補佐ですが、ふだんGPU副会長が職務を与えられることはあまり多くありません。
これはGPU副会長がナマケモノということではなく、それだけCPU生徒会長が優秀なのです。いくつかの学校(=PC)ではGPU副会長という役職がない(=グラフィックボードを搭載していない)こともあります。ふだんGPU副会長は明確な仕事をしていないことがあるため、ある種の学校(=ゲームをしない人のPC)にはGPU副会長は必要なく(=グラフィックボードが必要なく)、そのほうがコストを減らすことができるという考え方もできます。
CPUを補佐するGPU
ではGPU副会長は無能なのでしょうか? もちろん無能ではありません。GPU副会長が必要か不要かは、その学校がどのような目的で運営されているかによります。
CPU生徒会長はやや口下手で、人になにか伝えようとするときにしどろもどろになって、他の作業が手につかなくなることがあります。それに対してGPU副会長は口が達者なので、様々な資料やグラフ、画像や動画をつかって人にいろいろなことを伝えることができます。
生徒会長の役職は、人を魅了するような伝え方・コミュニケーションにあるのではなく、「処理能力」にあります。とにかくちゃんと仕事をしてくれればそれでいいのです。
GPU副会長がいたほうがいい学校とは、素晴らしい表現力(≒ゲームの映像のキレイさ)を求めている人たちのための学校だといえます。
役割分担は大事!
CPUとグラフィックボード(のGPU)は、そもそも設計思想が異なります。そのためしっかりと役割分担をさせ、グラフィックボードを活用させられる環境・目的があれば、まったく無駄になりません。
GPUという副会長の能力をどこまで上げるか、その地域のおしゃべり上手程度でいいのか、TVの芸人や一般小説家のような表現の上手な人材なのか、国民を前に演説を行える首相・大統領レベルの表現力がほしいのか、それを考えておくと、GPU副会長を役立てる環境を構築できるでしょう。
なお「オンボード」や「内蔵グラフィックス」と呼ばれるものもあり、これはグラフィックボードを使用せずにグラフィック機能を強化したものを指します。「Intel HD Graphics」が有名です。
これはCPUなどにGPUの肩代わりもさせるもので、軽いゲームであればこのような製品でも代用できます。しかし所詮は肩代わりなので、「ちょっと口が巧いCPU生徒会長」ぐらいのもので、しっかりとゲームを楽しみたいならグラフィックボードを使用するに越したことはありません。
グラボはゲームでどう役立つの?
グラフィックボードの内部構成やその必要性は確認してきました。では実際のところ、ゲームをプレイするにあたってグラフィックボードはどのように役立ってくれるのでしょうか?
画質を上げる
グラフィックボードを使用することで、まず画質を向上させることができます。高性能なグラフィックボードであれば、たくさんの映像処理を行い、それをモニターに表示することができます。つまり単純に解像度を上げることができます。
解像度とは、「どれくらい細かく表示できるか」という意味になります。スマホのカメラの画素数や、YouTubeの480pや1080pのような値も解像度を示します。
身近なので動画を例に挙げると、表示するモニターより小さな解像度で動画を再生すると「粗」が目立ちます。この粗が多いと、私たちはすぐさま「ひどい映像だ」と認識してしまいます。
ゲームではこの「ひどい映像だ」という判断を極力減らしたいので、なるべく「粗」を減らそうとします。その技術のひとつが「アンチエイリアシング」です。アンチエイリアシングは「ジャギー」と呼ばれるガタガタの粗を減らす技術です。種類は「SSAA」「MSAA」「FXAA」「TXAA」などがあります。AAは「アンチエイリアシング(Anti-aliasing)」の頭文字です。
種類によって用いられている技術も異なりますが、どれもジャギーを減らして映像をキレイに見えるようにする、という根本思考は変わりません。
ふつうに映像を表示するだけでなくキレイに見えるように同時に処理をしているので、当然ながらグラフィックボードには負荷がかかります。グラフィックボードの性能に余裕があればあるほど、アンチエイリアシングを強く実行できるようになるのです。
フレームレートを上げる
またグラフィックボードの性能が高ければ、よりスムーズな映像を表示することができます。
ゲームに限らず動画を含めた映像は、アニメーションと同じで、「人間の目に不自然さを感じさせないほど多くの枚数の画像をかわるがわる表示し続ける」という原理になっています。ゲームは高質なパラパラマンガなのです。
この高質パラパラマンガは、1秒間に何枚の絵を繰り返すかで質が変わります。この「1秒間に何枚の絵を表示するか」を「フレームレート」と呼び、fps(frame per second:〇フレーム毎秒)という単位で表されます。このfpsの数値が高いほど「1秒間に表示される絵の枚数」が増えるため、よりスムーズに見えるようになります。
一般には24fps・30fps・60fps・144fpsなどがあります。
ゲームでは60fpsあれば充分、高性能であれば144fpsあるといい、とされることがあります。1秒間という同じ時間に(画像の質を落とさずに)処理・表示する画像の枚数が増えるので、当然ながらfpsの値が大きいほど負荷は大きくなります。つまり高性能なグラフィックボードであれば高負荷なfps処理も軽々と実行してくれるということなのです。
なお映像を表示する際は、グラフィックボードだけでなくモニターの質も重要になります。フレームレートに関して、fpsはPC内で処理される映像の質を示しますが、モニターにも同様に「リフレッシュレート」という質を示す指標が存在します。
リフレッシュレートはモニターが何度書き換えを行うかという数値を示し、単位はHz(ヘルツ)が用いられます。
一般的なモニターは60Hzあるため、表示できる映像は60fpsが限界です。60Hzのモニターでゲームを144fpsにしても無駄なのです。
そのためふつうに遊ぶのなら、60Hzのモニターを利用して60fpsでゲームをすることになるでしょう。
質を上げたいなら、144Hzのゲーミングモニターなどを利用して144fpsでゲームをするといいでしょう。
ここで質の高くないグラフィックボードを使用していると、モニターのリフレッシュレートにかかわらず60fps以下でゲームをプレイせざるをえなくなります。このとき私たちは「映像が見にくい」と感じるようになります。PvPの対戦ゲームなどであれば、単純に表示される映像の枚数が減るため、反応もしにくくなります。すると判断が鈍ったり、勝ちにくくなったりするという結果に繋がってしまうのです。
60fpsがときたま55fpsに下がるくらいならいいのですが、これが常時10fps以下となってしまうともはやまともにゲームを遊んでいられない状態となります。もちろんこれはゲームの重さ・設定にグラフィックボードの能力が追いついていない状況を示します。
先ほど画質について解説しましたが、フレームレートは画質とまったく別の問題です。そのため高性能なグラフィックボードを使っていれば高画質・高フレームレートが実現できますが、性能が高くないグラフィックボードだと高画質・中フレームレートもしくは中画質・高フレームレートにするなど、どちらかを妥協しなくてはいけません。さらに性能が低いグラフィックボードを使用していると、中画質・低フレームレートもしくは低画質・中フレームレートにするなど、さらに設定を犠牲にしなくてはいけなくなります。
遊べるゲームの数を増やす
さて、では低画質・低フレームレートに設定しても、グラフィックボードの性能が追いつかなかった場合はどうなるでしょう? もちろん10fps以下になってしまうような「遊ぶ以前の状況」となってしまいます。これは「ゲームを起動できてはいるが、遊べない状態」といえます。
これよりさらにグラフィックボードの質が下がると、もはやゲームを起動することすらできなくなります。
この点がグラフィックボードのもうひとつの価値なのです。グラフィックボードの質があまりに低いとゲームを起動できない、ということは「グラフィックボードの質が充分に高ければいろんなゲームを起動できる」ということです。質の高くないグラフィックボードでは低画質・低フレームレートでもダメで起動すらできない、ということは、「高性能なグラフィックボードであれば起動はもちろん高画質・高フレームレートもまったく苦ではない」ということなのです。
あくまで「ゲームを起動できる」というのは「プレイできる」の前段階であり、当然ながら「楽しくプレイする」と同一ではありません。起動して遊ぶのに問題ない程度に操作ができた上で、「どの程度キレイでスムーズにプレイするか」という「どの程度まで余裕を確保するか」という考え方になるのです。
グラボはどう使う?
さて、グラフィックボードの効果については充分に確認してきました。次は実際にグラフィックボードを入手したときに、どのように使用すればPCに接続して利用できるようになるのか、見ていきましょう。
マザボとモニターに接続する
おさらいをしておくと、グラフィックボードは「マザーボード」と「モニター」に接続します。
マザーボードはグラフィックボードにデータや電力を送り、その電力を消費してグラフィックボードはデータを処理、そして処理したデータをモニターへ送って、ゲームなどの映像がモニターに表示されます。
この電力やデータの移動は、実際にPCを自作した経験のある人にとっては「どこにどうパーツを接続するか」を理解しているため、さほど難しくはありません。しかし初心者の方などにとっては、煩雑でわかりにくいことだと思われることでしょう。もう少し別の観点から見ていくことにしましょう。
接続規格が決まっている
PCを使用する場合は、グラフィックボードに限らず「接続規格」に注意しなければなりません。ガラケーとスマホでは充電器を接続する端子の形状が違って使えないことがあるのと同様です。
グラフィックボードに関しては上述のようにマザーボードとモニターに接続するため、グラフィックボードとマザーボード、またグラフィックボードとモニターの接続規格をしっかりと確認しておくことが重要になります。
どのような規格が実際にあるのか見ていきましょう。
グラフィックボードとマザーボード
まずグラフィックボードとマザーボードとの間での接続規格を確認しましょう。グラフィックボードとマザーボードを接続する規格で、現在多く使われているのは「PCIe(PCI Express)」です。このPCIeにはいくつか種類があるため、確認しておくとミスを減らすことができるでしょう。
「PCI Express」はバスインターフェイスと呼ばれる規格の一種で、「PCI(Peripheral Component Interconnect)」という規格の後継です。
「PCI Express x16」のように、後につくx16という数値により物理的な長さが変わります。そのためマザーボードが対応していないとPCI Express x8などの短いものしかなく、むりやり挿そうとしても物理的に合わず挿すことができません。
現在インターネット通販で購入できるマザーボードには、PCI Express x16をサポートしているものがかなり多く存在します。「数年前から使っているPCのマザーボード」や中古といった古い規格ばかりのマザーボードでなければ、あまり気にしなくても大丈夫だという余地はあります。
しかしグラフィックボードとマザーボードが同じ規格でないと接続することはできませんので、確認は怠らないようにしましょう。
→<マザーボードの重要性(このページの下の項目に移動します)>
グラフィックボードとモニター
グラフィックボードとモニターを繋ぐのは、映像端子の規格です。グラフィックボードとモニターを繋ぐ規格には「HDMI」「DVI」「DisplayPort」などいくつか種類があります。
グラフィックボードとモニターは直接繋ぐわけではなく、ケーブルで接続します。たとえば「HDMI対応のグラフィックボード」と「HDMI対応のモニター」を「HDMIケーブル」で繋ぐ、というふうに同じ規格で接続するのが基本です。
やや古い規格の「D-sub」、現在主流の「HDMI」「DVI」「DisplayPort」、新しい分ややこしい「USB Type-C」などが、昨今のグラフィックボードでは複数の規格をサポートしていることがあります。
わかりづらいようであれば「HDMI」だけでも抑えておけば最低限の理解はできるでしょう。
基本的には同じ規格をサポートしたグラフィックボードとモニターを揃えるのが望ましいのですが、両者の仲立ちとなるケーブルには変換ケーブルも販売されており、HDMIなど主流の規格であれば変換ケーブルも比較的みつけやすいかと思われます。
どうしてマザボとモニターに接続するの?
グラフィックボードはマザーボードとモニターに接続することは確認しました。ではなぜマザーボードとモニターに接続するのでしょうか? マザーボードとモニターの重要性について考えながら見ていきましょう。
パーツには電力とデータの受信元・送信先が必要
PCのパーツはいずれも電力を必要とします。私たち人間がなにかを食べてエネルギーを得ないと活動できないと同じです。
またPC内での各パーツの主な役割は、データを受け取って処理したり蓄えたりすることです。そのデータを別のパーツへ送ることでひとつの作業が完了されます。私たち人間も、仕事を受けては片づけて別の部署・提携企業などに受け渡します。
これがPCパーツの基本的な挙動です。
そのためグラフィックボードも「電力」とデータの「受信元」・「送信先」を必要とします。そしてグラフィックボードの役割は、ゲームのデータなどを受け取って映像処理を施し、それを表示できるように送信することでした。つまり電力を供給してくれるものと、ゲームのデータを送ってくれるもの、そしてゲームのデータを送る先が必要なのです。
そしてグラフィックボードに電力とデータを供給してくれるのが「マザーボード」で、処理したデータを受け取って映像を映してくれるのが「モニター」なのです。
マザボの重要性
マザーボードは人体でいうところの「神経」や「血管」に近いパーツです。CPU・グラフィックボード・メモリ・ストレージ(HDD・SSD)・電源ユニットなど多くのパーツが直接マザーボードに繋がれます。そのためマザーボードには、各パーツにデータを行き来させる神経の役割と、電源ユニットから受け取った電力を各パーツに送る血管の役割をもっているのです。
そのような重要なパーツであるため、マザーボードにしっかりと各パーツが接続されていないと、データも電力もまっとうに送ることができなくなります。そうなるとPCの挙動がおかしくなったり、最悪PCが起動しなくなったりするのです。
グラフィックボードには様々なパーツを接続することになりますが、各パーツには「接続規格」と呼ばれる取り決めがあり、この接続規格が合致しないと適切に接続できません。CPUはCPUの接続規格が、メモリにはメモリの接続規格が、ストレージにはストレージの接続規格があり、そしてグラフィックボードにはグラフィックボードの接続規格が個別に決められています。
このようにそれぞれに違う接続規格が決められているため、各パーツを接続するマザーボードを選ぶ際はそれぞれの規格をしっかりと確認しておくことが推奨されます。
当然ながら規格が間違っているものがあると、マザーボードに接続できず利用することができません。利用できないのがサブストレージやグラフィックボードであればまだいいのですが、CPUや電源ユニットが利用できていない場合はPCが起動しません。
おそらく一般的には、マザーボードは交換せずに他のパーツを追加・換装(交換)することが多いでしょう。この場合は、新しく追加もしくは交換するパーツの接続規格を確認するだけで構いません。この場合はそもそも「正常に使用できていたPC」のパーツを追加・交換するだけなので、他のパーツの接続は問題ないのがわかりきっているからです。
これと異なり、最初からまったく新しく全てのパーツを揃えて組み立てる場合は、マザーボードと各パーツの接続規格を逐一合致させなくてはいけません。プラモデルでいえば、あらかじめパーツが用意されているのではなく「自分の好みでパーツを選べる」のですが、その代わりちゃんと接続できるよう自分で確認しておかないといけないのです。この点は自作に慣れている人でも、いくらか神経を使う場面です。確認を怠れば、「買ったものの使えないパーツ」ができてしまうからです。
しかしこれは「自作PC全般でのマザーボードの煩雑さ」についての話です。グラフィックボードに関しては、内蔵型はほとんどがPCIeをサポートしています。そのなかでも多くのグラフィックボード製品はPCIe x16をサポートしているため、基本的にはPCIe x16スロットがついているマザーボードであれば問題は少ないでしょう。しかしなかにはPCIe x8のグラフィックボードなどもあるので、確認はしておいたほうが安心です。
なおマザーボードと接続するとき、できるならグラフィックボードの大きさ・重さについても調べておいてください。大きすぎたり重すぎたりすると、PCケース内に入らない・重さでたわむという失敗に繋がる可能性があるからです。
モニターの必要性
モニターは、PCから出力された映像を表示する製品です。あまりに当たり前なので重視されないことがある製品なのですが、モニターを「唯一PCが使用者に向けて映像を見せられるパーツ」と解釈するとその重要性がわかります。
モニターのように「出力」に関するパーツは、実はあまり多くありません。よく知られている出力機器は、他にはプリンターとスピーカーくらいしかありません。
入力機器と出力機器を合わせて「I/Oデバイス」と呼びます。I/Oとは「Input/Output」の略で入出力を意味します。入力機器は、マウス・キーボード・マイクなど様々あります。そんななかで、出力装置はあまり多くなく、また映像を出力できるのはモニターくらいなのです。
入出力は人間にも当てはめることができます。
入力は「色々な情報を摂取する」ことで、「聞く」「読む」「見る」のような手段を指します。
出力というのは、「話す」「書く」「身振り手振りでジェスチャーする」のように「伝える」手段を指します。つまりPCにおいて出力機器とは、PCが使用者に情報を「伝えてくれる」という機器のことを示すのです。
モニターがなければ、どれほどPCは無価値になるでしょう。たとえ有能なCPUやグラフィックボードを搭載して最高に楽しいゲームを起動できても、モニターがなければなにも表示されません。なにも見ることができません。
単にモニターの有無だけではなく、「質のいいモニターを使用する」ということの意義も理解できることでしょう。
補助電源
基本的にグラフィックボードが接続しなくてはならないのは、この「マザーボード」と「モニター」の2種類です。グラフィックボードを接続することだけを考えるならば、グラフィックボードの役割とPCの構造を考えると、どのように接続するか理解するのはそこまで難しくありません。
なお高性能なグラフィックボードは、マザーボードから供給される電力だけでは足りないことがあり、その場合「補助電源」を接続することになります。電源ユニットはいくつか接続できるケーブルをもっているため、そのうちのひとつをグラフィックボードに使用する形になります。
このとき電源ユニットの供給電力量が少ないと、総合的に電力が足りなくなりPCが不安定になる可能性があります。このときにもやはり「余裕」が大事で、電源ユニットの供給電力量に余裕をもたせておくと、高性能なグラフィックボードを使用するときにも都合がいいのです。
ノートPCのグラボはどう交換するの?
ノートPCに関する疑問は多く寄せられますが、これは実のところ意外と難しい問題なのです。
ノートPCは携帯するのに適しており、デスクトップほど仰々しさがないために仕事や大学生が使用するのに丁度いいPCです。しかしその携帯性のために性能や拡張性を犠牲にしているのが、ノートPCです。
拡張性が低いためノートPCでのグラフィックボードの交換は、場合によってはほぼ完全に分解するような作業になりかねません。しかも携帯性を上げるために小型化・密集化させているために、分解・組み立てに技術と慣れが必要になってきます。そのため初心者の方にはまったく勧められない作業になってしまっているのです。
またノートPCのグラフィックボードはデスクトップPCのものに比べて格段に入手しにくいものです。おそらくネットオークションを駆使すれば中古品などを購入できるとは思われますが、やはりリスクは伴います。
失敗を含めて「自己責任」としてすべてのリスクを負うことができるのであれば、中古品を購入してノートPCを分解し、まったくミスをおかさずに交換・組み立てし直す、という難度の高い作業に挑戦することもできます。
しかし基本的に「グラフィックボードを買いたい人」は「ゲームをしたい人」であることが多いのであって、「自作PCをしたい人」ではないことが往々にしてあります。その場合、第一目標は「ゲームを遊べるようにする」ことであって「失敗を経験してでも自作PCの経験を積む」ことではないことが多いのです。
そのためにはノートPCにおけるグラフィックボードの交換は、基本的に推奨されません。
グラボってどんな形?
それでは実際のグラフィックボードを使用する段階において、とくに「自力で交換する」などの自作PCを試す方のために、具体的な形状を確認していきましょう。
長方形で厚さはまちまち
基本的にグラフィックボードは長方形をしています。これはある程度の性能があるグラフィックボードの場合であり、安価な製品では基盤が剥き出しになった状態です。実質的には高価であろうが安価であろうが、基盤は使用されていますし、PCケースの内部に隠れてしまうのであまり見た目にこだわる必要はありません。
グラフィックボードの横幅は基本的にPCケース内に入る幅になっているので気にする必要性は高くありませんが、厚さはPCケース・他のパーツの組み立て方によって入るか入らないかが決まるので、ケースバイケースといわざるをえません。あまり内部スペースに空きがない人のために「ロープロファイル」という省スペースのモデルが販売されています。しかし高性能なグラフィックボードはロープロファイルに対応していない製品がほとんどなので、留意しておいてください。
高性能なほど大きく重くなりがち
また高性能なグラフィックボードは、サイズが大きくなりがちです。高性能なGPUほど発熱量が多いので、それを冷やすために冷却ファンをつけるなどするからです。サイズが大きくなると、当然重くもなります。そのため「PCケースの空いているスペースに合わなくて挿さらない」「重さを考慮してなくて使ってるうちに自重でたわんで壊れた」というような失敗が起きかねません。
高性能なグラフィックボードを使用したい場合は、サイズを計測して入る余地があるか調べておくのはもちろんのこと、重さも考慮して「ビデオカードホルダー」などの支えも購入しておくなどすると、万全を期すことができます。
グラボだけでゲームは改善されるの?
グラフィックボードを選ぼうとしている人にとって、「グラフィックボードがなにか?」だけではなく、「グラフィックボードを使うことでどのようにゲームのパフォーマンスは改善されるか?」というのも重大な問題です。
ではグラフィックボードだけでゲームのパフォーマンスは改善されるのでしょうか?
NO! 重要なのはグラボだけじゃない
答えは明確に「NO!」です。グラフィックボードだけではゲームのパフォーマンスがあまり改善されないことがあります。ここまでグラフィックボードについて見てきたことを踏まえれば、その事実はおのずとわかります。
CPU
『プロセッサは「頭脳」』という項目で、CPUは生徒会長でグラフィックボード(GPU)は副会長だと説明しました。
その点を踏まえると、PC(という学校)自体を稼働させているのは副会長のグラフィックボードではなく、生徒会長のCPUです。グラフィックボードはそもそも映像のみを担当するので、役割の異なるCPUの肩代わりになることができません。
そのためPCを順当に稼働させるにはCPUが必要で、その上でゲームを動作させるにはグラフィックボードの手助けが必要なのです。CPUが貧弱でPCがまともに稼働していない状態では、ゲームを動作させる段階にないのは当然です。
またゲームを動作させているときは、CPUは休んでいるわけではありません。グラフィックボードと一緒に処理をしています。そのためCPUは「まともにPCを稼働させる」+「ゲームを動作させる」という処理を行っています。そのためCPUとグラフィックボードの充分な能力がないと、ゲームをまともに動作させることはできないのです。
メインメモリ
次に大事なパーツは、メインメモリです。
「VRAM」の項目で、CPU用のメモリである「メインメモリ」とグラフィック用のメモリである「VRAM」について解説しました。そして上記のようにゲームを動作させるには、グラフィックボードだけでなくCPUも大事であるため、メモリも「メインメモリ」と「VRAM」の両方が大事なのです。
メインメモリはCPUが処理をするのを手助けするパーツです。そのためメインメモリの量が充分でないとPC自体の処理が遅くなり、逆に多めにメインメモリが搭載されているとゲームをプレイするのもスムーズになります。VRAMがグラフィックボードの余裕を示すものであれば、メインメモリはCPUの余裕を示すものだと考えてもいいでしょう。
GPUとVRAMはグラフィックボードとして同製品内に組み込まれていますが、CPUとメインメモリは個別にわかれています。そのためグラフィックボードを買えばGPUとVRAMは一緒になってついてくるのですが、CPUとメインメモリは別々に用意することになります。
これは違う視点から考えると、CPUとメインメモリは自由に交換したり構成を変えたりできるのですが、グラフィックボードではGPUとVRAMを別々に交換することなどはできません。
ゲーム用途の場合、メインメモリは8~32GBを使用するのが一般的です。ライトユーザーであれば8GBで構わないでしょうし、一般的なゲーマーであれば16GBで充分です。32GBは予算に余裕があるときで構いません。他のプレイヤーに圧倒的な差をつけたいときは、64GB搭載するのもひとつの手段です。
メインメモリは他のパーツに比べて交換・増設するのが比較的簡単です。PCケースを開けて設置されているメモリを外し、新しく買ったメモリを外したスロットに挿せばいいだけです。メインメモリを少なくしておくメリットはほとんどないので、ゲームをするならできるだけなら8~16GBにするようにしておきましょう。
もちろんメインメモリにも接続規格がありますし、同量のメモリを2枚使う(8GB+8GB=16GB)などちょっとした挿し方があるので少し気をつけておくとミスを避けることができるでしょう。
しかし「メインメモリは多いほうがいい」「メインメモリは増設が簡単」だからといって、メインメモリばかりを増やしても効果は高くなりません。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」です。東京ドームのなかで独り暮らしをしても広さを活用できないように、余裕が大きすぎたところで無駄になるだけなのです。そのため過剰にならないように配慮しておきましょう。
互換性
そして次に重要なのは、パーツではなく「互換性」という性質についてです。互換性は読んで字のごとく、「互いに換わりになれる性質」という意味です。
Nintendo Switchは新しく性能のいいハードですが、初代プレステ用のゲームソフトとの互換性がない(換わりにならない)ので、Switchではプレステ用ソフトは遊べません。
日本と海外ではコンセントの形状や電圧が異なるため、変換プラグなどがないと正常に使えないことがあります。
これらは「互換性がない」ことから発生する問題です。逆に考えると、国内のコンセントはどれも規格が同じで互換性があるために、問題が発生しないのです。
これと同様に、ゲームなどのソフトウェアは互換性が大事になってきます。古いゲームだと新しいOSに対応していないことがあるのです。
たとえば海外製RPGのThe Elder Scrollsシリーズでは、2000年以前に発売された1作め「Arena」と2作め「Daggerfall」は公式サイトから無料でダウンロードできます。しかしこのゲームは古いためWindows 10などではそのまま動作させることができません。
Windows 10などのOSで稼働させるには、「古いPCの環境を再現するエミュレータ」を使うことになります。エミュレータという単語を知っている方のなかには、「それって違法じゃないの?」と思われるかもしれません。据え置き型ゲームハードのエミュレータを使用して、違法ダウンロードしたゲームソフトをプレイすることが問題となったからです。
基本的にエミュレータを使用すること自体は違法ではありません。「違法ダウンロードしたゲームソフト」を利用することが違法なのです。自分で購入したゲームのデータをPC上に移行させてエミュレータで使用するのは、問題ありません。もちろんこの移行させたゲームデータを友人にコピーして渡したりアップロードしたりしても、罪に問われる可能性があります。
話を戻すと、DOSBoxを利用しての「Arena」「Daggerfall」の起動は、開発企業が推奨している行為です。公式サイトからダウンロードしたファイルのなかに、PDFファイルでの説明書があり、そのなかでDOSBoxを使用するように書いてあるのです。
このように互換性がないゲームソフトは、手間をかけないと起動することすらできません。実際には古いゲームであるため充分スムーズに動作させうる性能のPCを使っていても、です。そのためゲームが古い場合などには、互換性が重視されるのです。
グラボってどう買うの?
これまでグラフィックボードについていろいろと確認してきました。実際にグラフィックボードを買う算段となったとき、どこで買えばいいのでしょうか?
家電量販店
一般的なPCの買い方として広く認知されているのは、家電量販店で購入する方法でしょう。この家電量販店で買う利点は、相談しながら買うなどできる点だといえます。
しかし基本的に家電量販店でグラフィックボード自体もしくはゲーミングPCを買うのはオススメできません。
その理由は、効果的に「ゲーム用途」に特化させられた製品があまりないからです。そして家電量販店に行く利点である「相談」も、一から十まですべて教えてくれるわけではないということです。
店舗によっては、ゲーミングPCの特設コーナーなどを設置していることがあるかもしれません。しかし現行のグラフィックボードだけでも20種類以上の製品があります。そしてこれまで確認してきたように、ゲーム用途でもグラフィックボードだけでなくCPU・メモリも大切です。つまり単純なパーツの組み合わせの数は、「CPUの種類×グラフィックボードの種類×メモリの選択肢」だけあるのです。
基本的に実店舗である家電量販店では、PCのパーツを個別に選択することはできません。既製品を選んで購入するのが実店舗での購入のしかたです。そのため選択の幅があまり広くないのです。
そして店員の方々に「相談」する場合も、一から十まで説明してくれないのは当然ながら、1時間や2時間も相談につきあってはくれません。あくまで彼らは販売員なのであって、講師ではないからです。
もし実店舗である家電量販店で購入する利点が他にあるとしたら、「現物をすぐに入手できる」という点でしょう。インターネットで購入する場合は、どうしても手続き上の理由で注文から到着まで時間がかかります。
しかしゲーム用途のPCがほしい方は商品を「入手のスピード重視」ではなく「ほしい性能のPCを入手できる確実性」を重視するでしょう。そのためあまり家電量販店でゲーム用途のPCを買うのは推奨されないのです。
オンラインショップ
オンラインショップでは、既製品のPCを購入することもパーツを個別に購入することもできます。実店舗でもいくつかパーツを販売していますが、扱っている種類はオンラインショップのほうが豊富でしょう。また商品のページ上でスペックの詳細が確認できますし、気になったことをインターネットで落ち着いてじっくり調べることもできます。実店舗では調べている間、店員さんはそうそう待ってくれません。
実店舗に通い続けるのはその店舗が近くないと難しいものですが、インターネットで購入する場合はオンラインショップに限らず自分のペースで選ぶことができ、日常的に調べることができます。納得するまで悩むことができます。もちろん逆に考えると「悩みすぎてしまう」というデメリットがあるかもしれませんが、急かされるものではないので気にしなくてもいいでしょう。
オンラインショップにはAmazon、ヨドバシカメラ、ビックカメラ、エディオン、ソフマップ、ケーズデンキなど様々あります。これらのショップで買うときにはさらに「既製品を購入する」「パーツを個別に購入する」という2通りの買い方があります。
個別にパーツを買って自作をする
筆者は自作の経験がありますので、よりメリットが大きいのは後者の「パーツを個別に購入する」という方法だと感じますが、前者の「既製品を購入する」という方法も手軽であるのは間違いありません。
基本的に「グラフィックボードを買う」というときは、個別にパーツを買う方法になると考えられます。しかしこれは「PCを入手する技術」ともいえる能力が大事となり、やはり自作として個別にパーツを購入して組み立てる実力があるか、経験があるか、気概があるか、という点が判断基準となります。ここで「うーん……」と悩むようであれば、基本的には自作はしないほうがいいでしょう。
既製品を買う
既製品をオンラインショップで購入する場合は、基本的には家電量販店で買うのとあまり変わらず、「既製品のスペックを調べて、納得する製品があれば購入する」という形になるでしょう。
ふつう家電量販店では、製品の前にスペックを印刷した紙が貼られるなどしており、それを見て判断することになります。オンラインショップの場合は、製品の個別ページにスペックが掲載されているので、それを見て購入するか判断することになります。
BTO
BTOは「Build To Order(ビルド・トゥ・オーダー)」の頭文字で、インターネットでPCを購入する方法のひとつです。具体的には、BTO販売サイトで「①様々ある製品のなかから、自分の好みに合ったパーツ構成のPCを選ぶ」「②オプションで細かくパーツの構成を変更する」「③注文する」という段階で購入できるシステムです。
BTOの利点は、既製品を購入するメリットと自作するときのメリットをあわせもっているところにあります。ショップで買う場合はサポートを受けることができ、自作する場合は好みのパーツ構成でPCを組み立てることができます。BTOではこのメリットを受けられます。
また家電量販店などではパーツ構成を細かく決定できず、自作するときは失敗するおそれがありますが、BTOではこのデメリットを解消しています。
BTOのデメリットはあまり大きくなく、せいぜい「自作するより値が張る可能性がある」「自作するよりややパーツの選択肢が少ない」というくらいのものです。しかし初心者の方であれば、このデメリットは無視してしまっても構わないくらいです。
PCの自作を初めてしまえば、自分の好みで完全にパーツを選んで組み立てることができるようになるため、わずかな価格差や自由度の低さが大きく感じられるようになるものです。
そのためBTOは「初心者向け」ということができます。もし自作に興味があるのならば、長い目で見てまずはBTOで購入する、と考えることもできます。
実際、筆者は随分前にBTOでPCを購入したことがあります。当時はまだほとんどゲーミングPCという考え方がない時期でした。BTOは自分でパーツを選ぶ最初の入り口としてはとても都合がよく、手軽に選んで注文することができます。
ジャンク品
ジャンク品とは、割安で販売されている「故障していて正常に動作しない可能性が高い製品」を指します。安さが注目され、中古市場として一定の賑わいを見せている界隈です。
もちろん初心者の方にはまったくオススメできません。その理由は、「正常に動作しない可能性が高い」からです。ジャンク品は、壊れていても修理できる人にとっては掘り出し物の宝の山かもしれません。しかし修理の技術がない人にとっては、値段のついたゴミでしかありません。
ネットオークション
インターネットオークションも中古の商品を割安で入手できる手段として、広く認知されています。場合によっては状態のいい中古商品を手に入れられることがあり、未使用品が販売されることもあるなど魅力のある入手手段といえるでしょう。
しかしこれも初心者の方には、ジャンク品のときと同様まったくオススメできません。
ネットオークションは個人と個人の取引であるために、トラブルが発生する危険性を常にはらんでいます。日頃からネットオークションを利用し慣れている人はトラブルの対処法を知っているものですが、そうでない人はトラブルに対処しているだけで消耗しかねません。
安く買えるというのは、ふつうなんらかの「デメリット」があるから安いことがあるのです。そのデメリットを技術的に制御できないのならば、一般的には使用しないほうがいいでしょう。
実際のグラフィックボードの種類
シェアの大きいNVIDIA製のグラフィックボードを中心に見ていきましょう。
参考のために、海外ですがベンチマークのスコアが掲載されているサイトを掲載しておきます。名称から各種製品を比較するなどしてスコアを確認してみると、違いがわかります。
<PassMark>
<UserBenchmark>
<Benchmarks.ul>
なおNVIDIA製グラフィックボードの名称に「Ti」がついているものとついていないものがあります。これはチタンを表す「Titanium(タイタニウムもしくはティタニウム)」の略だといわれています。この「Ti」がつくNVIDIA製グラフィックボードは、ついていない同類の製品より高速だといわれています。またTiがついていない製品より高性能だともいわれています。
公式ページより各スペックを引用していますが、各種数値は引用元により異なることがあります。特にクロック周波数はブーストクロック・ブースト周波数・基底周波数など異なる数値もあるので、気になる方はご参照ください。また価格帯は2019年3月現在のおおよその目安です。
RTX 20シリーズ
「GeForce RTX 20 シリーズ」は現行のグラフィックボード製品のなかで最高峰といえるシリーズです。製品の名称に「RTX」とついているのが特徴で、見分けもつきやすくなっています。
このRTX 20シリーズは2018年秋に発表され、順次発売されている製品群です。RTX 20シリーズ以外では利用できないリアルタイムトレーシング技術などが使えるため、できるならば前世代の製品よりもRTX 20シリーズを選びたいものです。
またスペックで共通しているのは、現在まで発表されているRTX 20シリーズ(RTX 2080 Ti ~ RTX 2060)はいずれもメモリ速度が14Gbpsです。これは前世代のGTX 10シリーズの最高峰である「GTX 1080 Ti」と比べても頭をひとつ抜いている数値です。
RTX 2080 Ti
「RTX 2080 Ti」はRTX 20シリーズのなかでも最高性能を誇るグラフィックボードです。
「RTX 2080 Ti」のクロック周波数は1545 MHz、VRAMは11GB GDDR6、メモリ速度は14Gbpsです。
どの数値も最高位を示しています。ベンチマークのスコアでも最上位に食い込むまさに「最高性能」のグラフィックボードです。
価格はおよそ15~20万円程度です。
<公式ページ:GeForce RTX 2080 Ti グラフィックス カード – GeForce>
<RTX 2080 Ti – PassMark>
<RTX 2080 Ti – UserBenchmark>
<RTX 2080 Ti – Benchmarks.ul>
この価格帯の製品を使用するなら、CPUやメモリも最高性能にするとバランスは安定するでしょう。すなわちCPUには「i9-9900K」、メモリには32GB・64GB・128GBを選択するなどです。
ゲームの動画や配信をメインで行うYouTuberやTwitch配信者の方などで、予算が潤沢にある場合はこのグラフィックボードもいいでしょう。グラフィックボード・メモリは動画の編集にも効果的なのがポイントです。
RTX 2080
「RTX 2080」のクロック周波数は1710MHz、VRAMは8 GB GDDR6、メモリ速度は14Gbpsです。
こちらも最高品質の性能を有するグラフィックボードのひとつです。VRAMが8GBになっている点には注意しましょう。
価格はおよそ9~12万円程度です。RTX 2080 Tiからの価格の下がり幅が大きいので、予算をいくらかCPUやゲーム購入費に割きたいときなどにはいいかもしれません。
<公式ページ:GeForce RTX 2080 グラフィックス カード – GeForce>
<RTX 2080 – PassMark>
<RTX 2080 – UserBenchmark>
<RTX 2080 – Benchmarks.ul>
CPUやメモリのバランスをとるには、RTX 2080 Tiとは変えなくていいかもしれません。ただし最高性能を狙わずとも、CPUは「i9-7900X」、メモリには64GBを選択するといった具合に「天井から1cm離す」くらいの選び方でも問題ないでしょう。
RTX 2070
「RTX 2070」のクロック周波数は1620MHz、VRAMは8GB GDDR6、メモリ速度は14Gbpsです。上位のRTX 2080と比べるとクロック周波数は下がっています。しかしこのRTX 2070のVRAMが8GBであるのに対し、下位のRTX 2060では6GBに下がっている点に留意しておきましょう。
価格はおよそ6~9万円程度です。
<公式ページ:GeForce RTX 2070 グラフィックス カード – GeForce>
<RTX 2070 – PassMark>
<RTX 2070 – UserBenchmark>
<RTX 2070 – Benchmarks.ul>
RTX 2070は、RTX 20シリーズのなかでは中程度のミドルクラスの品質だといえます。そのため「最高性能でなくてもいい」という方には、このRTX 2070をオススメできるでしょう。
CPUやメモリをRTX 2070に合わせる場合、CPUはI7の新しい世代のi7-9700Kなど、メモリは16GBでいいでしょう。
手の出しやすさを考えると、10万円を超えるかどうかがやはり重要な基準だといえますので、基本的に10万円以下で購入できるであろうRTX 2070は選択しやすい製品でしょう。性能は高いほうがいいけど予算が潤沢というほどでもない、という場合はRTX 2070をオススメできるでしょう。
RTX 2060
「RTX 2060」のクロック周波数は1680MHz、VRAMは6GB GDDR6、メモリ速度は14Gbpsです。前述の通り、現在までのところRTX 20シリーズはすべてメモリ速度が14Gbpsです。前世代のGTX 10シリーズ最高峰の「GTX 1080 Ti」よりもメモリ速度が高いのは注目に値します。
価格はおよそ4~6万円程度です。
<公式ページ:GeForce RTX 2060 グラフィックス カード – NVIDIA>
<RTX 2060 – PassMark>
<RTX 2060 – UserBenchmark>
<RTX 2060 – Benchmarks.ul>
現在までのところRTX 20シリーズでもっとも安価なのは、このRTX 2060です。「性能はともかくとりあえずRTX 20シリーズにしておきたい」という方にはオススメでしょう。
CPUにはi5最新世代のi5-9600Kや、i7なら最新世代でなくともi7-7700Kなどで構わないでしょう。メモリは8GBでは少ない可能性があるので、16GBにしておくと安心できるでしょう。
GTX 16シリーズ
GTX 16シリーズは、RTX 20シリーズ販売開始の後に発表されたシリーズです。現在ではGTX 1660 TiとGTX 1660しか存在しません。
GTX 1660 Ti
「GTX 1660 Ti」のクロック周波数は1770MHz、VRAMは6GB GDDR6、メモリ速度は12Gbpsです。
価格はおよそ3~5万円程度です。
「GTX 1660」のクロック周波数は1785MHz、VRAMは6GB GDDR5、メモリ速度は8Gbpsです。
価格はおよそ3~4万円程度ですが、発売されたばかりですので少し注意しておきましょう。
<公式ページ:GeForce GTX 1660 Ti グラフィックス カード – NVIDIA>
<GTX 1660 Ti – PassMark>
<GTX 1660 Ti – UserBenchmark>
<GTX 1660 Ti – Benchmarks.ul>
GTX 1660 Ti ならびにGTX 1660を選ぼうとしているときに気をつけたいのは、このシリーズはRTX 20シリーズに該当しないため、リアルタイムトレーシングなどが対応していない点に留意しておきましょう。
コストパフォーマンスに優れた製品として視野に入れやすい選択肢となる可能性はありますが、販売が開始されたばかりなので「新しいもの好き」でなければ、少し様子を見てもいいかもしれません。
GTX 10シリーズ
GTX 10シリーズはRTX 20シリーズの前世代的な製品のシリーズです。現在でも充分に有能な製品が揃っており、BTOなどでも使用されることは少なくありません。しかしGTX 16シリーズのように新製品が登場して置き換わり始めているので、いずれGTX 10シリーズの流通はより減少するかもしれません。
新しい製品ではなく知れ渡った製品を選択するメリットは、やはり「安心」にあるでしょう。新製品より多くの使用例があるため、情報の得やすさに違いがあるのです。そのためなるべく失敗を減らしたい方には、新製品よりも安定した製品を選ぶほうが利点はあるかもしれません。
GTX 1080 Ti
「GTX 1080 Ti」のクロック周波数は1582MHz、VRAMは11GB GDDR5X、メモリ速度は11Gbpsです。
価格はおよそ16~18万円程度です。すでに上位のRTX 2080 Tiが出回っているためか、現在ではあまりこの「GTX 1080 Ti」は市場に出回っていないようです。
<公式ページ:GTX 1080 Ti グラフィックス カード – GeForce>
<GTX 1080 Ti – PassMark>
<GTX 1080 Ti – UserBenchmark>
<GTX 1080 Ti – Benchmarks.ul>
(流通数の減少からか、価格が上がる可能性があります)
GTX 1080
「GTX 1080」のクロック周波数は1733MHz、VRAMは8GB GDDR5X、メモリ速度は10Gbpsです。
価格はおよそ8~11万円程度です。GTX 1080 Tiと同様、上位のRTX 2080が出回っているためか、この「GTX 1080」の流通数は減っているようです。
<公式ページ:GTX 1080 グラフィックスカード | GeForce>
<GTX 1080 – PassMark>
<GTX 1080 – UserBenchmark>
<GTX 1080 – Benchmarks.ul>
(流通数の減少からか、価格が上がる可能性があります)
GTX 1070 (Ti)
「GTX 1070 Ti」のクロック周波数は1683MHz、VRAMは8GB GDDR5、メモリ速度は8Gbpsです。
GTX 1070と変化はありません。
価格はおよそ5~8万円程度です。
<公式ページ:GeForce GTX 1070 Ti ゲーミング グラフィックス カード – NVIDIA GeForce>
<GTX 1070 Ti – PassMark>
<GTX 1070 Ti – UserBenchmark>
<GTX 1070 Ti – Benchmarks.ul>
「GTX 1070」のクロック周波数は1683MHz、VRAMは8GB GDDR5、メモリ速度は8Gbpsです。
GTX 1070 Tiと変化はありません。
価格はおよそ4~7万円程度です。GTX 1080などと同様、上位のRTX 2070が出回っているためか、GTX 1070 TiもGTX 1070も特にBTOゲーミングPCでの流通数が下がってきているようです。
<GTX 1070 – PassMark>
<GTX 1070 – UserBenchmark>
<GTX 1070 – Benchmarks.ul>
GTX 10シリーズ内では中程度のミドルクラスの製品です。グラフィックボード全体を見通すとやや器用貧乏なところがあり、上位の「RTX 2070」と安さで有利な「GTX 1060」などに目移りしがちかもしれません。
RTX 20シリーズに興味がなくGTX 1070 Tiおよび1070に興味がある方は、流通が少なくなってしまう前に決断してしまったほうがいいかもしれません。
CPU・メインメモリをGTX 1070 Tiおよび1070 に合わせる場合、どちらもミドルクラスに寄せることになるでしょう。CPUはできればi7が望ましいですが、i5でも構いません。i5を選ぶ場合は、i5-8600など世代の新しい製品のほうがいいでしょう。
メインメモリは16GBが望ましいですが、予算に限りがある場合はやや苦しいですが8GBでも構わないかもしれません。なるべくなら後々予算が増えてからでいいので、メモリ増設を試みるとより使いやすくなるでしょう。
GTX 1060
「GTX 1060 6GB」のクロック周波数は1708MHz、VRAMは6GB GDDR5、メモリ速度は8Gbpsです。
価格はおよそ2~5万円程度です。
「GTX 1060 3GB」のクロック周波数は1708MHz、VRAMは3GB GDDR5、メモリ速度は8Gbpsです。
価格はおよそ2~4万円程度です。
<公式ページ:GeForce GTX 1060 グラフィックスカード | GeForce>
<GTX 1060 – PassMark>
<GTX 1060 3GB – PassMark>
<GTX 1060 6GB – UserBenchmark>
<GTX 1060 3GB – UserBenchmark>
<GTX 1060 6GB – Benchmarks.ul>
<GTX 1060 3GB – Benchmarks.ul>
製品の名称にVRAM量が書いてありますが、選択する場合はここを間違えないように注意しましょう。もちろんメモリ量は多いほど余裕が大きくなり有利になるため、6GBのほうがスムーズになるでしょう。
下位製品に安価なGTX 1050がありますが、かなりライトユーザー向けの製品であるため、「いくつかのゲームを諦められる」という方でない場合は、このGTX 1060のほうがいいかもしれません。
CPU・メインメモリをGTX 1060に合わせる場合、どちらもはミドルクラス~ローエンドを選ぶとバランスがよくなるでしょう。具体的には、CPUはi5-8400などの新しめの世代のi5、メモリは余裕があるときは16GBにし、それ以外のときは8GBでもいいでしょう。
GTX 1050 (Ti)
「GTX 1050 Ti」のクロック周波数は1392MHz、VRAMは4GB GDDR5、メモリ速度は7Gbpsです。
価格はおよそ1.5~3万円程度です。
「GTX 1050 3GB」のクロック周波数は1518MHz、VRAMは3GB GDDR5、メモリ速度は7Gbpsです。
価格はおよそ1~3万円程度です。
「GTX 1050 2GB」のクロック周波数は1455MHz、VRAMは2GB GDDR5、メモリ速度は7Gbpsです。
価格はおよそ1~2.5万円程度です。
<公式ページ:新しい GeForce GTX 1050 グラフィックス カード>
<GTX 1050 Ti – PassMark>
<GTX 1050 Ti – UserBenchmark>
<GTX 1050 Ti – Benchmarks.ul>
<GTX 1050 – PassMark>
<GTX 1050 – UserBenchmark>
<GTX 1050 – Benchmarks.ul>
今回このエントリで掲載するグラフィックボードでは、安さ重視のローエンドといえる製品です。ライトユーザー向け、もしくはグラフィックボードをあまり利用したことがない方向けの「お試し」としては利用価値が一定あると考えられる製品です。
上位のGTX 1060のように、GTX 1050ではVRAMの量が違いう製品があります。選ぶ際は気を付けましょう。
個人的にはローエンドのグラフィックボード製品を選ぶのはあまりオススメしません。その理由は最初に述べたように、PCでゲームを楽しむにはグラフィックボードの性能が重要であり、ローエンド製品はその性能において難があるからです。
くれぐれも過信はしないように注意しておきましょう。
AMD製グラフィックボード
「Radeon RX Vega 64」のクロック周波数は1546MHz、VRAMは8GB HBM2、メモリ速度は1.89Gbpsです。
価格はおよそ5~10万円程度です。
<公式ページ:Radeon™ RX Vega⁶⁴グラフィックス | AMD>
「Radeon RX Vega 56」のクロック周波数は1471MHz、VRAMは8GB HBM2、メモリ速度は1.6Gbpsです。
価格はおよそ5~9万円程度です。
<公式ページ:Radeon™ RX Vega⁵⁶グラフィックス | AMD>
「Radeon RX 590」のクロック周波数は1545MHz、VRAMは8GB GDDR5、メモリ速度は8Gbpsです。
価格はおよそ3~5万円程度です。
<公式ページ:Radeon RX 590グラフィックス | AMD>
「Radeon RX 580」のクロック周波数は1340MHz、VRAMは8GB GDDR5、メモリ速度は8Gbpsです。
価格はおよそ2~4.5万円程度です。
<公式ページ:Radeon™ RX 580グラフィックス | AMD>
「Radeon RX 570」のクロック周波数は1244MHz、VRAMは8GB GDDR5、メモリ速度は7Gbpsです。
価格はおよそ1.5~3.5万円程度です。
<公式ページ:Radeon™ RX 570グラフィックス | AMD>
「Radeon RX 560」のクロック周波数は1275MHz、VRAMは4GB GDDR5、メモリ速度は7Gbpsです。
価格はおよそ1~2万円程度です。
<公式ページ:Radeon™ RX 560グラフィックス | AMD>
「Radeon RX 550」のクロック周波数は1183MHz、VRAMは4GB GDDR5、メモリ速度は7Gbpsです。
価格はおよそ1~2万円程度です。
<公式ページ:Radeon™ RX 550およびRadeon™ 550グラフィックス | AMD>
各種グラフィックボードのスペック
ここまで記載してきたグラフィックボードのスペックを表としてまとめておきました。おおよその価格帯も掲載しておきます(変動する可能性があります)ので、参考にしていただければありがたく思います。
名称 | クロック(MHz) | VRAM | メモリ速度(Gbps) | 価格帯 |
RTX 2080 Ti | 1545 | 11GB GDDR6 | 14 | 15~20万円 |
RTX 2080 | 1710 | 8GB GDDR6 | 14 | 9~12万円 |
RTX 2070 | 1620 | 8GB GDDR6 | 14 | 6~9万円 |
RTX 2060 | 1680 | 6GB GDDR6 | 14 | 4~6万円 |
GTX 1660 Ti | 1770 | 6GB GDDR6 | 12 | 3~5万円 |
GTX 1660 | 1785 | 6GB GDDR5 | 8 | 3~4万円 |
名称 | クロック(MHz) | VRAM | メモリ速度(Gbps) | 価格帯 |
GTX 1080 Ti | 1582 | 11GB GDDR5X | 11 | 16~18万円 |
GTX 1080 | 1733 | 8GB GDDR5X | 10 | 8~11万円 |
GTX 1070 Ti | 1683 | 8GB GDDR5 | 8 | 5~8万円 |
GTX 1070 | 1683 | 8GB GDDR5 | 8 | 4~7万円 |
GTX 1060 6GB | 1708 | 6GB GDDR5 | 8 | 2~5万円 |
GTX 1060 3GB | 1708 | 3GB GDDR5 | 8 | 2~4万円 |
GTX 1050 Ti | 1392 | 4GB GDDR5 | 7 | 1.5~3万円 |
GTX 1050 3GB | 1518 | 3GB GDDR5 | 7 | 1.5~3万円 |
GTX 1050 2GB | 1455 | 2GB GDDR5 | 7 | 1~2.5万円 |
名称 | クロック(MHz) | VRAM | メモリ速度(Gbps) | 価格帯 |
Radeon RX Vega 64 | 1546 | 8GB HBM2 | 1.89 | 5~10万円 |
Radeon RX Vega 56 | 1471 | 8GB HBM2 | 1.6 | 5~9万円 |
Radeon RX 590 | 1545 | 8GB GDDR5 | 8 | 3~5万円 |
Radeon RX 580 | 1340 | 8GB GDDR5 | 8 | 2~4.5万円 |
Radeon RX 570 | 1244 | 8GB GDDR5 | 7 | 1.5~3.5万円 |
Radeon RX 560 | 1275 | 4GB GDDR5 | 7 | 1~2万円 |
Radeon RX 550 | 1183 | 4GB GDDR5 | 7 | 1~2万円 |
名称 | Clock (MHz) | VRAM | メモリ速度 (Gbps) | 価格帯 |
どうやってグラフィックボードを選ぶべき?
ここまでグラフィックボードに関するいろいろな情報を確認してきました。各種グラフィックボードのスペックなどの情報から、どのような人に向いているかも見てきました。
しかし自分に合っているグラフィックボードがどれであるかわからない、どう選ぶべきかわからないという人はいることでしょう。
そのために一般的な選び方を参照していきましょう。
客観的な選び方
基本的にどの製品・サービスも大きく分けると「得られるもの(パフォーマンス)」と「費用(コスト)」の要素に二分できます。そしてこの二つを合わせたのが「コストパフォーマンス」です。これら3つがおおよその客観的な選び方になるでしょう。
ここまでの間で、これらの要素は実のところ何度も確認してきたものなので、あまり難しくはありません。
性能重視(パフォーマンス重視)
まずはパフォーマンス重視、つまりグラフィックボードでいえば性能を重視した買い方について見ていきましょう。
これまで確認してきたのは、なるべくグラフィックボードは性能を重視して選んだほうがいいということでした。なぜならグラフィックボードは性能がすべてであり、それがゲームへのパフォーマンスに直接影響を与えるからでした。
性能の面でグラフィックボードを重視する場合、もちろん低性能な製品は利点が少ないため高性能な製品を重視することになります。そして高性能になればなるほど、価格も上がりがちだということでした。
またこの価格を凌ぐにはゲームへの熱意が大切で、その熱意に敵うグラフィックボードを入手するには、余裕が大切だということでした。
そのため性能重視でグラフィックボードを選ぶことは、なんら問題ありません。ゲームのパフォーマンスを上げるためにグラフィックボードを買う、という目的に沿った考え方であるといえます。
安さ重視(コスト重視)
続いて費用すなわちコストを重視した選び方です。この場合も、「高いものを進んで買う」という方は少ないため、基本的には「安いもの」を重視するという考え方に繋がります。
そして高性能なグラフィックボードの価格は、ゲームへの熱意で振り切るものだとも確認しました。ゲームへの熱意が大きいほど、価格への忌避感を振り払いやすいのです。
安さ重視で選ぶ場合は、どこまでならグラフィックボードの性能を諦められるのかという観点が重要になります。あくまでゲームのパフォーマンスを上げるのが目的であるため、「まったく(もしくは「ほとんど」)ゲームのパフォーマンスを向上させない」という程度のグラフィックボードでは、いくら安くとも購入する意味がありません。
今回は表立って紹介はしませんでしたが、1万円以下のグラフィックボードとして「GeForce GT 1030」「GeForce GT 710」「Radeon R5 230」などがあります。しかしこうした安価なだけの製品はそれだけ性能がゲームプレイに及ばなくなってくるので、実用性を考えるのであればやはりオススメはできません。
やはり「どれくらい多くのゲームを、どれくらいスムーズに、どれくらい高画質で遊びたいか?」を消去法的に考えていくことになります。現実的には「Minecraftを最大画面でなく小さく表示して、少しカクつく程度で我慢できるか?」などから「許容できるライン」を決めていくことになります。面倒なら「どういうゲームをプレイしたいか?」というタイトルを1つ挙げるだけでもいいかもしれません。
商品を購入する上でオススメはできませんが、「とりあえず安いものを買ってから考える」という方法も、あるにはあります。しかし当然ながら行き当たりばったりでおざなりな選び方ですので、なんらかの失敗に繋がりかねません。失敗を覚悟するとしても、あまり有効な手段とはいいがたいでしょう。
安さ重視であるというからには、5万円を超える製品は候補に挙げにくいものです。おそらくラインとしては、1万円・2万円などでしょうか。このラインでは、GTX 1050・1060くらいが視野に入る程度でしょう。
ライトユーザー向けとしては充分かもしれません。2Dで動きの多いゲームでなければスムーズに動くことも予想できます。3Dのゲームは画質で妥協しないとスムーズにはなりにくいことは留意しておきましょう。
「安いもの」がいい?
「安いものを買う」というのは買い物をする上でとても一般的な買い方です。この買い方を否定する気はまったくありません。安さはひとつの魅力だからです。
しかし「熱意」と「価格」の一騎打ちなどで見てきたように、趣味のものを安く買おうとするのはやや本末転倒であることは否めません。
いわば「安いものを選んで買う」というのは「どうでもいいものを買う」というときの選び方です。日用品や「とりあえず腹を満たすだけの食事」や「大切でない人への贈り物」などがそれにあたります。
そもそもコストカットをせずには安い製品をつくれませんので、安い製品はどこかしら削っています。スナック菓子の内容量を減らすことで定価を保つようなものです。これは実質的な値下げにすぎません。
現在の日本経済は決して順風満帆ではなく、国も国民である私たちもお金のやりくりには苦労しています。苦労し続けています。その末に、私たちは「安く買う」という行為にあまりに慣れ切って鈍感になってしまっているのかもしれません。
「うまい、やすい、はやい」は吉野家のキャッチコピーです。このような価値観はその企業の本質を示します。そうであれば同様の価値観が一般の人々それぞれの価値観を示していて当然です。
「安いものしか選ばない」というのは、「私の人生は『安い』からできている」と宣言しているようなものではないでしょうか? なにかしら「値段では選択しないもの」があるなら、それはその人の「とても大事なもの」だといえます。「愛はお金では買えない」というとき、それは「私は愛をとても大事なものだと思っています」と宣言するようなものなのです(そのために偽りのアピールとして使われやすい言葉になるのですが)。
また経済という観点から見ると、企業が存在し製品やサービスを継続させるにはお金が必要不可欠です。資本主義の日本でお金なしに企業が存続することはできません。その点を考えると「大切なもの」をつくり続けてもらうには、お金を投資しなければいけません。好きなバンドの曲を買い続けたり、好きなマンガ家の本を買い続けたりするのは、支援の一種だといえます。
人によっては「消費者がなんでそこまで考えないといけないんだ」と思う人もいるでしょう。構いません。まったく問題ないのです。それはその人の価値観なのですから。
好きな人ができてその相手を大切に思うなら、将来のことを考え、結婚を視野に入れ、どのように10年、20年、30年、子供をどう産んで育てるか、老後はどうするかを考えざるをえません。その上で相手のことを思うなら告白しない、別れるという選択肢が浮き上がることもあるでしょう。
それに対して「なんでそこまで考えないと」と言うようなものです。しかしそれが当人の価値観ならしかたありません。
このような経済の視点から、わずかであっても「自分が『妥当』な製品を『妥当』な金額を払うことで支えられるなら」と考えることはまったく不自然ではありません。なにもその業界すべてを背負い込まないといけないわけではありません。『妥当』である範囲で構わないのです。不当に安く買い叩かなければいいだけです。その点を、安さの魅力に慣れ切っているからと「妥当性」を考えないのは、少し余裕が足りないでしょう。
やはり大事なのは「余裕」です。余裕のない人が無理に募金や献血をする必要はありません。少なくとも経済のわかりやすい点のひとつは、「なにかを買う」という何気ない行為が「誰かの懐を潤す経済行為」として簡単に成立する点にあります。意図していなくても商品を買うことで一種の支援になるのです。
そのため違法な手段で得られたお金に忌避感をおぼえたり、志のない企業の製品を買うことに抵抗が生まれたりするのです。
一度立ち止まって考えてみましょう。その商品は私にとって、あなたにとって、私たちにとって、どんなものなのでしょうか? 自分の胸の内で自分に語るだけで構いません。誰かに打ち明ける前提でなくて大丈夫です。ただ自分の価値観を精査するためだけに考えてみてください。
その上で、安いものが本当に重要であるのか、安いものを本当に選ぶべきか考えてみると、また結果が変わるかもしれません。
もちろん予算を本当に引き上げられないということでしたらこの価格帯でもグラフィックボードを設置する意義はゼロではありません。しかしほとんどの人にとっては性能の向上を如実に感じられるほどではなく落胆しかねないことは承知しておいたほうがいいでしょう。
コストパフォーマンス重視
コストパフォーマンスはコスト(価格)とパフォーマンス(性能など)を比較して、一定のパフォーマンス単位で価格の大小を比較する方法です。たとえばHDDであれば、1GB単位いくらするかで選ぶ方法です。
この方法であれば、高価格帯の製品が選択されることはほぼありません。最大限にコストパフォーマンスの効率を上げて最低価格に近い製品を選ぶか、いくらかパフォーマンスに余裕をもたせるか、メーカーを重視して価格をいくらか妥協するか、などになるでしょう。
そのためローエンドからミドルクラス帯の製品を選ぶことになりやすいのが、コストパフォーマンスでの選び方です。この視点では安さ重視のときのように、安いほうから考えていくことになりやすいでしょう。性能重視の場合は、性能の高いほうから妥協して下げていくので、高いほうから考えていくことになりやすいものです。
コストパフォーマンス重視の選び方で気をつけたいのは、価格とのバランスを細かく考えて選ぶことになるため、あまりグラフィックボードの性能に詳しくないとミスをしやすいという点です。「この程度ならあのゲームもたぶんできるだろう」と考えて購入したグラフィックボードでも、実際に自分の環境で使ってみると思うように性能が引き出せず、遊べると思っていたゲームが予想通りにプレイできない可能性があるということです。
グラフィックボードにおけるバランス感覚は、CPUとメモリの性能も考慮して判断しないといけません。不慣れではこの調整を失敗する可能性があるためです。
そのためこの点でも「余裕」が大事になります。「このグラフィックボードでたぶん大丈夫」と思った製品より、少し性能が高い製品を選ぶとミスが減りやすくなる」、ということです。
たとえば「GTX 1070でいいか」と思ったときは、GTX 1080もしくはRTX 2070などを選ぶと、予想外の事態を防ぎやすくなります。この方法はあくまで蓋然的な防ぎ「やすい」という程度の対策なので、余裕を大きく確保してRTX 2080を選ぶなどするとさらに安定します。もちろん余裕を大きくするほど費用は増え、「コストパフォーマンス重視」の観点からズレるのはご推察の通りです。
主観的な選び方
客観的な選び方は世間での通説を確認しながら選ぶ方法なのでミスを減らしやすくはなります。しかし客観的とは「自分の見方以外の視点で見る」ということなので、主観的な「満足度」を考慮するのはとても難しくなります。満足とは自分だけのことなので、客観的情報では判断しにくいのです。
そのため満足度を重視した「主観的な選び方」についても見ていきましょう。
ゲームへの熱量で選ぶ
これは前半でも確認しましたが、ゲームへの熱量で選ぶ方法は、満足度を重視する方法としても有用です。そもそも私たちはゲームのパフォーマンスを上げたくてグラフィックボードを買うので、それをゲームへの熱量で選ぶのは至極当然の考え方です。食事を「なんでもいいから腹が膨れるもの」という観点で選ぶなどではなく、栄養価や美味しさ、食の好みで選ぶのと同様です。「当たり前のこと」といっても差し支えありません。
あくまで気をつけたいのは、余裕についてです。いくらゲームがしたくても、身を滅ぼしかねないほど預貯金をおろしたり、借金をして買ったりするのはよくありません。当然ですが人命以上に大事な趣味はありません。楽しむ自分が存在してこその趣味です。
安さやコスパは無視してもいい
また主観的な選び方であれば、安さもコストパフォーマンスも無視して構いません。先ほど確認したように、安さ重視もコストパフォーマンス重視も「消去法」的な考え方です。パフォーマンス重視が「得られる価値」、すなわちグラフィックボードでの性能をなるべく費用を抑えたまま最大化しようとする考えであるのに対し、安さ重視もコストパフォーマンス重視も「値段」を重視してどれくらいならパフォーマンスを妥協できるか削っていく考え方です。
現実ではありえませんが、「ピザを食べたい!」と思って注文するときに、1枚3000円のピザを「生地の端っこは味がしないから、端っこを全部除いてもらって200円引きにしよう」「チーズは伸びればいい。味は重視しないから安いヤツで300円引いてもらおう」「トマトはそんなに好きじゃないから欠片4つ除いてもらって40円マイナスにしよう」というような考え方です。
気持ちよく1枚のピザを食べたくはありませんか? 単純にピザをピザとして楽しみたくありませんか? 友達を呼んでそのピザを分けるとき、迷惑をかけるかもしれないと感じませんか? コストを切り詰める考え方自体が食べるという行為を侵食してはいませんか? そうして頼んだピザを本当に楽しめていますか?
答えは自分で見つけてください。
このような買い方をグラフィックボードで行うというのは、そのまま「ゲームのパフォーマンスを削っていく」考え方に繋がります。どれくらいなら解像度を下げてもいいか? どれくらいならフレームレートを下げられるか? どれくらいなら遊べるゲームの量が少なくていいか? まさに性能重視で選ぶときの「どれくらい多くのゲームを、どれくらいスムーズに、どれくらい高画質で遊びたいか?」と逆の考え方であるのがわかることでしょう。
この考え方は「今さえよければいい」という価値観にも繋がります。「将来『もっとおもしろいけど高負荷なゲーム』が出てきても遊べなくていい。知ったこっちゃない」という刹那的な考え方だからです。特にグラフィックボードは決して安価ではなく、頻繁に交換をするパーツではありません。そのため「そういうゲームが出てきたらまた新しいの買えばいいや」と気軽に買い替えやすいものではありません。
そのためには安さ重視やコストパフォーマンス重視の「値段が下(性能も下)の製品から」選ぶのではなく、なるべく「性能が上(値段も上)の製品から」選んでいくほうが満足度も高くなるでしょう。あらかじめゲームへの熱意を自分で確認しておくことで、価格への抵抗を振り切っておくことができるのです。
オススメ:予算最大のグラボ
以上のように客観的・主観的な選び方の両方を確認してみると、客観的な選び方では「性能重視」、主観的な選び方では「上から選んでいく」という方法が好ましいということです。
ここまで読んできても、まだ迷ってしまうという方がいらっしゃるかもしれません。そういう方のために、もうひとつ別の選び方を提示してみましょう。
それは「『グラフィックボード・CPU・メモリ』のバランスを考慮した上で、予算最大限のグラフィックボードを選ぶ」というものです。
まずこれ以上は増やせないという余裕ギリギリの予算を考慮してください。
たとえば、すべてのパーツを新調するときにこの予算が10万円あるならば、グラフィックボードにRTX 2060(4万円台)、CPUにi5-9400F(2万円台)、メモリに8GB×2枚組(1万円台)を選ぶなどすると、バランスがよくなります。
ここからグラフィックボードの性能を上げようとすると、RTX 2070もしくはGTX 1070を選ぶことになるでしょう。RTX 2070の場合は6万円以下の製品を探すのは難しいので、CPU・メモリを変えなくても6+2+1=9が導き出され、およそ9万円になると想定できます。
このとき、実際の製品の価格ではなく「理想の額」であることを忘れてはいけません。またマザーボードや電源なども新調・交換しなければならない可能性があることも考慮する必要があります。そうなると10-9=1が導き出され、残りを1万円未満で準備しないといけません。これはかなり手慣れていても難しい組み合わせです。そのため「このCPUとメモリでRTX 2070を組み合わせるのは難しい」と判断しましょう。
ここで次はGTX 1070を考慮するのですが、GTX 1070ではリアルタイムトレーシングなどRTX 20シリーズの機能が対応していないことに留意しましょう。つまり「リアルタイムトレーシングを妥協できるかできないか?」ということです。妥協できる場合は、GTX 1070を4万円台で探すことができるのでCPU・メモリを変えずとも10-(4+2+1)=3が導き出され、マザーボードや電源などを3万円弱で選ぶことができるようになります。
こうした模索のなかで、浮かび上がった選択肢からどれがもっとも満足度が高くなるか選ぶのも、ひとつの選び方です。予算を最大限に設定していないと、「いや、これならもうちょっと上のグラボのほうがいいな」と考えて「じゃ予算をもうちょっと増やすか」とズルズル長考することとなりかねません。あらかじめゲームへの熱意から最大予算を捻出しておくと、そのような長考は防げます。
あえてこのマザーボードや電源などの費用からまず算出し、残りの予算でグラフィックボード・CPU・メモリを選ぶこともできます。どちらから先に算出するにせよ、全体的なバランスが大事となりますので、微修正を加えながら全体を見ていくのを忘れないようにしましょう。
このブロックのまとめ
- グラフィックボードの構造で重要なのは「GPU」。
- GPUは「脳」といわれるプロセッサの一種。
- GPUが映像のデータを処理してくれる。
- クロック周波数は頭の回転の速さ
- VRAMは映像用のメモリ
- VRAMが多いほど映像処理がスムーズになる。
- 高性能なグラフィックボードでいろんなことができる!
- 解像度(画質)を上げられる。
- アンチエイリアシングが使用できる。
- スムーズにゲームを遊べる。
- フレームレートを上げられる。
- 遊べるゲームを増やせる。
- より高性能なら増えたゲームをよりキレイ・スムーズに遊べる。
- ゲームのパフォーマンス向上にはCPU・メモリも大事!
- 解像度(画質)を上げられる。
- グラフィックボードを使うなら接続のしかたに注意しよう。
- グラフィックボードはマザーボードとモニターに接続する。
- マザボ側はPCIe x16、モニター側はHDMIなどの規格がある。
- グラフィックボードは大きさと重さにも注意!
- グラフィックボードの選び方は様々ある。
- GPUのメーカーはNVIDIAとAMD。
- ベンチマークで客観的なスコアを測定できる。
- スペックで違いを知ることができる。
- グラフィックボードを買うなら、ネットショップやBTOがいいかも。
- 初心者ならジャンク品やネットオークションは避けるのが吉!
- やっぱりグラフィックボードの選び方は「熱意」で!
- 熱意に見合う性能のグラフィックボードを選ぼう!
- 安さやコスパは性能を削っていく考え方。
- 最大限の予算を決めておくと長考を避けられるかも。
- GPUは「脳」といわれるプロセッサの一種。
このエントリのまとめ
このブロックでは、グラフィックボードの詳細とグラフィックボードに関連するPC全体の事柄を少し細かく解説してきました。グラフィックボードの超初歩的な「高性能なグラフィックボードほど高価になる」という法則さえ知っていれば、実のところこのブロックの内容は「選んで買う」という行為にはさほど重要ではありません。オススメの選び方としてお伝えした「予算最大のグラフィックボードを選ぶ」を実行してしまえば、今自分が得ることのできる最高性能のグラフィックボードを選べるからです。
しかしゲーマーの方々のなかには、もっとグラフィックボードについて知りたい、という方もいるだろうということで、少し詳しく解説してきました。
大事なことは序盤で述べたことと変わりません。ゲームへの熱意と、余裕です。ゲームへの熱意で満足できる性能のグラフィックボードを視野に入れ、余裕を損なわない範囲で最高性能のグラフィックボードを選べばいいだけなのです。
このような詳細な情報を知ることで、私たちは「知らないもの」を「知っているもの」に変えることができます。知らないものは幽霊や妖怪と一緒で、ある種の恐怖を生みます。それを既知、既に知っているものに変換することで恐怖は薄れます。
グラフィックボードに対する恐怖は、これまでの情報で薄れさせることができたでしょうか? もし薄れたならば、情報を掲載した価値があるというものです。